酒寄進一のレビュー一覧

  • 白雪姫には死んでもらう

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    解説氏も書いておられましたが
    前作とは一転、
    横溝正史のような
    長らくメンバーが変わらない、
    閉鎖的な村の物語。

    登場人物や役割が多くて
    わからなくなるかも?と思いきや
    丁寧に読んでいくとわかる!
    これはさすがですね。

    とっ散らかして
    読む気なくす作品、ありますので。

    引き続き
    オリヴァーとピアのシリーズ、
    読みたいと思います。

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    2025年02月23日
  • ほら吹き男爵の冒険

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    馬鹿っばなし
     大喜びの馬鹿話集。小生は井上ひさし好きなので、この大法螺も大好きなのである。
     読んで感じたこと。
     最初から法螺だとわかってるから気ままに笑へる。おいおい。こんなことほんまに起るんかいな。といふ現実に接続した絶妙さ。これがラテンアメリカ文学みたいに語られたら肩が凝りすぎてたまったもんぢゃないなとなる。

     ただし、海洋冒険物語になると、月人だの海馬だの、ただのデタラメでうんともすんとも面白くない。現実から離れて空想になってしまった。

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    2025年02月24日
  • 深い疵

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    ひゃあ〜
    ノンストップ!

    ナチ親衛隊とか
    なりすましとか
    いまだに名前に“フォン”が入る貴族とか
    女性警部が馬を飼ってるとか
    日本人には遠めのお話ばかりですが
    (唯一彼女の愛車がニッサンらしい)
    手に汗握る展開。

    初めて読む作家ですが
    このオリヴァーさんシリーズが
    続いているようなので
    他の作品も楽しみに読みたいと思います。

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    2025年02月16日
  • 17の鍵

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    マルク・ラーベ『17の鍵』創元推理文庫。

    2ヶ月連続刊行のドイツ警察ミステリー小説の第1弾。

    またまた帯の『圧倒的な面白さ』という惹句に踊らされてしまったようだ。何だか騙されたかのような読後感。あれよという間に、謎が謎を呼び、大きな謎を残したまま結末を迎えてしまった。

    解説を読むと、どうやら4部作のようだ。今月末に刊行予定の第2作『19号室』は本作にも描かれた養子縁組のあの部屋を指しているのだろう。第3作は『スズメバチ』、第4作は『ヴィオーラの部屋』という仮のタイトルが付いている。

    これだけ多くの謎を残された以上は、全4作を読まねば気になって夜も眠れなくなるに違いない。


    2017年

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    2025年02月15日
  • テロ

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    文中でも哲学者の言葉が多用されているが、裁判と哲学を組み合わせて考えた事がなかったので面白かった。

    当たり前ながらドイツの裁判は日本の裁判とは違うという事も興味深い。

    シーラッハの作品は感情に走らず、かといって押しつけがましい事もなく、淡々と深いところを抉ってくるところがとても良い。

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    2025年02月14日
  • 犯罪

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    弁護士である「私」が携わった事件、その背景を追いかけながら、被告人たちの真実を描く11篇の連作短編集。
    現代ドイツを舞台にしているのだが、難解で共感も困難な事例が多く出てくる。それを一番感じたのは、移民や難民などの他民族他国籍の人々との絡みだった。「この民族は〜な性質」「この国籍は〜レベル」といったような暗黙の既成観念があるように感じ、それを覆せなかった人々による犯罪は、日本にいるとあまりピンとこないように思った。読み進めると、痛々しくて生々しい人々の叫びが文中から聞こえてくるようで、淡々とした「私」視点も相まって、一篇一篇にキツイ読後感を味わうこととなった。
    後書きを読んでもう一度本文を読み

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    2025年02月03日
  • 若きウェルテルの悩み

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    書簡の形を取り、読み易さを保ちつつも詩的なワードセンスを崩さない文体が魅力的です。若者ならではの、感受性が暴走したような、抑圧や障害への力強い反発が表れたような、危なっかしさと勢いのある表現が多く、悩める若い読者の心には、色々な意味で、刺さる言葉がきっと見つかると思います。
    個人的には、冗談のつもりでピストルを自分の頭につきつけたウェルテルと、アルベルトとの口論のシーンが印象的です。

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    2025年01月29日
  • ある晴れたXデイに

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    一作目から強く引き付けられた、ドイツ女流作家カシュニッツ、2作目。
    ナチス政権下にありながら、出国せず、ドイツ内で内的亡命という執筆活動を継続した(ちょっと、想像がつかない、凄いもの!)

    男爵の家系に生まれ、夫が学者、きわめてエリートの資質を持った気高い女性かと思われる。
    訳者酒寄氏の言葉によると、この2冊で、彼女の短編作品の3割邦訳が達成と。
    今後も追い続けられるのは愉しみ。

    作風としては「超常現象・心理劇・シュールな筋立て」
    夫の影響によるものではなく、恐らく、彼女が生来持っている世界観・人生観であろうと語る酒寄氏。

    薄い一冊だが、ㇲ~っとはとっても読めない。1行1行、吸い付くように

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    2024年12月17日
  • デーミアン

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    この本についての書評については、松岡正剛翁のISISにあるのでそれを参考にいただければ十分である。自分としては、久々に魂を揺さぶられるような作品に会え、じつに楽しかった。

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    2024年11月23日
  • その昔、N市では

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    20世紀に作品集を出し、いくつかの賞をゲットした女性。初めて名前を耳にしたが、男爵夫人、学者の妻といった経歴以上に、優れた素質を覆いに感じる。
    文体うも読み易く、どこかで触れた記憶を受けた・・サモアラン、シーラッハでおなじみの酒寄氏の手になるもの。

    彼女独特に独特な視点(ナチス支配下と言えども、アーリア人であり代々男爵の家に生まれたという高貴な血、結婚相手も考古学者というアカデミック環境から来るスノッブ臭やや強め)、言葉遣いは読む者の思惟を深めてくれる。
    お冷められた15編はいずれも珠玉、素晴らしいが「いいですよ、私の天使」が秀逸だった。
    当人と対峙する相手の視点の辛みが不安、恐怖、戦慄・・

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    2024年11月09日
  • 若きウェルテルの悩み

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    ある人物の自死をきっかけに後追い自殺が増えることをウェルテル効果というそうですね。それはこの小説が発刊されたときの社会現象になぞらえてのネーミングらしい。私はこんなウェルテルみたいなのは気持ち悪くていやだなぁ。即、離れる。彼女は人妻なのに彼女を好きで好きでたまらない。彼女の夫は申し分のない男。そりゃ悩むな。しかし同情も共感も、ないわ。もう少し生きてみれば程よく絶望して幸福が見つかったかも知れないのに。ウェルテルのモデルも実在したし、ゲーテの実体験も入ってるそうです。

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    2024年10月30日
  • 友情よここで終われ

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    オリヴァー&ピアシリーズ。今回は出版社が舞台の殺人事件。複雑な人間関係を紐解き、過去の事故や自殺の真相も明かされる。最後まで気が抜けない展開のため、特に後半は一気読みしてしまう。
    ピアの元夫ヘニングがミステリー作家となり、過去の事件を作品にしているのは面白い。最後はほっこりするシーンで、事件の残虐さを忘れさせてくれる。

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    2024年10月08日
  • 犯罪

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    「さあ、櫂を漕いで流れに逆らおう。だけどそれでもじわじわ押し流される。過去の方へと」

    「物事は込み入っていることが多い。罪もそういうもののひとつだ」

    ・様々な原因があって人は罪を犯してしまう。自分が今犯罪者にならずにいるのは、幸せなのだと気づいた。作者の言っていた通り、幸運に恵まれさえすれば何も起こらない。幸運に恵まれさえすれば。

    ・特に3つ目のチェロの話が好きだった。
    幸せになろうとしても、押し流されてしまう。彼女が罪を犯さずに幸せになれる方法が思いつかない。

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    2024年09月08日
  • ケストナーの戦争日記 1941-1945

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    「終戦日記」と読み比べると元々書かれていない事をケストナーが加筆している個所が多々ある。グデーリアンの邦題「電撃戦」で書かれている宣伝省次官ヴェルナー・ナウマンから依頼された談話は「戦争日記」では単に彼の発言を引用しているだけだが「終戦日記」ではポーランド人の地主からダイペンホーフを略奪したグデーリアンに代表される当時の国防軍の軍人批判を書き加えているので「終戦日記」は「青い本」こと「戦争日記」を元にした日記体の実録と見た方がいい。「終戦日記」は1961年に刊行されているので1951年に刊行されたグデーリアンの回想録をケストナーが読んで書き加えた可能性はありそうだ。
    邦訳者のあとがきには第三帝

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    2024年09月08日
  • デーミアン

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    「自分を解き明かすことができるのは、他人ではなくあくまで自分だけだ。」

    ヘルマン・ヘッセの代表作のひとつ『デーミアン』です

    うーん、これまた「聖書の壁」
    しかも完全に四方を囲んでいて、蟻の這い出る隙間もない

    当然のことながら、全く意味もわからん 
    けど面白かった
    たまにあるのよ
    全く意味分からんけど面白い
    全く意味分からんときって大抵は面白くないのよ
    だってそうでしょ、意味分からんのだから

    でも、本作は面白かった
    ぜんぜん分からんのに、全部分かったような気もする

    独断的で独りよがりな心中が延々と語られるのに、普遍的で共感できるような気にもなる

    なんだこれは!

    こういう時、いつも実

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    2024年08月30日
  • 悪女は自殺しない

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    ネタバレ

    ドイツの作家、ネレ・ノイハウスの警察小説オリヴァー&ピアシリーズ第一弾。
    邦訳はシリーズ3作目から変則的に始まったため、しばらく様子見してたらいつの間にか10年積読。。。

    オリヴァーの知り合いの高名な弁護士の自殺死体が発見される。時を同じくして、馬専属医師の妻の死体も発見される。妻は周囲の人から相当嫌われていて、誰が容疑者となってもおかしくない。この二つの事件は関連があるのか。。。

    死んだ妻が題のとおり、酷すぎる悪女で。絶対自殺しないだろうと笑。
    非常に読みやすく、スラスラと読める典型的な警察小説。。。。なのだが、登場人物の名前が覚えづらすぎて。馴染みがないためか、登場人物表と行っ

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    2024年07月04日
  • ある晴れたXデイに

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    歪な家族、日常に忍び込む幻想…
    「太った子」は嫌な気配のする女の子と接していくうち、ある事件に遭遇する話。どうなるのだろうと緊張しながら読みました。この作品が1番のお気に入りです。他も面白さと幻想を感じることができる短編集です。

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    2024年07月02日
  • 急斜面

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    このシリーズは、最後に驚くような展開をする様にしたのかな。

    シリーズ1作目は、そこまでサイドに驚く展開があったとは思わないんだけど、だんだん、最後の最後に、驚くような展開を示すようになってきた気がします。

    著者が、元々放送関係の脚本家であったという経歴もあり、作品には、なにかそこかしこ“映像化された際にはこうなりそうだな”という描写がある印象です。

    映像化されると面白そうです。

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    2024年06月30日
  • 母の日に死んだ

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    オリヴァー&ピアシリーズ9作目。孤児院から多くの子どもを引き取り、里親として世話をしていた家庭で主人の遺体が見つかる。捜査の過程でラップにくるまれた3人の遺体も発見された。犯人は徐々に絞られてゆくが、余罪も次々と明らかになる。孤児たちの厳しい現実と、子どもを捨てる女性など、社会の闇を描く。長編だが最後まで気が抜けない。

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    2024年06月18日
  • 黒のクイーン

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    『夏を殺す少女』を読んだのは9年前。大変面白く読んだ記憶はあるが、内容はてんで覚えていない。これも楽しめましたよ。イギリスやアメリカの作品と違い、翻訳に馴染むのが一苦労。エクスクラメーションマークか矢鱈と出てくるし、会話もすっと読めないのがもどかしい。

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    2024年06月13日