酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
マルク・ラーベ『17の鍵』創元推理文庫。
2ヶ月連続刊行のドイツ警察ミステリー小説の第1弾。
またまた帯の『圧倒的な面白さ』という惹句に踊らされてしまったようだ。何だか騙されたかのような読後感。あれよという間に、謎が謎を呼び、大きな謎を残したまま結末を迎えてしまった。
解説を読むと、どうやら4部作のようだ。今月末に刊行予定の第2作『19号室』は本作にも描かれた養子縁組のあの部屋を指しているのだろう。第3作は『スズメバチ』、第4作は『ヴィオーラの部屋』という仮のタイトルが付いている。
これだけ多くの謎を残された以上は、全4作を読まねば気になって夜も眠れなくなるに違いない。
2017年 -
Posted by ブクログ
弁護士である「私」が携わった事件、その背景を追いかけながら、被告人たちの真実を描く11篇の連作短編集。
現代ドイツを舞台にしているのだが、難解で共感も困難な事例が多く出てくる。それを一番感じたのは、移民や難民などの他民族他国籍の人々との絡みだった。「この民族は〜な性質」「この国籍は〜レベル」といったような暗黙の既成観念があるように感じ、それを覆せなかった人々による犯罪は、日本にいるとあまりピンとこないように思った。読み進めると、痛々しくて生々しい人々の叫びが文中から聞こえてくるようで、淡々とした「私」視点も相まって、一篇一篇にキツイ読後感を味わうこととなった。
後書きを読んでもう一度本文を読み -
Posted by ブクログ
一作目から強く引き付けられた、ドイツ女流作家カシュニッツ、2作目。
ナチス政権下にありながら、出国せず、ドイツ内で内的亡命という執筆活動を継続した(ちょっと、想像がつかない、凄いもの!)
男爵の家系に生まれ、夫が学者、きわめてエリートの資質を持った気高い女性かと思われる。
訳者酒寄氏の言葉によると、この2冊で、彼女の短編作品の3割邦訳が達成と。
今後も追い続けられるのは愉しみ。
作風としては「超常現象・心理劇・シュールな筋立て」
夫の影響によるものではなく、恐らく、彼女が生来持っている世界観・人生観であろうと語る酒寄氏。
薄い一冊だが、ㇲ~っとはとっても読めない。1行1行、吸い付くように -
Posted by ブクログ
20世紀に作品集を出し、いくつかの賞をゲットした女性。初めて名前を耳にしたが、男爵夫人、学者の妻といった経歴以上に、優れた素質を覆いに感じる。
文体うも読み易く、どこかで触れた記憶を受けた・・サモアラン、シーラッハでおなじみの酒寄氏の手になるもの。
彼女独特に独特な視点(ナチス支配下と言えども、アーリア人であり代々男爵の家に生まれたという高貴な血、結婚相手も考古学者というアカデミック環境から来るスノッブ臭やや強め)、言葉遣いは読む者の思惟を深めてくれる。
お冷められた15編はいずれも珠玉、素晴らしいが「いいですよ、私の天使」が秀逸だった。
当人と対峙する相手の視点の辛みが不安、恐怖、戦慄・・ -
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
「終戦日記」と読み比べると元々書かれていない事をケストナーが加筆している個所が多々ある。グデーリアンの邦題「電撃戦」で書かれている宣伝省次官ヴェルナー・ナウマンから依頼された談話は「戦争日記」では単に彼の発言を引用しているだけだが「終戦日記」ではポーランド人の地主からダイペンホーフを略奪したグデーリアンに代表される当時の国防軍の軍人批判を書き加えているので「終戦日記」は「青い本」こと「戦争日記」を元にした日記体の実録と見た方がいい。「終戦日記」は1961年に刊行されているので1951年に刊行されたグデーリアンの回想録をケストナーが読んで書き加えた可能性はありそうだ。
邦訳者のあとがきには第三帝 -
Posted by ブクログ
「自分を解き明かすことができるのは、他人ではなくあくまで自分だけだ。」
ヘルマン・ヘッセの代表作のひとつ『デーミアン』です
うーん、これまた「聖書の壁」
しかも完全に四方を囲んでいて、蟻の這い出る隙間もない
当然のことながら、全く意味もわからん
けど面白かった
たまにあるのよ
全く意味分からんけど面白い
全く意味分からんときって大抵は面白くないのよ
だってそうでしょ、意味分からんのだから
でも、本作は面白かった
ぜんぜん分からんのに、全部分かったような気もする
独断的で独りよがりな心中が延々と語られるのに、普遍的で共感できるような気にもなる
なんだこれは!
こういう時、いつも実 -
Posted by ブクログ
ネタバレドイツの作家、ネレ・ノイハウスの警察小説オリヴァー&ピアシリーズ第一弾。
邦訳はシリーズ3作目から変則的に始まったため、しばらく様子見してたらいつの間にか10年積読。。。
オリヴァーの知り合いの高名な弁護士の自殺死体が発見される。時を同じくして、馬専属医師の妻の死体も発見される。妻は周囲の人から相当嫌われていて、誰が容疑者となってもおかしくない。この二つの事件は関連があるのか。。。
死んだ妻が題のとおり、酷すぎる悪女で。絶対自殺しないだろうと笑。
非常に読みやすく、スラスラと読める典型的な警察小説。。。。なのだが、登場人物の名前が覚えづらすぎて。馴染みがないためか、登場人物表と行っ