酒寄進一のレビュー一覧

  • 友情よここで終われ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    相変わらず一気読み必至のストーリーで、ぐいぐい読み進めてはいたのですが、今回はちょっと読みながら頭の片隅に違和感がちょいちょい顔を出しました。
    なぜみんな、周りの人に一言言わないの!?
    そうすれば何人かは死なずにすんだはず。

    以下、ぬるっとネタバレになっているかもしれません。
    気をつけますが。

    例えば、不審な日記の切れはしが届けられた時、過去に犯罪を犯した人は口をつぐんでもしょうがないけど、何が起こったのかわからないまま口裏をあわせさせられた人は「どういうこと?」って言っていいと思う。
    言ったら殺されてたかもしれないけど。

    ていうか、ハイケが殺された理由がいまいち判然としない。
    殺人を見

    0
    2024年06月02日
  • 乗客ナンバー23の消失

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ドイツの作家、セバスチャン・フィチェックの作品。邦訳自体は初めてではなく、過去何作品かはある様子(アマプラで見れる治療島とか)。

    豪華客船の船旅中、妻と息子を亡くした囮捜査官マルティン。二人を亡くした船で暮らす老婆から新たな情報が得られると知り、船に乗り込む。一方、船の中では数週間前に行方不明になった子供が記憶喪失で現れる。またその母親はどこかで拷問されているようだが。。。

    豪華客船という閉鎖空間で起こる様々な事件。ジェットコースターのように目まぐるしく展開が変わるため、先が気になり読み進めるのだけど、思ったほどのどんでん返しはなく。。。面白い作品ではあるのだけど。ご都合主義なとこもあり、

    0
    2024年05月31日
  • ある晴れたXデイに

    Posted by ブクログ

    滅亡の日を憂いでいる彼女の日常に溢れる幸福と悲哀… カシュニッツ作品集第二弾 #ある晴れたXデイに

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ドイツ生まれで、戦後1940-60年代に小説や脚本を手掛けたカシュニッツの短編集です。ミステリーではありませんが、人間の深い部分を描いた作品集とのことで、気になっていた一冊です。

    どの作品も何かしらの背景を抱えつつ、人間は家族関係を切り取って表現している。幻想的な世界観ではあるものの、心情描写は芯を突いた深い部分を感じることができる作品ばかり。いくつかお気に入りの作品をご紹介します。

    ●雪解け
    夫婦の物語。夫が自宅に帰ると、妻は外を警戒している様子で…

    人生

    0
    2024年05月30日
  • 聖週間

    Posted by ブクログ

    ヴァルナー&クロイトナーシリーズの第3作。

    やっぱり冒頭からクロイトナーは、やらかすんですね。且つ、それがやっぱり事件に結びついていく。このクロイトナーの引きの強さはなんなのでしょうか?

    そして、いつの間にはヴァルナーには恋人がいました。2作目を飛ばしているので、2作目を読んでみて、状況を確認したいと思います。

    とはいえ、やっぱりヴァルナー(とクロイトナー)は、難事件を解決してく名刑事なのですよね??

    0
    2024年05月29日
  • 生者と死者に告ぐ

    Posted by ブクログ

    オリヴァー&ピアシリーズ7作目。犬の散歩中の女性の狙撃から連続殺人事件が始まる。臓器提供の闇と振り回される患者家族たち。事件は複雑に絡み合い、捜査は次の犯罪に追い付かず、捜査班は疲労困憊する。終盤は映画を見ているような迫力。
    私生活がうまくいかないオリヴァーや、休暇返上で頑張るピアたちメンバーの人間模様も楽しい。

    0
    2024年05月18日
  • 咆哮

    Posted by ブクログ

    ドイツの作家による推理小説。ドイツのフリードリッヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)新人賞受賞作品。

    アンドレアス・ヒューアと言えば、弁護士アイゼンベルクシリーズで知られていますが、こちらは別のシリーズ作品。シノプシスを見ると、主席警部のヴァルナーと上級巡査のクロイトナーのシリーズ作品という事ですが、実際には??

    というのも、ドイツの警察制度では、制服警官による外勤の保安警察と、私服勤務がデフォルトの刑事警察と、制服組と私服組が異なる警察組織になるんですよね。なので、日本の様に、制服警察官から始まり、階級が上がって、刑事になると私服勤務になるという事では無いんですよね。なので、ヴァルナ

    0
    2024年05月17日
  • 友情よここで終われ

    Posted by ブクログ

    まず、文庫なのに¥1,760に驚愕した。ページは多いんだけれども…うーん。
    ページは多いが、なかなか犯人像が見えず次が気になり、ぐいぐい読める。
    また、警察内がギスギスしていないのが良い。オリヴァーのまわりは酷いが…作者は主人公を虐めたいドS?
    登場人物がなじみのないドイツ名な上に多くて大変覚えづらい。
    人間関係も複雑で、誰が誰の甥だか嫁だかわからなくなるので、もう血縁関係や婚姻関係など表にしてもらいたい…

    0
    2024年05月16日
  • 犯罪

    Posted by ブクログ

    本物の弁護士が書いたミステリーで、「現実の事件に材を得て」とあったので、とてもリアリティーを感じました。
    一般的なミステリーとは違って、いろんな境遇の人たちの感情を描いた作品になっています。それでいて文体は極めて簡潔で、冷静なものです。
    描き方も一捻りあって、中には最後まで読むと「?」となり、頭から読み直したくなるものもありました。

    0
    2024年05月01日
  • 禁忌

    Posted by ブクログ

    私の頭が悪すぎて、全てを理解するのは無理でしたが、今までのシーラッハの作品にも通じる、一貫した「罪とは?」「犯罪とは?」という問いかけが、波のように押し寄せる1冊でした。
    奥深い。

    日本の読者のみなさんへ、が、良寛の一句から始まるとは思わず、嬉しいとの同時に、知識の深さに驚いた。

    0
    2024年04月27日
  • 終戦日記一九四五

    Posted by ブクログ

    敗戦色濃い祖国で、亡命せずに過ごしていたケストナー。ケストナーの『こわれた時代』のあとに読んだ。書くことを止められた作家がどんな生活を送っていたのか。どんな噂を聞き、どんなものを見て、何を感じていたのか。何故、祖国に留まったのか?
    『1945年を銘記せよ』

    0
    2024年04月24日
  • 悪しき狼

    Posted by ブクログ

    オリヴァー&ピアシリーズ6作目。マイン川で少女の遺体が発見される。同時進行でTVディレクターの女性が暴行される事件を捜査するうち、先の事件との繋がりが見えてくる。政財界を巻き込む巨悪の根源に立ち向かう、ピアとオリヴァー。冤罪の弁護士や暴力団など、多くの人間が複雑に絡み合い、小児への性暴力という唾棄すべき犯罪の黒幕に辿り着く。手に汗握る展開に、引き込まれる作品だ。

    0
    2024年03月31日
  • デーミアン

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    シンクレアは日々の生活、それらが積み重なった結果としての人生に起こるさまざまな出来事に対して感受性が豊かなのだなと感じた。だからこその彼の苦悩が胸に痛かった。そして、彼の傍から見れば単に無頼な転落も、彼のような人間だからこそのものだと思えた。
    人生や物語に何かしらの解決がなければならないという訳ではないが、ストーリー上の「解決」を用意することが非常に難しい物語(趣旨)だと思った。そのうえで、あのラストがすごく味わい深かった。

    0
    2024年03月30日
  • 珈琲と煙草

    Posted by ブクログ

    思っていたものとは違い、最初戸惑いはしたけど、心地よい文章につられてつらつらと読んでいった。
    タイトルのない、短編のようなエッセイのような、時世に皮肉と共に一石投じているかのような話もあり。
    それぞれの話にはタイトルはなく、代わりに番号が話ごとに割り振られていた。
    完全に私に染みたかと言われると少し物足りない感じもあるけれど、よかった。

    0
    2024年02月29日
  • 神

    Posted by ブクログ

    最近気づいたシーラッハの新作。
    タイトルから別の話を想像していたのですが、主題は「臨死介助の是非」でした。「自死選択の是非」ではなく。

    法学、神学、医学の観点からそれぞれ意見を求め、戯曲なので、観客に最終判断を委ねる…「テロ」の時と同じ手法。

    個人的には、なしであってほしいです。
    倫理観は、時代で変わっていくものかもしれないですが、ナチの事例をシーラッハが持ち出していることが、警鐘だと思いたいからです。

    この本を読む寸前にジャン=リュック・ゴダールがいわゆる安楽死を選択していた、という記事を読んだこと、また、やはりこの本を読む寸前に読んだアチェベの「崩れゆく絆」の主人公の最期のシーン、な

    0
    2024年03月03日
  • 罪悪

    Posted by ブクログ

    『犯罪』と同じテイストで、濃淡ある表現で、とりたてて珍しくない普通の人たちが薄氷から落ちるまでと落ちたあととを描いた物語です。

    のんびり読んだので、最初のほうは内容が抜けてしまいました……。最後の短編だけ、そのオチが他の短編とは異なり不気味さより面白さが先行していたことが印象的です。

    0
    2024年02月10日
  • コリーニ事件

    Posted by ブクログ

    英小説は邦訳が読みにくくて苦手意識を持っているのですが、ドイツ小説はそうでもありませんでした。やはり言語にも相性はあるんですね。

    帯のとおりのあらすじです。刑事を担当する新米弁護士が一番最初に弁護人となったのは殺人事件の被疑者(被告人、コリーニ)でしたが、その被害者は実は親友の祖父だった、と。これだけ読んで、てっきり刑事弁護人の立場からくる心の葛藤を描いたものだと思っていました(それにしては政治を動かしたとは…程度で)。しかし、読み進めるにつれ、それだけではないことに気が付きました。コリーニが頑なに犯行の動機を口にしない理由が何だったのか、法廷の弁論で漸く明らかにされます。まるで自身も傍聴人

    0
    2024年02月10日
  • 神

    Posted by ブクログ

    欧米の近代的な自由の理念や自己決定権とキリスト教のせめぎ合いが、安楽死の問題を舞台に、抜き差しならない形で展開する。これは、思考実験とかではなく、まさに今、ドイツで起きていることと言っていい。ドイツ連邦議会が2015年に自死の介助を罰する法を制定したのに対して、ドイツ連邦憲法裁判所は2020年にそれを違憲としたのだ。西欧でここまで法的に安楽死を認める流れになっているとは知らなかった。

    0
    2024年02月04日
  • 神

    Posted by ブクログ

     個人的に大好きなドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハ。いつもながらに難しいテーマを今回も取り扱っている。そのテーマは「神との関係性における安楽死」。キリスト教信者のみならず、他の宗教信者に対しても、安楽死の本質とは何かを問いかけている。われわれ日本人が「神」から推察できる事は何か。西欧諸国がとらえる「死ぬ権利」について、日本人が同じ土俵で語る事は難しいという現実を読んでいて感じざるを得なかった。それにしてもシーラッハ作品を扱う酒寄氏の翻訳はいつ読んでも爽快である。

    0
    2024年01月27日
  • 神

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    冒頭の方で「自死」というべきです。「自殺」ではありません。自分自身を死に至らしめることは殺人ではありませんから(弁護士ピーグラー)という箇所があるが、日本ではほぼ同義に使っているが漢字を帰るだけで印象が変わると感じた。
    「わたしは死にたいのです。」(ゲルトナーの意思)
    「生きていたくないからです。」(それは何故か問われたゲルトナーの回答。)ここは死にたいという意思を言い換えているだけの印象をこの時点では持った。
    「孫のことは愛しています。しかし、孫がはたして理解してくれるかどうかわかりませんが、エリザベートが死んでから、わたしは半身をもがれたような感じなのです。(ゲルトナー)」他人同士が繋がり

    0
    2024年01月08日
  • 罪悪

    Posted by ブクログ

    この短編集もバラエティ豊かで面白かったです。
    淡々とした描写だけれど冷たくない。
    罪を犯してるけど裁かれなかった事件や、これから罪を犯そうとしてた人が呆気なく…もあり。遣る瀬無くなります。
    「アタッシェケース」「清算」に特に掴まれました。「清算」には、(そんな裁判官いるのか…)と思いました。
    「秘密」はそうきたか!とちょっと笑ってしまいます。

    0
    2024年01月05日