酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ2025年の20冊目は、マルク・ラーベの「19号室」です。17の次は、19になる訳ですね。前作の読後、次作の方が面白くなると予想しましたが、果たしてどうでしょうか?
主人公は、ベルリン州刑事局刑事のトム・バビロン&臨床心理士のジータ・ヨハンスです。トムは、結婚して子供が生まれています。
ベルリン国際映画祭のオープニングで、ベルリン市長の娘が殺害されたと思われる映像が予定外に流され、観客がパニックになるシーンから始まります。前作に続いて印象的なオープニングです。
今作も現在(2019年)と過去(2001年)が交互に描かれる構成です。過去パートは、ジータに起きた出来事が描かれますが、進むに連れてトムとも関連が有る事、現在起きている事件との繋がりも見えて来ます。そして、前作から続いて旧東ドイツ時代のシュタージの闇が事件に潜む事が明らかになります。この作者、徐々に真実を明らかにして行く手法や作中の匂わし方、かなり上手いと思います。
今回も少なくない謎が残ったまま、次作に持ち越しです。
☆4.6 -
Posted by ブクログ
今回も良い。
トム・バビロンが主人公のドイツミステリー第2弾。
ベルリン国際映画で突如上映されたスナッフ・フィルム。そのフィルムは本物かどうか判断できないが、「17の鍵」の捜査メンバーが招集された。
事件を追うごとに物語は混迷を増していく。
前回は主人公のトムの過去と現代の事件が交わっていく流れだったが、今回はトムの相棒のジータの過去と事件が交わっていく。
過去と現代を行き来する進行のバランスがとてもよく、また場面転換もテンポがよいので、圧倒的なリーダビリティを感じる。
海外テレビドラマにすると映えそうなイメージ。
今回も前作と同様に事件の背景に旧東ドイツ時代の組織が暗躍しており、シリーズを通して薄暗いイメージが変わらず、うっそうとした雰囲気を感じる。
個人的にはデヴィッド・フィンチャーっぽいなと感じた。
早く次回作が読みたい。 -
Posted by ブクログ
咆哮とは、獣などが吠え猛ること。
原題は『Der Prinzessinnenmörder(プリンセス殺し)』。これは断然、邦題のほうがストーリーに合っているとわたしは思っている。最後まで読み終わったら、咆哮というタイトルの重みがひしひしと感じられた。
事件の舞台は、ドイツのバイエルン州。田舎町にある小さな湖の氷の下に、金色のドレスを着た少女の遺体が漂っているのを発見したのは、クロイトナーというお調子者で目立ちたがり屋の巡査だ。本の表紙はこの女の子の姿だと思うけど、それは世界で一番美しい死体と言われた『ツイン・ピークス』のローラ・パーマーを思わせた。
捜査の指揮を取るのは、ヴァルナー捜査官。
少女の口の中から、数字が書かれたバッジが見つかった。これが何を意味するのかはまだ分からないが、犯人からのメッセージではないかと警察は考える。
次なる被害者の少女の遺体はとんでもない場所から発見されるが、やはり彼女も金色のドレスを身にまとい、口からは数字が刻まれたバッジが見つかった。そう、連続殺人事件だ。
場面は変わって、いきなり雪山。
仲の良い親子が二人で一緒にスキーを楽しんでいると、バランスを崩した娘が崖から落ちてしまう。100mほど下に見える娘の足がわずかに動いていることを確認した父親は、助けを呼ぶ無線を借りるため、近くにある山小屋へと向かうが、その山小屋は実は・・・。
まったくかけ離れた場所で起こったふたつの事件は、もちろん繋がっている。それがどこで結びつくのかがこの物語の肝の部分で、おそらく邦題のタイトルの由縁にもなっている。
わたしが過去に読んだ小説を参考して考えると、死体に印を残すという行為は連続殺人事件であることが多く、犯人は大抵知能が高い完璧主義者で、自己顕示欲が強い傾向があり、犯罪行為を心から愉しんでいることがほとんどだ。途中までは、この話もそのように思えた。
でも違うんだよね。
わたしはこの本を読んでる最中、「頼むから、もうやめてくれー」と2回思った。
1度目は雪山で。
2度目は雪山の山荘の夜に。
日本の作家が書いた似たような題材の本を読むと、日本の小説のほうがウエットに感じる。
わたしが日本人だからなのか、それとももっと違う理由がどこかにあるのか、それはよく分からない。 -
Posted by ブクログ
格段に面白い。
早朝のベルリン大聖堂で殺人事件が発生。
被害者の首には、カバーに「17」と刻まれた鍵がかけられていた。
かつて主人公のトム・バビロンが少年のころ、友人たちと川で見つけた水死体がのそばにあったのと同じ鍵が。
この殺人事件は何を意味しているのか。
①ベルリンで起こった事件と「17」のカギにまつわる現代の話
②トムが少年時代に見つけた水死体にまつわる過去の話
③「17」のカギと関係がありそうな精神病棟の患者に関わる話
の3つの物語を中心に展開し、それぞれの物語が交わることで深い奥行きを感じさせる。
最初は情緒不安定で破天荒な主人公、遅々として進まない大聖堂で起きた殺人事件の捜査、個人的にあまりなじみのないドイツという国の世情などにより、最初の3分の1ぐらいまではかったるく、どこが疾走感を感じるのだろう?と思っていたが、中盤を過ぎたあたりからぐいぐい引っ張られ、あっという間に読んでしまった。
またシリーズ4部作のうちの1作目ということで、次の物語に引き継がれていく謎もあり、それが気になるあまり本書を読み終わる前に次回作「19号室」を買ってしまった。 -
Posted by ブクログ
日常という薄氷がひび割れ、暗い水に沈んでいくような、人間心理の歪さ、奇妙さを描く短編集。「ティンパニの一撃」により様相が一変する様や、不条理さ、語りの上手さなどはサキやビアスを思わせるところもあるが、カシュニッツは登場人物達の歪みや孤独を自己のものとして内面化しきって書いているような印象を受けた。文章自体は抑制されたものだけれど、共感のまなざしを感じる。短編としての完成度の高さも素晴らしかったけど、そこがとても好ましかった。そういう意味では、作品のタイプは違うけれども同時代人のエリザベス・ボウエンも少し思い出す。どの作品もそれぞれよかったけど、特に好きなのは「雪解け」、「脱走兵」、「いつかあるとき」。
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Posted by ブクログ
『17の鍵』に続く第2弾は、2019年2月、ベルリン国際映画祭の開会式場での映像で、女性が殺害されるシーンが上映されるという幕開けである。
あまりにも映像がリアルであり、女性が市長の娘で女優の卵だと判明し、トム・バビロン刑事と相棒の臨床心理士のジータが動き出す。
映像内の壁に残された「19」に戦慄したのは、ジータだった。
今回は、ジータが主役といえるほどの存在感と身体を張る活躍だった。
2001年に16歳だったジータの過去は壮絶であり、彼女たちの闇が暴かれていくにつれ、過去と現在が繋がり、隠された事実や謎が公になっていく。
そしてトムとジータと関わりを持っていたのがベネだったことも驚きだった。
過去からの連鎖を断たなければ、悪はいつまでも根絶しないのか…という事件だった。
前作同様、冒頭からショッキングな場面であったが、まだ続編があるのだろう。
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Posted by ブクログ
前作同様、映像が目に浮かぶようなエキセントリックなオープニング。さすが映像制作会社社長!目まぐるしい展開に閉じることができず、ほぼ一日で読みました。こうした歴史の負の側面を抉り出すことで、エンタメに重みが生まれているかと。ドイツ分断時代ネタはたっぷりありそうなので、今後も楽しみです。ジータと彼の繋がりを作るのはちょっとやりすぎ?かと思いましたが、ほんわかパートでもあるので、今後の展開を期待します。にしても、臨床心理士とは思えないほど現場での捜査に加わっていて???ではあります。そしてまたまた次作に余韻を残す結末、読まざるを得ないではないですか。ただ、今後の流れに必要なのだとは思うけれど、ヴィーが出過ぎ。ちょっと煩わしく思っちゃいました。
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Posted by ブクログ
またしてもシリーズものに手を染めるひまわりめろんさんであった
はい、ドイツミステリーの傑作シリーズとして名高いネレ・ノイハウスの刑事オリヴァー&ピアシリーズです
翻訳を務めるのは、おそらくドイツ語で書かれた小説の97%はこの人が翻訳していると睨んでいる酒寄進一さんです(なわけない)
いやー、良い
オリヴァー&ピア良い
ホープハイムの刑事警察署首席警部で奥さん大好きのオリヴァーフォン・ボーデンシュタイン(フォンて付くから貴族やん)と部下で久しぶりに警察に復帰した女性警部のピアのコンビが”悪女”が殺害された事件に挑みます
まぁ、事件の方は普通
いや普通て
でもなんかオリヴァーのキャラが良いのね
本人は意識してないんだろうけど、ちょっぴりお間抜けなところが良い
なんか好きになれそう
ピアのほうはまだまだこれから魅力が爆発していくんだろうなと思われるが、こちらも好きになれそうなんやな〜
そして、なにやらこの先にとんでもない傑作が控えていると評判なの
どんどん読むで!
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Posted by ブクログ
ドイツの作家アンドレアス・フェーアの長篇ミステリ作品『突破口 弁護士アイゼンベルク(原題:Eifersucht)』を読みました。
アンドレアス・フェーアの作品は、6年前に読んだ『弁護士アイゼンベルク』以来なので久し振りですね。
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警察+検察の矛盾を暴き、真実へ辿りつけ!
恋人を爆殺した容疑で逮捕された依頼人。
洞察力と行動力を武器に事件に挑む敏腕女性弁護士。
100%読む手が止まらない弁護士ミステリ!
凄腕の女性弁護士アイゼンベルクは、映画プロデューサーのユーディットから弁護を依頼される。
ログハウスにプラスチック爆弾を仕掛け、滞在していた恋人を遠隔操作で爆殺した容疑で逮捕されたというのだ。
無実を主張するユーディットの弁護を引き受けるが、彼女の自宅からは爆弾と起爆装置が発見され、さらに何かを隠しているようで……。
鋭い洞察力と行動力を武器に奔走する敏腕弁護士の活躍を描く、一気読み必至のエンターテインメント!
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2018年(平成20年)に刊行された作品……紅毛緑眼、デザイナー眼鏡がトレードマークの女性刑事弁護士ラヘル・アイゼンベルクを主人公としたシリーズの第2作です。
刑事弁護士ラヘル・アイゼンベルクは、遠隔操作で恋人を爆殺した容疑で逮捕された映画プロデューサーのユーディット・ケラーマンから弁護を依頼される……容疑は殺人、、、
ログハウスにプラスチック爆弾を仕掛け、滞在していた恋人の実業家アイケ・ザントナーを遠隔操作で爆殺したというのだ……にわかには信じがたい話だが、ユーディットの自宅から爆薬の包装紙と起爆装置が発見される。
アイゼンベルクは無実を主張する彼女の弁護を引き受けるが、ユーディットは何かを隠しているようで……鋭い洞察力と行動力を武器に、依頼人を救うためなら手段は問わない敏腕弁護士の活躍を描いた疾走感溢れるエンターテインメント!
第1作も面白かったですが、第2作はそれ以上に面白かったですねー ラヘルが、とてつもない行動力で警察と検察の矛盾を暴き、真実へ辿り着く展開が心地良いんですよね……爆殺!?という日常とはかけ離れたド派手な事件の幕開け、そしてスピーディで意外性に満ちた展開が愉しめました、、、
本作には、ラヘルの依頼で警察が捜査を終了した爆殺事件を調べ直す役割で私立探偵アクセル・バウムが登場……1980年代に旧東独国家保安省の職員だったという経歴を持ち、ラヘルと協力して依頼人の無実を証明するべく奔走するのですが、地味だけど味があり印象に残るキャラでしたね。
前作のエンディングで仄めかされるラヘルの姉ハナの死にまつわる謎が明らかになる展開も興味深かったですね……この謎に絡んで娘ザーラとの関係がぎくしゃくしますが、本作のエンディングでは、それが良い方向に転がり始めた感じ、、、
ザーラも弁護士を目指すのかな……続篇が読みたいですね!