酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私は、自分を壊してまで自らの心を覗き込んで、向き合って、探究する必要はないと思っているけれど、たとえ苦くて辛くても自分と向き合う時間はかけがえのないものだなって、改めて思わせてくれた小説。
ぱっぱと読んじゃうのには勿体なくて、少しずつ少しずつ読んでいくのがいいかなって、個人的には思った。
自分の思想と合うか合わないかは別として、人が普段鍵をかけて奥底に沈めている部分に揺さぶりかけてくる、素晴らしい本だと思う。無視しようとしても、なんとなく無視できない、鮮烈な印象を残す本。ただ書くのが上手いとか、ストーリーが面白いとかっていうんじゃなくて、魂を削って、全部曝け出して、痛みを強さに変えて -
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オリヴァー&ピアのシリーズ、第7作。
ドイツのミステリです。
オリヴァーは主席警部で捜査のリーダー。ピアは恋人ではなく、仕事上のパートナーです。
散歩中の女性がライフルで遠くから射殺される事件が起きた。
ピアは夫と休暇旅行に行くはずだったが、人手不足の時期に難事件が起きたのを案じて取りやめる。
次々に射殺事件が起きるが、被害者は誰も恨まれるような人柄ではなかった。
捜査は難航するが…?
思いがけない事件の描写がシャープで、ミステリとして興味を引く内容。
オリヴァーは離婚後、幼い末娘を可愛がって、ようやくだいぶ落ち着いた暮らしに。ただし、今の交際相手とはどうも仲が深まらないので別れを考えてい -
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ネタバレ_それでも人生はつづく。逃げ隠れしようとしても無理だ_
転換期三部作、ついに完結です。
小説を読んでいて、目を覆いたくなるような、というのもおかしな表現だけど、実際に、一瞬瞼を閉じてしまうことが幾度もあった。
ゲープハルト一家との付き合いも30年近くに及んできたので?感情移入しないでは読めない。
可愛かったあの子が、、、
えっ、あの人が?そんなばかな、、、
と序盤からさまざまな衝撃の連続。
敗戦の色濃くなってきた1945年のベルリン。米英軍からの爆撃は普通の市民を容赦なく巻き込みます。
終戦を迎えても、瓦礫の街で生き延びるのは容易なことではなく、ヒトラーを信じた自分を責め続ける人、自由 -
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ネタバレ_それでも人生はつづく。逃げ隠れしようとしても無理だ_
転換期三部作、ついに完結です。
小説を読んでいて、目を覆いたくなるような、というのもおかしな表現だけど、実際に、一瞬瞼を閉じてしまうことが幾度もあった。
ゲープハルト一家との付き合いも30年近くに及んできたので?感情移入しないでは読めない。
可愛かったあの子が、、、
えっ、あの人が?そんなばかな、、、
と序盤からさまざまな衝撃の連続。
敗戦の色濃くなってきた1945年のベルリン。米英軍からの爆撃は普通の市民を容赦なく巻き込みます。
終戦を迎えても、瓦礫の街で生き延びるのは容易なことではなく、ヒトラーを信じた自分を責め続ける人、自由 -
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_どこから来たかは問題じゃない。大事なのはこれからどこへ行くかだ_
ベルリン3部作の第2部。
世界恐慌のあおりで飢えと貧困が蔓延する1932年のベルリン。
カツカツと聞こえてくるナチの足音は大きくなり、やがて傾倒して行く国民たち。それらに翻弄されての、家族や隣人との悲しい分断。
15歳の少年の目から見た激動の数ヶ月が描かれます。
主人公は、第1部 『ベルリン1919 赤い水兵』の主人公ヘレの弟で、赤ん坊だったハンス坊や。
苦悩しつつ踏み出した社会は、きつい労働に加え、非ナチという理由でナチの従業員から不当な暴力を受けたり、想像以上に過酷。
そんな毎日の中で出会う、同じ職場で働く少女、ミ -
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_どこから来たかは問題じゃない。大事なのはこれからどこへ行くかだ_
転換期三部部作の第二部。
世界恐慌のあおりで飢えと貧困が蔓延する1932年のベルリン。
カツカツと聞こえてくるナチの足音は大きくなり、やがて傾倒して行く国民たち。それらに翻弄されての、家族や隣人との悲しい分断。
15歳の少年の目から見た激動の数ヶ月が描かれます。
主人公は、第1部 『ベルリン1919 赤い水兵』の主人公ヘレの弟で、赤ん坊だったハンス坊や。
苦悩しつつ踏み出した社会は、きつい労働に加え、非ナチという理由でナチの従業員から不当な暴力を受けたり、想像以上に過酷。
そんな毎日の中で出会う、同じ職場で働く少女、ミ -
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ネタバレ冤罪で11年の刑期を終えたトビアスは、出所して故郷に帰って来る。
それに合わせたかのように再び不穏な空気に襲われるアルテンハイン。
暴力事件が起こり、再び少女が行方をくらます。
これ、ものすごく怖い話です。
例えばテレビの「逃走中」で自分一人が残った時に、何十人ものハンターが表情一つ変えることなく自分を追いつめてきたら。
それも、捕まえて終わりではなく、命を取るまでゲームが終わらないとしたら。
ところが自体はそれほど単純ではなくて、真実が少しずつ明かされるたびに二転三転と状況が変わって行く。
トビアスは無罪。
誰が、何のために、彼に罪をかぶせて、なおかつ今もなお暴力で支配しようとしているの -
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ネタバレ何ヶ所、号泣したかなあ・・・
1919年、ドイツ。戦争を終わらせるため、水兵が蜂起したことをきっかけに起こったドイツ革命。それらに命をかけたベルリン市民の闘いを軸に、貧しくも誇り高い主人公ヘレの一家と隣人たちが、世界を、生活を、未来を良くしようと挑む命がけの日々。
大きな時代のうねりをしっかりと描きながら、登場人物それぞれの心の動き、その背景にあるものを蔑ろにしない。とりわけ、主人公ヘレ目線での、家族や友人そして社会に対する心情の描写が素晴らしく、何度も息が止まりそうに切なくなった。
革命がなくても、戦争が終わっても、食うや食わずの苦しい生活の中で、家族や隣人たちと心を寄せ合い、ユーモア -
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ネタバレ何ヶ所、号泣したかなあ・・・
1919年、ドイツ。戦争を終わらせるため、水兵が蜂起したことをきっかけに起こったドイツ革命。それらに命をかけたベルリン市民の闘いを軸に、貧しくも誇り高い主人公ヘレの一家と隣人たちが、世界を、生活を、未来を良くしようと挑む命がけの日々。
大きな時代のうねりをしっかりと描きながら、登場人物それぞれの心の動き、その背景にあるものを蔑ろにしない。とりわけ、主人公ヘレ目線での、家族や友人そして社会に対する心情の描写が素晴らしく、何度も息が止まりそうに切なくなった。
革命がなくても、戦争が終わっても、食うや食わずの苦しい生活の中で、家族や隣人たちと心を寄せ合い、ユーモア -
Posted by ブクログ
ネタバレオリヴァ―とピアシリーズの第8作。
大変良かった。
オリヴァーのルーツとも言える事件が解決したこともそうだが、
長年もやもや、いや、いらいらしていたオリヴァーの私生活が安定を得られそうなことが、とても良かった。
とはいえ、登場人物が多く、かつその関係が複雑で、
さらには過去と現在を把握していないと話について行けないので、
かなり読み進めるのが難しかったことは否めない。
しかも、
知識豊富で、証言を引き出すための嘘も上手い新人が入ってきたことや、
(彼のあだ名、アインシュタインはそういうタイプの天才ではないと思うが)
オリヴァーが義母の遺言で屋敷を相続することになったこと、
今の恋人に心の