酒寄進一のレビュー一覧

  • 母の日に死んだ

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    最初はその分厚さに圧倒されたけど(文庫本で700ページ弱って!)読み始めたら物語に引き込まれてすいすい読めるし読むのを止められない。とはいえ、馴染みがない名前や地名でその辺りはちょっと読み難いけど。

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    2024年05月15日
  • その昔、N市では

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    ネタバレ

    戦後ドイツの作家、マリー・ルイーゼ・カシュニッツの日本オリジナル短編集。

    一編一編が高級チョコのように味わえる作品集。幻想的でありつつも、どこか人間の普遍的な不安感が漂う。その暗い感じがクセになる作家。

    以下、作品毎の感想。

    ◯白熊 ★おすすめ
    帰ってきたのに何故か電気を付けたがらない夫と妻の会話。出会った動物園で、妻は本当は誰を待っていたのか。会話しているのは本当に夫なのか。不安がピークになるころ意外な展開に。

    ◯ジェニファーの夢
    夢を見たという娘のジェニファー。日を追うごとに夢が日常を侵食しているようで、得体の知れない娘への不気味さが描かれた作品。

    ◯精霊トゥンシュ ★おすすめ

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    2024年04月21日
  • 友情よここで終われ

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    オリヴァーとピアシリーズ10作目のドイツミステリー。事件解決と並行して二人の私生活も深く語られるので、もはや私にとって二人は正月に近況を知らせてくれる親戚の様な親近感を抱かせてくれる。とは言え、今回の事件は登場人物も多く関係性も複雑、さらに過去の事件の影響が多大で、嘘に嘘を重ねる容疑者が常に入れ替わる。
    解決に繋がるチームのメンバーの地道な仕事も描かれているので600ページ超えもあっと言う間によめた。

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    2024年04月16日
  • 友情よここで終われ

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    ネタバレ

    登場人物が多い上に人間会計が複雑、更にそれぞれがあだ名で呼びあったり、作中作小説は仮名処理されてて、誰が誰だかわからなくなる。
    しかも、みんな嘘ついてて、ルービックキューブかってくらい事件の構図が目まぐるしく入れ替わり、その度に容疑者候補順位が次々シャッフルされる。
    これを最後に収束させられる技量半端ない。
    ピアがため息混じりに「これは最低の事件よ。嘘と巻き添え被害だらけ」というのも頷ける。
    そんな中、ゼヴェリン・フェルテンのキャラが最高。未だかつてここまで強烈な噛ませ犬がいただろうか。
    終盤で特殊応力を発揮するし、ニコラのお気に入りになってるし、レギュラ入りを予感させますね。

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    2024年03月17日
  • 友情よここで終われ

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    ネタバレ

    オリヴァ―とピアシリーズの第10作。

    オリヴァーの私生活はこんな酷いことになってたんだっけ?
    上手く行っていたような気がしたのだが、
    ピアに言わせれば、いつも同じタイプ、
    不安定さを抱えるキャリアウーマンタイプに惹かれるオリヴァーが悪いのだが。
    元妻のコージマが癌になり末娘と一緒に住んでいるが、
    妻の娘が悲惨な事件を目撃したトラウマからか意地悪三昧。
    オリヴァーひとりなら、自業自得で終わりだが、
    娘を巻き込むのは親としてどうかと思う。
    別居すると聞いて「ようやく?」と言いたくなるピアの気持ちがよくわかる。
    さらには、家を出た後に元実家のお城を改装したホテルに泊まり込み、
    敷地内の家に安い家賃

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    2024年03月11日
  • 若きウェルテルの悩み

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    婚約者のいるロッテに恋したウェルテル。若さゆえの愛情も次第に絶望も深まっていく。そして、社会に対する怒りも絶望へ。長く読み継がれる作品だけあって読み応えがあった。本書は、初版からの翻訳とのことなので、改訂版の訳でも読みたい。

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    2024年02月28日
  • 犯罪

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    ネタバレ


    「順調なときにだけ約束を守るというのではだめだ。」

    フェーナー氏が立てた誓いは、最期まで守られたのだろうか。法廷で、今でも妻を愛していると、そう誓ったからだと、話す場面が目に浮かびます。ついでに涙も
    それがいつか身を滅ぼすとしても、立てた誓いを破るわけにはいかない。それは裏切りになるから。ほんとうに、痛いくらい素直で泣きたくなるほど優しい人なんでしょうね
    何度読んでも、『フェーナー氏』 は泣いてしまいます。

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    2024年01月20日
  • 珈琲と煙草

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    煙草関連のエッセイは編著含めとりあえず気になるのでタイトルから手に取る。
    数ページ読んだ感じは思ったものと違う(煙草がそこまで現前しない)ので、断片的な小作品とはいえ読み終えられるか疑問符が生じたものの、「ドイツ」「弁護士」といった著者の身近な題材から広がる様々な物語は、小説に対して筆者のもの含めなかなか手を出そうと思えない偏執の身からしても、良質な、いい意味で自信から縁遠いものに巡り合うことが出来たことは僥倖だった。

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    2023年11月19日
  • 神

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    戯曲の作りで、自死の幇助についての討論会という内容。
    戯曲と言えばファウストのようかと思ったら、とても読みやすくすぐに内容に入り込んで行けました。

    死にたいと考える人の気持ち。そしてそれを手助けするのはどうか。手助けした後のこと。自死の方法やその周囲への影響。
    とても考えさせられるものでした。

    小説とは違う角度からとても読みやすく問題提起され、私の深い部分に波紋を残しました。
    きっと皆さんの心にも、何か考えさせられるものが残るのではと思う作品でした。

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    2023年10月29日
  • その昔、N市では

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    ネタバレ

    これはいい。一話一話は簡潔だけれど、人物描写・ストーリー展開・オチが巧みで、いい感じに後味が悪くてサバサバしている。日常的幻想プチイヤミスって感じか。

    ■白熊 夫が夜中に電気をつけないワケ
    ■ジェニファーの夢 娘が見る奇妙な夢と奇行
    ■船の話 間違った船に乗ってしまった娘の末路
    ■ロック鳥 自宅にデカい鳥がいたら
    ■その昔、N市では 灰色人間とディストピア

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    2023年10月27日
  • 刑罰

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    『犯罪』『罪悪』に続く短編集。当初は本書を含めた三部作として構想されていたらしい。
    前作および前々作と同様、描写は簡潔で、登場人物の心情はほとんど語られないため、読者の脳内で埋める余白部分が非常に多いのが著者の特徴。
    幸せが一瞬のうちに奈落の底に突き落とされるような急転直下の展開が多いが、読んでいて驚くと同時にどこか納得してしまうのは、余白部分を埋めるパズルのピースの取捨選択が恐らく完璧だからで、率直に凄いと思う。
    バッドエンドが多いので読後感の良さを求めるのであれば本書は向かないが、緊張感のある読み心地を体験したいのであればおススメの一冊である。
    やはりシーラッハは現代を代表する短編作家だと

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    2023年10月09日
  • 生者と死者に告ぐ

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    初めて読みました。
    デンポよく話が進んで、本の厚さを感じさせないくらい、あっと言うまに間に読み終わりました。

    街の雰囲気を想像できるような描写でよかった!
    酒寄さんの翻訳に感謝。

    他の作品も楽しみ❣️

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    2023年09月27日
  • 珈琲と煙草

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    みんな大好きシーラッハさんの社会「観察記録(訳者あとがきより)」です。

    48の章に別れたエッセイと創作が区別無く(視点の違いがヒントかも)並べられていて、それぞれが短文だからかシーラッハ独特の世界の切り取り方、視点、省略が「犯罪」「罪悪」以上に鋭く感じられ、予想以上に楽しめました。

    幾つか「何この話」という物もあれば法律や権利を題材にした重い話もあったり、虚無感を抱えながらも人間をやっていくには他人を信頼していくしかないね、みたいな価値観に共感しながら読んでいました。

    また頻繁に挿入される引用も魅力的でした。シーラッハファンは必読かと。是非是非。

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    2023年09月24日
  • デーミアン

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    真の自分になるために己の道を歩く
    試行錯誤して己の道を行くことが人生
    でも真の自分になれた人はいない
    人類皆兄弟だから分かち合うことはできる、でも自分を解き明かせるのは自分しかいない
    序章のこの考えが面白くて何度も読み返したくなる
    アブラクサスやカインとアベルの話で宗教を学ぶことの面白さを見出した
    うまく言語化できないけど、この本で苦境を乗り越えるヒントのようなものを掴んだ気がした
    ニーチェやユングの心理学も併せて読んでみようと思う

    世界を卵に例えて雛が殻を突き破ると言う表現が少女革命ウテナにもあったような気がしてこのアニメももう一回見直したいなと思いました

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    2023年09月08日
  • 罪悪

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    前作以上に短編のバラエティが豊かになり、シーラッハの才能を存分に味わえる1冊。
    あまり感情を挟まない描写から、被害者や加害者の人生、言葉にできないような複雑な心の動きが、苦しいほど伝わってくる。

    特に名作だと思うのは、冒頭の『ふるさと祭り』『遺伝子』『イルミナティ』。全て重量級の衝撃が胸に残る。
    ショートショートの『解剖学』『アタッシェケース』も好き。世にも奇妙な物語みたい(もっと残酷だけど)。

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    2023年09月05日
  • 珈琲と煙草

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    ネタバレ

    エッセイなのか小説のアイデアメモなのかショートショートなのか、弁護士であり小説家のシーラッハが書いた文章臭といった体の1冊。

    「法律なんだから守らなければいけない」法治国家で生きる以上それはそうなんだが、法律は本当に正しいのか?そのことは常に疑問に感じていたいと思う。

    戦争当時のドイツも日本も法に基づいてかの戦争をしていたわけだし、戦後ついこの間までのアメリカの黒人は法に基づいて差別されていたし、今のロシアは法に基づいてウクライナに侵攻している。

    万能でない人間が決めたものなんて、そんなものである。社会生活を営む以上順法姿勢は取っていても、あからさまに怪しそうな取り決めは疑ってかかるのが

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    2023年06月24日
  • デーミアン

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    これは自己実現の過程を赤裸々に語った貴重な物語。ユングの心理学について知っていればかなり面白いと思う。
    全て物語としても読めるけど、無意識の領域やアニマ、グレートマザー、影とかそういうものと登場人物を読み替えていく楽しさ…村上春樹も凄いと思ったけど、こんな風に無意識そのものをテーマに自己との対決から逃れず書き切ったのはすごすぎる。
    ヘッセ自身の名前で最初は出さなかったのも頷ける、相当恥ずかしかったと思う…内容がどうあれ、自分の内面世界をここまでさらけ出すのは身を削ってると思う。ほんとにすごい。

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    2023年06月16日
  • 犯罪

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    「物事は込み入っていることが多い。罪もそういうもののひとつだ」
    序章の一文が象徴するように、この短編集は、いろいろな出来事が積み重なっていき、後戻りできない犯罪を犯す人々を描いている。
    犯罪を犯す刹那は、今まで踊っていた薄氷が不意に割れて、冷たい氷の下に落ちてしまう瞬間のようだ。誰だってそうなる可能性はある。
    作者も言う。「幸運に恵まれれば、なにも起こらないでしょう。幸運に恵まれさえすれば」。

    あくまで淡々と事実を積み重ねるクールな筆致ながら、行間に溢れ出すようなやるせなさや、切なさや、時には幸福感などの叙情を感じざるを得ない文体、ものすごく好みだった。
    例えば最初の『フェーナー氏』、フェー

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    2023年06月02日
  • 終戦日記一九四五

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    ネタバレ

    描写が鮮やかで、「偽物映画を撮っている滑稽な絵面」も含め、全体が映画のように頭に浮かんだ。
    ツィラータール鉄道の終着駅、マイヤーホーフェンはいつかTVで見たように思う。
    金色の草原に立ち、眉をひそめてこちらを見送るケストナーを、列車の窓から見ているような読後感である。

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    2023年04月30日
  • 珈琲と煙草

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    シーラッハ「珈琲と煙草」tsogen.co.jp/sp/isbn/978448…
    あー海外作家で今たぶん一番好き。短編とも言い難い断片的な約50の作品集で、たとえば4行だけの作品もあり、全体に犯罪と死と孤独が漂ってる。話はどれも陰鬱で思索的なのに描写が瑞々しくて映像的で、そのギャップがシーラッハだよなー好きだなー

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    2023年04月14日