酒寄進一のレビュー一覧
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ネタバレ「夏を殺す少女」と同じ作者だったので。
舞台はプラハ、絵画の焼失にウィーンから保険調査員のホガートが向かう。
前任の調査員が行方不明となってしまったためだ。
前任者の立ち寄り先の一つ、
「プラハの王」と呼ばれる密入国を取り仕切る犯罪者の家を訪ねて、
痛い目に遭うホガートだったが、女探偵に出会い、連続殺人事件にも関わることに。
古い映画に、チェスの棋譜に、解離性同一性障害とのせてくるなら、
もうちょっと長くても良かったのでは。
というのも、もう少し長く楽しみたかったのかも。
途中で登場した、ユダヤ人市庁舎の時計塔が興味深かったので、
うっかり調べてしまった。
素晴らしい。
プラハ、行ってみたい。 -
Posted by ブクログ
絶望名言のゲーテを思い出し、新刊?に並んでいたこちらを読んだ。当時流行したとかあらすじは知っていたが、改めて読むと、手紙(しかも一方的)の内容でウェルテルの激化する気持ちが語られる様が面白い。これがもう少し時代が進むとブリジャートン的に不倫などの話になるんだろうが(いや不倫の話は出てこなかったか)、当時定められた婚姻に囚われてこの話に共感した人が多かったということか。
主人公さておき、大勢の幼い妹弟を残して早逝した母の代わりに母親役を全うしようとするロッテの健気なことよ。国を問わず寿命の短かった時代にはこういう状況が多かったのだろうが、家族を守るという遺言、そこにはアルベルトと結婚することも含まれていたわけだが、母の言葉に絡め取られたロッテという当時の女性の立場の弱さを思わずにいられない。 -
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ネタバレ「夏を殺す少女」と同じ作者だったので。
冒頭から女性が次々と残虐な殺され方をして、
かなり読み進めるのが辛い。
その中の一人は女性刑事ザビーネの母親で、
誘拐され、インクで溺死させられ、大聖堂で発見された。
誘拐犯は離婚した父親に電話をし、
なぜ誘拐されたのかという謎を解けば解放すると言っていた。
その説明を信じない警察は、父親を殺人の容疑者として拘束する。
捜査に現われた連邦刑事局の誘拐捜査官スナイデルは、
全てを三言で説明しろと言い、マリファナを吸い、
群発頭痛持ちで、緩和のために鍼を打ち、
特定の本屋から本を万引きせずにはいられない強迫症の持ち主。
誰とも協力せずに捜査を行うが、
ザビーネが同じように誘拐され殺された女性たちの共通点に気づいたことから、
捜査を手伝わせることにする。
さらに、もう一人の主人公とも言って良いだろう、
セラピストの女性の存在がやっかいだ。
この女性は、警察の司法心理学者だったが、
連続殺人事件を止められなかったスケープゴートとして非難され、
殺人犯に恋人の子供を殺され、仕事も恋人も失う過去を持つ。
そのため、夫は検察官だというのに、
切断された指が届けられても、夫にも警察にも知らせようとはしない。
その点がどうもひっかかるというか、納得いかないし、
なりより、その過去の連続殺人事件が気になってしょうがない。
翻訳ものにはありがちだけど、
シリーズ二作目から翻訳されたのか?と疑問が、
頭を離れなかった。
「もじゃもじゃペーター」というほんのりどこかで聞いたことのある童謡が
モチーフになっていること、
殺人の順番が幻の初版本に従っていること、
ザビーネが万引きしたと思わせて買った本をスナイデルにプレゼントした場面が
面白かった。
それと、セラピストの愛犬が無事でよかった。 -
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ドイツミステリの新シリーズ、めっちゃ面白かった。
大聖堂で殺された牧師、「17」の鍵、主人公の刑事の行方不明の妹、かつての仲間、臨床心理士のバディ、精神病院の謎の患者……
主人公のトム(刑事)の過去のできごとと現在起きている事件の章が交互に描かれ、謎が謎のままだいぶ引っ張られるしなんと完結しない(事件自体は一応終わるけど)。
訳者あとがきによるとこのシリーズは四部作なので、連ドラでいう「ひとつの大きな謎」がずっと物語の底に通奏低音として流れているタイプのシリーズのようだ。たぶん。
正直、発売直後にこの『17の鍵』をすぐに読まなくてよかったと思った。1ヶ月後に続編の『19号室』が出て、わたしは二冊同時に手に入れてから『17』を読み始めることができた。じゃないとモヤモヤした割には「通奏低音」の詳細を忘れてしまいそうなので(あくまで個人的な見解)。
殺人事件以外にも未解決の気になる謎だったり登場人物の過去だったり、気になることがたくさん開陳されて終わった印象なので、ちゃんとすっきり明示されるといいな……と楽しみ&ドキドキ。 -
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ネタバレ最高!
と思って他の人の感想を読んだらあまり評価が高くなくてびっくり。その理由に触れるとネタバレになるので、これからこの本を読みたい人はこの先は読まずに回れ右お願いします。
あまり評価を高くしていない方のご意見は割と、胸糞的なところと主人公にとってのハピエンではない部分にあるように見えた。うーん、なんと優しい人たちなんだ…
私なんかは主人公がよっぽどいい人で努力しているのにひたすら酷い目にあって耐え抜いていて、さあ!というのでもなければ別に気持ちに寄り添わないので面白ければヨシ。
そして面白さといったらもう、最高だった!
目まぐるしく目線が変わり、何がどこで起こってるんだ?と、ぐるぐる引き摺り回されるスピード感。アクションあり謎解きありのリッチな群像劇。ところどころ目隠しされて、あとでその続きが紹介されるのも飽きさせなくてほんとうに面白かった。大満足。しかも本編のドンデン返しに驚いていたら最後の最後でエピローグの回収。おお、サービス満点。
私的には順番を前後して読んだ座席ナンバーにも比肩する、いや、もしかしたら今まで読んだフィツェックの中で1番好きかも。いやー、最高。何度でもいうけど、最高。
最後に、主人公の顛末について。個人的にはこの主人公、奥さんと子供のために努力してたとは思えなかったし、むしろあまり自分の大切にしてない感じ。だからあまり他人を思いやれないんじゃないのかなー。仕事を理由に育児放棄してたように読めてたし、なんなら最後に会えたんだしめちゃくちゃラッキーじゃない?これから反省していろいろしてあげて信頼を取り戻しなよわかってんの?!って、叱り飛ばしたい気持ち。 -
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ネタバレ「夏を殺す少女」の続編と知って。
パトリックを殺すとは!
しかもかなりあっさり、と。
前作から登場して、弁護士エヴェリーンを常に助け、
今回は一緒に暮らし始めたと言うのに。
とても残念だった。
前回の犯人を弁護し無実を勝ち取ったエヴェリーンは、
刑事弁護士として独立していた。
今回、仕事を依頼してきた外科医の男は、
婦女暴行の嫌疑をかけられたことがあり、
その女性が遺体で発見されたことから、疑われていると言う。
未婚、子供なし、プレイボーイといかにも怪しい。
なぜ依頼を引き受けたのか全く理解できない。
一方、プラスキー警部の方は、
娘を殺された母親が、同時に行方不明になったもう一人の娘を探すのに、
巻き込まれてしまう。
DV夫に薬を盛って隠されていたお金を持って逃げ出し、
手がかりを得るためには大金を渡すし、
タトゥーを入れるし、
娼婦のふりもすると行動力が爆発している母親。
いくら亡き妻に似ているからと言って、
なんどもその母親にだまされてしまうのか。
こちらも謎だ。
自らの体にサソリのタトゥーを入れれば病が治る、というトンデモ信仰で
そのタトゥーのインクとして、
さそり座の娘を殺して血を抜き取るという猟奇的殺人。
その設定自体は面白かったし、
何と言っても母親の暴走列車ぶりが面白かった。
ただ、返す返すもパトリックが殺されてしまったのが残念。 -
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この作品を最初に読んだのは高校1年の夏、何十年も前だ。当時の感想は記憶にほとんど残っていないが、あまり読みやすい訳ではなかったことだけは覚えている。
ほんらい、シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)文学の嚆矢とされるこの作品、煩悶するウェルテルの暑苦しさが伝わってこないと面白くはならないのだ。その点ではこの新訳は大変な成功である。
しかし、と20世紀を通過した読者の私は思う。
書簡体という、18世紀末に流行したこのスタイルは、テクストがヴェルターその人からは一歩引いているように読めてしまう。ウェルテルはその胸の内を、友人ヴィルヘルム宛にしたためる。ヴィルヘルムの返信は作中に登場しない(ここは通常の書簡体と異にする点で、その分ウェルテルの語りの独白っぽさが強調される)。さらに読み進めると、書簡の編纂者は手紙の受取人のヴィルヘルムでもない何者かであることが判明する。読者は、いくつかの枠を通して彼の熱情こもる手紙を読んでいるのだ。このメタな感覚は、ゲーテが執筆当時に意図したものではなかっただろう。時代が移り、読み手は変わった。だがウェルテルの叫びは今なお響くものがある。 -
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ネタバレオリヴァー(主席警部)とピア(警部)のバディー。事件捜査の中で関係が進展し親密感が増していくのがいい。事件現場に残された「16145」は何を意味しているのだろうか。
1945年から2007年というスパンの壮大な推理小説。
登場人物の名前、関係性、家系、何度も何度も前に戻って確認した。沢山の登場人物の作品、読みこなすのに努力が必要だったが、それを上回るわくわく感があった。満足だ。
小説のキモはこのあたり。
P.443
「聖書に「汝殺すなかれ」と書いてあることは知っています」アウグステがまた口を開いた。
彼女の声は今にも酒え入りそうだった。「でもその聖書には「目には目を、歯には歯を」とも書かれています。彼らがエッダとその一味であることに気づいたとき、わたしはこの不正を僕わせずにおけなくなったのです。妹のイーダは生きていれば七十一歳です。まだ寿命があったかもしれません。そのことがわたしの脳裏を離れなくなったのです」
P.445
アウグステが体験させられたことといったら!目の前で夫、両親、親友、幼い妹を撃ち殺され、子どもを奪われ、ひとり生き残って地面をはいつくばったなんて!!さらには労働キャンプ、強姦、飢餓と病気。あの老婦人はそれでも生きつづけた。その力をどこから得ていたのだろう。息子に再会したいという一念だったのか、それとも復讐心?
アウグステは小説の核心人物。建物修復士の祖母。エッダは女性実業家の実の名前、彼女の過去のおぞましい行為が事件を引き起こした。
東部ドイツのナチズム、ソ連の侵攻、ドイツ敗戦前後の悲惨な歴史に62年後に発生した事件のカギ。
考えてみればわかることだが、ドイツでも敗戦後、ソ連での労働キャンプがあったことを改めてて知った。ナチズムやスターリン主義の下で人生を翻弄された人々が存在した。