酒寄進一のレビュー一覧

  • デーミアン

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    ネタバレ

    ヘッセ=甘い、ロマンチストというイメージを感じさせない鋭さを持った内容。
    自分を見つめ苦悩するシンクレア、エーミール。デーミアンと出会い己との向き合い方を探り成長していく。

    その過程の分厚さに腹が膨れる。

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    2018年10月07日
  • デーミアン

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    ネタバレ

    始まりの一節、ラストの一節。

    自分とはいったい何なのか…の始まりと見つけたラスト。

    若い頃、時間があり、思考ばかりしていると考える。

    シンクレアは10歳でイジメにあい、善悪を見つけ出す。
    だいたいそのぐらいの年齢で子供は気付くのだと思う。
    成長過程において。
    私も善悪を強く意識したのも10歳だったと思う。
    無邪気に友達と遊ぶだけでは済まなくなる。

    内面を見つめる工程は結構陰気な感じで、今でいうと厨二病という感じか。
    ヘッセの描くこの厨二病はなぜかじわーっとやってきて、綺麗にすら見えてしまう。描き方なのか。
    ドストエフスキーは、鬱陶しさのある感じで、作家によって異なる。当たり前だけど比べ

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    2018年09月29日
  • 弁護士アイゼンベルク

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    ネタバレ

    またひとつ面白いシリーズの登場。テンポよく進み、スピード感を感じられる展開、次から次へと起こる出来事。飽きさせないストーリーで面白い。主人公はじめ登場人物たちが魅力的なのもいい。弁護士としての、母親としての顔があってそのどちらもがこの先が楽しみになるしテキパキとした動きもいい。事件の緊迫した場面と娘と過ごす場面のメリハリも効いている。次作へつながりそうなラストも興味深い。早く続きが読みたい。

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    2018年07月13日
  • 穢れた風

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    刑事オリヴァー&ピアのシリーズ5作目。
    オリヴァーは主席警部で、ピアは同僚です。
    これでやっと順番通りの刊行になる?
    とはいえ、4作目を読んだのがだいぶ前なので~刑事たちの人間関係を思い出すのにしばらくかかりましたよ。

    風力発電建設会社で、妙な事件が起きます。
    ドイツでは、原子力に頼らない再生可能エネルギーの開発が盛んになっているそう。
    彼らの住む州には、フランクフルトを含む都市部と風光明媚な郊外の両方があり、風力発電はまだ盛んではないとのこと。
    メルヘン街道もあるそうですから、景観破壊になっては困りますよね。

    オリヴァーの父親は伯爵で、地元の名士。
    事件に関係する老いた農場主は、古い知り

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    2018年04月05日
  • モナ・リザ・ウイルス 下

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    おおおおおこれは予想以上におもしろかったぞ。ヘレンのキャラもわりとすき。モナリザのミステリアスな微笑みがいい感じのスパイスになってるし、こんなフィクション読んでしまったら、かの有名な奥方に再度会いに行きたくなってしまう。ルーブル行くか。

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    2018年03月04日
  • 死体は笑みを招く

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    刑事オリヴァー&ピアのシリーズ、日本での刊行は4冊目。
    主席警部のオリヴァーと警部のピアは恋人ではなく同僚で、仕事で認めあっている関係です。

    時系列としては「悪女は自殺しない」に次ぐ2作目に当たり、1作目はどちらかというとオリヴァー編だったのが、こちらはピア編といったところ。
    1作目のほうがシンプルで、こちらのほうが筆が乗っている気がします。
    ドイツでは2冊同時に私家版で発表、それが大きな出版社に認められたという作家デビューなのですね。

    ピアは、まだ最初の夫と別居中。
    その夫ヘニングは高名な法医学者で、オリヴァーとも友人でした。
    大事件があると、ヘニングはまたこちらへ来ることにもなります。

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    2018年01月09日
  • 穢れた風

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     第一印象。分厚い!

     風力発電所の建設計画をめぐり、建設を推進したい施設建設会社と、自然保護を名目として建設反対を訴える市民団体との争いを軸にストーリーは展開する。
     風力発電ならばクリーンエネルギーとして環境にも優しいと考えがちだが、巨大な風車を数多く建てなくてはならないから、やっぱり木々を倒し、土地を均して環境を変えなくてはならない。市民団体もその点を突く。さらには自然の立地としても風車を回すほどの風が常時吹くほどの見込みはない。それではなぜそこに建設しようとするのか。その裏に見え隠れするのは補助金やファンドから流れ込む潤沢な資金の影。大金が動くところに人は群がる。そして事件は起こる…

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    2017年11月30日
  • 漆黒の森

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    Romaneシリーズ① 
    ハンナ(フリーの編集者)&モーリッツ(刑事警察主席警部、猫好き)の相棒もの

    ドイツの小さな村が舞台 
    ブルーノの独白に引き込まれた 
    モーリッの亡くなった親友の母親ロレーナ検事やラインハルト法医学者に興味がわいた 
    次作では彼らの事も掘り下げられていくのかな 次作も読みたいな、っていつになることやら…
    ドイツ推理作家協会新人賞受賞

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    2017年08月16日
  • 死体は笑みを招く

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    ネタバレ

    次々と登場する人物、錯綜する人間関係、交互に入れ替わるオリヴァーとピアの視点、そして頻発する事件…、一気読みできた。
    ただ、丁寧な登場人物一覧に助けられるものの、やはりドイツ語の名前は覚えにくい!しかも親子で登場が多いし。
    しかし、次々と容疑者を繰り出しながらも最後まで犯人を絞らせない展開の速さは見事で、前作より進歩している。
    確かこの作者は立て続けに(自主出版で)発表しているのにこのレベルというのはスゴイ。
    今作では環境破壊と汚職という骨太なテーマもあるし、一方でオリヴァーやピアの家族や過去に触れて横糸ともなるドラマもしっかり描かれホント盛り沢山な一作だった。

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    2017年06月05日
  • 夏を殺す少女

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    事件の共通点や犯人が知りたくてどんどん読んでしまった。
    犯行がゴリ押しすぎるだろって思う所もあったけど、それでもハラハラわくわくさせてもらえました。

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    2017年02月20日
  • 死体は笑みを招く

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    ドイツの地名や名前が頭に中々入らず登場人物も多いから前半は面白さが感じられなかったけど中盤からは引き込まれた。
    どんでん返し系が好きなのですごく楽しめた。

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    2017年02月17日
  • 死体は笑みを招く

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    オリヴァー&ピア・シリーズ。翻訳順では第4作になるが、シリーズとしては第2作にあたるようだ。本作も二転三転のストーリー展開と、次々と浮上する容疑者、最後まで読めない犯人像とミステリーとしての面白さを十二分に堪能出来た。

    動物園で発見された切断された左腕と左足。殺人捜査課の刑事、オリヴァーとピアは事件の捜査に乗り出すが…

    邦訳第1作にして、大傑作の『深い疵』以来、次々とシリーズ作が翻訳されており、これからも読むのが待ち遠しい作家である。

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    2016年11月05日
  • テロ

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    テロリストにハイジャックされた旅客機に乗った164人と、その飛行機が突っ込む先のサッカースタジアムにいる観客7万人−−。どちらかしか助けられない状況に、もし自分が陥ったら−−。空軍少佐は164人が乗った旅客機をミサイルで撃墜し、スタジアムの7万人の命を救った。そして少佐は逮捕され、裁判所で有罪か無罪かの評決を受ける。裁判ではさまざまな意見がかわされ、有罪を主張する検察側も無罪を主張する弁護側も、どちらの意見もまっとうであり理解できる。さて、評決は? 有罪でも無罪でも議論が沸き起こるだろう。結末はネタバレになるので書かないが、この裁判の模様を読むことで、本書は、各自がどのような態度をとるべきか考

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    2016年09月30日
  • テロ

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    164人を乗せた旅客機をハイジャックし、サッカースタジアムにいる7万人の観客を殺害しようと目論むテロリスト。
    独断で旅客機を撃墜した空軍少佐は有罪か無罪か?
    シーラッハ初の戯曲。舞台や映画で観てみたい。

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    2016年09月02日
  • テロ

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    戯曲という形式のせいか、シーラッハにしては登場人物のキャラが立ってて理詰め感はちょい薄い。テーマも派手なだけにサクサク読めるんだけど、ちょっとサクサク読め過ぎて「あれ?もう終わり?」って感じは否めない。いや、十分おもろいねんけども。

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    2016年08月02日
  • テロ

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    ものすごい本で,読み終わった今も考えが止まらない。
    検察官「私たちの上品な国家はテロリストになんら手をださないと保証されているからです。」弁護人「しかしそうした状況だからこそ,わたしたちが法治国家の原則に信頼を置くことはますます大事になっています。当然,それは友情と同じです。調子のいい時だけの友情など意味がないのです。」どっちが正しいんでしょう…。

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    2016年07月21日
  • 罪悪

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    大傑作『犯罪』に続くシーラッハの短編集。語り手の弁護士である「私」が手掛けた事件を淡々と語っていくという趣向は前作と変わらない。今回は10ページ未満の掌編が多く、前作とほぼ同じページ数で収録作数が11編から15編に増えている。

    前作を凌駕しているかといわれるとちょっと微妙だけど、収録作はどれも水準以上の面白さなので読んでみて損はないと思う。必要以上に描写せず、読者の想像に委ねるところは相変わらず美点だと思うので、ミステリ好きの読者だけではなく純文学好きの読者にもぜひ一読いただきたい。

    次は長編だ。

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    2016年03月12日
  • 罪悪

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    前作の『犯罪』と同じ系統の15編の短編を収録。

    短編と言うよりも掌編小説と言った方が良いような小品もあり、前作に続き、不思議な魅力を感じた。全ての短編が創作なのだろうか。極めて淡々と冷めた視点で様々な市井の人びとの罪を描いた短編ばかりたのだが、救いのある短編もあれば、喪失感だけが残る短編、ミステリーの要素を感じる短編が混じる。

    短編に描かれる数々の人びとのの罪は現実に起こりうるものばかりだ。もしかしたら、短編に描かれる登場人物の名前は単なる記号に過ぎず、主人公は人間ではなく、人間の犯す罪なのかも知れない。これは、最後の作品の『秘密』に著者の名前が出たのを見ると、あながち的はずれではないよう

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    2016年02月20日
  • カールの降誕祭

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    シーラッハの安定した独特な文章に加えタダジュン氏のインパクトある版画絵の表紙や挿絵により、更なる相乗効果で作品一つ一つがとてもリアルに楽しめました。もちろん、決して楽しい内容ではないのですが、人間誰にでも潜んでいる悪や「罪とはなにか」について、とても深く考えさせられます。また、巻末の訳者酒寄進一氏の解説により、よりシーラッハが伝えたい意味も参考になりました。少し早めの自分へクリスマスプレゼントになりました。

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    2016年02月16日
  • カールの降誕祭

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    「パン屋の主人」
    「ザイボルト」
    「カールの降誕祭(クリスマス)」の短編3編収録。
    ザイボルトめいた状況は前の職場であった。直接面識はないが、お元気で過ごされているだろうか。

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    2015年12月24日