酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あまりにも良すぎて、語り尽くせない……
短いのに、物語としても詩としても哲学としても、いっぱい心に訴えかけてきて、深く深く心を満たしてくれる。特に後半は、感極まって涙があふれてしまった。
この本の大切なメッセージは、シッダールタが川から聞いたこと、そして最後のゴーヴィンダとの会話だと思う。言葉にはできないので、言葉にせずに心にしまっておこうと思う。
物語でシッダールタが知っていったもの、教えや我慢や放蕩や愛の施しや執着……。それらは、大きな川全体の一部の完全な瞬間だった。
読者である自分も、例えば「避けたいな」「避けたかったな」と思う出来事や状況を、そんな見方に変えられるのかもしれない。
シッダールタがそんな見方を手に入れたのは、彼が観念的な真理だけでなく、いま目の前に見えている世界を蔑ろにしなくなったからだと思う。ほんとうにこういう生き方をしたい、と思った。
シッダールタの物語だけれど、この本でいちばんお気に入りなのは、後半で出会う渡し守。シッダールタが彼に心の内を話していくように、自分自身の心のことも同じように受け入れてくれたような気がする。
この作品を読んだのは、手塚訳に続いて2回目。最新の訳なのでとても読みやすかったし、巻末に載っている翻訳のこだわりについての記載もおもしろかった。 -
Posted by ブクログ
重厚!濃厚!日大三高!
いやー、なんかもうネレ・ノイハウスが達者になったなーって
まず、もうそういう偉そうな感想が来ましたよ
エピソードの繋ぎがうまい
滑らかになってきた気がすーる
そしてオリヴァーですよ
なんか自分を見つめ直して、心の中のモヤモヤが晴れてきたみたいで、ようやっと帰ってきました
優秀なリーダーがね
やったぜ
でもダメダメなオリヴァーもわいは嫌いじゃなかった
むしろ好きだった
フォーエバーダメ男オリヴァー
そしてわいが今回すごいと思ったのは、なにやらシリーズを通しての、敵というか悪い奴らの存在が見えて来たってことなんだが、絶対シリーズの一作目を書いたときはそんな存在想定してなかったと思うのよ!
それなのに初めの頃に書いたことを伏線として使ってる感じなのね
優秀な作家さんてそういうことしやがるのね
書いたときはそんな展開思ってもなかったくせに、しれっと後から繋げてくるの
ネレ・ノイハウスもそんなえげつない作家さんになってきたなーってことよね(だからお前はどの立ち位置やねん) -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルのない26の掌編集。
講演会やインタビュー、プライベートな旅などで世界各地を転々と訪れる私。
具体的に「作家」という職業が言及されていたかどうかあやふやだが、なんとなく本人を想起させるようなメタフィクションめいた様相が漂う作品。
その土地土地で出会ったエピソードがシーラッハならではの研ぎ澄まされた文体で紡がれる。
読む度に毎回凄いなぁと思う。
こんなにも端的に、ある意味ぶっきらぼうとも思えるほどに余計な装飾がなく直接的な言葉の集まりなのに、その連なり、間、行間が作り出す文章に心が吸い寄せられる。
何を意味したいのかはかりかねる物語もあれば、奇妙な味風ミステリめいたオチのあるものもある。
1ページばかりのものもあれば20ページ程のものもある。
読み終えてから1週間くらい経った後にこの感想を書いているが、実は話の内容は殆ど頭の中に残っていない。
その文章を読んでいる時間そのときは凄い濃密な時間を体感していたはずなのに、さらっと過ぎ去っている。
唯一無二だわぁ。
何より毎回この雰囲気を漂わせることに成功している酒寄さんの訳に称賛を覚える。
いつか『犯罪』からまた読み直したい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ウェルテル効果」という言葉を知らず、雑誌でたまたま知ったので。
これが300年前の話だというから、驚きです!
エキセントリックで、直情的すぎると思うべからずです。
近年の、メンヘラノンフィクションや作話に、頻繁に出るシチュエーションな気がします。
つまり、それだけ普遍的な価値観を描いているということですよね。
しごとも、こいも、何もかも思い通りにならず、絶望……いやむしろ「死」をある種の希望として命を絶つ刹那的な様が、若者に熱狂的な共感を呼んだのは、正直頷けます。
これは、受けるだろうなと。
光文社古典新訳文庫、酒寄進一さんの比較的新しい訳は、読みやすかったです。 -
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ネタバレドイツの作家マルク・ラーべのトム・バビロンシリーズ第二弾。
ベルリン国際映画祭で女性が刺される映像が流される。どうやら女性は市長の娘で、本物のスナッフビデオなのか、それとも作成された映像なのかがわからない。ただし臨床心理士のジータは、映像の中にあった『19』の数字に嫌な予感を覚え…
二ヶ月連続で刊行されただけあって、前作「17の鍵」と前後編のような立ち位置。関連しすぎていて、連続して読まないと細かなところまで楽しめないかも(サラッと復習してから読んだ方が良い)。
前作よりミステリ的には薄くなったが、エンタメ度は段違い。今作の疾走感は前作以上。前作のように現代パートがありつつ、今回はジータの過去パートが挟まれる。
特にこのジータの過去パートで一つ、とんでもなく驚かされることがあり、そこからギアが上がる。正直『19』のことより、着地点が気になって気になって読み続けてしまった。
意外な犯人あり、えっ!?となるラストあり。個人的には、警察小説としてはワシントン・ポーシリーズとの二強と思うくらい好みだった。四部作と終わりが決まっているので、最後まで追いかけたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレいかにもシーラッハらしい短編集、「犯罪」「罪悪」「刑罰」で3部作らしい。とはいえ順番に読まなくても良いようにも思う。本作最後の「友人」は確かに末尾を飾るにふさわしい感じの締め方ではある。
シーラッハの魅力は言葉数が少ない事。華美や大げさな修飾はなく、必要最低限の文章で淡々と進行する物語構成が良い。和食のような「引き算の美学」なミステリー、そこには断捨離、ミニマリズムにも通じる、潔さと清潔さがある。
掲載されている「奉仕活動」なんて、凡百の作家なら胸糞描写を満載にしてくるだろし、被害者や家族の怒り憎しみももっともっと書き込みを増やしているだろうが、シーラッハは端的である。だからこそ余韻が強くて胸糞感を引きずりつつ物語の展開に集中できる。
「リュディア」や「ダイバー」も性癖やフェチな描写を大げさにしないことで、その異常さをかえって心に残して、かつ物語に集中できるようにしている。
短編の名手、ひいては巧みな小説家ってのは、過剰な修飾や大げさすぎる表現は避けるものであるけど、シーラッハはその最右翼にいる感じ。 -
Posted by ブクログ
マルク・ラーベ『スズメバチ』創元推理文庫。
『17の鍵』『19号室』に続く、ドイツ・ミステリー『刑事トム・バビロン』シリーズの第3弾。
第2弾の『19号室』がイマイチだったので、この第3弾の購入に躊躇していたのだが、全4作の結末が気になり、購入してしまった。果たして、鬼が出るのか、それとも蛇が出るのか。
2027年春にはシリーズ完結編となる『ヴィオーラの隠れ家』が刊行されるようだ。
30年前に何者かに連れ去られ、安否不明状態の妹ヴィオーラの幻影と幻聴を常に身近に感じながらも、刑事としての任務を全うしようするトム・バビロンに襲い掛かる暗い影。誰の思惑なのか、次第にトムは妻のアンネと共に事件の火中へと巻き込まれていく。
少しずつ明かされるトムと妹のヴィオーラ、母親のインゲ、父親のヴェルナーの過去の物語。トムが15歳の時に行方不明となった当時10歳のヴィオーラの消息は……
余りにも目まぐるしい展開は、謎が謎を呼び、罪はさらなる罪を生み出す。最後の最後に描かれた驚愕の描写。なかなか読み応えがあり、第2弾の『19号室』で断念しないで良かった。
謎の男性がスズメバチという人物からの指示で託された謎の封筒を1人の女性に渡した。その女性は、ベルリンで2万人以上の観客が熱狂する中で開催されているロックスター、ブラッド・ギャロウェイのライブステージの上に上がり、その封筒をブラッド本人に手渡す。
その封筒の表には『緊急』という文字が書かれており、中にはアルミケースが入れられていた。そのアルミケースには、凝固した血の上に載せた小さな白い羽根が入っていた。
翌日、警察のゲストハウスでブラッドの血だらけの惨殺死体が発見される。死体の陰部は切断されており、胸には黒いペンで「愛する者の命は大事か?」というメッセージが残されていた。
刑事トム・バビロンは、警察付き臨床心理士のジータ・ヨハンスと共に捜査を始めるが、警察はトムの妻のアンネをブラッドを殺害した容疑で逮捕する。さらには殺人容疑はトム・バビロンにも及び、物語は混迷を極める。
本体価格1,500円
★★★★★