酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ次々と場面が変わり、時間の流れも前後するので、
話についていけるのか心配なぐらいだったが、
場面の長さが短めで、
主人公の刑事と弁護士の決断と行動の速さが
心地よくそのスピード感を楽しめた。
二人の主人公、リニ―弁護士とヴァルター刑事がそれぞれの事情を抱えながら、
それぞれの事件を二方向からつき進んでいくのは面白かった。
サイドストーリーの恋愛話もよかったし。
贅沢を言わせてもらえば、
もうちょっとくどく長く作り込んでもらいたかったかな。
それと、ヴァルター刑事が救急車で運ばれそうになりながら、
リニ―弁護士に恋愛のアドヴァイスをするシーンはもうちょっとかっこいい台詞にしてあげてほしかった。 -
Posted by ブクログ
[怨根の行く末]元小児科医がマンホールに落下して死亡。市会議員が運転ミスで死亡。そして、精神を患った少女が自らの体に薬物と酒を投与して死亡。一見無関係に見える事件をそれぞれに追っていた弁護士のエヴァリーンと刑事のヴァルターは、それぞれに事件の裏に隠された更なる闇に気付き始めるのであるが......。完成度の高さからドイツやオーストリアで高い評価を受けたミステリー。著者は、オーストリアミステリーの一翼を担うアンドレアス・グルーバー。訳者は、ドイツ文学の翻訳家である酒寄進一。
純粋に、純粋に面白かった。割と細かい文字で400ページ超を数える作品なんですが、そんなことがまったく気にならないほど本書の世界に没頭させてもらいました。とにかく謎を明かすテンポと視覚的に訴えてくる描写の鋭さにやられっぱなし。オーストリアミステリーも本著者の作品も初めてでしたが、これは棚からぼた餅的にイイ本に巡り会うことができました。
ストーリーを引っ張っていく主人公のエヴァリーンとヴァルターのキャラクター設定もこれまたお見事。特にヴァルター刑事の「足で稼ぐ」刑事っぷりには読者として応援を送りたくなります。登場人物に意識を重ね合わせながら謎解きを楽しみ、それに加えてその流れを視覚的に堪能できる……。ミステリーを読むのは結構好きなんですが、これはその中でも幅広い方にオススメできます。
〜「なにか問題が起こるというんですか?」
「わからない。しかし今回の事件では問題ばかり起こっているからな」〜
映像化希望☆5つ -
Posted by ブクログ
オリヴァー&ピアコンビの二作目。
短い単元ごとに時系と視点が変わる独特の物語進行。
「深い疵」を読まなければ、手に取らなかったかもしれない本。タイトルだけで敬遠しない方がいい。
ところ変われど人が死に物語がはじまり、犯人が判明し帰結するのだが、わかっていながらもこの作者のミステリーに心底ハマってしまうのは、物語に手加減をしないリアリティなのかもしれない。不幸はどこまでいっても不幸なのが現実だし、憎悪は負の連鎖を招き、人間はどこまでも欲深く、恐ろしい。そしてそれを詳らかにする側の警察でさえ、ただ一人の、「人」なのだと気付かされる。そのリアリティは人の繊細で複雑な側面を観察し徹底的に描くからなのかもしれない。
とにかく、愛すべき主人公オリヴァー&ピア次作の翻訳がとても待ち遠しくなる作品。 -
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ネタバレ「夏を殺す少女」で鮮烈な日本デビューを飾った作者による傑作ミステリ。
行方不明になった保険会社の女性調査員を探す依頼を受けたホガートがプラハで連続殺人事件の調査をしている女性私立探偵と知り合い、その事件にも巻き込まれて行く。
先に挙げた「夏を殺す少女」と比較すると、ジックリと物語が展開するイメージだが、まどろっこしさなどはなく、謎が謎を呼ぶ展開は先を読む手を休ませない。
「夏を〜」と共通する点といえば、主人公が身体的にハンディとなるものを持っている点や主人公とともに活躍する女性にトラウマとなるような過去がある点、二人が謎を解決するためには手段を選ばない行動をとる点が挙げられる。これらの要素は決して褒められないものもあるが、それによって物語がよりスリリングに展開して行くという点で読者をより惹きつける効果があるように思う。
本作は三部作として作られているようなので、次作の刊行が待ち遠しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレオーストリアの作家アンドレアス・グルーバーの本邦デビュー作。一気読み必至の佳作。
なんでもない事故のために窮地に陥っていた叔父を助けるために、その案件に関わっていたエヴェリーンは、同じようになんでもない事故だと思われていた案件にも同じ少女の姿が映っている映像があることに気づく。
一方、精神病院に入院歴のある子供が自殺している案件で不審な注射の後を見つけ、殺人ではないかと疑いを持ったヴァルターは、その犯人の後を追うように捜査を始める。
一見、なんのつながりもない事故、あるいは自殺にまつわる、二人の視点で物語が展開する。いずれも心に傷を持ち、一方では真実のために脇目も振らない活躍をする。エヴェリーンなどは弁護士のくせに、家宅侵入と窃盗まで行って証拠を集めようとする。褒められたものではないが、その探究心と行動力には脱帽させられる。
複雑に絡み合った物語がやがてひとつの大きな流れに収斂していき、そこから先を予想できない展開に入っていくあたり、ドイツ語圏で数々の賞を取っているという作者の力量が垣間見える。その作者のスピーディ且つ読者を引きつけてやまない物語を、これまた非常に読みやすく、ページを繰る手を止めさせないような臨場感溢れる筆致で訳された訳者の仕事もすばらしい。同じ作者・訳者が手がけた「黒のクイーン」も是非読んでみたいところだ。 -
Posted by ブクログ
「怪物とたたかう者は、そのとき自分が怪物にならないよう用心するがいい。長いあいだ奈落をのぞいていると、奈落のほうもお前をのぞき込む」は、ニーチェの『善悪の彼岸』の有名な一節である。
自身は正義を行っている。だから悪事を行ったものを責めてもよい。彼らは責められるべきだし、何をされてもいいはずだ。究極は、そのような思いにまで至ってしまう。しかし、一方で、法によらない裁きを行えば、自身が犯罪者になってしまう。それは、一つの犯罪者を葬ることになっても、罪を罰していることにはならない。
理屈では皆わかっているが、いざ当事者となれば、理性が飛ぶ。道具まで差し出されれば、つい引き金を引きたくなる。この怪物を殺せるのは私だけだ。しかし、今その怪物を葬ろうとしている自分もまた、第三者からすれば、怪物に見えているのではないか。
オリバーとピアは、警察にまで入り込んでいた制裁組織に対応しつつも、真犯人を探し続ける。ピアは母親の認知症が進み、仕事との両立に悩み、ある決断をする。新メンバーも加入して、本シリーズはこれからも続きそうだ。 -
Posted by ブクログ
ドイツミステリーは初めて。現代の事件でありながらもベルリンの壁について何度も象徴的に触れられており、改めてネットで調べたり。国家が力を持ち過ぎてしまった時代、人権が軽視された時代。
このあたりの時代背景がシリーズ全体を貫く筋になっていくのかなと予想。
ところで、トムが現場に気ままに立ち入り、勝手にいじり、隠蔽までするため、私の中のリンカーンライムが激おこ。主役2人はメンタルが擦り傷だらけなかんじで現場にいるのにいつもそれどころではなくいっぱいいっぱいなので、ちょっと落ち着いてから業務に従事した方がいいんじゃないかな、、と声をかけたくなります。
そんな不安定な基盤にある登場人物たちがどのように活躍していくのか、続きも気になります。