酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『犯罪』
シーラッハはわたしのお気に入りの作家の一人。
ドイツ文学は少し授業で齧ったりもしたけどこんなにも、のめり込む様な世界を与えてくれたのはフェルディナント・フォン・シーラッハだった。
「犯罪」と書かれた題名からして、そしてミステリーという区分に、きっとどんでん返しのストーリーが待ち構えていると誰もが思うであろう。
11章の短編で構成されたこの本はとても読みやすく、ドイツ文学初心者の方でもするりと入り込める。
しかし、どんでん返しものではなく、現実の話のように「まあそうなるだろうな」と進む話が多い。至って単調な話の連続のように感じるが、彼の描くストーリーは調書や報告書など事務的なもの -
Posted by ブクログ
シーラッハの作品は、なんというかストーリーに余白があって余韻が心地よい。
決して居心地のよい話ではない事が多いのだが、読んだ後に、自分の心の中でいろいろなことが静かに共鳴する感じがする。
本作は、言ってみれば短編集なのだろうが、短編とも呼べない、掌編ですらないくらいの数行で終わる作品もあって、尚且つ各編にタイトルがない。ないというか、単純に連番が振られている。訳者によれば、共感覚者であるシーラッハには、それなりの意味があって振ってある数字なのかもしれないが、それがまた読み手には自分でイメージを膨らませる余地になり、一層作品を味わい深くしている。
作中にはいくつもの実在の小説や映画、歴史的事 -
Posted by ブクログ
主人公ウェルテルが、友人ヴィルヘルムに宛てた書簡形式で構成された作品。ロッテという女性への熱烈な恋心が吐露されています。彼女には婚約者(アルベルト)がいます。にもかかわらず、ウェルテルにも心惹かれている。いわゆる三角関係です。ウェルテルには恋の悩みの他に、職業が定まらないという辛い現実があります。
最初の方の手紙は、ロッテへの好き好きオーラ出まくりですが、後半は悩み深くとても重苦しい内容です。恋は盲目、恋の病という言葉が想起され、ウェルテルの心が、どんどん病んでいくのが読み取れました。
読み進める中で、自分の経験が思い出されてきました。
学生時代、恋愛がうまくいかず、入院するまでになって -
Posted by ブクログ
いつか読もうと思っていたこの本。酒寄進一さんの訳で出版されたと知り、今だな!と手に取る。誰も愛せなくなってしまっていて、腐れている状況で、何かそれを打開するヒントを得られないか、祈るような思いで読んだ。
難しくて読み通せるか心配だったが、読みやすく、面白く読めた。
インド哲学の用語が出てきて、一応解説はついているのだがしっかりと理解できず、その辺をもっと勉強してから再度読まないと、きちんと理解はできていない。
アートマン、ブラフマン、オーム、サマナ、サンサーラ(輪廻)、ニルヴァーナ(涅槃)など。
オウム真理教のオームやサティアンなど、サンスクリット語のこのインド哲学の用語を使っていたのだ -
Posted by ブクログ
一筋縄ではいかない人間の愛と憎悪、ドイツの弁護士でありの小説家シーラッハが描く至極の短編集 #午後
■きっと読みたくなるレビュー
悪に落ちていく人間を描いた短編集『犯罪』『罪悪』で有名なフェルディナント・フォン・シーラッハ。
今回は作家であり弁護士の主人公が、パリ、東京、ウィーンなど世界中の訪れた先で様々な人と出会い、彼らから不思議な話を聞くという筋立て。
また世界各国の文学や出来事についての言及もあり、そもそもこの本に書かれている内容は、フィクションなのかシーラッハ本人のエッセイなのか、よくわからなくなってくる。
出会った人から聞くお話は比較的短めではあるのですが、どれも異様な世界観 -
Posted by ブクログ
シーラッハ2冊目、最新刊の短編集です。200ページ足らずの本書には26編が収められ、長くて20ページ程度、短いものは1ページ、それもわずか3行という掌篇もあります。そして各話にタイトルがなく、通し番号が付されています。
読み始めは1話ごとの脈略やテーマがよく判らず少し困惑しましたが、デビュー作同様、弁護士・作家である著者の〈私〉が登場し、かつて仕事等で訪れた世界各地で誰かと出会い、打ち明け話を聞くというエピソードが淡々と語られます。
過去にあった事実、その人生の断片は、どこまでが創作か境目があやふやで、幻想か現実かが曖昧な印象です。各掌篇の好みの振れ幅が大きいと思いました。トータルで