酒寄進一のレビュー一覧
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本の帯に書かれていた「ドイツ史上最も謎に満ちた人物、そして未解決の暗殺事件」という文章に惹かれ、どういうことだろうと関心をもって読み始めた。タイトルの「カスパー・ハウザー」は、少年が保護されたときに紙に書いた名前である。少年は長らく幽閉され、水とパンだけを与えられて生き続け、ある日突然に謎の男に連れ出され、街中で置き去りにされ保護される。人との触れ合いの経験もないなか、未知の世界にとまどう。彼を理解しようと謎めいた出生の秘密を明らかにしようとするが、どれも徒労に終わる。高貴な出であるが、存在そのものを隠し通す必要があるのでは?と人々は邪推する。謎の集団に襲われ、殺されかけるが、生き延びる。人々
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ネタバレ2026年の9冊目は、ネレ・ノイハウスの「怪物を捕らえる者は」です。オリヴァー&ピアのシリーズ11作目となります。相変わらず辞書のような厚さで、読み応えが有ります。登場人物もかなりの多さです。
ラストで驚きの展開が待っており、シリーズのターニングポイントになると思います。
娘の初めての一人暮らしに伴うゴタゴタが重なり、かなり時間がかかってしまいました。
16歳の少女ラリッサ・ベーレフェルトの殺害に伴って、犯罪被害者の遺族達による私的制裁組織の存在とその暗躍が明るみに出ます。組織は、法曹界や警察内部、オリヴァーとピアの所属するホーフハイム刑事警察署捜査11課内部にも及んでいました。誰が裏切り者な -
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ベルリン大聖堂の丸天井に女性牧師の死体が吊り下げられていた。トム・バビロン刑事は遺体の首に17と刻まれた鍵が掛けられているのを見つける。トムは少年の頃に川底で見つけた死体のそばにあったのと同じ鍵。当時その鍵を妹に貸したところ妹が行方不明に。以来トムは仕事の傍ら妹の行方を探している。事件を追ううちにトムは…。
なんとも猟奇的な出だし。なぜこんな殺され方をするのか。1998年のトムの過去と2017年の現在の事件が交互に語られる。この過去の過ち、妹のこと、家族のこと、トムはいくつもの秘密を抱えている。トムと組んで捜査をする臨床心理士のジータは良い役割を演じるが彼女もまた秘密を抱えている。
「秘密 -
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『コリーニ事件』
この小説を読み終えた後、読者は深いため息をつくことになる。
シーラッハの長編はこの作品が初めてである。わたしもまた、深いため息をついた。
法と個が交わる難しい状況が描かれている作品だと、前提条件としてわかっていたが、読み進めていくうちに、更には社会や歴史も深く交わっていることがわかっていく。
「わたしは法を信じている。きみは社会を信じている。最後に軍配があがるか、見てみようじゃないか」
そして読み終わった後には、真実を解き明かすことそのものが個にとっては正義ではないのかもしれないという気持ちになる。
「マッティンガーはわずか2時間で、コリーニの父をもう一度殺した -
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プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失した…ところがその絵は偽物
本物の絵画を探すためプラハに調査員を派遣するが、行方不明になる
本物の絵画を探すため、また行方不明になった調査員を探すため、保険調査専門探偵のホガートは、プラハに飛ぶ…
しかしそこで彼は、猟奇的連続殺人事件に巻き込まれることになる…
プラハを舞台にしたミステリーは珍しいと思い手に取った
プラハはかつてユダヤ人のゲットーだった場所として知られ、作品にもそれが関わってくる
もちろんプラハには行ったこともないが…登場人物たちと一緒に巻頭にある地図を見ながらプラハの街を行ったり来たりしている気分だった…(笑)
登場人物がなかなか個性的で -
Posted by ブクログ
感情を込めない淡々とした文章に戦争が及ぼす次世代への影響、法律の歴史、戦犯の別の側面などドイツが舞台ではありながら、どの国でも考えるべき問題が取り上げられています。
ページ数も登場人物も少なめです。心情もあまり語られないし、登場人物たちの行動から推しはかるという描写が多いです。
著者の祖父が元ナチスのユーゲント指導者だったという背景が作品に多いに影響していると思われます。この著者だからこそ描けた小説なのだと思います。最後の1ページが心に残ります。
実際にドイツの政治を動かしたとも言われる社会派小説。日本だったらどうでしょうね?自国の戦犯の話って自分も責められているようですごく辛い。ドイ -
Posted by ブクログ
『犯罪』
シーラッハはわたしのお気に入りの作家の一人。
ドイツ文学は少し授業で齧ったりもしたけどこんなにも、のめり込む様な世界を与えてくれたのはフェルディナント・フォン・シーラッハだった。
「犯罪」と書かれた題名からして、そしてミステリーという区分に、きっとどんでん返しのストーリーが待ち構えていると誰もが思うであろう。
11章の短編で構成されたこの本はとても読みやすく、ドイツ文学初心者の方でもするりと入り込める。
しかし、どんでん返しものではなく、現実の話のように「まあそうなるだろうな」と進む話が多い。至って単調な話の連続のように感じるが、彼の描くストーリーは調書や報告書など事務的なもの -
Posted by ブクログ
シーラッハの作品は、なんというかストーリーに余白があって余韻が心地よい。
決して居心地のよい話ではない事が多いのだが、読んだ後に、自分の心の中でいろいろなことが静かに共鳴する感じがする。
本作は、言ってみれば短編集なのだろうが、短編とも呼べない、掌編ですらないくらいの数行で終わる作品もあって、尚且つ各編にタイトルがない。ないというか、単純に連番が振られている。訳者によれば、共感覚者であるシーラッハには、それなりの意味があって振ってある数字なのかもしれないが、それがまた読み手には自分でイメージを膨らませる余地になり、一層作品を味わい深くしている。
作中にはいくつもの実在の小説や映画、歴史的事