【感想・ネタバレ】バンビ 森に生きるのレビュー

あらすじ

森に生まれたバンビは、さまざまな動物たちとふれあいながら、喜びや悲しみ、恐怖や孤独の体験を通して、やがておとなのノロジカへと成長していきます。ときに動物たちの死を間近に見、生きることの厳しさを知るバンビ。そして生きぬくための智恵と勇気を自らの行動をもって教え諭し、バンビを導くノロジカの古老。“生きる”ということを真摯に読者に語りかけ、1923年の刊行以来、今なお古びることのない動物文学の名作です。

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Posted by ブクログ

バンビ、
子供の頃、ディズニーの絵本を持っていて、
その可愛さが大好きだった。

でもすっかり絵本の内容も忘れてしまい、

本物のバンビは、ただただ可愛いだけなんかじゃない、森に生まれ落ちたノロジカの、
とても美しくて、厳しくて、尊い一生の物語だった。

人間の卑怯さと
古老のかしこさ。


ここからネタバレ
好きなセリフ
「アイツとわたしたちには差などありはしない。わたしたちとおなじなのだ。なざなら、アイツもおびえ、苦しみ、なやむからだ…。」
「しっかり生きるのだ。」

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2021年09月26日

Posted by ブクログ

温かくて残酷で強くて、とても良かった。子供の頃にディズニーの絵本を読んだ記憶があって、火事はいつ起きるのかと思ったら火事は起きないし、いい意味で度々期待を裏切られて、そこが期待どおりでとてもいい本だった。強くて美しい。

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2021年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

動物の生態を、五感を、こんなにリアルに描けるなんてすごい。
自分も生き物としての五感をフル活用して、鹿になったような気分で読んだ。

生きることは、常に危険と隣り合わせ。
いつ、誰に食べられるかもわからない。
そんなヒリヒリするスリルと、誰にも邪魔されずに広い草原で思い切り駆け回れる喜びが、同時に感じることができる。それが生きることだ。

この物語の中で、人間は「アイツ」と呼ばれ、森の動物たちから恐れられている。
ゴーボという幼馴染が人間に撃たれたその後のエピソードが印象的だった。
偶然優しい人間に手当てをされて帰還してからは、全能感丸出しお気楽鹿になってしまう。
だけどその油断が仇となり、結局また人間の手にかかり、殺されてしまう。
人間が良かれと思ってした行為が、野生で生きる力を奪ってしまう実例を見せつけられた。

悟りを開いているかのような偉大な古老とバンビの交流も微笑ましい。
こんな圧倒的なロールモデルがいたら、追いかけて慕いたくもなる。
古老を崇拝するバンビの気持ちも、バンビを子どものように愛し、優しく諭す古老の気持ちも、どちらもじんとくる。
親子ではないけれど、親子のような師弟関係。
「生き抜く力」を目の前で、身をもって教えてくれる古老のように、私も愛を持って子どもたちと接したい。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

幼少期、絵本があり読んだ覚えがある。
しかし、内容は忘れてしまっていた。
かわいいだけでなく、野生動物の現実を突きつけられる。
ディズニーアニメにもあるはずだが、こんなお話だったかな?

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2021年11月24日

Posted by ブクログ

バンビは(ディズニーの映画は有名だけど)原作を読んでいる人はあまりおらず、映画とはかなり違う、ということは知っていた。
岩波少年文庫で読んでみようかと思ってからもう長いこと経ってしまったが、酒寄さんの新訳が出たのでいい機会だから読んでみることに。
ディズニーアニメでは火事が大きな事件だったが、こちらで森の動物たちの恐怖の対象となるのは人間。
ハンターがしばしばやってきて、鹿や鳥を殺していくことが最大の恐怖で、それに比べれば鹿同士の喧嘩や冬の寒さや飢えなどは大した問題ではない。
狐はいるが、鹿を捕食するような大型の肉食獣はいないので、人間さえ来なければ平和で豊かな森なのである。
ザルテンは他にも動物の物語を書いていて、解説で紹介されているが、今は『バンビ』以外一般には読まれていない。
ザルテンは1869年生まれで1945年没。シートンは1860年生まれで1945年没。
ほぼ同時代を生きて、同じ動物物語を書いたのに、シートンより読まれていないのは、動物が会話するからだと思う。シートン作品は自然科学の作品としてもいいけど、生態がきちんと描かれているとはいえ人間同様会話するとなると、物語としてしか扱えない。鹿も鳥も虫も、なんと葉っぱまでが会話する。宮沢賢治の作品でも動物や植物が会話するけど、あれは文学作品(賢治の思想を書いた作品)で、こういう動物物語とは違うからなあ。シートンよりアニメにしやすいのも会話するからだろう。
しかし、会話するからこそ、バンビの成長が人間と同じように感じられるという点は長所でもある。
幼児期は無邪気で母親に甘え、思春期には喧嘩したり競争したりし、恋をして恋する相手以外何も見えなくなり(発情期)、青年となって生き方に悩む(悩み始めたら恋の相手のことはすっかり忘れてしまうのは人間にもあるあるだ。)。幼児期には母親が、思春期以降は古老と呼ばれる牡鹿が導いてくれるところが古典的な成長物語という感じ。
恐怖の対象であった人間もいずれ死ぬ身の同じ動物である、と気づくのはまあいいけど、「わたしたちすべての上に、わたしたちとアイツ(人間)にまさるものが存在するということなんですね」(P266)にはがっかり。鹿がそんなこと思うだろうか。それは人間の発想じゃない?

でも、読んでみて良かった。日本でも椋鳩十や戸川幸夫ら動物物語を書く作家が出てきたのも、ザルテンやシートン、バージェスらがいたからだろう。(バージェスの動物もしゃべっていたような記憶が。でも数十年前の記憶なので違うかも。)ジャック・ロンドンなんかも。
動物にも感情があるという今では当たり前のことも、当時は新しかったのかもしれない。

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2021年05月07日

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