酒寄進一のレビュー一覧
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ネタバレ前作の、児童虐待と性暴力の話も胸が悪くなる話だったけれど、今回もまた勝るとも劣らない嫌な話。
本来なら人類のためになる技術であるはずの臓器移植を、私利私欲のために行うという、何と愚劣な話。
殺人を犯した犯人は、もちろん悪い。
何しろ殺された人たちには何の落ち度もないのだから。
では、犯人はなぜそれらの人を殺さねばならなかったのか。
ここが、この作品の肝なのだけど。
怪しい人が何人も出てくるのね。
プロファイルされた犯人像に近い人が何人も。
この人が怪しそうに書いているから、実はあの人が犯人なんじゃないか?と思わせておいての…?
と、脳内で翻弄され、裏切られ、肩透かしを食わされ、ミスリードさ -
Posted by ブクログ
ドイツミステリー。凍った湖で遺体を発見したのは外勤警官のクロイトナー。次に捜査担当のヴァルナー首席警部の自宅の屋根から第二の死体。どちらも口内から数字を示したバッジが発見された。並行して描かれるのは、昔。バックカントリースキーをしていたら、娘が転落し、救出しようと死にものぐるいの父親の姿・・・
途中まではそれほど面白くなく、先が楽しみでもないのでやめようかと思った。しかし山岳遭難の方の関わりが分かると急に面白くなる。
殺人の動機がこれほど読ませる小説はあまりないかも。
下にネタバレ。
※ネタバレ
スキーで転落した娘を救うために、夜半に山を彷徨ったペーターがやっと山小屋に辿り着いた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回の事件は、いつにも増して読み進めるのが辛かった。
児童虐待。性暴力。
何度も辛くて本を置き、続きが気になって再び手に取った。
前作とは違って、オリヴァーは悩みを乗り越えたようだけれど、逆に帰って目立たなくなってしまった。
オリヴァーのチームというより、ピアのチームだ。
そしてこのシリーズは、社会の上辺にいる人たちの自己中心的な行動が犯罪を引き起こし、そして犯罪の影には必ず悪女が…というパターンになっている。
今回はその犯罪の影、必要だったかな?
今回の犯罪は根が深いもので、隠ぺいするためには手段を問わない犯罪グループが出てくる。
が、目を覆いたくなるようなおぞましい暴力をふるう割には -
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ネタバレ風力発電に関する推進派(政府・企業)と反対派(市民)の対立。
しかし、想像を絶するやりあい。
自分達の主張を通すためには手段を取らないそのやり口は、どちらにも嫌悪を抱かせる。
風力発電は、環境に優しい再生可能エネルギーだと思っていたので、環境破壊を理由に反対運動が起こるとはびっくり。
「渡り鳥の渡りのルート上には風車を作らないで」と作家の梨木香歩が言っていたけど、それ以外にもいろいろ問題はあるのだな。
そして、地球温暖化という不安に簡単に踊らされてはいけないと改めて思う。
もちろんエコは大事だし、何事につけ踊らされるのはよくないけれど、「地球温暖化」というのは結構な切り札になるので。
でも -
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ネタバレ動物園でバラバラ死体が発見される。
被害者は、カリスマ高校教師で環境保護活動家。
熱い正義感と引くことを知らぬ行動力で、学生たちの圧倒的な支持を受けている半面、煙たく思う大人たちも多い。
しかし知れば知るほど彼自身、そして彼をめぐる二人の女性、さらに彼女たちに振り回される男達の、人間の嫌な面が露わになる。
前作の「悪女は自殺しない」でもそうだったけれども、狭い人間関係の中で嫌な面を見せつけながら繋がっていくのは、読んでいて結構しんどい。
被害者に心酔する高校生たちも、恋愛のもつれ、嫉妬、目的の違いなど、一枚岩ではないことがわかってくる。
今作で気になったのは、ピアの恋愛事情。
別居している -
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邦訳が出るたびに手にとっているドイツのミステリシリーズ。毎回書いてるんだけどこのエピソードが好きで...ソーセージ職人と結婚した作者が夫の店を手伝う傍ら趣味で書いて店頭に置いていたものが出版社の目に止まっていまでは大人気シリーズになっているという警察小説。大都市フランクフルトの近郊の街を舞台にもともとその辺りの領主を先祖に持つ貴族階級出身の男性警官とそのパートナーの女性警官を中心としたシリーズ。思えば最初の頃はドイツ人で固められていた警察も気がついたらトルコ系やシリア人の刑事がいるのはどこまで現状を反映しているのだろうか...。さて、本作ではキャンプ場でトレーラーハウスが爆発し男の死体が発見さ
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ネタバレ「深い疵」「白雪姫には死んでもらう」と、日本での出版順に読んできて、いよいよ出版順では3番目ですがシリーズ最初の本作に。
さすがにシリーズ最初なので、オリヴァーとピア以外の捜査班の面々は大人しめ。
フランクは最初から仕事の好き嫌いというか、手抜きをするタイプだったのね。
しかし、最後の最後まで犯人の見当が使いないのは今と変わらず。
だって怪しい人が多いんだもの。
っていうか、怪しくない人がいない。
みんなが彼女を殺す動機を持っている。
そんな人にはなりたくないなあ。
騙されてバカを見るのは嫌だけど、人を騙してバカを見させるのって、張りぼての人生のような気がする。
正義と法律の限界に引っ掛 -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物一覧が5頁!
翻訳ミステリに慣れてない人にはきついか⁈
でも時間をかけて読む価値あり。
読み続けてきたファンは特に。
オリバーはダメダメな時代もあったけど、なんて過酷な人生をおくってきたことか。
長年の謎の一部が明らかになる。
彼と周囲の人々の取り戻せない長い時間を思うと胸が締めつけられる。
女難の相があるのか?女に弱すぎるのか?
そんなオリバーに今度こそ幸せが…やっと…ほんとに?
ピアの有能さが際立ち、新しい部下の活躍も期待できそうでうれしい。
捜査本部内に足を引っ張る奴がいる設定は好きではないが、今回の署長は許容範囲。 -
Posted by ブクログ
「物事は込み入ってることが多い。罪もそういうもののひとつだ」読み始めたら一気読み。犯罪に関わった人たちの人生を語るこの途轍もなく面白い元弁護士による短編集は不思議な気持ちにさせる。弘兼憲史『人間交差点』か安倍夜郎『深夜食堂』みたいな味わいだ。登場人物は様々で極悪人もいれば誠実な人、運が悪いだけの人、精神病の人もいる。実録のようなリアルさだ。気になるのは側から見ると気の毒な人たちの話。極貧の中で育った乞食と立ちんぼの恋と相手を守るための犯罪。愛するがゆえに妻を殺さざるを得なかった老人の気持ち。これはおセンチな話ではない。彼らは刑罰より大事なものを守ろうとした。それを守った時に目的は達成され犯罪は