酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
弁護士である「私」が携わった事件、その背景を追いかけながら、被告人たちの真実を描く11篇の連作短編集。
現代ドイツを舞台にしているのだが、難解で共感も困難な事例が多く出てくる。それを一番感じたのは、移民や難民などの他民族他国籍の人々との絡みだった。「この民族は〜な性質」「この国籍は〜レベル」といったような暗黙の既成観念があるように感じ、それを覆せなかった人々による犯罪は、日本にいるとあまりピンとこないように思った。読み進めると、痛々しくて生々しい人々の叫びが文中から聞こえてくるようで、淡々とした「私」視点も相まって、一篇一篇にキツイ読後感を味わうこととなった。
後書きを読んでもう一度本文を読み直したのだが、確かに全部の話にリンゴが登場しており、作者の仕掛けたちょっとしたトリックに驚かされた。「これはリンゴではない」なるほど、確かに。
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Posted by ブクログ
「終戦日記」と読み比べると元々書かれていない事をケストナーが加筆している個所が多々ある。グデーリアンの邦題「電撃戦」で書かれている宣伝省次官ヴェルナー・ナウマンから依頼された談話は「戦争日記」では単に彼の発言を引用しているだけだが「終戦日記」ではポーランド人の地主からダイペンホーフを略奪したグデーリアンに代表される当時の国防軍の軍人批判を書き加えているので「終戦日記」は「青い本」こと「戦争日記」を元にした日記体の実録と見た方がいい。「終戦日記」は1961年に刊行されているので1951年に刊行されたグデーリアンの回想録をケストナーが読んで書き加えた可能性はありそうだ。
邦訳者のあとがきには第三帝国前後の日記としてケストナーが関わりを持ったコンラート・ラッテのUボート生活で深いつながりを持つルート・アンドレアス-フリードリヒの「ベルリン地下組織」と「舞台・ベルリン」が出て来ないので知らないのだろうか?「ペーター・シュナイダーが編纂したコンラート・ラッテの回想」つまり「せめて一時間だけでも」には「ベルリン地下組織」が言及されているが。278頁には「一九四五年以降に成立した長編小説のメモの中でも」ケストナーが「HJの記章をつけ、母親を連れてレオンに来た若いバウアー」と書いたとあるが「せめて一時間だけでも」ではラッテは「HJの記章」ではなく労働戦線の記章をつけて地下生活した記述があり、両親が強制収容所に送られて一人になってからケストナーと会っている事になっている。ラッテが強制収容所に送られなかったのは注釈にある田中路子とつながりがあったというDDR時代の有名人になったヴォルフガング・ハーリヒの裁判に証人として出廷する為。田中路子がゲスターポなどに面が割れているハーリヒが関わるKPDの組織と関係あったとは知らなかった。
「せめて一時間だけでも」によるとハーリヒは脱走した上にKPDのパンフを持って逮捕されたのに死刑どころか強制収容所や執行猶予部隊送りにもならずに「三ヶ月の禁固刑」で済んだとある。「除隊」とあるのは両親が有名人なので、それで済んだという事? -
Posted by ブクログ
「自分を解き明かすことができるのは、他人ではなくあくまで自分だけだ。」
ヘルマン・ヘッセの代表作のひとつ『デーミアン』です
うーん、これまた「聖書の壁」
しかも完全に四方を囲んでいて、蟻の這い出る隙間もない
当然のことながら、全く意味もわからん
けど面白かった
たまにあるのよ
全く意味分からんけど面白い
全く意味分からんときって大抵は面白くないのよ
だってそうでしょ、意味分からんのだから
でも、本作は面白かった
ぜんぜん分からんのに、全部分かったような気もする
独断的で独りよがりな心中が延々と語られるのに、普遍的で共感できるような気にもなる
なんだこれは!
こういう時、いつも実践しているのは「解説」は読まないってことだ
「解説」に惑わされるな!(そんな詐欺師みたいに言わんでも) -
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ネタバレドイツの作家、ネレ・ノイハウスの警察小説オリヴァー&ピアシリーズ第一弾。
邦訳はシリーズ3作目から変則的に始まったため、しばらく様子見してたらいつの間にか10年積読。。。
オリヴァーの知り合いの高名な弁護士の自殺死体が発見される。時を同じくして、馬専属医師の妻の死体も発見される。妻は周囲の人から相当嫌われていて、誰が容疑者となってもおかしくない。この二つの事件は関連があるのか。。。
死んだ妻が題のとおり、酷すぎる悪女で。絶対自殺しないだろうと笑。
非常に読みやすく、スラスラと読める典型的な警察小説。。。。なのだが、登場人物の名前が覚えづらすぎて。馴染みがないためか、登場人物表と行ったり来たりを繰り返した。
また、簡単な事件のはずが徐々に複雑な様相を描き始め、という体のストーリーなのだが、ラストがちょっと残念だったか。
少しピアのキャラが立っていないかとも思ったが、長いシリーズものでしっかり日本に入ってきているので、末長く期待。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ相変わらず一気読み必至のストーリーで、ぐいぐい読み進めてはいたのですが、今回はちょっと読みながら頭の片隅に違和感がちょいちょい顔を出しました。
なぜみんな、周りの人に一言言わないの!?
そうすれば何人かは死なずにすんだはず。
以下、ぬるっとネタバレになっているかもしれません。
気をつけますが。
例えば、不審な日記の切れはしが届けられた時、過去に犯罪を犯した人は口をつぐんでもしょうがないけど、何が起こったのかわからないまま口裏をあわせさせられた人は「どういうこと?」って言っていいと思う。
言ったら殺されてたかもしれないけど。
ていうか、ハイケが殺された理由がいまいち判然としない。
殺人を見ていた人より殺人を犯した人の方が罪が重いのは当たり前。
それよりも軽い、財産の横取りを隠すために殺人を犯すかね。
既にリミッターが外れていたのかもしれないが。
そして、35年前の殺人事件の再捜査はする(ドイツの殺人罪に時効はない)のに、それ以前の殺人事件については証拠不十分であきらめるのもよくわからない。
現在の殺人事件もかなり証拠不十分では?
だって、声は聞こえなかったけれど言い争っている姿を見た、って証言だけだったじゃん、あの時点では。
そして冷酷な殺人犯という印象で書かれているけれど、目撃証言によれば発作的な殺人だったよね、もうひとつのと違って。
使用人が姿を消すのも不自然なのよ。
何十年も使えてきて、いろいろあったかもしれないけれど、貴重品を残したまま姿を消すって怪しすぎるやろ。
口先だけでも「お世話になりました」遠き手紙を置いて、スマホは持って姿を消せ。
まったく紛らわしいんだから!
野次馬的性格ではないのに、やけに事件の捜査状況を知りたがった人も、キャラクターに統一感がなくて気になった。
オリヴァーの家庭状況も恋愛体質もわたし的には不要。
もう58歳、落ち着いて、無理をしないで生きなさいよ、と言いたい。
あと、ドイツでも、認知症の親を自宅で一人娘が介護するんだ…と思った。
あれだけ外でバリバリ働いて、親のことは内緒にして、やって行けるのか?
案の定自分が殺されたとき、親は二階で鎖に繋がれていた。
それは徘徊する親への安全対策だったのだろうけれど、日本よりは福祉国家だと思っていたドイツでこれか…。 -
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ネタバレドイツの作家、セバスチャン・フィチェックの作品。邦訳自体は初めてではなく、過去何作品かはある様子(アマプラで見れる治療島とか)。
豪華客船の船旅中、妻と息子を亡くした囮捜査官マルティン。二人を亡くした船で暮らす老婆から新たな情報が得られると知り、船に乗り込む。一方、船の中では数週間前に行方不明になった子供が記憶喪失で現れる。またその母親はどこかで拷問されているようだが。。。
豪華客船という閉鎖空間で起こる様々な事件。ジェットコースターのように目まぐるしく展開が変わるため、先が気になり読み進めるのだけど、思ったほどのどんでん返しはなく。。。面白い作品ではあるのだけど。ご都合主義なとこもあり、結構胸糞な感じもあり。
次作は飛行機とのことで、もう少し範囲が狭くなるが、どうなるか。 -
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滅亡の日を憂いでいる彼女の日常に溢れる幸福と悲哀… カシュニッツ作品集第二弾 #ある晴れたXデイに
■きっと読みたくなるレビュー
ドイツ生まれで、戦後1940-60年代に小説や脚本を手掛けたカシュニッツの短編集です。ミステリーではありませんが、人間の深い部分を描いた作品集とのことで、気になっていた一冊です。
どの作品も何かしらの背景を抱えつつ、人間は家族関係を切り取って表現している。幻想的な世界観ではあるものの、心情描写は芯を突いた深い部分を感じることができる作品ばかり。いくつかお気に入りの作品をご紹介します。
●雪解け
夫婦の物語。夫が自宅に帰ると、妻は外を警戒している様子で…
人生を共に歩んできた二人から漏れ出す会話。贖罪よりも失望の念が痛々しい。短いお話なのに永遠にも感じてしまうのは何故だろうか。
●太った子
自宅で子供たちに本を貸していた作家の物語、ある日太った女の子が本を借りに来て…
人間の静かな醜さが光る作品。読んでるといやな気分になるんだけど、自分自身も変わらないと気づかされる。作品全体から感じられる得体のしれない怖さが好き。
●火中の足
痛みや感情が人とは違った女性の物語、日記形式で綴られる。
本作もやたら現実的で辛い気持ちになる。周りの人の優しさが徐々に痛くなってきて、読み終わると虚しさが広がる。彼女には幸せになって欲しい。
●幸せでいっぱい
行方不明になっている子を探す女性の物語。夫からは既に亡くなっていると諭されるが。
人を思いやる幸せな話、そして丁寧な語り口でひたむきな主人公。でも、怖い。
●作家
書けなくなった作家とその妻の物語、彼は転職しようとするが…
人生を共に生きている夫婦という関係性を温かく描いていて幸せに包まれる。色んな苦労があるけど、お互いに支え合って暮らしているのが伝わってきました。
●脱走兵
戦争で逃げ出した兵隊とその妻の物語。絶望と旅立ちの狭間を描いた作品で、愛がヒシヒシと感じられる。
●地滑り
街を巡りながら住むか決めかねていた夫婦の物語。
何かをきっかけに、これまでの夫婦関係や人生を振り返ることってあるよなぁ。人生が終わりに近づいたとき、こんな風に思う日がくるのかしら。
●ある晴れたXデイに
主婦の手記、滅亡の日を憂いでいる彼女の日常を描いた作品。
疫病や戦争を憂う気持ちが伝わってくる。たとえどんな日であっても、いつもの一日と同じく過ごすことが家族にとって一番の幸せですよね。
■ぜっさん推しポイント
人生を長く生きていると、辛いことや悲しいこともある。それでも人は生きていかねばならない。そのためには、愛する人と手を取り合いながら、希望を見つけていくのではないでしょうか。
そんな人々の素直さと静かさを描いたバラエティに富んだ作品群。素敵な時間をいただけたことに感謝したいです。 -
Posted by ブクログ
ドイツの作家による推理小説。ドイツのフリードリッヒ・グラウザー賞(ドイツ推理作家協会賞)新人賞受賞作品。
アンドレアス・ヒューアと言えば、弁護士アイゼンベルクシリーズで知られていますが、こちらは別のシリーズ作品。シノプシスを見ると、主席警部のヴァルナーと上級巡査のクロイトナーのシリーズ作品という事ですが、実際には??
というのも、ドイツの警察制度では、制服警官による外勤の保安警察と、私服勤務がデフォルトの刑事警察と、制服組と私服組が異なる警察組織になるんですよね。なので、日本の様に、制服警察官から始まり、階級が上がって、刑事になると私服勤務になるという事では無いんですよね。なので、ヴァルナーとクロイトナーが、所謂“コンビ”か?と問われると、若干微妙です。まぁ、事件解決に向かって、互いに何らかの関係があるんですけどね。
描かれている事件自体は、非常に重いもの。これが、はっきり言って、若干のドタバタ劇があっての解決なので、読み終わると“不思議”な感じにとらわれました(笑)