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戦争が終わり,皇帝はいなくなった.新しい時代を夢見た人びとは,よりよい明日を求めて戦うが…….一九一八年から一九一九年にかけての冬,ベルリンの貧しい地区で育った少年ヘレは,失敗に終わった革命を目撃する.二十世紀前半のベルリンを舞台に,激動の時代の転換期を労働者一家の目線でとらえた傑作三部作,第一巻.
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Posted by ブクログ
だんだんと不気味さを増していく国内情勢。ヘレの周りでも友達や教師、そして両親の様子が変わっていく様子が描かれこちらまで不安にさせる。幼い妹と弟の世話をしながら翻弄されるヘレが本当に可哀想で、革命にかまける両親には怒りの感情を覚える。次回は主人公が変わるらしいので、楽しみ。
昨年にデビュー作の「オーブランの少女」、そして「戦場のコックたち」を読んだことで、お気に入り作家となった深緑野分(ふかみどりのわき)さん。 Twitterで、ご本人のアカウントをフォローさせていただいていますが、少し前からこの本を激推しされていて、オビの推薦文も書いておられるということで、発売日に書...続きを読む店を3軒回って見つけ、迷いなく手にとりました。 岩波少年文庫を買うのって何年ぶりかなぁ。 「ニールスのふしぎな旅」、「エーミールと探偵たち」、「名探偵カッレくん」、「レムラインさんの超能力」、「シャーロック・ホウムズ(←この表記がレアねww)」シリーズなどなどなど、小中学生の頃はよく読みましたが、50になろうとする年に買うとはいやはや。 さて前置きが長くなりましたが、本作はベルリンの貧しい通りに住むヘレという少年とその家族ゲープハルト一家を中心に、1919年、1933年、1945年といずれもドイツにとっての激動の年代を描く三部作の物語の第一部です。 1918年の11月革命による皇帝の退位とドイツ帝国の終焉〜ワイマール共和国の樹立、その後のスパルタカス団の蜂起と鎮圧の様子などが、生々しく臨場感たっぷりに描かれます。 それらと現在の僕自身を比べてみて、贅沢こそできないものの日々の食べる物には困らない生活、あるいは戦争とは無縁の生活のありがたさをヒシヒシと感じながら読み進めました。 少年向けというよりは、もう少し上のヤングアダルト世代向けに書かれているようですが、読みやすくかつ読み応えがあり、あらゆる世代の心にささる物語です。 革命が起こってから一区切りの終焉までという意味では、描かれる年代は異なるものの「小説フランス革命」を彷彿とさせられ、また第一次世界大戦と社会主義革命を目指す有志たちという観点からは、舞台となる国は違えど「チボー家の人々」を思い起こさせられました。 ここ1〜2年で読んだ別々の本のストーリーが、パズルのピースのようにカチカチとハマっていく感覚を味わえました。これも読書の醍醐味ですね。 第二部の1933が4月に、第三部の1945が6月に出るそうで、買い揃えることが確定しました。
まだ読んでいる途中。 ヘレたちが待ち望んだ革命は中途半端に終わり、エーベルトという日和見主義者に奪われてしまう。 革命のリーダーは、自分たちが何を求めているのかはっきりわかっていなかった。 一旦芽生えた希望が潰えた時、それに抗って再び立ち上がることができるのだろうか。
「ベルリンは晴れているか」の作者深緑野分さん推薦の クラウス・コルドン 「ベルリン1919 赤い水平」は、第一次大戦で敗色濃厚となったドイツ帝国の1918年11月から19年のベルリンを舞台にした小説。 戦争に疲弊した状況を打破しようと水兵が蜂起し、ドイツ革命が起きる。しかし帝国の転覆と同時に主導権争...続きを読むいが起き、当初は優勢と思われていたドイツ共産党の前身スパルタクス団は劣勢に。そして帝政時に権力を握っていた政治家たちが力を取り戻し、ベルリンは激しあり市街戦へと突入していく。これは今から見ると敗戦国ドイツが混迷の中でナチスの台頭を許す、その一瞬前、それとは別の道を歩めたかもしれないベルリンの混沌を貧しい労働者の家庭に生まれたヘレ(ヘルムート・ゲープハルト)という少年の目線から描き出している。 岩波少年文庫で、「中学生以上」となっているが、いや、中学生がこれ読んでも理解はしきれないだろうと思う。でも、読み切ることができれば強い印象も持つだろう。そして、もっと後に読み返した時に印象を新たにするだろう、そんな作品。
おれたちは明日のことを考えるんだ。この世界はずっと昔からある。そしてゆっくりとしか進歩しない。いまになって、急に進歩が速まるわけがないんだ
何ヶ所、号泣したかなあ・・・ 1919年、ドイツ。戦争を終わらせるため、水兵が蜂起したことをきっかけに起こったドイツ革命。それらに命をかけたベルリン市民の闘いを軸に、貧しくも誇り高い主人公ヘレの一家と隣人たちが、世界を、生活を、未来を良くしようと挑む命がけの日々。 大きな時代のうねりをしっかりと...続きを読む描きながら、登場人物それぞれの心の動き、その背景にあるものを蔑ろにしない。とりわけ、主人公ヘレ目線での、家族や友人そして社会に対する心情の描写が素晴らしく、何度も息が止まりそうに切なくなった。 革命がなくても、戦争が終わっても、食うや食わずの苦しい生活の中で、家族や隣人たちと心を寄せ合い、ユーモアを忘れずに暮らすヘレたちの姿に励まされ、その深い人間愛に胸を射抜かれまくりでした。 一ヶ所には到底しぼれないのだけれど・・・ そんな毎日の中でのクリスマス。大切な人へのせいいっぱいの気持ちを贈り合う場面では、彼らの生活や激動の数週間を思うとこみ上げるものが。ラスト近くの送別の場面も、もう泣くに任せるしかない。という状態でした。 こんなすばらしい物語の感想なんてまとめられない!そして、これまで知らないで生きてきたわたしのばか!今読むことができて本当に良かった・・・
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