酒寄進一のレビュー一覧

  • デーミアン

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    日々様々な雑念に惑わされ、本も自分が読みたいものから、世の中で話題になっているもの、仕事で読んだ方が良いもの、と常時10冊以上読むべき本を抱えている。で、「これは本当に読んで良かった」と思えるものは10冊に1冊くらいである。
    で、この『デーミアン』を読んで、古典的名作というものはハズレない、読む価値が必ずある、ということを改めて知った。
    若い頃『車輪の下』は読んでいたのだが、当時から読みたい本、読むべき本を抱えていて、他の作品も読んでみたいと思ってから幾星霜。
    これも若い時に読みたかったと思ったが、今読んでも十分刺激的で、考えさせられるものだった。
    10代の普遍的な悩み苦しみが描かれている

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    2020年07月05日
  • デーミアン

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    WEBで無料公開されていたので再読。高校時代に読んでから何十年もたつのにやっぱりヘッセは好きと再確認。

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    2020年05月04日
  • ベルリン1919 赤い水兵(下)

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    昨年にデビュー作の「オーブランの少女」、そして「戦場のコックたち」を読んだことで、お気に入り作家となった深緑野分(ふかみどりのわき)さん。
    Twitterで、ご本人のアカウントをフォローさせていただいていますが、少し前からこの本を激推しされていて、オビの推薦文も書いておられるということで、発売日に書店を3軒回って見つけ、迷いなく手にとりました。

    岩波少年文庫を買うのって何年ぶりかなぁ。
    「ニールスのふしぎな旅」、「エーミールと探偵たち」、「名探偵カッレくん」、「レムラインさんの超能力」、「シャーロック・ホウムズ(←この表記がレアねww)」シリーズなどなどなど、小中学生の頃はよく読みましたが、

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    2020年02月22日
  • ベルリン1919 赤い水兵(上)

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    昨年にデビュー作の「オーブランの少女」、そして「戦場のコックたち」を読んだことで、お気に入り作家となった深緑野分(ふかみどりのわき)さん。
    Twitterで、ご本人のアカウントをフォローさせていただいていますが、少し前からこの本を激推しされていて、オビの推薦文も書いておられるということで、発売日に書店を3軒回って見つけ、迷いなく手にとりました。

    岩波少年文庫を買うのって何年ぶりかなぁ。
    「ニールスのふしぎな旅」、「エーミールと探偵たち」、「名探偵カッレくん」、「レムラインさんの超能力」、「シャーロック・ホウムズ(←この表記がレアねww)」シリーズなどなどなど、小中学生の頃はよく読みましたが、

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    2020年02月22日
  • 悪しき狼

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    あっちこっちに視点が飛ぶし、慣れない地名はたくさん出てくるし、で最初は置いて行かれそうだったけれど、最後にはちゃんとまとまるんだから、やっぱりすごいな、と。上級検事はわりと早い段階で「あやしくない?」と思ったんだけれど、まさかそういう風につながるとはねぇ!

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    2020年02月01日
  • 生者と死者に告ぐ

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    オリヴァー&ピアシリーズ。息もつかせぬ展開で、最初から最後までハラハラしながら一気読み。ちょうど時期的にも同じくらいのタイミングで読めてよかった。

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    2019年12月22日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    主人公・ライネンは、弁護士になってやっと42日。
    初めて殺人犯の国選弁護人になったが、容疑者、いや、犯人は犯行を認めるものの、動機を明かさない。
    犯行に至るまでのどんな背景が事件にはあったのか、そして、なぜ犯人は動機を明かそうとしないのか。

    何を書いてもネタバレにかすってしまうので、感想を書くのが難しいなあ。
    これから読もうと思う人は、この先を読まないでね。


    いまだにドイツに影を落とし続けているのが、ナチス時代に行った数々の非道。
    犯人であるコリーニがなぜ殺人を犯さなければならなかったのか。
    それもまた、現在に残るナチスの影のせい。
    ナチの生き残りが作った戦後ドイツの法律が、ナチの

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    2019年12月21日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    国選弁護人を引き受けた事件の被害者は親友の祖父だった―。それだけでも十分ドラマ性があるのに、後半の思わぬ展開に、読み終わって呆然としてしまった。語り口も淡々としていてそんなに長い小説でもないのに、じわじわ迫ってくる筆致がすごい。この小説がドイツの政治を動かしてしまったということのもうなずける。
    そして小説で政治が動いてしまうドイツという国もすごい。そのことは日本でもよく問題になるけど、責任の取り方というかそれに対する責任の捉え方が、本当に全然違うんだよなぁ…

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    2019年10月26日
  • 悪しき狼

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    ドイツのミステリ、刑事オリヴァー&ピアのシリーズ、6作目の刊行。
    主席警部のオリヴァーとピアは恋人ではなく同僚で、仕事で認めあっている関係です。

    オリヴァーは離婚後やっと落ち着き、幼い末娘に愛を注ぐ日々。
    前作「穢れた風」まではどうなることかと思わされたけど、まずはよかった、よかった。

    川で少女の変死体が発見され、不審な事実が判明。
    一方、人気女性キャスターが拉致されます。
    さらに、事件が‥
    少女虐待を暗示する描写が挿入され、誰のことなのか、過去のことなのか、救出が間に合うのか‥はらはら。
    絡み合う事件がしだいに大きな姿を見せ始めるのです。
    登場人物が多い中で、すべてを失った男がひっそりと

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    2019年10月08日
  • 禁忌

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    ネタバレ

    ドイツの刑事弁護士を長年経験している著者の作品。
    新作が発表されるたびに必ず手にする作家の1人。
    今回は、小説の技法としてもこれまでの作品とは違う。あたかも主人公のアルバム写真を何枚も見せられて、解説をしたものを集めたように場面展開が細切れ的な文体。これが、わかりにくいと感じる人もいるかもしれない。
    今回のテーマも法廷で浮き彫りになってくる。第二次世界大戦の影響を受けた重いもの。
    読者へ投げかけるテーマが、正義とは?罪とは?など誰もが無関心ではいられない根本的なところに鋭く突き刺さる。
    新作の発売が待ち遠しい。

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    2019年07月31日
  • 犯罪

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    すごかった…うまく言えないけどすごく引き込まれる短編集。二作目から読んだけれどストーリーにはなんの支障もなかった。今作の方がまだ、事件が読みやすいかも。(個人的には二作目のあのもやっとする感じもとても好きだけれど)
    どれもすごかったけれど、タナタ氏はなんか怖いけどすごく印象に残る。チェロのやるせなさもいい、棘と愛情も。なによりエチオピアはぐっときた。

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    2019年07月18日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    鳥肌が立つ。
    この小説を読み私が体感したものの一つ。
    ドイツの法廷劇であり、筆者の淡々とした語り口が、読者とほどよい距離感が保たれており、ページを進めずにはいられない。そして、扱うテーマがとてつもなく奥深く過去の暗い歴史へといざなわれる。読者は自らこの重みを受け止め、対処せざるを得えない。物語の登場人物と、語り手の距離感がそうさせるのだと思う。
    この重厚なテーマをこのページ数で語ることが、著者のすごいところ。ドイツの戦争との向き合い方について、我が国でも参考にするべきことがあるかもしれない。

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    2019年07月13日
  • テロ

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    台本形式(戯曲)の書き方なので、芝居(舞台)をあまり見慣れていない人にはとっつきにくいかもしれませんが、法廷劇や戯曲が好きな人なら絶対に楽しめる作品だと思います。

    ドイツでハイジャック事件が発生し、乗客164名を乗せた飛行機が満員のサッカースタジアムへ向かう。7万人の観衆を救うため、空軍少佐は命令に(あるいは憲法に)背いて旅客機を撃墜、164人を殺害した罪で起訴された。彼は大量殺人者か、それとも7万人を救った英雄か。

    検察側、弁護側双方の主張はどちらも説得力がありましたし、(おそらく)観衆の評決によって被告人が無罪/有罪となる2パターンのエンディングが用意されているのも魅力的でした。
    自分

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    2019年07月13日
  • テロ

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    世界中の人に読むか、触れるかしてもらいたい。法の基本原理どころか人間を人間たらしめるものはなにかという本質にまで触れてくる。怖いけれど、何度でも読んで考え続けなければならないと思う。

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    2019年07月08日
  • デーミアン

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    ネタバレ

    すごく読みやすくてありがたかった。
    それでいて格調もある。

    酒寄氏も解説に記されているとおり、ユング全開といってもいいくらいの作品であることにあらためて驚いた。(それなのにユングに言及されていないという酒寄氏の指摘。おもしろい。)

    ベアトリーチェは見るからにアニマだし、クローマーはたしかに「影」。エヴァ夫人は太母だけれどもアニマ的なところもあるのかな。デーミアンはすべてを包摂した「自己」だと解説には記されていてなるほどと。そうするとラストでシンクレアは自己の統合を果たしたということになるんだろうか。

    西欧の精神史をたどるような内容でもあり、さまざまに読める奥深さを持っている。個人的には、

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    2019年04月01日
  • 悪しき狼

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    ちょっと前に民放テレビで映画「カメラを止めるな」が放送されたとき、冒頭に出演者が出てきて、予告をしていたんですが、「冒頭何分までは、よく分らないかもしれないけど、我慢してみれば、後半は必ず面白くなります。」という趣旨の発言をしていたのが気になりました。カメラではなく、視るのを止めるな、という訴え。
    確かに前半に伏線が一杯張ってあって、分かりにくかったり不自然だったりして、それが後半で回収されていくのが面白さの映画なので、後半まで視てもらわないと、な映画ではありますが、しかし作り手自ら「我慢」って、という違和感。そう、youtubeをはじめとした動画を見慣れた世代は、だらだら退屈な部分はすっ飛ば

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    2019年03月23日
  • テロ

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    よく考えようシリーズ。飛行機がハイジャックされ、サッカースタジアムに突っ込もうと目論むテロが起こる。7万人の観客の命を救うために、160人の乗客を乗せたこの飛行機を撃墜した空軍少佐。この小説はこの事件をめぐり逮捕された空軍少佐の裁判を演劇風に表現したもので、生存権とは、法律とは、市民を守ることとは、命の数を天秤にかけることの是非などの主張が対立する。いわゆるトロッコ問題を、テロを絡ませてとてもリアルに再現して問いかけている。私たちがもっとも苦手とする正解のない、果てしない議論であり、太平洋戦争時代から、シン・ゴジラが来襲した時にも首脳陣が見せた結論先送り・事なかれ主義的なことでは済まされない、

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    2019年02月15日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    禁忌と同じタイミングで読んだため、すこしキャラクターが混じってしまった。
    基本的にこの人の作品では、警察、法曹界野の人たちは常に善良に自身の仕事と向き合っていて、嫌な人間がいないところが良い。
    被害者の二面性、被告人の救われなさ、さすが弁護士、と感心した。おまけに、これは自分自身の話でもあるなんて。すごい。

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    2019年02月10日
  • 悪しき狼

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    ドイツミステリーの女王による、オリヴァー&ピア刑事のシリーズももう6作目。川で少女の遺体が見つかった。凄まじい暴行の跡があった。身元がなかなか分からない。肺にあったのは塩素で消毒された水なので、川で溺死したのではない・・・人気ドキュメント番組のキャスター、ハンナ・ヘルツマンは、大きなネタを掴んだ。極秘裏に取材を進めていくと、とんでもないことが分かってきた。しかし・・・ピアの友人エマは、シングルマザーとその子供のための協会「太陽の子協会」の創始者の息子と結婚し、義父、義母と共に暮らしている。しかし、夫は家庭を顧みず・・・トレーラーハウスで暮らす貧しい男は、裏で弁護士のような仕事をしている

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    2018年12月27日
  • テロ

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    "哲学的命題。マイケル・サンデルさんの「これからの「正義」の話をしよう」の最初に登場するジレンマを戯曲にした作品という印象を持った。
    1人を殺すことで5人を救えるとしたら、その一人を殺すべきなのか?
    本書では、テロリストにハイジャックされた航空機をミサイルで撃ち落としたパイロットが被告として法廷で裁かれる場面を描いている。
    テロリストの意思通りことが運べば7万人で満員になったスタジアムに墜落させ多くの人の命を奪うことになった。
    乗客約200人の命と7万人のスタジアムにいる人々の命が天秤にかけられるべきなのか?我々は法治国家に生きており、すべてを法律原則通りに行動することが正しいのか?

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    2018年11月24日