酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
刑事オリヴァー&ピアのシリーズ、9作目。
ドイツの警察小説です。
前作でオリヴァーの子供時代からの人間関係に絡む事件が起き、疲れ果てたオリヴァーは制度にある長期休暇を取りました。
オリヴァーは警察ではリーダーで人柄も見た目もなかなかいい男だが、やや女運が悪く振り回されがち。
とはいえ、ここへ来て落ち着いたよう(笑)
ピアは(何年も前になりますが)元夫と別居してこの地で農場を買い、警察の仕事に復帰、今では資格も先輩のオリヴァーと同等の主席警部に。お似合いの相手クリストフと再婚もしています。
さて、オリヴァーが復帰しての新たな事件。
とある邸宅の主人が亡くなっているのが見つかった。
さらに、犬舎の下に死体が埋められていたことが発覚。思わぬ大事件に発展します。
かって主人夫妻は多くの孤児を預かっており、虐待の噂もあったが真相はわかっていなかった。捜査していくと、関係者に複数の行方不明者がいることが判明します。
それは5月、母の日の頃に起きていた…
ピアの妹のキムもまだ登場していて、意外に不安定な面も見せたりして、当初の予想より役割が重要になっていきます。
ピアの家族というのが長い間よくわからなかったのだが、旧弊な両親は娘たちの職業を今も快く思わっていないことなど、ドイツもそんなに開明的ではないのだねえ。
疎遠な妹へ抱くピアのコンプレックスや、上手く行かなかった理由とは。
生き生きと描かれる登場人物たち、数多い人たちが社会をなしている様子、現代の様々な問題を取り上げつつ、この特別な悲劇を解き明かしていく筆力はさすがです。
そして、真相に近づくにつれ、思わぬ出会いも…
今回も、胸に迫る読みごたえがありました。 -
Posted by ブクログ
シリーズベスト級。孤児を受け入れていたラインフェラート家の年老いたテオが死んだ。調べると犬のケージからラップフィルムに包まれた遺体が3体。テオが連続殺人鬼なのか?
すごく時間がかかった。しかしその甲斐あり。
登場人物の多さ、被疑者の多さ。それを正当化するどんでん返しアンドどんでん返し。素晴らしい。
※自分用ネタバレ
犯人は、孤児院で育ち、子供を捨てた母親を憎み、テレビで子供を捨てたことを話した母親を連続して殺した。刑事ピアの妹キムも実はレイプされた子を、親友の産婦人科医を通して、不妊のカップルにあげてしまっていた。そのため犯人に狙われた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレオリヴァ―とピアシリーズの第9作。
新聞配達人が発見した老人の遺体。
大きなお屋敷は、以前里子を多く引き取っていた。
死にかけていた犬のゲージの中から白骨が発見され、
母の日に起こっていた連続殺人へと広がっていく。
もう一つのお話として、実の母親を捜している女性の話が
重なってくるが、まさかそれがピアの妹のことだとは思わなかった。
二人とも無事助かって良かった。
ショックだったのは、ピアが白樺農場を売ったこと。
あんなに楽しそうに馬の世話をしていたのに、
馬も犬も亡くなってしまったのもショックだった。
五十歳を目前にして、夫が住んでいた家を買い戻し、
街に戻ってきた。
新しい生活になじんでいるのを読んで、
なんだか自分も引っ越ししたくなってきた。 -
Posted by ブクログ
待ちに待ったネレ・ノイハウスの新作。
事件の原因などの陰湿な導入は、作者らしさに磨きがかかり、綿密だった!
冒頭と挿入のエピソードの惑わせ方が良かった。信じてる読み手を本当に惑わせてくれる。
シリーズを読んだ人なら、本作の深い湿度の事件の発端が、映像として今までの作品以上に脳内に表れるのではないでしょうか?
取材力というか、編集者さんの力というか、今のテクニカルな手法も絡めてつつ、問題提起を書く作者のメッセージが作者らしく力強い。これは過去No.1。導入と表現とロジックの妙が生きている。
オリヴァーでは無く、今回の主人公はピア、そして強くならざるを得ない女性達だから、最後はあんなにハリウッド的なのだろうか?
ドイツ色があるのはオリヴァーだからだろう。本作はピアのものだ!
とにかく、面白かった。エンタメ性がとても高い
ネレ・ノイハウス大好きだ。 -
Posted by ブクログ
オリヴァー&ピアのシリーズも8作目。
重厚な部分と、生き生きと親しみやすい部分を兼ね備えたシリーズです。
前作「生者と死者に告ぐ」はミステリとして枠組みがユニークで、スピーディな展開と感じました。
今作は、オリヴァーの過去に関わる、シリーズ中でも重要な作品です。
こういう展開になることを見据えて書かれていたシリーズだったのだなあと認識を新たにしました。
オリヴァーは、主席警部。
長身で男前の、性格もなかなかいい方の50代。
少し年下のピアは部下で、相方、金髪で明るい性格。恋人というわけではないのですが、夫婦よりも一緒にいる時間が長いほどでもあり、信頼し合う間柄です。
キャンプ場でトレーラーが爆発、放火事件とわかります。トレーラーの所有者は高齢で施設にいましたが、そこでも事件が。
さらに‥
オリヴァーの住む地域で、怪事件が起きていくのです。
オリヴァーはフォン・ボーデンシュタインという貴族の家系の出で、今は昔のように領地があるわけではありませんが、城では弟がレストランを経営、観光地となって存続しています。
村人は皆、子供の頃からよく知っている人ばかり。
実は40年も前に、少年の行方不明事件がありました。ロシアからの移民の子で孤立気味でしたが、オリヴァーは守ろうという意識があった。
それなのに、守れなかった…
それは心の奥の痛みとなって残っていたのです。
次第に明らかになっていく過去の事情。
登場人物が多いのは大変ですが。
年月が経っていったことを感じ取りながら、オリヴァーが確かめていく家族関係や様々な変化。
それを描き出していく筆力と、容赦のない真実。
離婚から何かと不安定だったオリヴァーが、前作で知り合ったお似合いの女性と付き合っていることが救いです。
オリヴァーを心配していたピアは胸を痛めますが。
真相が明らかになったことは、やはり救いともなるのでしょう。
期待通り、期待以上の、読みごたえがありました。