酒寄進一のレビュー一覧
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刑事事件弁護士として活躍する著者が、罪と罰の在り方を問う12編。
デビュー作『犯罪』、第二短編集『罪悪』に続く短編集3作目。翻訳者さんによるあとがきによると、作者さんは当初から三部作を構想していたそうです。
作中でどんな犯罪を描こうとも、書き方は常に淡々としていて心情描写も薄い。それなのに、何故か心がざらつく読後感。
犯罪と、罪と向かい合う仕事についている筆者さんにしか書けないものがある気がします。
解説でも似たようなことが書かれていますが、釣り合わない罪と罰、理想をもってなったはずの弁護士という仕事の理想と現実、現実のような虚構と虚構のような現実。そんなすべてをひっくるめた現実のやる -
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今年の11月は濃厚過ぎたw
ってな事でフェルディナント・フォン・シーラッハの『テロ』
ドイツ上空で164人を乗せた旅客機がハイジャックされた。その旅客機は7万人の観客が居るサッカースタジアムへ向けて突っ込もうとしている。
緊急出動したラース・コッホ少佐は極限の状況で164人を乗せた旅客機か7万人居るサッカースタジアムをどちらかを犠牲にしないといけない状況下の中で旅客機を撃墜し164人を殺害し7万人を救った事になるが……。
その事に付いての裁判審議小説。
考えさせられる内容。究極の選択。どちらが正しいとは言えないもどかしさが有るけど、あなたなら有罪、無罪どちらを選択する?
どちらも -
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シリーズ第三弾。
クリスマスの朝、女優カタリーナ・ミルルートの娘、レーニが射殺さる事件が発生。
この件はレーニの叔父による過失致死という事で執行猶予判決が下り、解決したかに見えていました。
それから数ヶ月後、復活祭前の聖週間にミースバッハ刑事警察の問題児・クロイトナーの知人の配送車の中から、ミルルート家と因縁のある元女優の死体が発見されます。
死体を発見したクロイトナー巡査(お約束)と偶然居合わせたヴァルナー警部は、これを機にレーニ射殺事件も再調査することに・・。
まさに“ドイツ版・両津勘吉”といった感のある、クロイトナー。
この巻でも今まで以上にやらかしまくっていて、よく警察をクビになら -
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タイトルに惹かれて読んでみた。
近年目にした映画(『犯罪』『コリーニ事件』)の原作者なのね。ご職業は弁護士だとか。
エッセイともルポとも短編とも見分けのつきにくい話が、長短さまざま48篇収められている。ブツブツと寸断されるので、なかなか読みすすむ勢いがつかず時間がかかった。
とはいえ、そんなにサクサクと読む類の文章でもない。
機知に富み、情報量も多い話が、職業柄か、理路整然とドライな筆致で綴られる。
48篇それぞれの長さも(短いものは1ページにも満たない)、著者の独特のリズムなのだろうなと思う。
「物書きであれば、創作した人間と言葉を交わし、その人たちと人生を共にできる。書く合 -
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やや星新一のようなブラックな読後感の短編集です。
こちらはSFではなく、ミステリですが。
人を殺した、という「罪」を抱く人々が裁判を通して「罰」を受けるというのが法治国家の当たり前の姿ですが、証拠として揃ったものから論理的に判断しているようにみえても、巧妙に真相が隠されていたり、罪を被った人が実は騙されていたりと、複雑な人間模様が濃縮された作品集です。
荒唐無稽な設定はなく、淡々と描かれる登場人物の描写にはリアリティがある一方で、やや「盛り上がり」に賭ける部分があるかもしれません。
イメージでいうと、どの作品も「どんよりした雲り空」のような雰囲気で、不快ではないし雨が降ったようなしんみりと -
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シリーズ第二弾。
ドイツ南部、リーダーシュタイン山の山頂で、クメーダーという男が射殺される事件が発生。
クメーダーは、死の直前に偶々居合わせたクロイトナー上級巡査に二年前に失踪した恋人の行方を、弁護士・ファルキングが知っていると告げていて・・・。
タイトルになっている「羊の頭」とは、バイエルン州の伝統的なカードゲーム・「Schafkopf(羊の頭)」のことで、本文中にも登場人物達がSchafkopfに興じる場面が出てきます。
さて、前作で凍結した湖で少女の死体を発見し、本作では、目の前で男が射殺されるという、相変わらず“持っている”クロイトナーと、祖父のマンフレート爺さんの“現役っぷり”に -
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『弁護士アイゼンベルク』シリーズが面白かったので、同著者のデビュー作だという本書を手に取ってみました。
ドイツ南部の凍てついた湖の氷の下から、少女の死体が発見されます。
殺人事件として捜査が開始されますが、捜査の指揮をとるヴァルナー主席警部の自宅屋根の上から、新たな少女の死体が発見されて・・。
連続殺人事件のパートと雪山で大ピンチになっている父娘のパートが交互に描かれる展開からスタート。
デビュー作という事もあってか、序盤は文章がちょっと読みずらい部分もありましたが、地名やキャラ特性がわかってくるにつれ、プロット自体はよくできていることもあって徐々に引き込まれていきました。
死体に隠された