酒寄進一のレビュー一覧

  • その昔、N市では

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    夫かと思ったら白熊と話していたお話から始まり、第二次世界大戦を生きた作者であるからこそ生まれたであろう、夢と現実の狭間を浮遊するような感覚になる短編集だった。不思議な気持ちになりながらも次はどんな突飛な設定なんだろうという期待からページを捲る手が止まらなかった。

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    2024年12月01日
  • ケストナーの戦争日記 1941-1945

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    ドイツにとどまり続けたケストナーの敗戦へ向かうドイツの日記。膨大な注釈や索引があり、読み込むのになかなかのハードルだったが、ケストナーの反骨精神が垣間見られる。

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    2024年11月27日
  • ベルリン1919 赤い水兵(下)

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    おれたちは明日のことを考えるんだ。この世界はずっと昔からある。そしてゆっくりとしか進歩しない。いまになって、急に進歩が速まるわけがないんだ

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    2024年10月22日
  • 終戦日記一九四五

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    「ケストナーの戦争日記」という邦題で刊行された「青い本」の該当個所との異同や加筆個所が結構あるので「青い本」を元にした日記風の文学作品と見なした方がよさそうだ。「アンネの日記研究版」や「福音書対観表」のように「終戦日記」と「青い本」の該当個所を対照にした本があればいいのに。少なくとも「青い本」との異同個所を注に記したらどうだろうか?
     邦訳者は旧訳の邦訳者の高橋健二を日本文学報国会の幹事や「大政翼賛会文化部長の要職にもついていた」と批判しているが「青い本」に引き摺られたのか?初刷ではグデーリアンの記者会見を記した個所で「そのひとつを朗読した」を落としている。担当編集者はドイツ語が出来なくても高

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    2024年09月07日
  • 犯罪

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    2010年クライスト賞(ドイツ)
    2012年本屋大賞〈翻訳小説部門〉
    『このミステリーがすごい!2012年版』海外編第2位
    週刊文春2011ミステリーベスト10 海外部門第2位
    『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇第2位

    いわゆるミステリー小説ではなく、様々な「犯罪」の話を刑事事件専門の弁護士である著者が語る11編からなる短編集。
    伏線やどんでん返しのようなドキドキする展開はなく、被告人が罪を犯すに至った過程を読み、客観的に罪について考えさせられる。
    被告人は善人だったり、精神を病んでいることが多く、ただ犯罪者とくくれない複雑さがある。
    やるせない気持ちでちょっと重たい気持ちになった。

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    2024年08月30日
  • ある晴れたXデイに

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    以前読んだ『その昔、N市では』のほうが好みの話が多かったかもしれない。

    好きだったのは、
    「太った子」
    「火中の足」
    「幸せでいっぱい」
    かな。

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    2024年07月15日
  • モナ・リザ・ウイルス 下

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    ネタバレ

    画像を破壊するコンピュータウィルス、美人コンテスト参加者の誘拐、蜂の大量死、美術品蒐集家の失踪、そして過去の物語が、世界中を移動しながら展開する。広げ過ぎた感はあるが、謎を残しつつ上手くまとめられているのは良。佳作なので他の作品もあれば読みたい。
    アート好きとしては、やや許せん扱いもあるが、演出の一環。過去の話は創作だろうか、何か元ネタがあるなら知りたい。

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    2024年06月11日
  • 森の中に埋めた

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    オリヴァー&ピアシリーズ8作目。オリヴァーが住む村で起こった連続殺人事件。幼少期から知る人々に嫌疑がかかる。友人だったソ連移民の少年の死が発端となるが、同時に死んだキツネの死も切ない。ドイツの閉鎖的な村社会と複雑な人間関係を背景に、今回も重厚で読み応えのある作品となった。

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    2024年06月02日
  • 乗客ナンバー23の消失

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    一言でいうとミステリーではあるが、全体の構成がわかるまで少し時間がかかる。いわゆるどんでん返しが2回は用意してあります。
    話自体は楽しめますが、海外のこの類の本を読むとホント虐待、特に子どもに対する性的虐待の話題が多いのは嘆かわしい。でも、もう日本もそうなのか、、、。セックス描写と暴力描写がどうしても海外小説では目立つ気がする。

    そういえば、作中に出てくるこそ泥の兄ちゃんはもう少し活躍すると思ったんだけどな~

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    2024年05月13日
  • その昔、N市では

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    序盤のいくつかの作品がシュールさしか感じられず読み切れるか不安になったけど中盤以降から面白い作品が出てきたので諦めずに読んだほうがいいかもしれない。同時期にシャーリイ・ジャクスンの短編集も読んでいたが個人的にはこちらのほうが好き。

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    2024年05月13日
  • 独裁者の学校

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    ケストナーが戦後(1952)に書いた戯曲。独裁者がすでに亡くなり、影武者たちが交代交代で代役を務めるというブラックユーモアあふれる作品。
     まず、独裁者が議会の推薦の元、終身職に就くってどこのロシアよ、と勘繰りたくなってしまうが、結局今も昔もやっていることは変わらないということ。またその演説も最近ロシアでよく聞いたなぁという保護の名のもとの侵略正当化と何でもかんでも外国のスパイに仕立てるというこれも最近よく耳にするフレーズ。
     その後状況は二転三転するが、結局あまり変わらないのが世の常という落ちもまた現実でもよくある話。同じことを繰り返して人間飽きないのか。
     独裁者やって飽きたら交代する/交

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    2024年04月24日
  • 穢れた風

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    刑事オリヴァー&ピアシリーズ5作目。風力発電施設建設会社で夜警の死体が発見された。風力発電推進派と反対派の対立、国家的なデータの改竄や汚職が露呈され、事件は複雑に慌ただしく展開される。今回は、オリヴァーの情けなくも人間的な面と、ピアの逞しさが際立つ。
    このシリーズは順番通りに読むと、捜査メンバーの人間関係の変化やプライベートも楽しめる。

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    2024年03月22日
  • 刑罰

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    ネタバレ

    ・感想
    シーラッハはコリーニ事件しか読んでないけど淡々とした平易な文章は変わらず。
    様々な事件のその罪の在り処と与えられる罰の話。
    善と悪とかではなく罪と罰の話ではその「罪」は法治国家である以上は法律によって裁かれ、与えられる罰の量も法律によって決まる。

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    2024年03月06日
  • 犯罪

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    刑事事件専門の弁護士である作者が罪を犯した人々を描く短編集。

    ・感想
    シーラッハ3作目なんだけど特徴的な修飾のない平易な文体は読んでると自分が参審員になった気持ちになる。
    罪に問えない、問いたくない…物事は全て複雑。
    特に好きなのは序、フェーナー氏、棘、エチオピアの男。
    最後の「これはリンゴではない」という一文と解説を読んで前編にリンゴが出てるのに気づいた…w

    「緑」で最後に「自分の数字は緑」と言うんだけど…これはどういう事なんだろう?
    さっぱり意味がわからない…。

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    2024年03月02日
  • 死体は笑みを招く

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    刑事オリヴァー&ピアシリーズ2作目。動物園の敷地内で、バラバラ死体が発見される。環境活動家や政治汚職も複雑に絡み、容疑者も多い。煩雑なストーリーだが、ピアの恋人も今回、初登場。紳士的なオリヴァーの人間臭い面も見られ、心が和む。

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    2024年03月02日
  • その昔、N市では

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    15編の短編集。
    「長距離電話」は電話の会話だけが延々と続く。
    家族の会話が予期せぬ方向へ進む。
    表題作「その昔、N市では」が秀逸。
    遺稿で70年代以前の作品だがAIが活躍する近未来のような感覚になる。
    驚く。

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    2024年02月17日
  • 新訳 メトロポリス

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    1927年のドイツ映画、メトロポリスの小説版。といっても単なるノベライズではなく、当時の監督が同時に発表した、いわゆるメディアミックスの走りみたいなものである。
     未来都市メトロポリス(のちの各種SFの一見未来都市だけど実はディストピア都市の原型)にて、支配者の息子を主人公に、ホワイトカラーと労働者層の対立、ヒロインに化けるアンドロイドの存在など社会的、そしてSF的な展開で話が進む。
     何よりも、あとがきの充実さが素晴らしい。時代背景をもとに映画の監督たちの話をみっちりとしてくれる。

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    2024年02月03日
  • 刑罰

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    刑事事件弁護士として活躍する著者が、罪と罰の在り方を問う12編。


    デビュー作『犯罪』、第二短編集『罪悪』に続く短編集3作目。翻訳者さんによるあとがきによると、作者さんは当初から三部作を構想していたそうです。

    作中でどんな犯罪を描こうとも、書き方は常に淡々としていて心情描写も薄い。それなのに、何故か心がざらつく読後感。
    犯罪と、罪と向かい合う仕事についている筆者さんにしか書けないものがある気がします。

    解説でも似たようなことが書かれていますが、釣り合わない罪と罰、理想をもってなったはずの弁護士という仕事の理想と現実、現実のような虚構と虚構のような現実。そんなすべてをひっくるめた現実のやる

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    2024年01月23日
  • テロ

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    今年の11月は濃厚過ぎたw

    ってな事でフェルディナント・フォン・シーラッハの『テロ』

    ドイツ上空で164人を乗せた旅客機がハイジャックされた。その旅客機は7万人の観客が居るサッカースタジアムへ向けて突っ込もうとしている。

    緊急出動したラース・コッホ少佐は極限の状況で164人を乗せた旅客機か7万人居るサッカースタジアムをどちらかを犠牲にしないといけない状況下の中で旅客機を撃墜し164人を殺害し7万人を救った事になるが……。

    その事に付いての裁判審議小説。

    考えさせられる内容。究極の選択。どちらが正しいとは言えないもどかしさが有るけど、あなたなら有罪、無罪どちらを選択する?

    どちらも

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    2024年01月21日
  • 神

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    戯曲形式で自死の問題を議論する書籍。高齢化が進むなか、自分も100歳を超えて自力でご飯が食べれなくなったらどう考えるかなと思っていた。本作品は78歳で妻に先立たれた人が医師による自死を求めて訴えるという内容。自分が思っていた対象とは少し異なるが、一度認められるとどんどん拡大解釈され、優性思想が蔓延りかねない。また、本書は著者がドイツ人のため、自死してはいけないという意見は宗教的な面から議論されていてそれも日本とは異なる状況だった。あとがきに記されていたがまずは日本独自の死生観を議論することが大事だと思う。

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    2024年01月07日