あらすじ
「母さんが誘拐された」ミュンヘン市警の捜査官ザビーネは、離れて住む父から知らせを受ける。母親は見つかった――大聖堂で、パイプオルガンの演奏台にくくりつけられて。遺体の脇にはインクの入ったバケツが置かれ、口にはホース、その先には漏斗が。処刑か、なにかの見立てなのか? おまけに父が容疑者として勾留されてしまった。ザビーネは父の嫌疑を晴らすべく、連邦刑事局の腕利き変人分析官の捜査に同行する。そして浮かび上がったのは、ひと月半のあいだに、別々の都市の聖堂で、同様に奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む!
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Posted by ブクログ
「夏を殺す少女」と同じ作者だったので。
冒頭から女性が次々と残虐な殺され方をして、
かなり読み進めるのが辛い。
その中の一人は女性刑事ザビーネの母親で、
誘拐され、インクで溺死させられ、大聖堂で発見された。
誘拐犯は離婚した父親に電話をし、
なぜ誘拐されたのかという謎を解けば解放すると言っていた。
その説明を信じない警察は、父親を殺人の容疑者として拘束する。
捜査に現われた連邦刑事局の誘拐捜査官スナイデルは、
全てを三言で説明しろと言い、マリファナを吸い、
群発頭痛持ちで、緩和のために鍼を打ち、
特定の本屋から本を万引きせずにはいられない強迫症の持ち主。
誰とも協力せずに捜査を行うが、
ザビーネが同じように誘拐され殺された女性たちの共通点に気づいたことから、
捜査を手伝わせることにする。
さらに、もう一人の主人公とも言って良いだろう、
セラピストの女性の存在がやっかいだ。
この女性は、警察の司法心理学者だったが、
連続殺人事件を止められなかったスケープゴートとして非難され、
殺人犯に恋人の子供を殺され、仕事も恋人も失う過去を持つ。
そのため、夫は検察官だというのに、
切断された指が届けられても、夫にも警察にも知らせようとはしない。
その点がどうもひっかかるというか、納得いかないし、
なりより、その過去の連続殺人事件が気になってしょうがない。
翻訳ものにはありがちだけど、
シリーズ二作目から翻訳されたのか?と疑問が、
頭を離れなかった。
「もじゃもじゃペーター」というほんのりどこかで聞いたことのある童謡が
モチーフになっていること、
殺人の順番が幻の初版本に従っていること、
ザビーネが万引きしたと思わせて買った本をスナイデルにプレゼントした場面が
面白かった。
それと、セラピストの愛犬が無事でよかった。
Posted by ブクログ
オーストリアの作家「アンドレアス・グルーバー」の長篇ミステリ作品『月の夜は暗く(原題:Todesfrist)』を読みました。
ここのところドイツミステリが続いていましたが、今回は同じドイツ語圏のオーストリアミステリです、、、
「アンドレアス・グルーバー」の作品は、約2年振りで3作品目ですね。
-----story-------------
「母さんが誘拐された」ミュンヘン市警の捜査官「ザビーネ」は、父から知らせを受ける。
母親は見つかった。
大聖堂で、パイプオルガンの脚にくくりつけられて。
遺体の脇にはインクの缶。口にはホース、その先には漏斗が。
処刑か、なにかの見立てか。
「ザビーネ」は連邦刑事局の腕利き変人分析官と共に犯人を追う。
そして浮かび上がったのは、別々の都市で奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。
『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む。
訳者あとがき=「酒寄進一」
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2012年(平成24年)に刊行された、ミュンヘンの女性刑事「ザビーネ・ネーメス」とドイツ連邦刑事局の事件分析官「マールテン・S・スナイデル」を主人公としたシリーズの第1作です。
■プロローグ
■第一部 二ヶ月後 五月二十二日日曜日から五月二十三日日曜日
■第二部 五月二十四日火曜日
■第三部 五月二十五日水曜日
■エピローグ
■訳者あとがき
母が誘拐され殺された… 遺体は大聖堂のパイプオルガンの演奏台にくくりつけられ、脇にはインクのバケツ、口にはホース、その先には漏斗が、、、
容疑者にされた父の疑いを晴らすべく、ミュンヘン市警の捜査官「ザビーネ・ネーメス」は腕利き変人分析官「マールテン・S・スナイデル」と犯人を追う… 浮かんできたのは、別々の都市の聖堂で、同様に奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。
ドイツで有名な絵本『もじゃもじゃペーター』を見立てた猟奇殺人事件(凄惨で残虐な殺害、虐待シーンは、想像力オフで読む必要あり)を企てるサイコパスを探し当てて、追い詰めるのは、「マールテン・S・スナイデル」と「ザビーネ・ネーメス」の凸凹コンビ… 偏屈で高圧的、マリファナを嗜み、本の万引きがライフワークという変人「マールテン・S・スナイデル」と、がむしゃらで事件解決のためなら規則も無視して突き進む「ザビーネ・ネーメス」のコンビが絶妙ですねー
「アンドレアス・グルーバー」は相変わらず巧い… 序盤から物語にぐいぐい惹きつけられて、ラストに向けての怒涛の展開は読み応え十分、、、
掛け値なしに愉しめるサスペンス作品でしたねー この凸凹コンビを主人公とした物語は、本国では続篇が刊行されているようですが、日本語に翻訳されていないようなんですよね… 翻訳される日を心待ちにしています。
Posted by ブクログ
いつも通り、幼児期に虐待された犯人とトラウマ持ちの主人公たちのはなし。連続殺人の殺し方がエグい。
最初は展開がまだるっこしいが、途中から出てくる変人分析官のキャラが良かったので最後まで楽しめた。私も彼にハグされたい。
Posted by ブクログ
母が誘拐され殺された。遺体は大聖堂のパイプオルガンの演奏台にくくりつけられ、脇にはインクのバケツ。口にはホース、その先には漏斗が。容疑者にされた父の疑いを晴らすべく、ミュンヘン市警の捜査官ザビーネは腕利き変人分析官と犯人を追う。浮かんできたのは、別々の都市の聖堂で、同様に奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む。
グ、グロい。けれど一気読み。
Posted by ブクログ
★3.5
事件分析官と言えば、同じくドイツのアーベルト&クリストシリーズがある。偏屈者とそれに振り回される女性相棒が猟奇的な連続殺人に挑む、という似た設定だ。どちらも気楽に読めるエンターテイメント(以上でも以下でもない)だが、本作は2人のセラピストパートを上手く組み込んでいて先行きのハラハラ感にぐいぐい引っ張られた。
ただ後半、舞台がウィーンに移ってからはスナイデルの変人ぶりが影を潜め、ヘレンの存在感がドイツの2人組より優ったような気がする。さらに事件後半はご都合主義が目立って少し雑な収束感が否めない。シリーズらしいので次作に期待したい。
Posted by ブクログ
前二作が面白かったのでリピート。ハードルを上げ過ぎたのか期待ほどではなかったです。
ヒロインの母親が殺されるというオープニングからして驚いた。でもって父親が容疑者?! 長年音信不通の間柄ならまだしも、良好な親子関係を保つヒロインをいきなり酷な状況に追い込むんだなというモヤモヤなスタート。
『夏を殺す少女』っぽい凝った構成は、後半に活きてくる。でも謎解き度は低めで、心理的な謎で読ませるストーリーになっている。犯人の動機と被害者の共通点に若干の強引さを感じないでもないけど。見立て殺人のカラーも薄めかな。
読みどころはヒロインと変人分析官のコンビでしょう。USAドラマ『BONES』の男女が入れ替わったバージョンだなと連想してしまってからはそうとしか見えず、エンタメ路線寄りの展開が妙にもどかしかった。面白いんだけど、ちょっと胸やけしたかな。次回作に向けてビミョーな感じの読後感になっちまった。