酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★3.5
事件分析官と言えば、同じくドイツのアーベルト&クリストシリーズがある。偏屈者とそれに振り回される女性相棒が猟奇的な連続殺人に挑む、という似た設定だ。どちらも気楽に読めるエンターテイメント(以上でも以下でもない)だが、本作は2人のセラピストパートを上手く組み込んでいて先行きのハラハラ感にぐいぐい引っ張られた。
ただ後半、舞台がウィーンに移ってからはスナイデルの変人ぶりが影を潜め、ヘレンの存在感がドイツの2人組より優ったような気がする。さらに事件後半はご都合主義が目立って少し雑な収束感が否めない。シリーズらしいので次作に期待したい。 -
Posted by ブクログ
本作を土台とした、芝居を観賞した記録として。
超都市メトロポリスを舞台に、地の底で機械のように働く人々と、それを支配する立場の人間。やがて、機械人間に煽り立てられた労働者たちが暴徒化していく。
最初のうちは労働者と支配階級を描いた社会派の話に思えたが、徐々に主人公の心の内の葛藤を描いた隠喩のようにも受け止められた。ダンスを盛り込んだ身体表現やミュージカル的な歌も駆使して、解釈を観客に委ねる幅をもたせた脚本、演出の効果と思われる。ただ、その分感情移入することは難しく、舞台としての求心力に欠ける。
支配者の息子役の森山未來、身体能力はもう抜群で、動き、静止ポーズ、どれを取っても美しい。以前観 -
Posted by ブクログ
うーん、よくわからん。ハイジャックされた航空機が、7万人を収容するサッカー場に突っ込もうとしている。法に従った命令を無視し、航空機を撃墜して乗客を死なせた軍人の行為は有罪か無罪か。二通りの結論が用意された戯曲なのだが…。
「法」について語ろうとしているのか、「倫理」についてなのか、あるいはその関係を問題にしているのか。これまでの作品では、そいういうものではとらえきれない人間の「わからない」部分に、作者の目は注がれていたと思う。してみるとこれも、黒でもあり白とも言える曖昧さに力点があるのだろうか。やはりよくわかりませんでした。
ついでに。作中で言及される「転轍器係の問題」(暴走する貨物列車 -
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ネレ・ノイハウスさんのオリヴァーとピアシリーズ第一弾。
飛び降り自殺と思われる女性の遺体が発見される。しかし、解剖の結果、飛び降り自殺ではなく毒物による死亡であることが判明する。
捜査に当たるオリヴァーとピアは、亡くなった美しい女性は周囲の人間に憎まれていたことがわかる。
推理作品では、被害者に全く非がないのに殺されてしまう気の毒なものと、被害者が結構な悪人でこういうことになっても仕方ないかもと思わせるものと、どちらかになることが多い。この作品は、後者に当たる。
好みだと思うけれど、わたしは特に悪いこともしていないのに殺されてしまう作品はちょっと苦手だ。作り事であっても、そんな不条理な話は -
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あ、あれ…?前作の「犯罪」が好きだったから手に取った続編。のはずなんだけど、こんなだったっけ…?
ざっとしか読み比べてないから違うかもしれないけど、随分「小説」に近づいた印象。前作は裁判記録や弁護士として聞いた証言から「最低限の物語」を抽出していた感じがする。表現は端的で正確、筆者の想像力は最低限に抑えられている、それでも溢れる人間味、ドラマ。そんなところに魅力を感じていたような。
今作はより作者の想像に彩られている。言ってしまえば事件中の会話が増大してる。「鍵」なんかはもうクライムノベルだよね。もちろん楽しんだけど、期待とのギャップが、、、うーん。
こんな批判はあんまりフェアではないとも思っ -
Posted by ブクログ
前二作が面白かったのでリピート。ハードルを上げ過ぎたのか期待ほどではなかったです。
ヒロインの母親が殺されるというオープニングからして驚いた。でもって父親が容疑者?! 長年音信不通の間柄ならまだしも、良好な親子関係を保つヒロインをいきなり酷な状況に追い込むんだなというモヤモヤなスタート。
『夏を殺す少女』っぽい凝った構成は、後半に活きてくる。でも謎解き度は低めで、心理的な謎で読ませるストーリーになっている。犯人の動機と被害者の共通点に若干の強引さを感じないでもないけど。見立て殺人のカラーも薄めかな。
読みどころはヒロインと変人分析官のコンビでしょう。USAドラマ『BONES』の男女が入れ