【感想・ネタバレ】黒のクイーンのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年03月02日

「夏を殺す少女」で鮮烈な日本デビューを飾った作者による傑作ミステリ。
行方不明になった保険会社の女性調査員を探す依頼を受けたホガートがプラハで連続殺人事件の調査をしている女性私立探偵と知り合い、その事件にも巻き込まれて行く。
先に挙げた「夏を殺す少女」と比較すると、ジックリと物語が展開するイメージだ...続きを読むが、まどろっこしさなどはなく、謎が謎を呼ぶ展開は先を読む手を休ませない。
「夏を〜」と共通する点といえば、主人公が身体的にハンディとなるものを持っている点や主人公とともに活躍する女性にトラウマとなるような過去がある点、二人が謎を解決するためには手段を選ばない行動をとる点が挙げられる。これらの要素は決して褒められないものもあるが、それによって物語がよりスリリングに展開して行くという点で読者をより惹きつける効果があるように思う。
本作は三部作として作られているようなので、次作の刊行が待ち遠しい。

0

Posted by ブクログ 2023年03月25日

オーストリアの作家「アンドレアス・グルーバー」の長篇ミステリ作品『黒のクイーン(原題:Schwarze Dame)』を読みました。

『夏を殺す少女』に続き、「アンドレアス・グルーバー」作品です。

-----story-------------
保険調査専門探偵「ホガート」は顧客からある依頼を受け...続きを読むた。
プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失、調査に派遣した絵画専門の調査員は行方不明になった。
調査員の安否と保険詐欺のことを調べて欲しいというのだ。
プラハに飛んだ「ホガート」は、そこで猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。
首と手を切りおとしビロードにくるんだ死体の謎。
『夏を殺す少女』で衝撃のデビューを飾った、オーストリア・ミステリの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?  
訳者あとがき=「酒寄進一」
-----------------------

2007年(平成19年)に刊行された作品… 翻訳されたのは『夏を殺す少女』の方が先ですが、実際に刊行されたのは本作品の方が4年早いようですね、、、

『夏を殺す少女』は、二人の主人公の視点からの描き方、視点の切り替えタイミングが絶妙だったし、スピード感もあって、素晴らしい作品だったので、それに比較すると物足りなさがあるのは事実ですが… 事件を解決に導こうとする男女二人の探偵の魅力は劣っていなかったし、複数犯による猟奇的な殺人事件の真相も意外で、ミステリ作品を手掛けることになった初期(もしかしたら初?)の作品としては評価できるんじゃないかと思いましたね。


ウィーンに住むフリーランスの保険調査専門探偵「ペーター・ホガート」は、大手国際保険会社支社長「ヘルムート・ラスト」からある依頼を受けた… ウィーンの美術館がプラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失、調査に派遣した絵画専門の調査員で「ラスト」の姪「アレクサンドラ・シェリング」は、焼失した絵画はすり替えられた偽物だったとの報告を残し行方不明になった、、、

その「シェリング」を見つけだしてほしいというのだ… プラハに飛んだ「ホガート」は、ひとりの女探偵「イヴォナ・マルコヴィチ」に出会う、、、

彼女が調査しているプラハの連続殺人事件(ビロード殺人事件)の話を聞くうち、「ホガート」は被害者のうちの一人が「シェリング」ではないかと疑い、「イヴォナ」や彼女の弟「オンドレイ」、その相棒「イジー」等と事件の真相を追う… 「ホガート」は、遺体に残された手掛かり等から、二人の犯人がプラハの街をチェスボードに見立ててチェスのプレイを再現しながら犯行を続けていると推理し、伝説的なチェスプレイヤー「ヒエロニムス・ヴェセリー」の力を借りながら、次に狙われる人を推理していく。
 
そして、ビロード殺人事件の最初に被害者「ハナ・ザイツォーヴァ」の周辺を洗い直すうちに、「ザイツォーヴァ家」の忌まわしい事実を知り、「ザイツォーヴァ家」の次男「ミーハ・ザイッチ」が事件に関わっているにではないかと疑いをもつ… もう一人の容疑者として魚市場の鮮魚店店主「アントニン・ロメグ」が浮上、犯行は「ミーハ」と「ロメグ」によるものなのか!?絵画のすり替え事件は解決できるのか!?

終盤、「ホガート」と「イヴォナ」が犯人を追い詰め、人質をとった犯人と対峙… そして、「ホガート」と「イヴォナ」が正しいと信じる行動に出て、事件を解決に導く展開は一気読みでしたね、、、

「ホガート」を主人公とした物語は、本国では続篇が刊行されているようですが、日本語に翻訳されていないようなんですよね… 翻訳される日を心待ちにしています。


以下、主な登場人物です。

《ウィーン》

「ペーター・ホガート」
 フリーランスの保険調査専門探偵

「ヘルムート・ラスト」
 保険会社メディーン&ロイドのウィーン支社長

「コールシュミット」
 保険会社メディーン&ロイドの外勤課課長

「ヴァルター・ゼードラック」
 保険会社メディーン&ロイドの保安課課員

「アレクサンドラ・シェリング」
 保険会社メディーン&ロイド専属の美術品の保険調査専門探偵

「クルト」
 ホガートの弟

「エーファ」
 ホガートのもと恋人


《プラハ》

「ウラディーミル・グレコ」
 暗黒街のボス。別名"プラハの王"

「アンナ」
 グレコの娘

「ディミトリ」
 グレコのボディガード

「トマーシュ」
 グレコのボディガード

「イヴォナ・マルコヴィチ」
 私立探偵

「オンドレイ」
 イヴォナの弟

「イジー」
 オンドレイの相棒

「ヤロスラフ・ザイッチ」
 ドイツ大使館の参事官

「ハナ・ザイツォーヴァ」
 サイッチの妻。ビロード殺人事件の最初の被害者

「ロマン・コジツェ」
 ザイッチの長男

「ミーハ・ザイッチ」
 ザイッチの次男

「ヒエロニムス・ヴェセリー」
 伝説的なチェスプレイヤー

「エヴジェン」
 ヴェセリーの妻

「ヤン・プリーコパ」
 国立美術館の展示品の監視員

「アントニン・ロメグ」
 魚市場の鮮魚店店主

「ヤン・モラク」
 殺人課の主任捜査官

「トマーシュ・ノヴァチェク」
 殺人課の警部

「スヴァテク」
 殺人課の刑事

0

Posted by ブクログ 2021年08月18日

名画の焼失事件が徐々に連続殺人事件とリンクしていく展開はよくできている。様々なキャラが絡み事件の謎が広がっていくプロット、プラハという東欧の陰影のある街の描写も魅力がありラストまで一気に読める。
ただ、名画焼失の方が物足りないし、キャラやそこに付随するドラマも少し大仰な作り物っぽいところは残念。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年12月30日

プラハで起きた火災の際にすり替えられた絵画。調査に向かった調査員の失踪。調査を依頼されたボガート。プラハの暗黒街のボス・グレコとの会見。グレコのオフィスで出会った探偵イヴォンヌの調べる連続殺人事件。8人の被害者。首を切られた遺体。被害者の遺体の中に調査対象の調査員シェリンクを見つけたボガート。第一の...続きを読む被害者の夫・ザイッチからの依頼。チェスとの関連に気がついたボガートとイヴォンヌ。事件に使われた棋譜の正体。

0

Posted by ブクログ 2014年06月23日

ネタバレの内容なので未読の方は読まないで戴きたいのだが、幼児虐待がテーマの小説は読んでいてとても辛い。「夏を殺す少女」より前の作品であるが、テーマは全く同じだ。
ミステリーとしては良質であり、捻りもあって読みがいはあると思う。チェコという国については殆ど知識がなく、勿論行ったこともないようで、情景が...続きを読む想像しにくいのが難点だろうか。

0

Posted by ブクログ 2014年03月10日

(No.14-6) ミステリです。

内容紹介を、表紙裏から転載します。
『ウィーンに住むフリーランスの保険調査専門探偵ペーター・ホガートは、大手保険会社支社長からある依頼を受けた。
ウィーンの美術館がプラハの展覧会に貸し出した絵画が消失。調査に派遣した絵画専門の調査員は、消失した絵画は刷りかえられ...続きを読むた偽物だったとの報告を残し行方不明になった。その調査員を見つけ出して欲しいというのだ。
プラハに飛んだホガートは、一人の女探偵(イヴォナ・マルコヴィチ)に出会う。彼女が調査しているプラハの連続殺人事件の話を聞くうち、ホガートはとんでもない事実に気付く。

「夏を殺す少女」で衝撃的なデビューを飾った、オーストリア・ミステリーの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?』

「夏を殺す少女」が面白かったので、これも読みました。前作と違って、ミステリというよりハードボイルドだと思います。ハードボイルドって久し振りに読んだわ。

ホガートが私生活が寂しく一匹狼であることはハードボイルドの基本なのですが、理由がちょっと弱いかも。まだはっきり付き合ってもいなかった恋人にあっさり去られたから、私生活が寂しいというのは。
でも以前仕事で大失態をしてしまいそれが気持ちの上で尾を引いていて、二度とそういうことはしないぞと思いながらもどんどん事件に深入りしていく様子は、おおやっぱりハードボイルド!

イヴォナも厳しい過去を背負っていて、それが何なのかなかなか明かされないのですが、その影を感じることでホガートは惹かれていきます。

舞台はほとんどがプラハ。私はプラハに対しては何となく暗い重苦しいイメージがあるのですが、この小説もそんな感じでした。

そして・・・・、警察はかなり無能ですね。もっとしっかり捜査してればここまでのことにはならなかったのに。
まあ、警察が有能だったら探偵ではなく刑事が主人公の小説になっちゃうかな。

犯人がぼやっと分かり始めたころから物語が加速し、探偵たちと読者は同じ情報を共有するので「ああ、そうなんだ!」と一緒に驚けました。

これ、映画化したら面白いだろうなあ。読みながら映像が目に浮かんできました。ラストに向けてハラハラドキドキの展開です。

大変面白かったです。これはシリーズになっていてすでに2作目は本国で出版されているとか。
早く翻訳出版して欲しいです。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月12日

「夏を殺す少女」の作者の作品。
上記に比べるとテンポなど悪い印象。
推理についてもちょっとご都合主義な感じが。
一番残念だったのはタイトル。
原作はどうかわからないが、このタイトルでなんとなく展開がわかってしまった。
3部作とのことで次作の邦訳に期待。

0

Posted by ブクログ 2019年02月10日

舞台のプラハが魅力的であるがそこに登場する人物はチェコ人というよりドイツ人のように思える。でもこの作者をもう少し読みたいとは思わせてくれる。

0

Posted by ブクログ 2018年05月20日

保険調査専門探偵ホガートは顧客からある依頼を受けた。プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失し、調査に派遣した調査員が行方不明になった件を調べてほしいというのだ。プラハに飛んだホガートは、死体の首と手を切りおとしビロードにくるむ、猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。『夏を殺す少女』で衝撃のデビューを飾った、...続きを読むオーストリア・ミステリの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?

ミステリとしては、初めての作品のようだ。構成はそれほど技巧を凝らしてあるわけではなく、ひたすら直線的に物語が進む。結末が見え見えだったので、星三つ。

0

Posted by ブクログ 2016年11月08日

『夏を殺す少女』と犯人の属性が同じ・・・またそのパターン?
ちなみに、主人公とヒロインも何となく似ている。
推理をほとんどしてない。流れに沿っているだけ。
動機などもなんかこじつけっぽい。
せっかくのプラハの舞台はあまり生きていない。
面白くなくはないけど、なんかモヤモヤ。
あと、プラハの警察って本...続きを読む当にこんなにショボいの?

0

Posted by ブクログ 2016年11月02日

歴史が色濃い影を落とす魅惑の街プラハ。
その街を舞台に美術や映画、チェスが絡んだ事件を追う主人公たち。
人物造形はなかなか魅力的で舞台設定はかなり好みなのだが、どれも今ひとつ中途半端な印象が拭えない。面白くない訳ではないのに、要素ひとつひとつが掘り下げ方が足りないまま無理に繋ぎ合わせた大味なエンター...続きを読むテイメントミステリといったところ。事件の真相も想定内で捻りはない。
3部作ということなので今後に期待したい。

0

Posted by ブクログ 2016年07月03日

絵画中心のミステリと思って購入したので、その点では期待はずれだったが、主人公ホガートやイヴォナの人物造形がよくて楽しめた。プラハの街、絵画、映画、チェス等、もっと膨らませてもいいんじゃないのかなという魅力的な要素が淡々と詰め込まれている印象。
ホガートを主人公にしたシリーズが三部作になる予定とのこと...続きを読むなので、続編の翻訳も期待したい。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年07月05日

買ってから少し読んだ後、進まず、放置。
だいぶ時間が経ってしまいまして。。。
というのも、前半部分がちょっと読みづらかった。。けど、中盤から展開が早くて、一気に読んだ。
やっぱり、そのネタ。。とか、チェスは知らない。。とかあったけど、久しぶりのヨーロッパミステリーを満喫。
プラハの暗さを経験したくな...続きを読むった。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年05月07日

タイトルの「黒のクイーン」よりも、




「白のビショップは生きている」の方に痺れたのでこっちをタイトルにした方がと思った一秒後にそれじゃネタバレ極まれりだと我に返った。

0

Posted by ブクログ 2014年08月01日

プラハの美術館が火事になり絵画が焼失した事件を追っていた同僚が行方不明になり、その調査に主人公のウィーンの保険調査専門探偵が雇われて真相をさぐる話。連続殺人事件に巻き込まれながらその犯人を推理していく過程はおもしろく読めたが、結末の真相は少々がっかりだった。個人的にはルール違反的な印象かな。しかし主...続きを読む人公のキャラはいいなと感じた。直接話の内容には関係のない主人公の弟や姪の存在が気になる。

0

Posted by ブクログ 2014年05月06日

作者の手腕なのか訳者のテクニックなのか、さくさく進んで大変読みやすい。短いセンテンスの中に、シンプルな表現で必要最小限の情報は提示されているので、ストーリーとキャラクター両方が浅く広く読み手に浸透してくる。

前作同様、事件を通して知り合った男女のコンビが、協力して真相に迫るという展開。今回の舞台は...続きを読むプラハ。ひとつの事件がいくつもの枝葉に分かれていくという展開はよくあるが、本作品はその逆。誰を追って何を明らかにすべきなのかが判りやすいので、ストレスも少ない。

ストーリーは順調に進むが、都合よくできている感は否めない。手掛かりの入手や、真相に近付くプロセスにミステリ的要素はあるものの、主人公が簡単にクリアしていくので、どこか興醒めな感覚は残る。小道具の使い方などは巧いと思うので、余計に勿体無く感じる。

全体的に薄味で無難。ストーリー、キャラクター、事件の背景や舞台など、もっと掘り下げれば個性も強くなるだろうが、私はこのままでいいと思う。どっぷり浸かるわけでもなく、半身浴の心地良さで軽く読み進められるのが自分に合っているみたい。続編も読みますよー。

0

Posted by ブクログ 2014年04月05日

保険調査専門の探偵・ホガートが、プラハの展覧会で消失した絵画を調査していた保険調査員の行方不明事件を捜査する。

絵画の話は少ししかない!というツッコミはある。が、プラハの暗黒街ものとして面白かった。
次はウィーンが舞台のものを読みたい。

0

Posted by ブクログ 2014年03月29日

保険調査専門探偵のホガートは絵画消失事件の調査員が行方不明になった事件を調べるためにチェコに向かう。
だがそこで、猟奇連続殺人事件に巻き込まれてしまう。

ホガートが事件のヒントを掴むのが簡単すぎじゃね?とか、犯人像がありきたりじゃね?とか思うものの、ミステリ部分の仕掛けがおおっ!っと思わせるもので...続きを読む、概ね満足。
脇を固めるキャラクタが生き生きしてるのもいい。
ただ頻繁にホガートをボガートに空目して、何と無くトレンチコートなイメージがつきまとう読書でありましたw

0

「小説」ランキング