酒寄進一のレビュー一覧

  • 羊の頭

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    私には難かしかった。事件当日と現在を行きつ戻りつしながら犯人を特定していく手法だが、私からしたらミステリーの行先よりツィムベックのDV
    さえ止められないクロイトナーの不甲斐なさが不快だった。二転三転、ハラハラさせる展開だが、次作を読みたいかは否かな。

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    2021年10月11日
  • 悪女は自殺しない

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    ミステリーの内容は置いておいて、オリヴァーとピアの出会いが読めて良かった!
    この頃からオリヴァーにはダメ要素があった様で面白かった。
    新刊の「森の中に埋めた」からネレノイハウスを知って、このシリーズの虜になった。
    ミステリー、ましてドイツ作品なので、地名や店名はともかく、人の名前に出会う度、エラーホルスト?フェリツィタス?フォルクハルト?え?誰?と登場人物のページに戻ってしまう。登場人物のページにいつも栞を挟んでいる。そこも含めて読書時間が楽しい。

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    2021年09月26日
  • ベルリン1945 はじめての春(下)

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    イギリス人作家マイケル・モーパーゴの作品を読み、ドイツ人作家は大戦をどう書いているのか知りたくなって読んだ。
    1919年、1933年、1945年のベルリンを舞台とした「ベルリン3部作」全6巻。ゲープハルト一家が3代にわたって各巻の主人公として描かれる。
    政党名も覚えられず、登場人物の名前も何度も確認しながら、それでもシンプルに「なぜ人をたくさん殺す状況が起こったのか」を知りたかった。単純にナチスは悪い、ヒトラーは酷い、で片付けるのではなくて。なぜそうなったか。

    全6巻を読んで、まだその答えを持てない。本文中、各登場人物はそれぞれの考えを言っていた。ナチスなら貧しさから逃れられると信じたとか、ヒトラーの掲げる他民族排斥がまさか本気だとは思っていなかったとか、共産主義よりはナチスの方がましと資本家が傾いたとか。

    まだまだ理解できていないことがたくさんある。とりあえずのものであっても、自分の考えを持つにはもう少し、複数の文献にあたらないと。

    当初からナチスに反対し続けていたゲープハルト家の父親が、ナチスを信じたのは間抜けだったと謝罪する人たちへ向けた言葉。
    「おまえたちが間抜けだったのは、間抜けでありたいと思っていたからじゃないか!」 p.251

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    2021年09月13日
  • ほら吹き男爵の冒険

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    時々こういう本あるよね。主役は誰なんだ、誰名義にすればしっくり来るのかという。挿絵たっぷりで、まず文章のみのページがなく、有名なドレさんの描いた絵なんですけど。内容は壮大なほら話で、あきらかに嘘なんだけど、別に誰を傷つけてる訳でもなく、つまらない催しなどが溢れていたであろう、当時の社交的な催し物などで語られる、よもやま話的な。陽気で愉快な書き方で読んでて気持ちいいが、短い。自分は短いの苦手なんだけど、そうでない人には非常に楽しい本かと。

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    2021年09月06日
  • テロ

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    ネタバレ

    シーラッハの長編と短編を1冊ずつ読んで、今度は戯曲。
    戯曲は好きだけど、会話劇だとさすがにあの独特な乾いた文体は味わえないのでそこは残念だった。
    紹介文を読んだときは、この判断は本当に難しいな…と思ったが、途中でスタジアムの観衆を避難させる時間は十分あったとわかった時点で、一体何を裁く必要があるのか?と思ってしまった。
    被告人のパイロットは確かに命令を無視して独断で行動したけれど、そもそもそんな決断をせざるをえない状況にしたのは誰なのか。
    諸悪の根源テロリストは別として、次に責められるべきは避難という手段を取らなかった軍の対応ではないのか。
    軍は命令が絶対、ということは、責任は当然トップにあるはず。それなのに被告人だけが責められている状況には違和感しかなかった。軍の責任者も別途起訴されているのならまだわかるのだが…。
    その点で私は「無罪」を選択した。もし避難の時間がない前提としたら、、その場合はかなり悩むが、やはり無罪に傾いた気がする。

    実際に舞台で上演されているのを観たかった。再演があれば行こうと思う。

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    2021年08月24日
  • 乗客ナンバー23の消失

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    ★3.5

    豪華クルーズ船の中で、乗客が消える・・・。じつは、そんな出来事が、毎年少なからず起きているそうです。この作品は、その様な出来事が下になっています。

    船の中でのパニックモノと言えば『ポセイドン・アドベンチャー』が有名ですが、この作品は、パニックモノと言うより、犯罪モノです。それでも、逃げ場のない船の上で起きる犯罪は恐ろしいですね。しかも、その犯罪は、二重三重にトリックや騙しが仕掛けられていて、最後の最後まで気を抜くことは出来ません。

    この作品の面白いところは、映画のエンドロールの後にも少し物語が続くかの如く、著者の謝辞の後に、エピローグがあるところ。著者は気を使って、興味が無ければ先に進んでくださいという事を書いています。そのエピローグも、二重三重と言ったトリックや騙しの一つ。なので、二重三重ではなく、四重五重なのかもしれません。

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    2021年08月07日
  • 犯罪

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    一言で言うと生々しい。

    元々海外の刑事ドラマが好きだったので、気になって購入したが、予想以上に生々しく描写されていてショッキングなシーンもあった。

    正当防衛、縁、エチオピアの男の話がお気に入り。映画にでもありそうなストーリーと終わり方で個人的に好きでした。

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    2022年09月10日
  • 禁忌

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    主人公は文字の一つ一つにまで色を感じるという特殊な色彩感覚の持ち主、ゼバスティアン。
    多感な時期に父親を自死という形で亡くし、乗馬以外に興味のない母親とうまく折り合いをつけられず、寄宿舎生活を終えると、写真家として歩み始めたる。
    何だか歯車が合わないなりにも恋人もでき、順調な毎日を過ごしていたが、ある日突然、若い女性の殺人容疑で逮捕されてしまう。
    捜査官に強要され罪を認めるも、敏腕弁護士ビーグラーによって、驚くべく事実が明らかにされる。
    ハイテクを駆使した写真のなりようや、弁護士の刑事に対する禅問答もどきのやり取り、あとがきで”日本の読者のみなさんへ”と題して良寛の俳句を取り上げているあたりなどからも、なんか日本の文化に傾倒されているのかなと思わされますが、でもそのような事柄が私には理解できなかった、残念ながら。

    特に写真を使ったトリック?わからない。

    シーラッハは、「犯罪」や「罪悪」を衝撃的な思いで読んだので、以降も楽しみに読んだのですが・・・

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    2021年06月27日
  • ほら吹き男爵の冒険

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    小学生で読んで以来。挿絵も同じものの記憶。当時は面白かったが、今となっては。民話、言い伝えを小説化したようなもの。衣装、乗り物は当時のまま味わえる。2021.5.20

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    2021年05月20日
  • バンビ 森に生きる

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    バンビは(ディズニーの映画は有名だけど)原作を読んでいる人はあまりおらず、映画とはかなり違う、ということは知っていた。
    岩波少年文庫で読んでみようかと思ってからもう長いこと経ってしまったが、酒寄さんの新訳が出たのでいい機会だから読んでみることに。
    ディズニーアニメでは火事が大きな事件だったが、こちらで森の動物たちの恐怖の対象となるのは人間。
    ハンターがしばしばやってきて、鹿や鳥を殺していくことが最大の恐怖で、それに比べれば鹿同士の喧嘩や冬の寒さや飢えなどは大した問題ではない。
    狐はいるが、鹿を捕食するような大型の肉食獣はいないので、人間さえ来なければ平和で豊かな森なのである。
    ザルテンは他にも動物の物語を書いていて、解説で紹介されているが、今は『バンビ』以外一般には読まれていない。
    ザルテンは1869年生まれで1945年没。シートンは1860年生まれで1945年没。
    ほぼ同時代を生きて、同じ動物物語を書いたのに、シートンより読まれていないのは、動物が会話するからだと思う。シートン作品は自然科学の作品としてもいいけど、生態がきちんと描かれているとはいえ人間同様会話するとなると、物語としてしか扱えない。鹿も鳥も虫も、なんと葉っぱまでが会話する。宮沢賢治の作品でも動物や植物が会話するけど、あれは文学作品(賢治の思想を書いた作品)で、こういう動物物語とは違うからなあ。シートンよりアニメにしやすいのも会話するからだろう。
    しかし、会話するからこそ、バンビの成長が人間と同じように感じられるという点は長所でもある。
    幼児期は無邪気で母親に甘え、思春期には喧嘩したり競争したりし、恋をして恋する相手以外何も見えなくなり(発情期)、青年となって生き方に悩む(悩み始めたら恋の相手のことはすっかり忘れてしまうのは人間にもあるあるだ。)。幼児期には母親が、思春期以降は古老と呼ばれる牡鹿が導いてくれるところが古典的な成長物語という感じ。
    恐怖の対象であった人間もいずれ死ぬ身の同じ動物である、と気づくのはまあいいけど、「わたしたちすべての上に、わたしたちとアイツ(人間)にまさるものが存在するということなんですね」(P266)にはがっかり。鹿がそんなこと思うだろうか。それは人間の発想じゃない?

    でも、読んでみて良かった。日本でも椋鳩十や戸川幸夫ら動物物語を書く作家が出てきたのも、ザルテンやシートン、バージェスらがいたからだろう。(バージェスの動物もしゃべっていたような記憶が。でも数十年前の記憶なので違うかも。)ジャック・ロンドンなんかも。
    動物にも感情があるという今では当たり前のことも、当時は新しかったのかもしれない。

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    2021年05月07日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    冒頭、当番弁護士の感じが日本と同じだー、と面白かった。ドイツから学ばせてもらったんだったか。
    話自体も面白かった。孫との関係は正直要らんかなと思ったけど(映像化が意識されていそうなのは苦手)。ざ・ドイツ、というお話と思う。そんな法改正がなされるのも凄いと思うけど、その後に検討委員会が作られるのも凄いと思った。日本では前者だけで終わりそう。

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    2021年05月05日
  • 犯罪

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    ネタバレ

    面白かった。フィクションということだけど、実体験に基づいている話も多いのでは、特に「エチオピアの男」が実話に近かったら良いな、と思う。
    文章もすごく読みやすかった。原文もこんな感じなのかな。見倣いたい。

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    2021年05月05日
  • 刺青の殺人者

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    これでもかというほど主人公が苦難に見舞われる展開が続きお腹一杯になってしまう。蛍光タトゥーのさそりを全身に彫ろうとするサイケな形成外科医は、脳腫瘍によって人格変化しているのか、もともとサイコパスなのか。計画性に富んでいるように見えて、終盤では破綻の多い犯行となってしまっている。それが残念なところであった。

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    2021年05月04日
  • 咆哮

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    <弁護士アイゼンベルク>シリーズはタイトルしか存じ上げないが、その著者によるドイツ発の警察小説<ヴァルナー&クロイトナー>シリーズの第一作目。クロイトナーは傲岸不遜で独断専行型の不良警官だが、異様な強運の持ち主で、丹念な地取りを続けるヴァルナー警部を尻目に、常に美味しい場面を掻っ攫うという何とも独特の存在感を放つ。今作がデビュー作とあってか、荒削りで煩雑な印象は否めないが、巻を重ねる毎に洗練されていくのだろうな。脇役ではあるが、ヴァルナーの祖父の一癖も二癖もあるキャラクターも中々エキセントリックで面白い。

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    2021年04月04日
  • 悪しき狼

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    かなりダークだったわ。小児犯罪を扱ってるんだけど、結構食い込んでるわ。誰もが子供の時代を経験していて、弱い物に対する虐待、性的な興奮など、きちんと病気と受け止めて治療が可能なら治療するか、檻に入れてくれよ。被害に合ってる子供の年齢はかなり幼く、里親協会みたいな事業が仕入れ先という、かなりえげつない内容であった。このシリーズは人の心の闇を描くことが多いが、自覚のない悪事を利用した金儲けという、なんとも、死後は絶対に地獄行きという内容だった。オリバーがちょっとしっかりしてきた。主役なのになあ。

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    2021年03月29日
  • 夏を殺す少女

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    タイトルに惹かれて手に取ったら、タイトルに感じた印象とは正反対の凄惨な現実のミステリだった。期待値とは違ったけどそれはそれで面白かった。

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    2021年03月06日
  • 穢れた風

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    ページ数も多いけど、内容が濃かった。テーマは風力発電テーマパークにまつわる話。環境問題から、建設反対みたいな勢力はやっぱ沸いてくる。人物の1人の活動家は、以前いた会社で馘になり、恨みを晴らしたいだけ。パートナーの恋人は嘘で塗り固まれた人生にリセットしたく、表面上の敵のスパイをする。人間の欲望の渦が5周位ぐるぐる渦巻いてるが、あんまり最近こういう小説ってなくて、久々に面白かった。清い人間なんていないんだぜ。

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    2021年02月11日
  • デーミアン

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    はしがき
    第1章 ふたつの世界
    第2章 カイン
    第3章 悪人
    第4章 ベアトリーチェ
    第5章 鳥は卵から出ようともがく
    第6章 ヤコブの戦い
    第7章 エヴァ夫人
    第8章終わりの始まり

    孤独の克服、自己の探求
    ニーチェ、ユング心理学

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    2021年02月07日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    前情報なしで読み始めたので、そんな話だったのか!と驚き、あとがきで作者の出自を知ってさらに驚いた。
    知らないまま読めてよかった。
    知ったうえで読み返すと、最後のヨハナとライネンのやり取りがますます胸に迫る。
    淡々とした語り口なのだが、続きが気になってスルスル読めてしまう不思議な魅力を感じた。他の作品も読んでみたい。

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    2021年02月06日
  • 深い疵

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    独警察小説。オリヴァー&ピアシリーズ第三作。
    ユダヤ人殺害事件の捜査を進めるうちに、ナチス時代の殺戮事件に遡っていく。複雑で残酷な事件を追うことになるが、最後はほっとさせられる。

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    2021年02月05日