酒寄進一のレビュー一覧
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機械化された社会でトップに君臨するフレーデルセン親子だが、息子のフレーダーが偶然見かけた女性マリアと恋に落ちる。その後何が起こったかよくわからないが都市が崩壊し、フレーダーは父親のヨーの宿命の相手、ロートヴァングと対決する。見事勝ったフレーダーとマリアは結ばれ、ヨーも人間らしい心を取り戻す。
この小説はナチス台頭少し前のドイツで書かれた作品で、これが書かれた頃はまだ『ロボット』と言う言葉が無かったとのこと。これ以前のSF小説がどんなものか知らないが、
「頭脳と手の仲介者は心でなくてはいけません」
この言葉は現在あるほとんどの近未来SFのテーマになってると思う。 -
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『犯罪』よりも更に短いお話の多い、短編集。
「解剖学」なんか、たった3ページなのに、面白い。
美しい娘を拷問するために、あらゆる器具を揃えた男が、さて娘を捕まえる寸前に、車に跳ねられて死んでしまう話。
「欲求」は、夫に顧みられない妻が、裕福であるにも関わらず万引きを働く話。
よく、ドキュメンタリーにある構図で、虚構なんだけど、やりきれない。
ラストを飾る「秘密」が一番のお気に入り。
妄言ばかり繰り返し、精神科に連れられてゆく男を見ていると、何が本当で何が嘘かが、その刹那ひっくり返るような感覚に囚われる。
何から読もうと思っている人には、この量なら読みやすいように思う。オススメ。 -
Posted by ブクログ
フェルディナント・フォン・シーラッハ『禁忌』創元推理文庫。
『コリーニ事件』に続く200ページ強の中編作品。『犯罪』『罪悪』のイメージが強いせいか『コリーニ事件』同様、読んでいて心に響くものが無く、無機的な単調さに物足りなさを感じた。もしかして、シーラッハの良さは短編にこそ生きるのではなかろうか。
主人公は文字に色を感じる共感覚を持つ写真家のゼバスティアンである。前半ではゼバスティアンの幼少期から写真家として成功を納めるまでが単調に描かれる。その後、ゼバスティアンが若い女性の誘拐と殺人の容疑で逮捕され、捜査官に強要され殺害を自供してしまう……そして、結末…… -
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先日読んだ『償いは、今』とストーリーでカブっているが、本作品の方が骨太。テレビドラマの原作という印象は同じだが、作者は長年テレビドラマの脚本を手掛けてきただけあって、映像的で疾走感のある仕上がりとなっている。
主人公が囚われの身で絶体絶命のシーンから始まり、視点が変わり時間も前後して複数の事件が並行していくというストーリー。一体どのように交錯するのかの興味で引っ張り、弁護士の人生と法廷劇をうまく絡めている。
二転三転の展開と衝撃的な結末もあって面白いが、もうひとつ物語にコクがない。終盤は強引にバタバタしすぎであまり好きじゃない。でもってこのヒロインも好きになれなかった。意味深なラストだったけど、続編は読まないわ、多分。 -
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オーストリアの作家が主にドイツを舞台にして描いたミステリで、児童虐待という重い主題を扱いながらもスピーディーな展開で読ませる秀作。謎解きの要素は薄く、サスペンスを主軸とした捜査小説で、飾らない文章は実直な著者の人格を表しているようだ。
主人公は、やさぐれてはいるが経験豊かな中年男と、才気煥発だがまだまだ未熟な女性という二人。定石の設定ではあるが、中盤辺りまで別々に物語が進行するため、余分なやりとりが発生せず、くどさがないのが良い。真相が明らかとなる要所で二人の追跡行が交差するさまも自然だ。
オーストリア在住で経験の浅い弁護士ヴェリーンは、元小児科医や市会議員らが連続して不可解な状況下で事故死した案件を調査していた。一方、ドイツ/ライプツィヒ警察の刑事ヴァルターは、精神病院入院中の少女らが相次いで不審死を遂げている事件を捜査していた。二人は、丹念な観察力と鋭い直感力によって、隠された事実への足掛かりをつかんでいく。だが、いまだに双方での殺人は続いていた。やがて、過去に小児性愛好の金満家らに拉致され、集団で虐待/性的暴行を受けた孤児らの存在が浮かび上がる。或る一点で結びついた謎解明の手掛かり。宿命的に二人は出会い、志を共有し、行動を共にする。
立ち位置が入れ替わる加害者と被害者。卑劣な犯罪者と哀しい復讐者の実像。果たして、狂っているのはどちらか。ヴェリーンとヴァルター、それぞれの視点で見つめる深層は、悲劇的で残酷性に満ちたものだ。 -
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ドイツの作者が書いたミステリー小説。
話の始まりはアメリカン・ミスの美女たちを乗せたバスが拉致される事と並行してある脳神経科学者の娘が行方不明になることを起点として世界を股にかけて事態は進行する。
話の核となるキーワードは「美貌」について。
物語の裏には、元々ハンサムだった大富豪が事故によってその美貌が崩れ、精神的にも破綻し、凶行に走っていく事があるようだが、まだ明るみには出てきていない。。
話の切り口は斬新で面白いが、いかんせんやることがエグイ。ただ、ともするとある人物を評価するにあたり、その人の人格、内面、能力以上に評価される美貌とその価値について再考するきっかけになるかなーとも思った。