酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
うーん、よくわからん。ハイジャックされた航空機が、7万人を収容するサッカー場に突っ込もうとしている。法に従った命令を無視し、航空機を撃墜して乗客を死なせた軍人の行為は有罪か無罪か。二通りの結論が用意された戯曲なのだが…。
「法」について語ろうとしているのか、「倫理」についてなのか、あるいはその関係を問題にしているのか。これまでの作品では、そいういうものではとらえきれない人間の「わからない」部分に、作者の目は注がれていたと思う。してみるとこれも、黒でもあり白とも言える曖昧さに力点があるのだろうか。やはりよくわかりませんでした。
ついでに。作中で言及される「転轍器係の問題」(暴走する貨物列車が駅に止まっている旅客列車に突っ込むのを避けるため、ポイントを切り替えて線路作業員のいる支線に引き込むのは是か非か)。以前はこういうのをよく考えて、ああでもないこうでもないと頭をひねっていたけれど、いつ頃からか「列車が暴走しないようにしたらいいんでないの」とか思うようになった。これって進歩?退化? -
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ネレ・ノイハウスさんのオリヴァーとピアシリーズ第一弾。
飛び降り自殺と思われる女性の遺体が発見される。しかし、解剖の結果、飛び降り自殺ではなく毒物による死亡であることが判明する。
捜査に当たるオリヴァーとピアは、亡くなった美しい女性は周囲の人間に憎まれていたことがわかる。
推理作品では、被害者に全く非がないのに殺されてしまう気の毒なものと、被害者が結構な悪人でこういうことになっても仕方ないかもと思わせるものと、どちらかになることが多い。この作品は、後者に当たる。
好みだと思うけれど、わたしは特に悪いこともしていないのに殺されてしまう作品はちょっと苦手だ。作り事であっても、そんな不条理な話は気分が良くない。
以前読んだ「深い疵」が面白かったため、シリーズ一作目である本作を読んでみた。作家ネレ・ノイハウスのデビュー作でもある本作は、正直に言うと「深い疵」よりはるかに劣る。それでも推理作品としてきちんと仕上がっているし、オリヴァーとピアの今後も見てみたいと思わせる。
それにしてもドイツの名前がこんなにもややこしく読みにくいとは思わなかった。ロシアの名前ほどでは無いにしても長ったらしい読みにくさと、それに加えドイツの名前はどことなくゴツイものが多い。
馬専門の動物病院や乗馬クラブといったものが登場する。
せっかく馬や乗馬といった珍しいとも言えるものを物語に取り入れるのなら、もっと馬ならではの特性などを絡めてみても良いのではと思う。
ネレ・ノイハウスさんには今ちょっと興味を持っているので、随時オリヴァーとピアシリーズを読んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
あ、あれ…?前作の「犯罪」が好きだったから手に取った続編。のはずなんだけど、こんなだったっけ…?
ざっとしか読み比べてないから違うかもしれないけど、随分「小説」に近づいた印象。前作は裁判記録や弁護士として聞いた証言から「最低限の物語」を抽出していた感じがする。表現は端的で正確、筆者の想像力は最低限に抑えられている、それでも溢れる人間味、ドラマ。そんなところに魅力を感じていたような。
今作はより作者の想像に彩られている。言ってしまえば事件中の会話が増大してる。「鍵」なんかはもうクライムノベルだよね。もちろん楽しんだけど、期待とのギャップが、、、うーん。
こんな批判はあんまりフェアではないとも思ってるんだけど。キャラクターが豊かになったとダメ出しする編集者は現代には多くない気がする。前作は極論誰でも書けてしまうわけで、作者の個性の表れは成長と進歩だ。
でも、うーん。やっぱり前作の方が好みだったな! -
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前二作が面白かったのでリピート。ハードルを上げ過ぎたのか期待ほどではなかったです。
ヒロインの母親が殺されるというオープニングからして驚いた。でもって父親が容疑者?! 長年音信不通の間柄ならまだしも、良好な親子関係を保つヒロインをいきなり酷な状況に追い込むんだなというモヤモヤなスタート。
『夏を殺す少女』っぽい凝った構成は、後半に活きてくる。でも謎解き度は低めで、心理的な謎で読ませるストーリーになっている。犯人の動機と被害者の共通点に若干の強引さを感じないでもないけど。見立て殺人のカラーも薄めかな。
読みどころはヒロインと変人分析官のコンビでしょう。USAドラマ『BONES』の男女が入れ替わったバージョンだなと連想してしまってからはそうとしか見えず、エンタメ路線寄りの展開が妙にもどかしかった。面白いんだけど、ちょっと胸やけしたかな。次回作に向けてビミョーな感じの読後感になっちまった。 -
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ドイツの作家ペトラ・ブッシュ、2010年発表の小説。ドイツの「黒い森」に接する小さな村を舞台にしたミステリー。伝承と因襲に囚われた閉鎖的な小村で起きる忌まわしい連続殺人・・・横溝正史か小栗虫太郎かといった感のする舞台設定ですが、なかなか読ませます。ミステリーとしての出来はともかく、物語りとしては面白いです。
主人公は近くの街のエリート刑事、猫と写真が趣味の独身プレイボーイ、子どもの頃の出来事が原因で心に傷を負っています。取材で黒い森を訪れ死体を発見するのは美人ツンデレライター、有名誌のやり手編集者であったのがボスとトラブルになり解雇、今はしがないフリーのライター。この出来過ぎのカップルによるラブコメ話を合間に挟みながらの暗い因襲譚。
要所で主要登場人物の間を視点が切り替わり、少々読みづらい部分もありますが、興味深い物語りです。キーとなるのは自閉症でサヴァン症候群患者の男。彼の視点になる場面もあって、眉唾な感もしますが、サヴァンの人の見方、感じ方はかくありなん、と思わせるリアリティーもあります。
平凡でステレオタイプな部分とキラリと光る部分が入り交じったような作品。でも、私は楽しめました。