澁澤龍彦のレビュー一覧
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まず気をつけるべきなのは、この本に収録されているソドム百二十日は、初めの導入部分(主人公であるブランジ公爵とその弟である司教、キュルヴァル法院長、公爵の学友であるデュルセの4人の道楽者とその妻達の人物描写と、物語のメインである4ヶ月の放蕩に耽るまでの下準備の様子と、放蕩の加担者や犠牲者の人物描写まで)までであるということである。
主人公の道楽者達はどいつもマジキチであり、悪徳を愛し美徳を憎み、無神論者であり、犯罪を犯してはそれをオカズにハァハァするという始末である。
しかし、公爵の言う悪に対する見識(要約すると、「俺みたいな悪だって自然界、ひいては神様が生んだものなんだから、それに背いて悪いことしないってのは神様に逆らうのも同じ。だから俺は悪いことするお!」って感じ)には、なんだか納得させられてしまう。まあこの公爵の見識はそのままサドの思想に基づいたものらしいのだが。
ソドムの百二十日は未完のまま、サドは死を遂げてしまったそうだが、本当にそれが悔やまれる。澁澤氏の訳で完全版が読みたいところである。
悲惨物語も、ソドム百二十日の主人公達のように無神論者のサイコ野郎が主人公である。
彼は源氏物語よろしく、実の娘のユージェニーを見た目や思想までをも自分好みの女に育て上げ、自らの愛人へと仕立ててしまった。彼は自分や娘を心から愛している美しい奥さんを疎ましく思い、色々と酷いことをして奥さんを苦しめ続ける。しかし、奥さんの変わらない愛を受けて最後の最後には改心するのだが、結局救われない最期であった。
個人的に好きな部分は、「奥さんに悪いところがあったとしたら、それは夫や娘を愛していたということである」というとこ。奥さんカワイソス。あと、神父様が生きてて良かった。 -
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世界各地の、歴史に残った悪女たちのエピソードを集めたエッセイ。自分の美貌を保つために、若い乙女を虐殺してその血の風呂につかったというエリザベート・バートリー。民衆の貧困に眼を向けようともせずに享楽の限りをつくしたマリー・アントワネット。その美しさを利用され、政略結婚に利用されたあげく、夫となった相手を次々に死なせることになったルクレツィア・ボルジア。クレオパトラ、メアリ・スチュアート、エリザベス女王……
うん、面白かった!
うわあ、これは怖いかなあ……と思いながら読み始めたんですけども、語り口のおかげか、むしろドキドキしながら読んでました。もちろん怖いエピソードはたくさんあるのですが(つくづく女は怖いな!)、それにしても、とっても魅力的。暗い魅力というか、退廃の美というか、悲劇のもたらすカタルシスというか、なんというか。や、実際に生々しく想像すると、ものすごく怖いんですけども。こういうの面白いっていうのは、野次馬根性かなあ。でも面白かったです。
人の恐ろしさや愚かさ、醜さを、ひっくるめて魅力的に描ける作家さんというのは、なんていうか、すごいなーと思いました。
怖いっていうのも、人の気持ちを引くパワーなんだよなあ。私も怖いの苦手だなんていってる場合じゃないな。いや、苦手なんですけど。ビビリなんですけど!
先に読んだ澁澤さんの小説・評論3冊が、面白いような気がするのに、あと一歩のところではまれなくて、次をどうしようかとツイッターでぶつぶついってみたら、薦めていただいたのでした。持つべきものは読書家のお知り合い!
ちょっと余談というか、家に昔から、母が好きで買っていた『ベルサイユのばら』や『七つの黄金郷』等々のコミックスがあり、子どもの頃にはまって読んでいたのですが(注・『七つの黄金郷』は間違いなく名作少女マンガですが、未完結のまま諸般の事情により長年止まっています)、そういう、昔読んだマンガに出てきた歴史上の人物のエピソードが、実にいきいきと描かれておりまして、読みながら妙に懐かしい気持ちになりました。
渋澤さんのこの作品に刺激を受けて、彼女らの話を描いたという作家さんも、もしかして多いのかもしれないなあなんて、おもわず考えこんでしまいました。(※思っただけで、どの作家さんのどの作品がそうでと、調べたわけではありません) -
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[ 内容 ]
サドの代表的著作、ジュリエットの物語『悪徳の栄え』と対をなす妹ジュスティーヌの物語には三つのバージョンが残存している。
本書はその最初の版である「原ジュスティーヌ」とでも称すべき中篇である。
バスティーユ牢獄中にて書かれ、革命のどさくさに粉れて紛失され、100年ののちに陽の目をみた本書はサドの思索のエッセンスが凝縮された異色作である。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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[ 内容 ]
快楽の法則の信奉者、遊び好きなサン・タンジェ夫人と、彼女に教えを受ける情熱的な若き女性ウージェニー。
そして夫人の弟ミルヴェル騎士や、遊蕩児ドルマンセたちがたがいにかわす“性と革命”に関する対話を通して、サドがみずからの哲学を直截に表明した異色作。
過激で反社会的なサドの思想が鮮明に表現され、読む者を慄然とさせる危険な書物。
[ 目次 ]
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[ 内容 ]
サラマンドラや一角獣、タロッコカード、宝石など、著者の得意とするテーマを満載する論考八編からなる第一部と、これまで自らタブーとしてきた身辺雑記や回想を「望遠鏡をさかさまにして世界を眺める」遠近法で描いたエッセイ群からなる第二部。
過去と現在という時間を交差させて織り上げた魅惑の作品集。
[ 目次 ]
サラマンドラよ、燃えよ
一角獣について
タロッコの謎
宝石の伝説
『狩猟の書』について
盗みのエロティシズム
態位について
目の散歩
ツェッペリン幻想
私の昆虫記
ハーゲンベックの思い出
カフス・ボタンのこと
「コドモノクニ」のこと
ドラゴン雑感
少年冒険小説と私
玩物抄
アポロとウェヌス
蠅とエメラルド
思い出と現在
エメラルド、五月の露
花火、七月の夜
ガラス幻想行
糸車から燭台まで
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[ 内容 ]
時代・風俗は変われども、女の人生は本質的に変わらない―。
マリー・アントワネットやジャンヌ・ダルクなど史上名高い女性たち、サロメやヴィーナスなど神話・宗教上有名な女性たちのさまざまなエピソードをとりあげながら、古今東西の女の生き方をデッサンふうに描く、渋沢龍彦の魅力あふれる女性論。
ベストセラー『世界悪女物語』を補完するエッセー集。
[ 目次 ]
マリー・アントワネット
ベアトリーチェ・チェンチ
ジョルジュ・サンド
アグリッピーナ
ローラ・モンテス
和泉式部
サッフォー
ジャンヌ・ダルク
エリザベス女王
シャルロット・コルデー
サロメ
エロイーズ
細川ガラシア夫人
ルネ・ペラジー
ワンダ・リューメリン
聖母マリア
金髪のイゾルデ
マリリン・モンロー
建礼門院平徳子
ド・ブランヴィリエ侯爵夫人
ポンパドゥール夫人
王昭君
マグダラのマリア
ヴィーナス
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[ 内容 ]
「ドラコニア」とは龍の王国、すなわち「渋沢龍彦ランド」のことである。
この知の領土において、著者は極楽鳥や仮面、童子といった偏愛するテーマをとりあげながら、筆のおもむくまま、自在のスタイルで、興趣つきないエピソードをつむぎ出す。
一編ごとにエッセイ風、幻想譚風とおもむきを変え、きらびやかなペダントリーをふりまきながら、軽やかな精神の運動が展開する円熟のエッセイ集。
[ 目次 ]
極楽鳥について
鏡と影について
飛ぶ頭について
かぼちゃについて
文字食う虫について
スペインの絵について
ラテン詩人と蜜蜂について
箱の中の虫について
桃鳩図について
仮面について
童子について
巨像について
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[ 内容 ]
たえず歴史の裏面に出没し、不思議な影響力を及ぼしつづけた無気味な集団、グノーシス派、薔薇十字団、フリーメーソンなど、正史ではとりあげられない秘密結社の数々をヨーロッパ史を中心に紹介。
[ 目次 ]
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[ 内容 ]
不吉な運命の神――毒薬をめぐる様々なエピソードを収集した本書は、“いわば毒のモチーフを縦糸として織り出した、一枚の文化史的タペストリー”であり、また、犯罪の芸術・毒殺を集成した異色エッセイ集である。
[ 目次 ]
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西洋式の、禁止の侵犯としてある、暗く神経症的なエロティシズムの芸術とは異質の、神と原罪の無い国の自由奔放さに満ちあふれた日本の浮世絵。
宗達の舞楽図が好き。
伊藤晴雨と月岡芳年の麻縄での緊縛それ自体の美的に完結した世界、日本的マゾヒズム。
中世12、3世紀の、仏教的輪廻観念からくる地獄絵。
もの自体ではなく、風景としてあらわれた観念。中村宏。風景は常に遠のいてゆく幻影。
日本的美学において写実主義と装飾主義は盾の両面。
『人間概念の拡張であり、あらゆるものに人間の肉体をメタモルフォーズする可能性を発見するということに、自分の舞踊の根本理念を置いている』
土方巽
古典バレエの伸びやかに上昇する身体と土方巽の大地へと凝縮する身体。
覗き見(ヴォワイユール)の、肉体(気質)が観念(アイデア)に先行している『密室の画家』たち。