澁澤龍彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
澁澤龍彦の書くエッセイは文章が軽やかですんなりと心に入っていくように思える。とくに旅のエッセイが私は好きである。「滞欧日記」は何度も読み返しては自分が旅に行くときに鞄につめる一冊である。そして、今回「旅のモザイク」を読んで日記とはまた違ったよみやすさと豊富につめこまれた知性を感じることができたように思える。本人は無精者で旅に出るまでは空港にも行きたくないと言っているが、彼とする旅はとても面白いだろうと思うのだ。そして何より旅を楽しんでいる様子が文章から伝わってくる。私は乗り物が得意ではないから正直海外旅行は御免こうむりたいところなのであるが、それでも彼の過ごした時間を感じていると外国の風に吹かれて旅をしてみたくなる。題名の「旅のモザイク」は彼の奥様である龍子さんがつけたそうだが素晴らしい題名だと読み終わった後にホクホクしたものである。旅で見た事、得たことを全て覚えておけるわけでも語れるわけでもない…だがモザイクが一見何も描いていないように見えて遠くから見ればその比類なき美しさに感動をするるように…旅も似たようなものだと思う。深く覚えているわけではなくても旅に行ったという記憶のかけらは何時か大きな物を作り上げるのだと…そんなことを考えた。澁澤龍彦が後年書いた物語にもきっと旅で得たことがちりばめられているのだろうと想像をしながら…
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Posted by ブクログ
冒頭から「人生に目的なんかない」と言い切ってしまう所は小気味よく、目的がなければ「自分でつくりだせばよい」とカール・ブッセの「山のあなたの空遠く」から始まる詩を登場させてセンチメンタリズムを批判し、私たちを行動に駆り立てるその文章は寺山修司を彷彿とさせる。
第四章では、労働嫌悪の風潮を逆転させるために「どうすれば、労働と遊びとを一致させることができるか」という問題を取り上げ、そこから快楽主義の究極の目標を「一種のユートピア議論にはちがいありませんが」と前置きしつつ、「人間のエロス的な力の解放」であるとしている。
子どもが泣いたり、叫んだり、駆け回ったり、あるいは疲れ果てて眠ること、これら全てが快楽に繋がっている。そう考えると、子どもは自然にエロス的な力を使いこなしているといえる。
しかし大人になるとその肉体は労働のために利用され、非エロス的に矮小化していく。そこで筆者が提言するのは、肉体を単なる労働のための道具とみなすのではなく「つらい労働が全て楽しい遊びになる」ような肉体の解放である。
このような考え方は、筆者曰く、ヒューマニズム的偏見からの解放であり、自分の周りに白線を引いて行動範囲を狭めてしまうような消極的幸福論からの脱却、思想的冒険なのだ。
『快楽主義の哲学』は発表後45年以上が経過しているが、その内容からは色あせない刺激を感じ取れる。そこには時代に左右されない、人間にとって根本的なものがあるからだと言えるのかもしれない。
60年代と現在を比べて、人間の持っている肉体的・思想的自由が矮小化していないだろうかという疑問がふと頭をよぎった。ただ、思想の自由度なんて測りようもないのが事実だ。
今を創るのは今を生きている人間だけだとすれば、「今を生きる私たちが、思想的自由をどこまで拡大していけるのか」こそが問われることになる。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
シュルレアリスムは今世紀最大の芸術運動といわれている。
アンドレ・ブルトンに導かれて早くからこの世界に関心を持ちつづけていた著者は、その豊かな鉱脈から心ひかれる作品を数多く発見し、みずからの気質を映し出す鏡とした。
60年代には、そのシュルレアリスム絵画をめぐって数多くのエッセイが書かれたが、本書はそれらをまとめたもので、『幻想の画廊から』につぐエッセイ集である。
[ 目次 ]
レオノール・フィニー、魔女から女祭司まで
マックス・ワルター・スワンベルク、女に憑かれて
ゾンネンシュターン、色鉛筆の預言者
ポール・デルヴォー、夢のなかの裸体
ハンス・ベルメール、肉体の迷宮
バルテュス、危険な伝統主義者
ルネ・マグリットの世界
キリコ、反近代主義の亡霊
マックス・エルンスト論
ベルメールの人形哲学
ファンム・アンファンの楽園
パウル・クレー展を見て
ビザンティンの薄明あるいはギュスターヴ・モローの偏執
ルドンの黒
ゴヤあるいは肉体の牢獄
ロメーン・ブルックス、アンドロギュヌスに憑かれた世紀末
遠近法・静物画・鏡、トロンプ・ルイユについて
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
フランスをはじめとするヨーロッパの文学や芸術作品を広く紹介してきた著者が、新たに開いた地平は、日本。
迷宮、幻鳥、大地母神などをテーマに、東西の文学作品に通底する心的パターンをめぐって、想像力が羽ばたき、美しい紋章のような形を描く。
その後フィクションへと向かう著者の創作活動を暗示する画期的エッセイ。
[ 目次 ]
ランプの廻転
夢について
幻鳥譚
姉の力
付喪神
時間のパラドックスについて
オドラデク
ウィタ・セクスアリス
悪魔の創造
黄金虫
円環の渇き
愛の植物学
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