澁澤龍彦のレビュー一覧

  • 澁澤龍彦 西欧作家論集成 下

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    あっという間の面白さでした。
    下巻は、マンディアルグ、ジュネ、コクトーなど知っている文学作家ばかりなのですが、まだ読んだことがないので予習に良かったです。
    横文字が盛り沢山、フランス語も盛り沢山で、ややペダンティック観は否めないですが、この本で

    シュルレアリスム

    という言葉の意味が解り、また個人的にもそちらの一派が好きなのが認識できました。
    横文字が苦手な方は、無理かもしれません。
    ほぼ、フランス文学が納めてあり、たまに例としてポオや江戸川乱歩、夢野久作などが出てくる位です。
    では、次はカフカかマンディアルグかジュネを読もうかな…と、次に繋いでくれる作品でした。

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    2019年10月08日
  • 澁澤龍彦 西欧作家論集成 上

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    大変面白く読みました。
    西欧文学をもっと読みたくて手にしましたが、何という情報量!!
    気になる作家を検索しても、ほぼ絶版状態で残念でした
    が、それでも三冊は入手出来たのでまあまあです。
    サドの「悪徳の栄え」やレアージュ「O嬢の物語」などのエロノトピアの意味が、マーカスの文章引用でよく分かりました。
    即ち

    エロノトピアには急に始まり、あとは突き進むのみで永続の終わりはない

    ということが、ハッとさせられました。
    だから、終わりが途切れた感じになっているのかと…

    下巻の最後には、レアージュ「O嬢の物語」解説があるので、楽しみに読みます。
    それにしても、癖になる作家だなあ、澁澤龍彦…。

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    2019年09月22日
  • 快楽主義の哲学

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    これは意外と面白い本だった。
    題名に『哲学』とあるので少々お堅い本かと思って手に取るも、なんの著者のざっくばらんかつ、筋の通った内容である。
    快楽主義とは、一貫し『人間の本能、人間の欲望に忠実である』ことであり、ヘンな常識や風習に惑わされることなく、自然体であることを説く。
    ・進歩や発展のない生活には、みるべき快楽もまたない(コアラの退屈さと比して)
    ・常識に囚われることなく、「人間の限界をつきやぶり、人間を人間以上の存在にする。」
    ・「親子とか夫婦とかいった関係が、人間の自由な冒険的な生き方を拘束し、世の中をじめじめした不潔なものするということを、芸術家の直感でやっているのです。」岡本太郎

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    2019年09月08日
  • さかしま

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    引きこもり貴族が世界中から宝石とか花とか香水を買い漁って部屋にぶち撒けて遊ぶ、スーパーこどおじ小説。

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    2019年07月07日
  • 悪徳の栄え 上

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    サドとニーチェは高校生のときに読んで、自分の道徳観がぶち壊された感覚がありました。
    その最たるものが本書です。

    ちなみに、澁澤龍彦が『美徳の不幸』(ジュスティーヌっていう清純な女の子がめちゃくちゃ酷いめにあう話)の前書きの部分を、「ジュスティーヌになりたがらない女はいない」って訳してたんだけど、本当は「ジュスティーヌになりたがる女はいない」ってするのが正しい、っていう話も聞きました。ぜんぜん違うじゃん! これって、いったいどちらが正しいんでしょうか?
    フランス語に詳しい人がいたら教えてください。

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    2019年07月07日
  • O嬢の物語

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    性器にピアスしたり全裸で鳥の仮面かぶったりして、人間性が剥奪されていく快感がここにはあります。
    作者は女性なんでしたっけ? 登場人物の誰に感情移入しながら書いていたのかは、ちょっと気になります。

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    2019年07月07日
  • 少女コレクション序説

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    少女をコレクションするのは男の根源的な欲望、みたいなこと書いてますね。やっぱ澁澤先生は言うことが違う。

    新しい1万円札は渋沢栄一じゃなくて龍彦にするべき。

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    2019年07月07日
  • さかしま

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    ネタバレ

    デ・ゼッサントは病弱な貴族の末裔で、パリを離れ趣向を凝らした屋敷で隠遁生活を送る。下女には修道女のようなボンネットを被らせて歩かせている。およそこの世の放蕩生活をし尽くした主人公は、ペイステギの仮面舞踏会を思わせるような葬儀のようなパーティー、喪の宴を開き、隠遁先では黄金の盾を背負わせ宝石をあしらった亀を飼い(すぐ死んでしまうが)や食虫植物や異形の熱帯植物を集め(すぐ萎れてしまうが)独自に香水を調合し、残虐な異端審問の版画やモローのサロメの絵画を眺めて暮らす。現実よりも空想を愛し、ディケンズを読んで薄汚れたどす黒いテムズ河のロンドンを訪れんとするが、パリで満足し引き返してしまう。
    凡俗を忌み嫌

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    2019年03月17日
  • 秘密結社の手帖

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    ネタバレ

    私が秘密結社を知ったのは、フリーメイソンくらいだったのですが、漠然としていて掴めない浮遊感があり、本書を知り手に取りました。
    切り離せないのが、宗教、儀式、犯罪など、これだけ知ればもうお腹いっぱいなのですが、そこは秘密、秘密がどんどん暴かれるので読む手が止まらずでした。
    スローガンが何処の秘密結社にもあり、犯罪、革命、慈善団体など、中でも戦争とは離れがたい逸話があり、大変興味深かった一冊。
    謎だと暴きたくなる渇望を満たしてくれました。

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    2019年03月16日
  • ドラコニアの夢 アニメカバー版

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    大変に面白かった!
    澁澤龍彦を初めて読みましたが、入門書でもあり、また文豪を知ることの楽しさを改めて痛感しました。
    形而上学的な解説本。
    そのリアリズムな著者の文豪に対する目線は正に鋭利。
    ハマりました澁澤龍彦。

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    2019年02月11日
  • 悪徳の栄え 下

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    タイトル通りです。
    残忍極まりない悪事と快楽、そしてカネに溺れることへの哲学小説。
    平たく言うと、野蛮人の集まりです。
    ですが、目からウロコもいいことに、並の人間では到底体験と理解に苦しむこの散々たる悪事にもなんと哲学や道徳がある!
    この哲学小説のいいところは、どっちに転ぶか?ということと、感化されないこと、また、目で文字を追いながらの逆説的教訓になりうることだと思います。
    野蛮人の哲学なんて洒落臭い!と思いがちですが、正直理解に苦しんだので、すっかりとは飲み込めませんでしたが、美徳も同じという紙一重的な描写には、大変考えさせられました。
    善と悪とは何か?
    悪はこれを読めば、うっすらと掴めるの

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    2018年10月15日
  • 悪徳の栄え 上

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    美についての道徳などはよくある話ですが、まさか悪にも道徳があるとは、目からウロコでした。
    サドのSという意味がこの本でよく分かりました。
    すんごく与えるのも好きだけど、受けるものはきっちり受ける。
    快楽に更なる強い痛みと、たっぷりの報酬…逆もしかりな内容で、ただ痛みや強い快楽を与えるだけがSではない。
    殺人的な享楽と痛みに快楽、更には大量のカネと女たちで盛り上がるこの世界観は始めてでした。
    衝撃と目からウロコの連続です。

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    2018年08月02日
  • 高丘親王航海記

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    澁澤龍彦の遺作。
    貞観時代、高丘親王(67歳)は天竺へ船出する。
    船は南洋をぐるぐる流され、夢か幻か現実か時間もあやふやに、怪奇幻想の世界へ。
    病に倒れかけた親王は彼らしい方法で天竺へ向かう。

    なんとなく鳥人間と航海のイメージでクラーク・アシュトン・スミスの「エウウォラン王の航海」を思い浮かべたが、まぁ、詩的、幻想的という意味でしか共通点はないかな。ちなみに鳥が人間のように支配する島の話です。

    澁澤龍彦と言うとフランス文学の訳者と言うイメージで、小説を読んでいなかったのだけど、これは良かった。仏僧が天竺へ向かう話なのにむしろ、幼少期に憧れた女の跡を追っている親王でした。さすが。

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    2018年04月19日
  • ドラコニアの夢 アニメカバー版

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    ネタバレ

    澁澤先生・・・なんというお姿に!素敵じゃないですか!内容は過去作から選りすぐりのアンソロジーだけど、編者の東雅夫さんが文ストファンの心理を良く解っているので、各キャラ(のモデル)の作品も読みたくなっちゃう仕掛け。巻末の三島由紀夫との対談は、泉鏡花のファン同士の会話という感じで、二人ともなんとなく可愛らしい。

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    2018年04月14日
  • さかしま

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    これほど美しい世界観を持った主人公は他には、なかなかいないと思います。
    この本の耽美な世界に溺れるのが大好きです。

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    2018年01月28日
  • 澁澤龍彦 書評集成

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    澁澤龍彦集成(桃源社)のVII巻に書評を纏めた本があり、ラインナップが近い。「偏愛的作家論」や晩年に書かれたものを追加したオリジナル文庫。神田の古書店へ行く時に持っていきたい。

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    2018年01月16日
  • 世紀末画廊

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    単行本未収録の世紀末画廊にイマジナリアという2つの美術画エッセイ作品と、既出の世紀末画エッセイを併せて1冊にした出版社編集オリジナル文庫。
    全集やA2サイズの画集本でも読めるけど、旅先で気軽に読めるオリジナル文庫にしてくれたのは嬉しい。

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    2018年01月16日
  • ねむり姫

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    2008年10月8日~9日。
    面白い。
    そして凄く切ない。
    無償の思いの美しさと残酷さに心が震えます。

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    2018年01月06日
  • 高丘親王航海記

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    ねっとりした南海諸島の濃い空気と対照的に、自由で軽やかな精神が描かれていて独特の浮遊感がある。なんとも言えず心地いい。

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    2018年01月02日
  • 貝殻と頭蓋骨

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    「魔法のランプ」(立風書房) というエッセイ集を新刊で購入した頃「貝殻と頭蓋骨」(桃源社) を古書店で探したが見つからなくて涙をのんだ。その後全集で読むことができたが、編年体構成の為あちこちに分散して感動が薄かった。河出文庫は出版しないし、なかば忘れた頃平凡社ライブラリーから復刊されたのは嬉しい!

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    2018年01月16日