澁澤龍彦のレビュー一覧

  • 秘密結社の手帖

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    この本を読んで、初めて世の中に「秘密結社」があるかも?いや実在するかも?と思った。心のおもむくまま、時間と空間を旅している気分に浸れる。

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    2021年03月14日
  • 悪徳の栄え 上

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    ありとあらゆる犯罪の百科全書のような物語だが、こう言っては不謹慎かもしれないが、不思議な爽快感がある。
    例えば「美徳の不幸」は、善行の見返りに悪逆をもって応えられるような物語で、正直なところ読み進めるのは辛かったため、中途で断念した経験がある。身につまされるからかもしれない。
    思うに、本作では、誤解を恐れずに言えば、女性が一人称で極悪の限りを尽くす様が語られていることにより、特に男性の読者の、酸鼻きわまるような残酷な犯罪の描写を直視することに対する抵抗が、減じられているように思う。男性の視点から言えば、男性は身体的に優位な立場にあり、男性の方が野蛮であり、男性側が女性に対して自ら欲望を行使することの方が、本来自然な発想のはずである。そこを本書では、女性側(も含めて人類には)にも実は悪徳を求める傾向があり、そのことは実に「自然」に適ったこととされている。
    こんなことを書けば、もちろん女性に対して失礼な物言いになることは自覚した上で、それでもなお本書を考察する上で重要なのは、以上のように、男性の読者はおそらく、女性が語っていることに一種の異常な(身勝手な)安心感を抱くのではないか。
    それはさておき、本書はかつて猥褻文書の扱いを受けていたようである。むべなるかなとは思うが、本書は、私にとっては、人間の、個人の内面の自由に関して重要な意味を持つ著作だと思われた。
    私自身、特に職場では、弱々しく、唯々諾々としているように思われていることだろうし、はっきり言って、それほど仕事の能力は高くない。ただ、外面に現れるその人と、内面においてその人物が何を考え、何を面白いと思うかは、完全に別個のことであり、内面において個人は全くの自由であって、サドの作品も、それを読んで思考をめぐらすことは、全く問題のないことだと思う。むしろ、私のような人間は、自分で言うのも何だが、どんな些細なルール違反にも恐々として、嘘や言い間違いにも細かく気を使ってしまうので、「人間の本性が悪であることは明らかである」と言い切ってくれた方が、むしろ勇気付けられるような気さえする。もちろん、実際に悪行を犯そうとは全く思わないが、そういう想像ができる、考えることができることが重要なのではないかと思う。
    また、別の観点で気づいたこととして、本書では罪悪は個人の単位でなされるということ。同じ思想を持つ仲間内で行動することはあっても数人程度で、犯罪友の会というものも登場したが、これもあくまで個々人同士が楽しむためのものとみなせる。
    つまり、特定の信仰や主義主張のために徒党を組んで、集団の暴力に訴えるようなやり方は本書では「自然」ではないということだと思った。この点からも、個人主義・エゴイスムの著作という見方を取れると感じた。

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    2021年02月17日
  • 裸婦の中の裸婦

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     『高丘親王航海記』に並ぶ澁澤龍彦の絶筆。最終3編を畏友 巖谷國士に託している点で、絶筆感がより深い。
     選ばれた裸婦はどの女もこの女もシブサワ好み。オブジェ化したエロスの香気を放っている。
     明らかな間違いを共著者が解説で正してくれたのはグッドジョブ。

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    2021年01月12日
  • 高丘親王航海記 2

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    現在過去未来、性と死、夢うつつがどんどん曖昧になりながら物語がドライブ。自分のような俗物でも仏教の死生観?の本質?に触れた様な気がしてくる。

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    2020年12月26日
  • プリニウスと怪物たち

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     引用主体の『私のプリニウス』に比べ、図版が豊富な本書は楽しく読めた。
     荒俣宏に『理科系の文学誌』という著作があった。澁澤龍彦も、宮沢賢治や稲垣足穂に連なる理科系の文学者であろう。(SF作家とは微妙に違う)。

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    2020年11月23日
  • 快楽主義の哲学

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    最近耽美派にハマってく自分の心理を掴みたくて読んだ。ゲーテって74まで恋してたんだね。しかも19の少女と。w「快楽主義の巨匠たち」の章面白かったな〜哲学や思想史に興味湧いた
    精神の貴族たれ!

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    2020年09月25日
  • 高丘親王航海記 2

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    澁澤龍彦の代表作を近藤ようこが漫画化したもの。誰もが望んだ最も理想の形でのコミカライズだろう。皆やることだろうが、近藤ようこのコミカライズ作品を読むとどうしても原作と読み比べてみたくなる。ご多分にもれず、今回も本棚から原作の文庫を引っ張り出してきたのだけど、奥付をみて原作を読んだのが30年も前であったことに今更ながら驚く。

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    2020年09月21日
  • 快楽主義の哲学

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    人間にはいろんな生き方があるなと思う澁澤氏の生き方と考え方。
    史上の珍な生き様を紹介しながら、いかに自分にとっての生き方が大事かを説く。

    労働と遊びの一致。
    いつでも遊んでいるような存在にならなければ真の意味で社会や文明が進歩したということにならない、と。

    1965年刊行で、
    今もって尚新しい。

    博識知的教養の深さに裏打ちされた澁澤龍彦の思想・発言。
    出過ぎた杭とはこのことだろう。

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    2020年07月27日
  • ドラコニア綺譚集

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    澁澤の筆がエッセイから小説へと向かっていく過渡期の作品集。だが、このエッセイとも創作とも言い切れないバランスは、のちの『ねむり姫』や『うつろ舟』ともまた違い、これはこれで一つの完成形と言える。『思考の紋章学』と対のような感じ。

    「鏡と影について」は、南宋の仙人がドイツロマン派的なドッペルゲンガー譚を語るのでニヤッとさせられる。「スペインの絵について」はバルデス・レアルの絵の依頼主がドンファンのモデルになった騎士だったという、それ自体が面白い逸話にバロック絵画の解釈をめぐる講義が挟まっている。「ラテン詩人と蜜蜂について」では、『思考の紋章学』所収「時間のパラドックスについて」でチラッと触れられたシルデリク王の墓から発掘された黄金製の三百個の蜜蜂について詳しく語られている。『思考〜』では蜜蜂は「馬具の装飾」としていたが、ここではもう一つ「マントの飾り」とする説も紹介していた。
    そして、玉虫の厨子についての導入から魂(タマ)と箱の密接な関係を語り、中学時代の同級生との少し奇妙な思い出話に流れていく「箱の中の虫について」がやっぱり好き。これはネクロフィリアの対象になるということのナルシシズムの話なんだと思う。フランチェスコ一世の別荘からビアンカ・カペッロ、そして『黒死館殺人事件』に繋がる「巨像について」も面白かった。最近『黒死館』読み返してよかったなと思うことが多くて、再読の縁を感じている。

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    2020年05月09日
  • ドラコニアの夢 アニメカバー版

    購入済み

    興味から

    昔から本を読むのは大好きなのですが、どうしてもエッセイは苦手で敬遠していました。しかし、近年、文豪の名前や作品を使ったコンテンツが増えてきたため、興味を持ち、まずはこの作品からエッセイに挑戦してみようと思い購入。
    大正解でした。読みやすく、興味深い内容で楽しかったです。

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    2020年04月10日
  • 澁澤龍彦 西欧作家論集成 下

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    あっという間の面白さでした。
    下巻は、マンディアルグ、ジュネ、コクトーなど知っている文学作家ばかりなのですが、まだ読んだことがないので予習に良かったです。
    横文字が盛り沢山、フランス語も盛り沢山で、ややペダンティック観は否めないですが、この本で

    シュルレアリスム

    という言葉の意味が解り、また個人的にもそちらの一派が好きなのが認識できました。
    横文字が苦手な方は、無理かもしれません。
    ほぼ、フランス文学が納めてあり、たまに例としてポオや江戸川乱歩、夢野久作などが出てくる位です。
    では、次はカフカかマンディアルグかジュネを読もうかな…と、次に繋いでくれる作品でした。

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    2019年10月08日
  • 澁澤龍彦 西欧作家論集成 上

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    大変面白く読みました。
    西欧文学をもっと読みたくて手にしましたが、何という情報量!!
    気になる作家を検索しても、ほぼ絶版状態で残念でした
    が、それでも三冊は入手出来たのでまあまあです。
    サドの「悪徳の栄え」やレアージュ「O嬢の物語」などのエロノトピアの意味が、マーカスの文章引用でよく分かりました。
    即ち

    エロノトピアには急に始まり、あとは突き進むのみで永続の終わりはない

    ということが、ハッとさせられました。
    だから、終わりが途切れた感じになっているのかと…
    。
    下巻の最後には、レアージュ「O嬢の物語」解説があるので、楽しみに読みます。
    それにしても、癖になる作家だなあ、澁澤龍彦…。

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    2019年09月22日
  • 快楽主義の哲学

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    これは意外と面白い本だった。
    題名に『哲学』とあるので少々お堅い本かと思って手に取るも、なんの著者のざっくばらんかつ、筋の通った内容である。
    快楽主義とは、一貫し『人間の本能、人間の欲望に忠実である』ことであり、ヘンな常識や風習に惑わされることなく、自然体であることを説く。
    ・進歩や発展のない生活には、みるべき快楽もまたない(コアラの退屈さと比して)
    ・常識に囚われることなく、「人間の限界をつきやぶり、人間を人間以上の存在にする。」
    ・「親子とか夫婦とかいった関係が、人間の自由な冒険的な生き方を拘束し、世の中をじめじめした不潔なものするということを、芸術家の直感でやっているのです。」岡本太郎
    ・「そもそも、しあわせな家庭などというものを築いたら、もう若者のエネルギーは、行きどまりだということを知るべきです。妻子ある家庭を思えば、冒険もなにもできやしません。大学をうまく卒業し、一流会社へ就職し、課長の媒酌できれいな奥さんをもらい、一姫二太郎をこしらえ、モダンなアパートに住み、車を買い、ステレオを買ったら、まあ、あとはせいぜい、女の子のいるバーで、奥さんの目をぬすんで、ちょっとした浮気をするぐらいが関の山でしょう。まことになさけない。こんなのは、快楽主義者として、最低の部類に属します。」著者
    ・「ダンディの美の性格は、心をかき乱されまいとする堅い決心、その決心から生ずる冷静な態度のうちに宿る。」ボードレール

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    2019年09月08日
  • さかしま

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    引きこもり貴族が世界中から宝石とか花とか香水を買い漁って部屋にぶち撒けて遊ぶ、スーパーこどおじ小説。

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    2019年07月07日
  • 悪徳の栄え 上

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    サドとニーチェは高校生のときに読んで、自分の道徳観がぶち壊された感覚がありました。
    その最たるものが本書です。

    ちなみに、澁澤龍彦が『美徳の不幸』(ジュスティーヌっていう清純な女の子がめちゃくちゃ酷いめにあう話)の前書きの部分を、「ジュスティーヌになりたがらない女はいない」って訳してたんだけど、本当は「ジュスティーヌになりたがる女はいない」ってするのが正しい、っていう話も聞きました。ぜんぜん違うじゃん! これって、いったいどちらが正しいんでしょうか?
    フランス語に詳しい人がいたら教えてください。

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    2019年07月07日
  • O嬢の物語

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    性器にピアスしたり全裸で鳥の仮面かぶったりして、人間性が剥奪されていく快感がここにはあります。
    作者は女性なんでしたっけ? 登場人物の誰に感情移入しながら書いていたのかは、ちょっと気になります。

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    2019年07月07日
  • 少女コレクション序説

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    少女をコレクションするのは男の根源的な欲望、みたいなこと書いてますね。やっぱ澁澤先生は言うことが違う。

    新しい1万円札は渋沢栄一じゃなくて龍彦にするべき。

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    2019年07月07日
  • さかしま

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    ネタバレ

    デ・ゼッサントは病弱な貴族の末裔で、パリを離れ趣向を凝らした屋敷で隠遁生活を送る。下女には修道女のようなボンネットを被らせて歩かせている。およそこの世の放蕩生活をし尽くした主人公は、ペイステギの仮面舞踏会を思わせるような葬儀のようなパーティー、喪の宴を開き、隠遁先では黄金の盾を背負わせ宝石をあしらった亀を飼い(すぐ死んでしまうが)や食虫植物や異形の熱帯植物を集め(すぐ萎れてしまうが)独自に香水を調合し、残虐な異端審問の版画やモローのサロメの絵画を眺めて暮らす。現実よりも空想を愛し、ディケンズを読んで薄汚れたどす黒いテムズ河のロンドンを訪れんとするが、パリで満足し引き返してしまう。
    凡俗を忌み嫌いながら、音楽ではベートーベンやシューマンなど俗なクラッシックを愛好する。独自の偏見と歪んだ美学を貫いた生活を送るが、医師の強い勧めによりパリへ戻る。
    パリ、功利主義とアメリカの商業の圧政に屈した徒場へと。
    貴族の凋落と新興のブルジョワ・商業への強い嫌悪を豪奢で華麗な形容詞によって罵る。芸術的な罵り言葉。イギリスのプロテスタンティズムへの嘲笑。ローマへの憧憬。傑作。
    堕天使ルシファーが天上では高位の天使であったように、全ての才能と栄華を一身に受けたはずの貴族の退廃。豪華で官能的な悪魔主義。

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    2019年03月17日
  • 秘密結社の手帖

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    ネタバレ

    私が秘密結社を知ったのは、フリーメイソンくらいだったのですが、漠然としていて掴めない浮遊感があり、本書を知り手に取りました。
    切り離せないのが、宗教、儀式、犯罪など、これだけ知ればもうお腹いっぱいなのですが、そこは秘密、秘密がどんどん暴かれるので読む手が止まらずでした。
    スローガンが何処の秘密結社にもあり、犯罪、革命、慈善団体など、中でも戦争とは離れがたい逸話があり、大変興味深かった一冊。
    謎だと暴きたくなる渇望を満たしてくれました。

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    2019年03月16日
  • ドラコニアの夢 アニメカバー版

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    大変に面白かった!
    澁澤龍彦を初めて読みましたが、入門書でもあり、また文豪を知ることの楽しさを改めて痛感しました。
    形而上学的な解説本。
    そのリアリズムな著者の文豪に対する目線は正に鋭利。
    ハマりました澁澤龍彦。

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    2019年02月11日