あらすじ
妹ジュスティーヌとともにパンテモンの修道院で育ったジュリエットは、悪徳の快楽をおぼえ、悪の道へと染まってゆく。パリで同好のさまざまな人物と交わり、イタリアへと逃げおちた彼女は、背徳の行為をくり返し、パリへと帰る……。悪の化身ジュリエットの生涯に託して悪徳と性の幻想がくり広げられる暗黒の思想家サドの傑作長編小説!
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Posted by ブクログ
本作は、息付く間もなく悪徳の栄光を突っ走り、もっとも豊饒で残虐な幻想が織り成される、サドの傑作長編小説です。
本作が所謂「サド裁判」の根源になったのは言うまでもなく、澁澤の翻訳発表当時から、「芸術とワイセツ」を世に問い続けてきた稀代なる作品と言えるでしょう。私はこの作品を、後世にも遺していくべき不朽の傑作だと思っています。
さてさて、読み始めたら止まらない、それがサドの小説です。私の場合、もはやサドは封印(敬遠?)対象になるほど良くも悪くも強烈な作品ゆえ、澁澤の批評を読むくらいに留めておいたのですが、やっぱり読んじゃいますよね。そして一度手をつけたら最後、どんどん読んでしまう。5日もあれば、上下巻を読破するのには十分でした。
まさしく悪徳のバイブルとでも言えそうな本作では、主人公のジュリエットを初め、様々な登場人物が悪徳の限りを尽くし、これに耽ります。形式としては連作小説に近く、短い各々のエピソードが連なるようにして全体が構成されていますが、そのどのエピソードにしたって、ぬるいシーンはひとつもありません。只管に自然と悪徳を礼讚する哲学パートと、血みどろの法悦境シーンが延々と、これでもかと続きます。悪徳のバイブルと書きましたが、その流血淋漓たるや凄まじく、ページをめくる度に陰惨な思考と情景に侵食されていくのです! またその残酷極まる描写もどこかこざっぱりしていて、想像では追いつかないようなユートピアが、たった一行の中に凝縮されていたりします。
改めて、やはり凄まじい作品です。昔読んだ時は、その言い回しや冗長な哲学開陳パートよりも、残酷さの中に齎される感受性や衝撃に強い感化を受けたものでしたが、今読むと、澁澤さんの抄訳しかり、サドの思考しかり、考えさせられるものがあります。いみじくも訳者あとがきで澁澤さんが言うように、まさしく本作は「裏返しの教養小説」なのであって、繰り返して述べるようですが、一読の価値は大いにあると思います。
(下巻のとんでもエピソード)
下巻は哲学開陳パートはもはや少なく、ひたすらにジュリエット残酷な放蕩が続いていった印象です。就中「ローマの大饗宴」「デュランとの再会」ではサドの想像力におけるユートピアが隆盛を極めており、また、フォンタンジュやジュスティーヌの悲惨過ぎる最期も、この作品を悪徳を象徴しているように感じます。
Posted by ブクログ
タイトル通りです。
残忍極まりない悪事と快楽、そしてカネに溺れることへの哲学小説。
平たく言うと、野蛮人の集まりです。
ですが、目からウロコもいいことに、並の人間では到底体験と理解に苦しむこの散々たる悪事にもなんと哲学や道徳がある!
この哲学小説のいいところは、どっちに転ぶか?ということと、感化されないこと、また、目で文字を追いながらの逆説的教訓になりうることだと思います。
野蛮人の哲学なんて洒落臭い!と思いがちですが、正直理解に苦しんだので、すっかりとは飲み込めませんでしたが、美徳も同じという紙一重的な描写には、大変考えさせられました。
善と悪とは何か?
悪はこれを読めば、うっすらと掴めるのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
サドは性愛小説のように読まれることが多いのですが、私からはキリスト教的文脈における「背徳」という思想を自ら生きた、希有の思想家に感じられます。三島が『サド侯爵夫人』で描いてみせたような不健全さなど実はあまりなかった、まことにストレートな直球勝負の人だったのではないでしょうか?
Posted by ブクログ
後半は冒険活劇の体を帯び、陰惨な場面描写に耐えれば荒唐無稽な話の展開やら、宗教批判やら、専制主義の批判やらでなかなかおもしろかった。
18世紀末から19世紀にかけて新たな思想が芽生える時期だったのかな〜という気もした。
まぁ、ただの気のせいかもしれないが…
Mahalo
Posted by ブクログ
悪徳の哲学小説。
悪徳=自然の第1法則
美徳=利己主義
美徳=悪徳
よって、人間における一切は悪徳。
言わんとすることは分からんでもないが、
余りにも頭のネジが飛び過ぎてる。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
妹ジュスティーヌとともにパンテモンの修道院で育ったジュリエットは、悪徳の快楽をおぼえ、悪の道へと染まってゆく。
パリで同好のさまざまな人物と交わり、イタリアへと逃げおちた彼女は、背徳の行為をくり返し、パリへと帰る…。
悪の化身ジュリエットの生涯に託してくり広げられる悪徳と性の幻想はここに極限をきわめ、暗黒の思想家サドの最も危険な書物として知られる傑作幻想綺譚。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
妹ジュスティーヌとともにパンテモンの修道院で育ったジュリエットは、悪徳の快楽をおぼえ、悪の道へと染まってゆく。パリで同好のさまざまな人物と交わり、イタリアへと逃げおちた彼女は、背徳の行為をくり返し、パリへと帰る…。悪の化身ジュリエットの生涯に託してくり広げられる悪徳と性の幻想はここに極限をきわめ、暗黒の思想家サドの最も危険な書物として知られる傑作幻想綺譚
Posted by ブクログ
(上)の続き。
ちなみにこの作品は、かの有名な「サド裁判」の原因となった作品でもある。これはレビューとは関係ないか。姉妹が主人公で、上下片方ずつ主人公を勤めている。どっちがどっちだかもう忘れたけど。
Posted by ブクログ
週刊少年ジャ○プ背徳版と言うか…。あまりにも精力的に悪徳を積み重ねているので、淫靡さや情緒は全く無い。「SMってのはなぁ!」と声を大にして言いたくなるけど、読み物としては結構好き。