澁澤龍彦のレビュー一覧

  • 悪徳の栄え 上

    Posted by ブクログ

    殺人、近親相姦、スカトロジー、カニバリズムなどありとあらゆる禁忌が盛り込まれたヤバい本。やっていることは滅茶苦茶だけど、悪人たちの語る哲学は面白い。かつて裁判になったのだとか。さもありなん。

    0
    2022年07月14日
  • 東西不思議物語

    Posted by ブクログ

    古今東西のうち今のない古の東西から集めたちょっと不思議な奇譚・異譚の伝聞集。著者の、日本、東洋、西洋の文献への博識にまず驚かされるのと、庶民の雑話がこうして記録として残っている、残そうとする文化がかなり古代からあったのだなぁと感心。こういった不思議話には英雄や為政者たちの語る政治史からは知ることができない、庶民たちの生き生きとした生活史がうかがえて楽しい。

    0
    2022年06月23日
  • 世界悪女物語

    Posted by ブクログ

    初めて読んだ澁澤龍彦の著作がこれだったような気が……します。世界史の教科書でも登場するような女性たちの悪女たらんエピソードに舌を巻きつつ、エリザベート・バートリーやフレデゴンドの悪女極まる壮絶なエピソードに、戦慄しながら惹かれていったのを覚えています。
    陰惨さはともかく、ここで取り上げられる女性たちには、各々の思想があり、野心があり、強さがあるのです。臆病で、それこそ妻の言いなりになってしまう皇帝のように、阿諛迎合することしか出来ない自分を見た時に、これらの悪女たちは、燦然と私に一つの生き方を教えてくれたのかもしれないのです。

    0
    2022年06月22日
  • ドラコニア綺譚集

    Posted by ブクログ

    さすが円熟期のエッセイ集、です。該博な知識に魅了されていると、小説のような不思議で幻想的なエピソードが織り込まれて、虚実皮膜、綺譚と称すに相応しい澁澤の世界が──まさしく「ドラコニア」なる幻想世界が現れてきます。ここから『高丘親王航海記』等の晩年の小説へと、ドラコニアの世界は広がっていくのです。そのような意味では澁澤龍彦を語る上ではやはり避けては通れない、印象深い一冊でした。個人的にはやっぱり澁澤さんのエッセイが一番好きなので、エッセイであり小説のようでもある本作は好きでした。お気に入りは「飛ぶ頭について」「桃鳩図について」です。「文字食う虫について」もいいなぁ

    0
    2022年06月15日
  • 夢のある部屋

    Posted by ブクログ

    澁澤はともすれば女性を敵に回しそうな発言もするのに、女性読者にも根強い人気があるのは、なぜなのでしょう。本作のエッセイは女性誌に掲載された、ゆったりとしたものが多い印象です。でも気を抜いているとその博識の波に呑まれてしまうので、やはり油断は出来ません。
    発展する建築や技術に対して嘆いている場面も多く、澁澤が自然や古典を愛し、好奇心のおもむくままに生きた素敵なひとであったと再認識しますね。

    0
    2022年06月06日
  • 高丘親王航海記 IV

    Posted by ブクログ

    この漫画は、原作を離れての評価は難しいと思うが、生死、時間、精神と肉体、空想と現実が一体となる感じが素晴らしい。本当の高岡親王という人はどんな人だったのだろうかと考えさせられる。

    0
    2022年01月10日
  • 女のエピソード

    Posted by ブクログ

    澁澤龍彦のエッセイの中では比較的おとなしめで分量もかなり少なく、難解な表現もほぼないと言って良い。あとがきで「女性読者が、何らかの指針なり暗示なりを探り出して頂ければ、筆者としては幸いである」と述べていることからも、かなりフランクで澁澤龍彦初心者向けの1冊になっている。

    しかし、一見「そのエピソード、知ってるよ〜」と思いながらページをめくっていると、とんでもない解釈・情報も書かれていたりするので、そこは流石澁澤龍彦だなぁと思いながら、退屈にはならなかった。パッと手にしてザッと読めてしまうのもポイントが高い。忘れそうになったら気になるところだけ読み直すのもアリ。

    0
    2021年12月12日
  • 長靴をはいた猫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    所有しているのは『大和書房』単行本〔1978年4月10日7刷発行〕。古本で入手。
    これって元々『アンアン』に連載されてたのか!

    澁澤氏の文章(訳文)も然ることながら、片山健氏のイラストも雰囲気凄い。
    本の外観と中身がしっかり一致している。「童話のタイトル付いてるけど、大人向けの本」が一目瞭然。紙媒体の書籍の楽しみって、こういう所にもあるよね!

    0
    2021年10月21日
  • ねむり姫

    Posted by ブクログ

    『ねむり姫』リーダビリティはよい。ポニーで田舎者を馬鹿にするのがなんか
    『狐媚記』狐の好物ってさうなのね。(原典読んで「澁澤作品の方が」と言へるレヴェルの筈)
    『ぼろんじ』澁澤先生みとこーもんくらゐは見てたってどっかに書いてあった筈
    『夢ちがえ』 琵琶湖の畔の話なのね。(田楽を舞ふ異形のなんぞが鎌倉でどうたら話があるさうなのだが先生の地元シリーズに入らない)
    『画美人』へそー
    『きらら姫』おさるスーツと、欲望に弱いキャラがそれを叶へて「あぁ、俺がナニしたあれが」と言ふのであったと言ふのが、衝撃。しかもタイムトラベルをするではないか。で先生の地元シリーズの壱。

    0
    2021年10月20日
  • 高丘親王航海記

    Posted by ブクログ

    澁澤龍彦の遺作。

    高丘(高岳)親王は実在の人物で、平城帝の第三皇子。
    平城帝が譲位した後の嵯峨帝の皇太子であったが、「薬子の変」により廃太子され、出家した人物である。
    薬子は平城帝の愛妾である。元々は薬子の娘が平城帝(当時は東宮)に召されて宮中に上がることになったが、まだ幼い娘の後見のような形で母の薬子が同行する。ところが東宮は母の方に夢中になって寵愛してしまう。もちろん、薬子には夫がいるのに、である。父・桓武帝は醜聞に怒り、薬子は追放。だが、桓武帝の死に伴って、平城帝は再び(今度は尚侍として)薬子を呼び戻す。
    後、嵯峨帝に譲位して上皇となるも、都を平城京に戻して、政権を再び掌握しようとする

    0
    2021年10月18日
  • 高丘親王航海記

    Posted by ブクログ

    澁澤龍彦は、中学の図書室で出会ってからの
    長いおつきあい。

    澁澤の作品の入門には、刺激的?かもしれないけどぜひ神秘・不思議・怪奇好きな人は、読んでもらいたいな。


    0
    2021年09月11日
  • 長靴をはいた猫

    Posted by ブクログ

    ペロー童話といえば、「赤ずきん」や「長靴をはいた猫」、「眠れる森の美女」あたりが有名だろうか。数多くリライトもされ、そうして出版されるものの多くは「子供向け」にアレンジされている。
    だが、実は原作はかなり荒削り、ときに残酷、ときにかなり性的だ。それが逆に「味わい」でもあるのだが。
    ペローが採話した民間伝承・昔話がベースになり、そこにペローが多少の脚色と「教訓」を加えている。アカデミー・フランセーズの会員であったペローが、文芸サロンで発表したものを徐々に練り上げて形にしていったもので、そのあたりは別の本(『いま読む ペロー「昔話」』)に詳しい。

    河出文庫版は澁澤龍彦訳、底本はガルニエ古典叢書1

    0
    2021年04月23日
  • 黒魔術の手帖

    Posted by ブクログ

    想像もつかない程の文献を読み尽くして、微妙なテーマを冷静に、軽妙に語る。読み終えても魔術師にはなれない、という距離感が絶妙。そして歴史が好きになる。

    0
    2021年03月14日
  • 快楽主義の哲学

    Posted by ブクログ

    澁澤の人気本。
    今とは全く異なる時代背景にあって書かれたエッセイだから、ややもすると噛みつかれそうな表現があるが、さすが大先輩、古今東西の文学の豊かな土壌に培われ寛容だ。スカトロジーが研究対象だと巫山戯る私とは雲泥の差。

    澁澤本人はこの本を嫌ったらしい。かれのすすめる快楽主義とは実のところ何であるのか、お茶を濁すきらいもある。しかし、目次を追っただけで内容が読めてしまうような自己啓発書よりも、これを読んで澁澤の紹介する「韜晦」や「ダンディズム」を知るほうが、人は生きやすくなるのでは。

    0
    2021年03月12日
  • 長靴をはいた猫

    Posted by ブクログ

    子供向けじゃない童話という感じで、予想以上に楽しめた。
    赤頭巾や眠れる森の美女は有名なんだけど、私の知っている話とちょっと違った。特に眠れる森の美女は途中から「あれ、こんな話だっけ?」と展開に驚いた。私の知っている話は子供向けバージョンだったんだな……。この童話はけっこう残酷なところもある。各話の終わりにある「教訓」も大人がニヤリとできるものが多い。そして挿絵もちょっと官能的で独特な味がある。

    0
    2020年12月26日
  • 高丘親王航海記 1

    Posted by ブクログ

    淡白な表現が儚く妖しい美しさ。
    原作も、読んだような読んでないような記憶しか無かったけど、確かにこんなだったと思い出した。

    0
    2020年12月26日
  • 快楽主義の哲学

    Posted by ブクログ

    精神の貴族たれ、という時に、都合の良い解釈かもしれないけれど、本書に書かれている姿勢をそのまま実績せよとは言っていないと思うので、
    例えば本書でかなりページをさかれているエロティシズムに関しては正直なところ、共感は出来なかったが、要は偏屈だ頑固だと言われても、少なくとも精神の自由を侵されてはならないのだと言う主張だと解した。
    巻末で解説者は、次のような趣旨を述べている。
    本書での、労働の忌避や、大衆化したレジャー産業に乗せられないようにとの警鐘は既にして時代遅れで、定職につかないような若者、ますます個別多様化する趣向などはもはや当たり前になりつつある、と。
    また著者は、当時、それこそ大衆向けの

    0
    2020年12月22日
  • 高丘親王航海記

    Posted by ブクログ

    高丘親王が繰り広げる夢とも現とも定かでは無い旅行記を読んでいると、自分がトリップをして、彼らと共に大空を大海を巡る感覚になる。
    現実と夢の世界を態とボカして書かれているので、自分の置かれている世界の朧げな姿を見せられて、それに蠱惑されている感覚。

    0
    2020年12月02日
  • 高丘親王航海記 1

    Posted by ブクログ

    原作を読んでいないので、漫画の感想というべきか、原作の感想というべきか分からないが、面白いです。
    高丘親王の人物像も、飄々としていいのだが、薬子がよい。薬子の変の印象で、悪女っぽいイメージだが、この薬子のエロいと同時に現世離れした感じが良い(高丘親王の夢フィルターではあるが)。

    0
    2020年10月21日
  • サド侯爵の生涯 新版

    Posted by ブクログ

    どういう作品を出しているかは全く知らないけど、勝手な想像が独り歩き、ただ名前だけの認知で人となりについて考えたことはなかった。
    誕生から死を迎えるまでの一生。
    何がどうなったのやら文章が理解が追い付かないほどにスラスラ入ってくる、面白い。
    印象操作ほど怖いものは、ない。

    0
    2020年10月08日