澁澤龍彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
お伽噺、というものは、そもそもちょっと怪しげなものなのだけれど、「あやし」の境界線をのぞき込むのではなくうろつける感じになると、大人用ってことなのだな、と個人的には思うのです。というわけで、これは大人用のお伽噺。読んで損なし。
単行本の装丁について付け加えると、「ショッキングピンクとルミナスっぽいグリーン」という、目がおかしくなりそうなデザインで、忘れたくても忘れられない、壮絶なインパクトのあるものでした。ちょっと普通では思いつかないような色遣いが、あやしさを確かに増していたけれど、この本についてはこの文庫版の装丁のほうが、感じいい、というか良い感じであると思います。
*追記*なんとなく確認し -
Posted by ブクログ
澁澤龍彦は一時ハマっていた時があって、本書も再読である。快楽主義の哲学というタイトルが先ず渋い。そして、人生全て快楽のためであるというような叙述がある。
― せっせと貯金をして家を建てるとか、三時までおやつの時間を待つとか、結婚初夜まで処女を尊重するとか、出世のために下働きの苦労をなめるとか、すべて、こうしたことは、即座の満足でなしに、ひきのばされた満足を求める心の結果であり、用心ぶかい「現実原則」の結果であります。死んだら天国に行かれると信じて、現世の快楽をあきらめる信仰者の場合も、あきらかに、このひきのばされた満足を求めているのでしょう。
宗教さえも〝引き延ばされた満足″と皮肉る。即座