【感想・ネタバレ】ねむり姫のレビュー

あらすじ

なんの前ぶれもなく、永いねむりについてしまった美しい姫と、腹違いのひとりの童子――中世の京の都を舞台に繰り広げられる男と女の不可思議な生涯を物語る表題作のほか、実母の生んだ牝狐を愛して命を奪われてしまう男の物語「狐媚記」、夢が男女の出会いを予告する「ぼろんじ」など、あやかしの物語六篇。

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Posted by ブクログ

2008年10月8日~9日。
面白い。
そして凄く切ない。
無償の思いの美しさと残酷さに心が震えます。

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2018年01月06日

Posted by ブクログ

しばしのインターバルを経てTasso再読祭再開。
様々な典籍に材を取った幻想時代劇、全6編。
何度読んでも味わい深く、しみじみ面白い。

眠りに落ちたまま年を取らなくなった珠名姫と
異母兄つむじ丸の物語「ねむり姫」や、
望楼に幽閉された万奈子姫の悲恋「夢ちがえ」が
殊の外、切ないが、
もう一人の姫こと「きらら姫」が
遂に正体不詳で終わるところにニヤリとさせられる。

以下、多少の余談なぞ。

「ぼろんじ」(虚無僧の意)において、
主人公の兄を振武軍に導き入れたとされる
澁澤成一郎(1838-1912)は
明治以降、幼名に復して澁沢喜作と名乗った実業家で、
日本資本主義の父と呼ばれる澁澤栄一の従兄であり、
作者の親類にも当たる。

「夢ちがえ」の「箱の蓋を持ちあげてみると」の条(p.178)では、
つい、泉鏡花「天守物語」
朱の盤の登場シーン(これは汁が出ました)を連想。

「画美人」の、
ガラス鉢の金魚に情事を見られている気がする……云々は、
作者の初期短編「撲滅の賦」のヴァリアントだろうか。

江戸の大工の倅・音吉が
鎌倉時代へ時間旅行する「きらら姫」。
彼は地震で倒壊した日蓮上人の草庵を建て直すのだが、
日蓮の弟子・日興が「伯耆房」の名を賜り、
日蓮と共に身延山に入った経歴が、
鳥取の地名である「伯耆」を苗字として名乗る人々が
山梨県の身延町に存在するという謎に迫る鍵ではないか……
と愚考する。

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2017年11月24日

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澁澤龍彦にはめずらしく(?)、ぼんやりできる午後などに拾い読みできる本。晩年の短篇集(ロマネスク)。ねむり姫になりたいのになあ、そしたら王子さまがキスしたって、絶対眠りから醒めないのに。というのは、表題作とは何の関係もありません。最近、寝不足気味。

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2011年07月19日

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水面を、覗き穴を通してスライドのように交錯する姫や少年達の運命。するりするりと読める香りの佳い文章です。

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2009年10月04日

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お伽噺、というものは、そもそもちょっと怪しげなものなのだけれど、「あやし」の境界線をのぞき込むのではなくうろつける感じになると、大人用ってことなのだな、と個人的には思うのです。というわけで、これは大人用のお伽噺。読んで損なし。
単行本の装丁について付け加えると、「ショッキングピンクとルミナスっぽいグリーン」という、目がおかしくなりそうなデザインで、忘れたくても忘れられない、壮絶なインパクトのあるものでした。ちょっと普通では思いつかないような色遣いが、あやしさを確かに増していたけれど、この本についてはこの文庫版の装丁のほうが、感じいい、というか良い感じであると思います。
*追記*なんとなく確認したら、本人自装、ということで、ご自分のイメージによるものらしいです。今もわたくしの本棚で、目立ちまくっています。

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2009年10月04日

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『うつろ舟』などにならんで、晩年の『高丘親王航海記』への過渡作品とも言える、秀逸な短篇集です。『思考の紋章学』や『ドラコニア奇譚集』などに顕著なエッセイらしさが少なくなり、物語性に重きが置かれています。『高丘親王〜』よりはまだ文章/文体は固いかもしれませんが、ちゃんと分かるしちゃんと面白いです。
澤さんの模索過程が垣間見えるようで楽しいですね。『画美人』の金魚のくだりは初期の短編を彷彿とさせますし、文章の難渋さ自体は丸くなったものの、古語や漢語で飾られた豊麗な文章は典雅で気品があり、硬質な印象も受けます。どの作品のどの部分を見回してみても、洗練され高く築き挙げられているかのよう。この象牙の塔は、澁澤龍彦という匠にしか建てられぬものでしょう。
個人的お気に入りは、やっぱり『狐媚記』ですね。

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2022年08月24日

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『ねむり姫』リーダビリティはよい。ポニーで田舎者を馬鹿にするのがなんか
『狐媚記』狐の好物ってさうなのね。(原典読んで「澁澤作品の方が」と言へるレヴェルの筈)
『ぼろんじ』澁澤先生みとこーもんくらゐは見てたってどっかに書いてあった筈
『夢ちがえ』 琵琶湖の畔の話なのね。(田楽を舞ふ異形のなんぞが鎌倉でどうたら話があるさうなのだが先生の地元シリーズに入らない)
『画美人』へそー
『きらら姫』おさるスーツと、欲望に弱いキャラがそれを叶へて「あぁ、俺がナニしたあれが」と言ふのであったと言ふのが、衝撃。しかもタイムトラベルをするではないか。で先生の地元シリーズの壱。

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2021年10月20日

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 現実から、ひょいっとはみ出してとける。不思議と現実のはざまを語る。そんな短篇集だと思う。上るのではなく潜るのに近いけれど、手引きがあるので溺れずに済む。ただ、その手引きがどんなもので、どこへぼくたちを連れて行くのかを考えはじめるとすこし怖くなる。グロテスクが道中にあるような、白骨を横目に潜っていくような、感覚。初期短篇選や唐草物語より、語り口が軽妙な気が、なんとなく。
2017.8.不明.

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2017年10月07日

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中世日本のあやかしの短編集。
何と言っても面白かったのは表題作のねむり姫。
夢と現の間にとらわれるねむり姫とつむじ丸の想いの交差は何とも言えない

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2012年11月08日

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裏表紙に“あやかしの物語”と書かれていたけれど、不可思議というひと言では片付けられない世界だった。この作品を読んでいる最中、二度ほど憑き物的な夢を見た上、金縛りにもあった。脳が独特の魔術にかかってしまったのかもしれない。
淫靡でもあり、エッシャーの騙し絵のような怖さもある。洒落に富む上質でリズミカルな文章がなんとも小気味よかった。
澁澤龍彦、怖いもの見たさ的興味で、その扉の奥をもう少しだけ覗いてみたい気がする。

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2010年08月17日

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澁澤龍彦ならではの耽美な世界〜後白河法皇の時代に眠り続けるうつくしい姫の話など、日本の時代物を揃えた短編集。教養に裏打ちされた流麗な文章で読ませます。所々わざと肩すかしがある粋な作りなので、ストーリーは??だが、耽美は論理的じゃないのね〜役には立たないのよねと何やら納得。

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2009年10月07日

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サドの本を日本に紹介したことで知られる澁澤龍彦。
この本はエロティシズムにあふれているというわけではないが
独特の言い回しで昔話を更に味わいのあるものにしている。

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2009年10月07日

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難しいと思っていたけど、読んでみたら言葉の響きと文章のリズムがとても心地よくて、するすると読んでしまった

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2009年10月07日

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時代劇ものって読みやすかったっけみたいな本です。

内容は落語の左甚五郎の、題が出てこない。話のようで

すね。

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2016年02月17日

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幻想文学っていいなあ……という気分にはなったけども、"澁澤龍彦の"良さを感じるにはやや物足りない。他のものも読んでみようという気にさせられるといえばまあ、そう。
面白さとは関係ないが、時代物なのに外来語が入るのはいつものこととはいえ突然のE.T.にはさすがに笑った。

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2014年11月21日

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随分昔に購入していた本です。
西洋風のおとぎ話を日本の昔話に置き換えた風ですね。そして必ずしもハッピーエンドにならない辺りがさらに面白い。幻想小説と言うのはこういう感じの取りとめの無いものなのかなあなどと思いした。面白かったです。また何か違う本も読んでみようと思います。

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2013年04月23日

Posted by ブクログ

短編集。この作家さんは初めて知りましたが、近現代というより現代作家さん?
なのに近現代風というのがなんというか掴みきれず。
雰囲気はありましたが、自分好みかと言われるとちょっとキツかったです。

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2013年01月17日

Posted by ブクログ

相変わらず夢心地になる。
ただしいつにも増して読めない漢字が多いので、手元に筆順辞典(これが役に立つ!)と広辞苑を登録したEBPocketをインストールしたiPod Touch(など)を常備する必要あり。

また、この人はおそらく小説よりもエッセイなどの方が人気があると思うが、私はむしろ小説の方が気持ち良い。

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2012年10月25日

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読めない漢字が沢山あったので辞書を引きながら。
時折出て来る横文字が洒落てます。
夢と現のあわいに漂う6編。

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2012年05月01日

Posted by ブクログ

「夢ちがえ」「狐媚記」「画美人」が特に好き。後味は決して良くない、むしろ残酷と言ってもいいような話なのに、美しい物語だったと感じる不思議な読後感。端正な文章の中に時折顔を出す悪ふざけ(と言っていいのか分かりませんが)がくすりと笑えて楽しい。「(省略)。特異体質だな。」「いやですよ。そんな近代のテクニカル・タームは存じませぬ。」。ついつい笑わされる。

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2011年08月24日

Posted by ブクログ

澁澤幻想短編集。
この人のエッセイもあまり好きではないが、私は小説も得意ではないらしい。
翻訳家としての彼は最高だが。
なのに私の本棚には澁澤関連の本が相当数ある。
不思議…

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2009年10月04日

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