あらすじ
ルクレチア・ボルジア、カトリーヌ・ド・メディチ、ブランヴィリエ侯爵夫人、エリザベス女王、則天武后にマグダ・ゲッベルス……世界史上、名高い12人の女たち。美貌と権力、魔性と残虐性によって人びとを恐怖に陥れた彼女たちは、並外れた虚栄心、戦慄すべき美への執着、狂気のごとき愛欲に身をゆだね、罪を重ねて、孤独なあるいは非業の最期を遂げた。なぜ彼女たちはかくも魅力的なのか。耽美と悦楽のカリスマ、作家・澁澤龍彦の愉楽に満ちた人物エッセイ集。
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Posted by ブクログ
私は性悪説派の人間なので、誰しもが悪女になる素質を持っていると考えている。どれだけ純真無垢な心を持った人でも、誰かのちょっとした言動や何かしらの経験がキッカケとなり、とんでもない極悪人になり得ることはあるだろう。そう思うと人ごととは思えない、ちょっと怖い一冊。
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小学生の頃、姉が持っていたのを読んで衝撃を受けました。
(私が西洋史好きになったきっかけかも)
とっくに絶版になっていると思っていましたが
まだ購入出来ましたので嬉しかったです。
いろいろなタイプの女性が載っていますが
やはり歴史上に名を残した女性はやはり惹きつけるというか
とても魅力的です。
書かれた年代もあり差別的表現があるのでご容赦下さいと
但し書きもされていますが全然気になりませんし
一度読んだ物でも新鮮な驚きが詰まった名著です。
Posted by ブクログ
この手の本の中では古典ともいうべき、最高の作品でしょう。
澁澤氏ならではの知識を背景に縦横に語り、有名な女性の実像に迫って濃厚で妖艶な雰囲気をたたえ、品格があります。
取り上げられているのはルクレチア・ボルジア、エルゼベエト・バートリ、ブランヴィリエ侯爵夫人、エリザベス女王、メアリ・スチュアート、カトリーヌ・ド・メディチ、マリー・アントワネット、アグリッピナ、クレオパトラ、フレデゴンドとブリュヌオー、則天武后、マグダ・ゲッペルス。
ルクレチアについては本人は悪女とは言えないとのこと。
バートリは稀代の犯罪者ですが…
エリザベス女王は苦難を乗り越えて特異な政治スタイルを築き上げた、面白い人間像ですね。
男性に競争させて、決して権力は明け渡さなかった賢いエリザベスとは対照的に、メアリ・スチュアートは恋に身を滅ぼします。余りに一途で愚かなので、男性としてはほだされてしまうよう。
フレデゴンドとブリュヌオーなどはゲルマン的たくましさというか〜猛烈です。
日本の悪女は粒が小さくて残念ながら取り上げられなかったとのこと。
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めちゃくちゃ面白い!
歴史上の名前しか知らなかった人が、現実感をもって自分に迫ってくる感じ。
悪女って響きがいいよね。
自分の持てる限りの武器を使ってのし上がっていったり、人を殺したりって凄みがあるわ〜びっくり。
Posted by ブクログ
悪女には2種類いる。誘惑系と、残虐系。たまにどちらも持ち合わせている女もあり。想像を絶する彼女たちの行動とその魂胆は、見ていてただただ圧倒される。バートリ最強。澁澤龍彦が、ほとんどの女性に何かしらシンパシーを感じているところが伝わってきていい。
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怖すぎる!!!
女性恐るべし!!!(笑)
でも初めて澁澤さんの書籍を読むのですが、悪女たちの行う禍禍しい所業とは裏腹に、とてもスーっと読めた感じです。
もっと古い文体なのかと思ったら、すらすら読めましたし、とても親切な作家さんだと認識。
でも文庫の表紙が裸婦で、本屋の女の子から手渡された時は焦った(笑)
Posted by ブクログ
世界の悪女を綴ったノンフィクションですが、一番読んでて身の毛がよだった人は「エルゼベエト・バートリ」。自分の若さを保つために、百姓の娘の生き血を飲んでいたのだから。それだけではなく、殺害にいたるまでの残忍さには度肝を抜かれます。
まぁ、読んでて悪女とは思えないような人もいたし、則天武后が出てくるなら、西太后が出てきてもいいんじゃないかと個人的には思います。残忍卑劣なシーンは数多くありましたが、昔は毒殺が主流だったことが伺えます。
この本は、三輪明宏が解説していたのが、なかなか興味深かったです。澁澤龍彦は難しい漢字は多かったけど、文体的には惹きつけられるものがあったので、精神状態がいい時にまた読んでみようと思いました。
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俺が持ってるのは河出文庫刊のものなのですが画像があるんで文春文庫刊のものを(この表紙のほうがエグくていいですね)。澁澤氏が世界史(主に西洋)に名を残す悪女12人の生涯を軽快な筆致で記したエッセイ集。クレオパトラ、エリザベス女王、マリー・アントワネット、ルクレチア・ボルジア、暴君ネロの母・アグリッピナなど殆どが西洋の悪女であるが、並み居る西の魔婦を退け、唯一の東洋人として登場する古代中国・唐の則天武后の逸話が一番の戦慄でした。中国、恐るべし。
しかし澁澤 龍彦の文章は楽しい。
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最も悪女だと思ったのは則天武后。彼女は出世のために自らの子供を殺し、親族を殺し、時の皇后を嵌めた。メアリー・スチュアートは恋愛に生きた女性で、別の男と一緒になるために夫を殺した。
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西洋悪女物語+則天武后。まさかの則天武后逆転満塁ホームラン。恐るべし破壊力。私感もあってか、メアリ・スチュアートが魅力的に描かれていた。女性の強さ、弱さ、気高さやしたたかさ等様々な要素を読み解くことができる。
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悪女とは何たるものか。
本書には、意外な人物も屡々現れる。
小さな此の世界では、自身の持つ能力(容姿も含め)を理解し、それを利用して金銭を得る狡猾さを示す事が殆どだろう。其れ故に、国家権力と云う余りにスケールの大きな此の本の価値観を、現代人の私には些か計り知れない所が多い。
殺戮の残虐さよりも、恐らく権慾の方が尽きる事の無い分、悍しいのだろう。つい残虐な殺戮に目が行き勝ちだが、悪女の根底は其所に在る。
澁澤氏の文章には、矢張り感服させられる。臨場感に溢れる訳でも無く、ただ流麗さを感じさせる。
内容的には然程興味を懐けなかったが、こうした価値観や言葉に触れるのは決して無意義な事では無いだろう。
Posted by ブクログ
この人の著作はこれで二冊目。相変わらず博識でほれぼれしちゃいます。
出てくる女性たちのなかで『うわぁ〜ほんま悪女や!!』っていうのはあまりいなかったような。
ただどの女性も極端ではありましたが。
私が特に気に入った女性はメアリ・スチュワート。映画の『エリザベス』で出てきたあまり日の目を見ない不幸な女王というイメージしかなかったのだけれど、まさかこんな不毛な愛に突っ走る暗くて熱い想いを秘めていたとは!!!生涯前半の美貌と洗練された文化に囲まれた生活から、後半の報われない愛に自分をすり減らし破滅へとむかう対比が鮮やか。『嫌われ松子の一生』もびっくりというほどの見事な転落人生で、事実は小説より奇なりってこのことをいうのね。
フレデゴンドとブリュヌオーの二人も女
の執念の恐ろしさを見せつけてくれました。世界史を習っていたときは、フランク王国など中世初期の辺りは、なんとなく神秘のヴェールに覆われた時代という気がして、すんなり覚えられたものだったけれど。まさかまさか、こ〜んなに激しい女性二人が血で血を洗う争いを繰り広げていたなんて思いもよりませんでした。学校の教科書というものは、あえて客観的に書いてあるからその時代の印象というものがイメージしづらいものだけれど、高校生時代にこういう本をもっとよく読んでおけばよかった。
Posted by ブクログ
世界の名だたる悪女のその生涯についてが描かれています。作者が昔の方なので今ではあまり使われていない漢字が多用されていますが不思議と読みにくさはありませんでした。ただ、これ本当に悪女?といった人もいました。おそらく、この本を通して調べていけばその逸話がごろごろと出てきて初めてその悪女っぷりが分かるのですかねぇ