澁澤龍彦のレビュー一覧
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ブク友さんが読んでいて「そういえば私も持っていたかなぁ」と本棚から出してきて読んだ。再読。
とはいえ内容はまるで覚えていなかったのでほぼ初読。
他の作品とちょっと毛色が違って、世俗的なことや現代的なことに関しても色々言及しているので興味深く読む。私の中ではなんとなく「西洋の昔の人やもののことを書く人」というイメージなので。まぁ現代に生きていれば世俗的なことだってその人なりに思うところはあるわけで。
巻末の解説でこの本の初版がカッパブックスから出たことを知る。なるほど、と思う。だから雰囲気がちょっと違ったのかー、と。普段なかなか聞けない話を聞けて儲けた、と思う。
小説の「高岡親王航海記」が -
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似た考え方の人いたわ~。
というかそりゃいるよな。80億人もいれば。いや、もうなくなった方を含めれば、何人の人間がいるんだろう。
ここではっきり申しますが、オルガスムの美学の最高の理想は、情死だろうと思います。
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密室から広場へ一歩踏み出すためには、まず羞恥心を捨て、嫉妬心を捨て、独占欲を捨てなければなりますまい。2人だけの密室の恋愛になれたわたしたちには、これはなかなか難しいことです。
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まず、第一に注目すべきは、サドが男性のペニス、女性のヴァギナのみを性器と考えているのではない、ということです。
人間の体には、男でも女でも、いろんな孔が開いていますが、サドは肛門で -
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ネタバレ世俗を厭い、人里離れた一軒家に自分の趣味を詰め込んだ理想郷を夢見た青年の話だった。
無邪気さを持っていたはずの少年が世の中を知るにつれ、いつしか偏屈な大人になっていた。資産はあるが孤独であったことが少なからず影響していると思う。
孤独で静かな部屋で語られているのに、その内容は何よりも刺激的で歪んだ情熱がある。文学や芸術分野において独自の講釈を垂れているけれど、終始人間味が感じられて好ましい目で見ていた。知らない作品の評価でも、その熱意によって読まされてしまう。
旅行に出ようとして、目的地に行かずに外食だけして帰ってきたときはちょっと面白かった。憎めないところがあるのだ。
次第に神経症が悪化して -
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ネタバレ・アナクロニズムの幻想、幾重にも靄がかった夢の入れ子をこんなにも透明な文章で表現できるのかと感動
・薬子の存在感、『阿・吽』の絵で脳内再生。真珠を投げるシーンの美しさ
・空海とは不思議な存在だな。その著作を読むと一度話してみたくなり高野山奥の院でなんか出会えた気になれる身近なアイドルみたいな思想家で、私的にはコーヒー片手にとことん議論してみたい思想家ベスト3に入る存在だが、古今誰にとってもそうなのだろうな。弟子でも澁澤でも。
・触覚的な読中読後感、親王の触覚を追体験してるような掌の感覚から親王を触覚で感じさせるラストへの展開が素晴らしく思わず声が出た。
・「モダンな親王にふさわしく、プラスチッ -
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本作は、息付く間もなく悪徳の栄光を突っ走り、もっとも豊饒で残虐な幻想が織り成される、サドの傑作長編小説です。
本作が所謂「サド裁判」の根源になったのは言うまでもなく、澁澤の翻訳発表当時から、「芸術とワイセツ」を世に問い続けてきた稀代なる作品と言えるでしょう。私はこの作品を、後世にも遺していくべき不朽の傑作だと思っています。
さてさて、読み始めたら止まらない、それがサドの小説です。私の場合、もはやサドは封印(敬遠?)対象になるほど良くも悪くも強烈な作品ゆえ、澁澤の批評を読むくらいに留めておいたのですが、やっぱり読んじゃいますよね。そして一度手をつけたら最後、どんどん読んでしまう。5日もあれば、 -
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本作は、息付く間もなく悪徳の栄光を突っ走り、もっとも豊饒で残虐な幻想が織り成される、サドの傑作長編小説です。
本作が所謂「サド裁判」の根源になったのは言うまでもなく、澁澤の翻訳発表当時から、「芸術とワイセツ」を世に問い続けてきた稀代なる作品と言えるでしょう。私はこの作品を、後世にも遺していくべき不朽の傑作だと思っています。
さてさて、読み始めたら止まらない、それがサドの小説です。私の場合、もはやサドは封印(敬遠?)対象になるほど良くも悪くも強烈な作品ゆえ、澁澤の批評を読むくらいに留めておいたのですが、やっぱり読んじゃいますよね。そして一度手をつけたら最後、どんどん読んでしまう。5日もあれば、