澁澤龍彦のレビュー一覧
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お伽噺、というものは、そもそもちょっと怪しげなものなのだけれど、「あやし」の境界線をのぞき込むのではなくうろつける感じになると、大人用ってことなのだな、と個人的には思うのです。というわけで、これは大人用のお伽噺。読んで損なし。
単行本の装丁について付け加えると、「ショッキングピンクとルミナスっぽいグリーン」という、目がおかしくなりそうなデザインで、忘れたくても忘れられない、壮絶なインパクトのあるものでした。ちょっと普通では思いつかないような色遣いが、あやしさを確かに増していたけれど、この本についてはこの文庫版の装丁のほうが、感じいい、というか良い感じであると思います。
*追記*なんとなく確認し -
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徐々に引き込まれていくような面白さがある!
『サディズム』の語源になったマルキドサドの波乱に満ちた激動の生涯を綴った伝記。
あるきっかけでマルキドサドのことを知り、直感的にこの人は絶対ヤバい人だと思い、どのような人生を送ったのかが気になり、この本を読むことにしました。
時代は17世紀のフランス、絶対王政、フランス革命、共和政、軍事独裁というようにめちゃくちゃ激動の世界を生き抜いた稀代のヤバい異端作家。
しかしこの伝記を読み進めるたびに、単純にやべぇヤツとは到底語りきれない、背徳欲がありつつも人間味溢れる人物なのだと思いました。
そして作者である澁澤龍彦さんの客観的かつ、莫大な資料を元にこの作 -
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『快楽主義の哲学』という一見過激なタイトルですが、卑近な表現に換言すれば、自己達成のために行動してきましょうよ、という内容で、非道徳的な内容であったり社会的頽廃を推し進めようとしたりするものではありません。
マスコミや余暇産業によって提供される規格化されたムードを無批判に享受したり、きびしい現実に適応するために本能的欲求を抑制し苦痛を回避するという消極的な幸福に甘んじたりすることは、一見すれば従順、真面目というふうに他者の目には映るでしょうが、その実は牙を抜かれて無気力で、認識を捻じ曲げて自己の欲求をごまかすようなことに他ならないということです。
ごまかしのための認識に陥るのではなく、無目 -
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序文の「奴隷状態の幸福」が気になって読んでみる。ただのドMの話かと思ったら違ってました。とは言っても超弩級Sと超弩級Mが絡むとんでもない話ではあるのですが・・・傷つけたり傷つけられたりすることが快感に繋がるという単純なことではなかった。責めてるほうはただただ相手の一切の自由を奪って自分のために奉仕させるのが楽しい。自由を奪われた方は痛みを喜ぶわけではなくとてつもなく苦しむのだけど、抵抗も許されなく奉仕する状態を抜け出すわけではなく、耐えている自分は相手のことを本当に愛しているのだとか誇りにすら思い始める。異星人並みに理解不能と思うけれど、19世紀に実際にあったバルバドス犯行がこの心理状況を表し
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ネタバレ分類が難しい笑、読みました。手帖シリーズは初めて。
読んでいて、どこまで"本当"なのかという考えはずっと付きまとっていて、全てと言わないまでも、いたるところで澁澤にからかわれているんじゃないかなという気持でした笑。
読んだのはこの表紙ではなく、バフォメットが表紙の版です。(あとがきでまたもや三島を紹介しています。「いまは亡き三島由紀夫氏はこれを「殺し屋的ダンディズムの本」と嘆賞したものであった」)
「カバラ的宇宙」内のZodiac signs の成り立ちとか…笑
「夜行妖鬼編」
…人間の女と交わる男性夢魔は、男が睡眠中に洩らした精液を取って使うと考えられているので、生ま -
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ネタバレ姉のジュリエットは悪徳に溺れ、妹のジュスティーヌは美徳を貫くという物語。
この本は妹のジュスティーヌの物語部分だけで最初に書かれた中編を翻訳したものらしい。
実は先に姉のジュリエットの物語『悪徳の栄え』を少しだけ読んだ後に、妹の『美徳の不幸』に変えた。というのも『悪徳の栄え』を先に手にしていたけど読み切る前に『美徳の不幸』を買ったので、そちらをやはり先に読もうという気になったから。
美徳を貫くとは……一体何?と思ったけど、処女を守る事と『困った人を助けようとすること』のようだった。
処女については男どもがキモイ……としか感想はない。
困った人を助けるについては、知恵と経験ががなさすぎる… -
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澁澤龍彦展が、彼が幼少期を過ごした埼玉県の文学館(桶川市)でやっていたので(2023年秋)、見に行きがてら本棚から引き出してカバンに突っ込み電車で読む。
読みどころは、サド裁判の顛末についての回顧調ではないリアルタイムの文章と、タイムリー!!!な「大阪万博への嫌悪」と、三島との最後の日々。
これは60年代後半から70年代初頭あたりに書かれたエッセイをまとめたもので、空中庭園、ユートピアや幻想文学、バタイユなどファンおなじみのモチーフが登場。ボルヘスとの親和性への言及も見受けられて良い。あとがきにあるが、それらのモチーフへの興味はこのあと薄まるので、後年の著作より熱がこもって、やや難解な書き