澁澤龍彦のレビュー一覧

  • 黒魔術の手帖

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    ネタバレ

    分類が難しい笑、読みました。手帖シリーズは初めて。
    読んでいて、どこまで"本当"なのかという考えはずっと付きまとっていて、全てと言わないまでも、いたるところで澁澤にからかわれているんじゃないかなという気持でした笑。
    読んだのはこの表紙ではなく、バフォメットが表紙の版です。(あとがきでまたもや三島を紹介しています。「いまは亡き三島由紀夫氏はこれを「殺し屋的ダンディズムの本」と嘆賞したものであった」)

    「カバラ的宇宙」内のZodiac signs の成り立ちとか…笑

    「夜行妖鬼編」
    …人間の女と交わる男性夢魔は、男が睡眠中に洩らした精液を取って使うと考えられているので、生ま

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    2024年05月26日
  • 澁澤龍彦 初期小説集

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    デビュウ作みたいなので、「皿へ苺とミルクを入れスプーンで果物の方を潰す」描写がある。これが「時代だなぁ」なものらしい。ふん。
    『マドンナの真珠』赤道の描写がいい感じ。

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    2024年05月16日
  • 唐草物語

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    珠玉の短編集。
    ラーウィアさんとか奥州藤原氏とかはこれで覚えた。
    遠隔操作のイメージが錯綜して、うしろでほぉいほいってやってる人がさういへばってふ、て思った作者の眼前に、の中にバカップルがいい感じで入る。ウンウン。

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    2024年05月16日
  • 秘密結社の手帖

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    見えざる帝国ってKKKのことだったの!? と図らずしてBLEACHの敵組織の元ネタを知った。
    みんな大好きアレイスター・クロウリーの話もあるし、とにかくアニメやマンガで出てきたような秘密結社の話がごまんとある。中二病オカルトサブカルクソ野郎には垂涎の一冊。
    どこまで正確な情報なのかはアテにならないが、澁澤龍彦の軽妙な語り口で楽しい読み物としては一級品。

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    2024年04月24日
  • さかしま

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    絶対最後まで読めない、と思って読み始めたら、意外な程に面白い。
    貴族ゼッサントの趣味を語るだけのお話なのに。何故か引き込まれて読める。
    このゼッサントの、好きな空間で自分が認めるモノだけを愛でて生きていきたい気持ちは分からなくもない。

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    2024年04月08日
  • 美徳の不幸

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    ネタバレ

    姉のジュリエットは悪徳に溺れ、妹のジュスティーヌは美徳を貫くという物語。
    この本は妹のジュスティーヌの物語部分だけで最初に書かれた中編を翻訳したものらしい。

    実は先に姉のジュリエットの物語『悪徳の栄え』を少しだけ読んだ後に、妹の『美徳の不幸』に変えた。というのも『悪徳の栄え』を先に手にしていたけど読み切る前に『美徳の不幸』を買ったので、そちらをやはり先に読もうという気になったから。

    美徳を貫くとは……一体何?と思ったけど、処女を守る事と『困った人を助けようとすること』のようだった。
    処女については男どもがキモイ……としか感想はない。

    困った人を助けるについては、知恵と経験ががなさすぎる…

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    2024年03月11日
  • ドラコニアの夢 アニメカバー版

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    タイトルの「ドラコニア」って澁澤「龍」彦のことかよ!
    ちょっとかっこいいタイトルだけにツッコミたくなった。たくさん本を読んでいて解説をまとめて載せているようだった。これから読む予定の『黒死館殺人事件』のネタバレをするな!真犯人をいうな!
    「デカダンス再生の「毒」」の章。
    文章がよく読み取れなくて、『パプリカ』の精神汚染された人の支離滅裂な喋り方みたいだと思った。
    メルヴィルから「換骨奪胎」したらしい「避雷針屋」は面白かった。澁澤龍彦さんの作品は読んだことがないからまずはお話から読みたいな、と思った。

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    2023年12月16日
  • 黄金時代

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    澁澤龍彦展が、彼が幼少期を過ごした埼玉県の文学館(桶川市)でやっていたので(2023年秋)、見に行きがてら本棚から引き出してカバンに突っ込み電車で読む。

    読みどころは、サド裁判の顛末についての回顧調ではないリアルタイムの文章と、タイムリー!!!な「大阪万博への嫌悪」と、三島との最後の日々。

    これは60年代後半から70年代初頭あたりに書かれたエッセイをまとめたもので、空中庭園、ユートピアや幻想文学、バタイユなどファンおなじみのモチーフが登場。ボルヘスとの親和性への言及も見受けられて良い。あとがきにあるが、それらのモチーフへの興味はこのあと薄まるので、後年の著作より熱がこもって、やや難解な書き

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    2023年12月11日
  • 高丘親王航海記

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    読売文学賞を受賞した澁澤龍彦の遺作。

    平城帝を父に持ち、空海の十大弟子のひとりである高丘親王を主人公にした伝奇幻想冒険小説。老齢で入唐し、貞観七(865)年正月、唐の広州から海路天竺へ向い、消息を絶ったという史実をベースに、恐ろしい想像力で占城、真臘、魔海を経て天竺へ向かう顛末が描かれます。

    鳥の下半身をした女、良い夢を食すると芳香を放つ糞をたれる獏、塔ほど高い蟻塚、万病を治す薬になるという蜜人、陰茎に鈴を付けさせられる犬頭人の国など、描かれるのは「ガリバー旅行記」すら凌駕する幻想の世界。しかも、その過半数が夢の世界という論理を超えた不思議な小説。

    高丘親王を始め、登場人物が魅力的。秋丸

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    2023年11月03日
  • 快楽主義の哲学

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     1965年に発刊された単行本の文庫版。1996年にやっと文庫化されたというのは、この本が当時の日本に与えた衝撃がかなり大きかったということなのかな?こんなの読んじゃいけません!みたいな、保守的な偉い人とか知識人たちもたくさんいただろうなぁと想像する。本文中に、こんな箇所がある。

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    p.47
     個人的な快楽はすべて軽蔑すべきものであり、不健全なものだ、と頭からきめこんでいる人たちがいます。「きのうは映画、きょうはボーリング。」などというと、不愉快そうな顔をし、「昨夜はおばあさんのお通夜に行ってきました。」などというと、いかにも満足そうな顔をする人たちがいます。
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     そういう人た

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    2023年10月16日
  • 快楽主義の哲学

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    第一章 幸福より快楽を
    から始まり、刺激的だが、荒唐無稽ではなく、むしろ生活そのものであるようなエッセイ。
    快楽 とある以上、五感のリアルである事よ。

    確かに、現代、概念的理性的に寄りすぎているかもしれない。
    なんなら労働ですら遊んで仕舞おうか。

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    2023年08月28日
  • ドラコニアの夢 アニメカバー版

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    秘密結社とか毒草とか屍体愛好とか、日常生活に全く役に立たなそうな膨大な異端知識に溺れそうになる。
    詰め込まれた知識の量が凄まじくて、短いエッセイを少し読んだだけでもお腹いっぱい。
    避雷針の小噺もおもしろい。

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    2023年04月07日
  • 高丘親王航海記 1

    無料版購入済み

    (⊃•̀ω•́)⊃✎⁾⁾

    澁澤龍彦はちゃんと丁寧な変態。

    画的に気になり開いた作品。

    内容が気になり読んだ作品。

    多分にきちんとした運び方で良。


     (ミ\    ヽ)ヘ、
    (\ヾヘヽ    ))ノ)
    ヾ ヾ ))   _ノノ 彳
    彳ミ //     γノ゙ 彡
    彡ミ (( ⊂⊃ノノヾ_彡
    ゙彡 `( ˘ω˘ )`ー゙
     ヾJツ/っ📖O
       しーJ
       
    いやはやおもしろいこれまた✧

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    2023年02月26日
  • 高丘親王航海記

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    『安徳天皇漂海記』を読んで、元ネタとなるこちらにも興味がわいた。本当のことを言うと前から気になってはいたものの、幻想小説という点で読むのを躊躇していた。
    が、良い機会だと思って読んでみたら、これが面白い。初澁澤龍彦なので、固めの文章を書くかと思ったらそんなことはなく、柔らかな文体でするすると小説の世界に溶け込めた。
    ほとんど夢の中で話が進んでいく。一番好きなのは獏園かな。奇妙なものへの興味とエロスが入り混じっていて不思議な気持ちになる。
    本書が長く愛される理由がよくわかる。これは面白い。

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    2023年02月14日
  • さかしま

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    貴族ニートのデ・ゼッサントの偏執的な一人趣味が延々と語られる訳のわからない一冊。登場人物は基本的に一人。特にストーリーがあるわけでもない。
    自宅の食堂の周りを水で囲んで海に行った気分になる。旅行記を読んで旅行に行った気になる。夕方に朝食を食べて夜に昼食を食べる。ラテン語文学にやたら精通している。モローやロイケンやルドンの奇怪な絵画を集める。女軽業師の男性的な逞しい体にうっとりする。女腹話術師にスフィンクスとキマイラのセリフをしゃべらせる。女性たちは愛想を尽かしていなくなる。頬はこけて髪は切らず目だけはギラギラしている。
    こんな感じの描写ばかりがずっと続く。
    共通しているのは、厭世的で、人工的で

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    2023年01月27日
  • さかしま

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    技術と人工に魅せられた主人公のほぼ独白のようなかなり変わった小説。澁澤龍彦の訳がかなり秀逸(癖はある)で、主人公の造る人工世界の悪魔的煌びやかさが過剰に展開されるべっとりとした小説。

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    2023年01月02日
  • 閨房哲学

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    「こうした偉大な思想にふれて堕落してしまうような輩には、用がない。哲学的見解の中からただ害悪しかつかみ取る事ができず、何にふれてもすぐ堕落してしまうような輩は、相手にならない!」(p.168~69)

    と、本文中にもある通り、サドの残酷趣味の幻想だけを抽出して「サドはいいぜ」と言うような輩には、本書は用がないでしょう。ある意味、本書を通して読者はサド流の篩にかけられているというわけです。そして、「閨房」よりも「哲学」をたっぷり味わえる本書こそ、サド文学の真骨頂と言えましょう。

    知恵と思想に富んだエロティシズムを! これは訳者の澁澤龍彦さんが説くところのエロスの信条にも適います。ドルマンセが様

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    2022年10月13日
  • ねむり姫

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    『うつろ舟』などにならんで、晩年の『高丘親王航海記』への過渡作品とも言える、秀逸な短篇集です。『思考の紋章学』や『ドラコニア奇譚集』などに顕著なエッセイらしさが少なくなり、物語性に重きが置かれています。『高丘親王〜』よりはまだ文章/文体は固いかもしれませんが、ちゃんと分かるしちゃんと面白いです。
    澁澤さんの模索過程が垣間見えるようで楽しいですね。『画美人』の金魚のくだりは初期の短編を彷彿とさせますし、文章の難渋さ自体は丸くなったものの、古語や漢語で飾られた豊麗な文章は典雅で気品があり、硬質な印象も受けます。どの作品のどの部分を見回してみても、洗練され高く築き挙げられているかのよう。この象牙の塔

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    2022年08月24日
  • 唐草物語

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    好きです(唐突)
    こんなにすばらしい、読んでいくうちにどんどん楽しくなって微笑ましくなる澁澤文学はやはり偉大です。『鳥と少女』からもうずっと澁澤さんの独壇場。私たちは彼の魔手によって翻弄されながらも、ときおり覗かせるほっこりエピソードでばっちり心を鷲掴み、読むのをとめることができません(笑)。

    個人的には、澁澤さんのいささか突飛な考察から、エロティックな展開へと飛躍する『女体消滅』や、去勢の動機を考察しつつ、どこか崇高な趣さえ感じる『閹人あるいは無実のあかし』がお気に入りです。

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    2022年08月14日
  • 夢の宇宙誌

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    澁澤さんご本人もお気に入りの本書に収録されている主要なエッセイのテーマは、ズバリ「玩具」「天使」「アンドロギュヌス」「世界の終わり」…なるほど私が好きな、澁澤さんの独壇場と言った趣の錚々たるテーマでございます。贅沢ですねぇ。
    個人的にはやはり「玩具について」を大変興味深く読みました。デーモニッシュな玩具の歴史を辿り、最終的にはベルメールで締めるのが、これぞ澁澤龍彦のエッセイといった感じがします。「アンドロギュヌスについて」では様々な学問体系を通してアンドロギュヌスを考察していく感じが読んでて楽しかったなぁ。

    「芸術か猥褻か」といったような二律背反的な問題提起は、芸術の本質的にふくむ危険な

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    2022年08月13日