あらすじ
カバラ、占星術、タロット、錬金術、妖術、サバト、黒ミサ……俗に黒魔術と称されているオカルティズムをめぐってさまざまなエピソードを紹介したエッセイ集。一九六十年代に発表された本書は、刊行後強烈なインパクトを与えたことでも知られ、このジャンルの書物が続出するひきがねとなった先駆的作品である。
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章は、ヤコブスの豚、カバラ的宇宙、薔薇十字の象徴、夜行妖鬼篇、古代カルタの謎、サバト幻景、黒ミサ玄義、自然魔法もろもろ、星位と予言、ホムンクルス誕生、蝋人形の呪い、ジル・ド・レエ侯の肖像(聖女と青髯男爵、水銀伝説の城、地獄譜、幼児殺戮者)。
コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』とエレファス・レヴィの三部作を読むために読んだ。初心者でも十分楽しめる、黒魔術の入門に最適の書。
眼鏡が初めて出現したのが17世紀初頭、望遠鏡が一般に使用されるようになったのが1663年。
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何もかも真っ黒だという初版本で読みたかった。カバラ的宇宙が面白かった。十二宮のサインについての説明は初耳だったので。あとはタロットについての記述。一冊の書物がばらばらにされたもの、というのはどうやら本当のことらしい。全てを理解できたものは、世界の秘密に通ずるというが……?タロットというと魔術的で、一般人とは縁遠いものだと思われがちだが、実はトランプの原型(小アルカナだけだが)となったもの。何も知らずに遊戯に使ってるってある意味恐ろしいわ。
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澁澤龍彦全部の本について。
高校時代、見つけ次第買っていた。難しい澁澤龍彦オカルト読んでるわたし、カッコいい!
だったと思う。あんまり覚えていないし大人になったら離れてしまった。
理解していたかどうか疑わしい(いやしてなかっただろう)のでまた読みたい。
何かの本でバルテュス(画家)を知ることができたのは良かった。少女系の本かな。
私の青春
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分類が難しい笑、読みました。手帖シリーズは初めて。
読んでいて、どこまで"本当"なのかという考えはずっと付きまとっていて、全てと言わないまでも、いたるところで澁澤にからかわれているんじゃないかなという気持でした笑。
読んだのはこの表紙ではなく、バフォメットが表紙の版です。(あとがきでまたもや三島を紹介しています。「いまは亡き三島由紀夫氏はこれを「殺し屋的ダンディズムの本」と嘆賞したものであった」)
「カバラ的宇宙」内のZodiac signs の成り立ちとか…笑
「夜行妖鬼編」
…人間の女と交わる男性夢魔は、男が睡眠中に洩らした精液を取って使うと考えられているので、生まれた子供の父親は、はたして母親と衾をともにした悪魔インクブスであるか、それとも精液を取られた男であるか、という神学上の重大問題が生じる。この点について聖トマスが、真の父はインクブスではなくて、遺精した人間の男の方だとはっきり言っているのは興味ぶかい。(p.70)
いや、興味ぶかいじゃないんよwwってなってました笑、もはやふざけてるでしょ、みたいな気持ち笑。どういう思考回路で夢魔は人間の精液使うんだよ、不合理すぎでしょと思わないの中世の人々~~
…そのやり方がいかにも敏捷なので、破瓜にもいたらず、原料は処女の体内に達するであろう。処女はみずからそれとは知らずに、この原料を暖め育てるであろう」
これは容易に聖母マリアが孕んだ子が神の子だったのか?という発想に繋がるものなのだなあ~面白い~
…パラケルススは人間が、目に見える地上的な「物質的物体」と、目に見えないエーテル状の「星辰的身体」と、人間内部の聖霊の発現ともいうべき「霊的身体」と、三つの進退をもっていることに注目する。そして夢魔という現象も、要するに人間の想像力、つまり「星辰的」素質からつくり出されるものであることをはっきり認めて…近代の精神分析が、夢魔現象をヒステリー性の厳格と見なしている点とも、これは原理的に一致する。たとえばゴヤとか、ボッシュとか、ポオとか、ロオトレアモンとかにおけるような、あのすぐれた想像力による芸術作品も、人間の弱さ醜さから生じた、こうしたさまざまな夢魔たちの悪戯によって、触発され鼓舞されたことは申すまでもない…(p.78-9)
読んでいる本がいろいろ重なってきていて面白い笑
「星位と予言」
占星学とは、いわば宇宙を精密な一個の時計になぞらえて、天界の歯車装置を動かす法則発見しようとする秘術である。この時計の文字盤は、星々をちりばめた天球であるから、まず何よりも星の運行の観察が大事である。天界の秩序は一定不変であるけれども、人間の運命はつねに変転きわまりないように見える。しかし、はたしてそうであろうか。人間の運命も、宇宙の歯車装置と絶妙な連関があり、その誕生も、その死も、時計のように正確に、数学的に、あらかじめ決定されているのではなかろうか。ーこれが占星学的認識の成立する第一歩である。(p.156)
「ジル・ド・レエ侯の肖像」この章が一番面白かった…!
…彼にはもうひとつ別の動機、すなわち、教会音楽に対する、ほとんど熱狂的な惑溺ぶりがあったのである。おそらく彼は、聖歌隊の少年合唱を、肉感的な逸楽として聴いていたにちがいないのである。…ある種のひとびとにとって、教会音楽は色情的な恍惚感を誘発する。神秘主義の陶酔は感覚的な陶酔に通じるのである。クラフト・エピングは『性病理学』のなかで、人間的な愛欲も宗教的な神秘主義も、同じく無限の探求という共通の類縁関係によってむすばれ得ることを認め、次のように書いた。「宗教的感覚も性的感覚も、その発展の極限に達すると、刺戟の量および性質について相似をあらわすものである。したがって、それらはある条件のもとでは置換可能であり、もし必要な病理学的条件があれば、両者とも残虐性に変化し得るものである」(p.219-220/聖女と青髭男爵)
…ジルはそうした騒ぎを気にももとめず、夢遊病者のような眼つきで、したたる血をはらおうとするかのように、自分の両手を眺め、汗みどろになって話しつづけた。告白がおわると、がっくり膝まずき、身をふるわせて泣きながら、「神よ、あわれみと赦しを与えたまえ」と哀訴した。
こうして悪魔に後半生を捧げた希代の殺人魔は、最後の瞬間にふたたび、あのジャンヌ・ダルク崇拝の神秘主義者に立ちかえり、神の慈悲を求めながら、喜んで火刑台にのぼったのである。(p.274-5)
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想像もつかない程の文献を読み尽くして、微妙なテーマを冷静に、軽妙に語る。読み終えても魔術師にはなれない、という距離感が絶妙。そして歴史が好きになる。
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唐草物語を読んだ後で、しかも内容が内容なので、史実なのか創作なのか、判断がつけづらい。確認作業もふつうは無理だろう。
そこが魅力なのだと思う。
そこに書かれているのは、著者の主観的な真実であって、読者にとっても同じ真実だと思う。
史実かどうかなどと言うのは、野暮なのだろう。いや重要やけどね
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魔術の中でも特に黒魔術に絞って書かれている。
悪魔と契約するだけが黒魔術ではないらしい。
しかし、読めば読むほど、厳密に黒魔術とどこからどこまでを呼ぶのか分からなくなってくるのである。
しかし、人の行き着くところは……と、思うばかりなのである。
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これを書いた当時の時代背景も鑑みてしまうけれど、こんなのが本棚に並んでいたら絶対手に取ってしまうよね、と思う。黒魔術の例を淡々と、しかし具体的に説明して、「難易度は高いと思うがみなさんもやってみたらどうだろうか」とか言ってしまう澁澤さんにこちらが笑ってしまう。楽しい本。
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黒魔術、白魔術、自然魔法、錬金術、カバラ、占星術、星辰術と。
この手の本は始めて読んだが、何に舌を巻くって、著者の尋常じゃない参考文献を読み漁ってることを想像するに難くない。
黒魔術、そんなものに使われていたものの遺物が、現在にも残存する。
星座占いに使っている、各星座を表す記号(ゾディアック)。
各々の元来の意味が、また凄い。
例えば蟹座を表す"♋"
性交渉の際の体位、ソワッサン・ヌフ(69)を表す、と。詳細は割愛。
さて、簡単に悪魔を召喚できる方法を本文より抜粋。
まず悪魔を呼ぼうとする者は、一度も卵を産んだことのない一羽の黒い牝鶏をもって、二つの道のぶつかる十字路に行かねばならない。この十字路で、深夜、牝鶏を二つに引き裂いて、「エロヒムよ、エサイムよ、わが呼び声をきけ」とラテン語の咒文を唱える。その際、東を向いて膝まずき、糸杉の枝を手にしていなければならない。そうすれば、悪魔はすぐに姿をあらわすー
日常に倦怠感を覚えてる方は、悪魔でも召喚してみては。
思った以上に、歴史の勉強になる一冊でした。
やはり、テンプル騎士団、薔薇十字軍、フリーメーソンはどこにでも出てくるのな。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
魔術、カバラ、占星術、錬金術、悪魔信仰、黒ミサ、自然魔法といったヨーロッパの神秘思想の系譜を日本にはじめて紹介しながら、人間の理性をこえた精神のベクトルを解明。
オカルト・ブームの先駆をなした書。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
テーマは恐ろしいけど、それ以上に好奇心を刺激する一冊。彼の博識と語り方がまた独特で、ともすれば単なるオカルト趣味の披露に成り下がりかねないものを、ここまで面白い読み物として成立させてくれます。、