【感想・ネタバレ】快楽主義の哲学のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2019年09月08日

これは意外と面白い本だった。
題名に『哲学』とあるので少々お堅い本かと思って手に取るも、なんの著者のざっくばらんかつ、筋の通った内容である。
快楽主義とは、一貫し『人間の本能、人間の欲望に忠実である』ことであり、ヘンな常識や風習に惑わされることなく、自然体であることを説く。
・進歩や発展のない生活に...続きを読むは、みるべき快楽もまたない(コアラの退屈さと比して)
・常識に囚われることなく、「人間の限界をつきやぶり、人間を人間以上の存在にする。」
・「親子とか夫婦とかいった関係が、人間の自由な冒険的な生き方を拘束し、世の中をじめじめした不潔なものするということを、芸術家の直感でやっているのです。」岡本太郎
・「そもそも、しあわせな家庭などというものを築いたら、もう若者のエネルギーは、行きどまりだということを知るべきです。妻子ある家庭を思えば、冒険もなにもできやしません。大学をうまく卒業し、一流会社へ就職し、課長の媒酌できれいな奥さんをもらい、一姫二太郎をこしらえ、モダンなアパートに住み、車を買い、ステレオを買ったら、まあ、あとはせいぜい、女の子のいるバーで、奥さんの目をぬすんで、ちょっとした浮気をするぐらいが関の山でしょう。まことになさけない。こんなのは、快楽主義者として、最低の部類に属します。」著者
・「ダンディの美の性格は、心をかき乱されまいとする堅い決心、その決心から生ずる冷静な態度のうちに宿る。」ボードレール

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年06月28日

幸福と快楽の違いを知っていますか?

幸福は「苦痛を回避しようという傾向」そして「主観的なもの」
快楽は「進んで快楽を獲得しようとする傾向」そして「客観的なもの」

貧乏だろうが、自分が幸せだと思っている人もいる。
回復不能の病気であっても、ひたすらに神を信じていて、自分は天国にいけると思い込んでい...続きを読むる人は幸せかもしれないし。
昔の人が不便で、汚くて、不幸だったと考えるのも間違っている。

著者は幸福なんて存在しないという。
そんなものに憧れて、ため息をついているのなら、
まず実際に行動してみること。を説いている。

赤ん坊が笑う時、幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ。
哲学者アリストテレスも言っている「幸福とは実践である。」

精神分析学者のライヒによると、性交回数を自慢したり、誇ったりする男は、自分の強さや男らしさの証拠を示したいだけで、実際にセックスの快楽を十分に楽しんでいるのではない。
つまり勃起能力や射精能力を誇ったところで、一回ごとのオルガズムに達しなければ、そもそも性の快楽の意義はどこにあるのかと発言している。

どうすれば真の快楽を味わえるのか。

①誘惑を恐れないこと
―――飲む、打つ、買う、色んな誘惑がある。人を堕落させるものというイメージが強いが、いつも絶対に悪いものなのだろうか。良い悪いは誘惑を受けるものの態度遺憾だと思う。
誘惑を受けて変化するとしても良い方にいけばいいのだ。
影響されたから悪くなったのだ、などの考え方は卑怯だ。
強い人間だったら、これを自分の進歩発展のための有益な糧として消化していくだろう。

決心を努力を、接吻を抱擁を、あすに引き伸ばすことくらい、愚かなことはない。

②一匹狼も辞さぬこと。
―――「人のふりみてわがふりなおせ」、ふざけちゃいけない。他人は他人、自分は自分である。
いつも他人とくらべて、「こんなことしたら笑われないだろうか」「変に思われたりしないだろうか」などビクビクしている人は、すでに自分の主体性を喪失している。
大衆社会の疎外の産物である。

③誤解を恐れない。
―――真理であれ偏見であれ、わたしたちが一定の立場に立つ時、たとえその立場が他の多くの物と異なるとしても、これを気にするに及ばない。たとえ自分の立場が絶対多数の意見に一致しないとしても、遠慮したり撤回したりする必要は毛頭ない。
同性愛だろうと、なんだろうと誇れば良いのです。

④精神の貴族たること
―――強い精神が必要不可欠。戦後の民主主義では、貴族主義などは非難の対象になる。
やれ平等にしろ、やれみんな同じにしろ、同じに接しろ。
1個のりんごを10人で等分に分けた場合、もうそこには快楽はない。

⑤労働を遊ぶこと

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Posted by ブクログ 2014年01月10日

古き時代の名著。快楽主義という言葉は一見すると欲望のまま遊びほうけて暮らせばいいというイメージがあるが、そうではなく、外部に作られた欲望をを消費しようとするのではなく、内に秘めた欲望に素直になるためにはというとても硬派な内容。出会えてよかったと思える一冊。

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Posted by ブクログ 2012年08月05日

日常の幸福ではなく、非日常の快楽について、考えさせられる本です。週末のレジャーやちょっとした遊びが、どれほど、不自由な思想で動いているか、気づきになります。
自分にとっては、変わった視点でしたが、共感できるところも納得できるところも多数あり、よかったです。

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Posted by ブクログ 2012年03月18日

 人生に目的などはありはしない。ただひたすら快楽を求めよ、それが異端でも構わない。一匹狼を辞するな。という扇動が込もったシブサワ哲学。
 なるほどな、と思ったのが、幸福と快楽は違うということである。一見、類似しているかのような二つの言葉だが、意味が全然違う。まず、幸福とは苦痛を回避するものだ、という...続きを読む。確かに、幸福というイメージは平和、安泰、保険などがあり、どれも苦痛を回避している。澁澤はこれを苦痛の欠如とも言っている。
 ところが、快楽となると、これは進んで快感を求めることである、という。例えば、おいしい料理をたらふく食べたい、絶世の美女(または美男)を手に入れたい、という欲求が快楽であるという。
 なるほど、確かに幸福ばかり続くとつまらない。「日常に刺激が足りない」とよく言うが、この刺激こそが澁澤の言う快楽なのであろう。
 澁澤自身、黒魔術についてだったり、妖怪についてだったり、超常現象についてだったりと、様々な日常とはかけ離れたものを好んでいた。それは小説にも見られ、澁澤の書く小説は「衒学的だ」、「異端だ」、「役に立たない」と人々は揶揄し、非難したそうであるが・・・私は首を捻ってしまう。私には、澁澤の書くものが、人間の自然的快楽欲求に叶っているとしか思えないからである。そういうお気楽な幸せ者たちに、「非難されるのはどちらなのか」と、思わず訊きたくなる。

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Posted by ブクログ 2012年02月08日

シブタツ流ユートピアイズムのアジテーション。30年以上前の作だが、今でも通用する。こういうのは十代で一度はかぶれておくもの。昔の哲学は、ある種の娯楽だったんだなあ。

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Posted by ブクログ 2011年07月21日

格好いいなぁ澁澤龍彦。いわゆる「性の解放」的な部分はやはり男性主観であるので、凡庸な自分にとってはどうしても受け入れ難いところがありますが。「流行を追わず、一匹狼も辞さず、世間の誤解も恐れず、精神の貴族たれ。人並みの凡庸ではなく孤高の異端たれ。」あぁ、そんなふうに生きていきたい。

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Posted by ブクログ 2014年08月10日

冒頭から「人生に目的なんかない」と言い切ってしまう所は小気味よく、目的がなければ「自分でつくりだせばよい」とカール・ブッセの「山のあなたの空遠く」から始まる詩を登場させてセンチメンタリズムを批判し、私たちを行動に駆り立てるその文章は寺山修司を彷彿とさせる。

第四章では、労働嫌悪の風潮を逆転させるた...続きを読むめに「どうすれば、労働と遊びとを一致させることができるか」という問題を取り上げ、そこから快楽主義の究極の目標を「一種のユートピア議論にはちがいありませんが」と前置きしつつ、「人間のエロス的な力の解放」であるとしている。
子どもが泣いたり、叫んだり、駆け回ったり、あるいは疲れ果てて眠ること、これら全てが快楽に繋がっている。そう考えると、子どもは自然にエロス的な力を使いこなしているといえる。
しかし大人になるとその肉体は労働のために利用され、非エロス的に矮小化していく。そこで筆者が提言するのは、肉体を単なる労働のための道具とみなすのではなく「つらい労働が全て楽しい遊びになる」ような肉体の解放である。
このような考え方は、筆者曰く、ヒューマニズム的偏見からの解放であり、自分の周りに白線を引いて行動範囲を狭めてしまうような消極的幸福論からの脱却、思想的冒険なのだ。

『快楽主義の哲学』は発表後45年以上が経過しているが、その内容からは色あせない刺激を感じ取れる。そこには時代に左右されない、人間にとって根本的なものがあるからだと言えるのかもしれない。

60年代と現在を比べて、人間の持っている肉体的・思想的自由が矮小化していないだろうかという疑問がふと頭をよぎった。ただ、思想の自由度なんて測りようもないのが事実だ。
今を創るのは今を生きている人間だけだとすれば、「今を生きる私たちが、思想的自由をどこまで拡大していけるのか」こそが問われることになる。

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Posted by ブクログ 2011年02月04日

世の中がどんどん禁欲主義に向かっているのを教えられた。これからは「幸福<快楽」という価値観を持って生きていきたい。

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Posted by ブクログ 2011年07月19日

これは、とりわけ愉快な本。第2章 快楽を拒む、けちくさい思想なんか、辛辣、愉しい。愉しいだけでなく、「一匹オオカミも辞さぬこと」「精神の貴族たること」など、背筋の伸びるような話題も多い。

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Posted by ブクログ 2018年06月25日

あっさりした読みごごち。わかりやすい文章。

幸福: 受動的
快楽: 能動的

周りに流されることなく自分を貫く

先延ばしではなく現在の快楽、自然のままに感情を楽しむこと、を極大化させる。

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Posted by ブクログ 2017年11月08日

「人生には目的なんかない」
強烈にパンチの効いた一行で始まる本書では
人間も本来動物の一種でしかないのだから、食って寝てやっての動物的欲望のみを謳歌しておれば良いはずが、文明の発達と共に宗教的な戒律や社会的倫理や世間の目など社会生活を送る上での制約に縛られるようになってしまっている。その中で見つけら...続きを読むれる幸福に依拠するのではなく、自分自身にとってもっとアドレナリンやエンドルフィンがばくばく出るような興味の湧く欲求や欲望に人の目や世間体を顧みずにもっともっと積極的に取り組んで快楽を突き詰めろ…と、それこそが一回きりの人生を楽しむ秘訣なのだって言っていると感じました。
過去の偉人達のエピソードを織り交ぜつつ平易な文章で読みやすいので取っ付き易い一冊です。

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Posted by ブクログ 2014年03月31日

・人生には、目的なんかない
・幸福とは、まことにとりとめのない、ふわふわした主観的なものであって、その当事者の感受性や、人生観や、教養などによってどうにでも変わりうるものだ
・快楽には確固とした客観的な基準があり、ぎゅっと手でつかめるような、新鮮な肌ざわり、重量感があります
・「汝の隣人を愛せ」は空...続きを読む虚な理想
・夢の中に出てくるネクタイはペニスの象徴

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Posted by ブクログ 2013年09月24日

「現実原則」に支配され、規格品のレジャーを供与されることで満足しきって「幸福」を感じている大衆は、今も昔も変わらない。一匹狼として、つくられた流行や価値に反抗し自ら快楽を発見することが肝要であると言った澁澤氏の思考や生活の理想が、大量消費社会や欺瞞に満ちた民主主義の中に生きる私の胸に突き刺さり、決し...続きを読むて忘れることができないものとなりました。
しかしながら、現代の同性愛や風俗の乱れ、過剰な自己表現などの抑圧された欲求が解放された社会がスタンダードとなり、澁澤氏の主張が一匹狼的ではなくなった皮肉な情況をみて、単純に良い世の中だとは言えない気持ちになってしまいました。
終局的には、既成の道徳や価値、法律といったものは偏見の集合体であり、偏見を否定することは社会のルールを否定するのと同義であるという撞着の論理の導出から、本書で性感帯の拡大、性のアナーキズムと言われているような一種の「原始的社会」の成立が必要なのかもしれません(文明的退行という意味ではなく)。

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Posted by ブクログ 2013年08月19日

古今東西の快楽主義者の著作に関する博識を駆使し、快楽主義とは何かを説いていく。

内容に少し時代を感じるものの、読んでいて納得する部分が多々あり面白かった。

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Posted by ブクログ 2013年04月10日

日々の労働や将来への不安だけでなく、性愛の自制さえも優しくいなしてくれる一冊。人間的であれ、文化的であれ、そう洗脳されてきた私たちが、今更「動物的に生きる」なんてことはできそうもない。しかし、幸福・道徳・健全を是とする現代社会を、これほどバッサリ切ってくれる文章は痛快この上なく、まさに快楽である。

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Posted by ブクログ 2012年10月11日

未来的、持続的幸福を否定し、刹那的、個人的快楽を進める書。
既存の価値観全てに疑いの目を向け、自らの本能に忠実になるよう勧める。

たしかに快楽主義的な生き方をしている人には面白い人が多い。自分を守ろうとせず、非常に動物的である。
しかし、全ての人がそのような生き方ができるのか。
例えば僕にしたって...続きを読む、周りの人々の目などが気にかかり、自分の本能に忠実になれない時が多々ある。僕のような場合、そうすることがそうしない場合に比べてストレスにならないのだ。
ただ澁澤龍彦さんは現在の私のような生き方は自分の可能性を狭めているという。
僕には自分の可能性を広げる勇気がないのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2012年05月22日

結構、内容は哲学的で面白いのだけれども、ほんの少しエロさも混じっている。読むのに時間が掛るが悪くない。

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Posted by ブクログ 2012年02月27日

 幸福は主観的なものであるが、快楽は客観的なものである。快楽とは「感覚に根ざしたもので、万人に共通したもの」と定義し、これを求めて不断に突き進む快楽主義を薦めていく。幸福などというあやふやなものにすがって、ちっちゃくまとまろうとする青年に向かって、揺さぶりをかけるために、意図的に挑発的な論考を彼は提...続きを読む示する。自分でつくりだす快楽、実践のうちにつかみ取る快楽こそ、ほんとうに魅力あるものなのだと発破をかける。ところで、快楽への追求は、ひとつのism、つまり主義になった瞬間にある種の禁欲主義と漸近することになる。幸福より快楽を―――その道は決して平坦ではないのである。

第一章 幸福より快楽を
第二章 快楽を拒む、けちくさい思想
第三章 快楽主義とは何か
第四章 性的快楽の研究
第五章 快楽主義の巨人たち
第六章 あなたも、快楽主義者になれる

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Posted by ブクログ 2014年07月12日

世の中や古い価値観を斬りまくる、「ダンディ」な澁澤龍彦に惚れました。非常に読みやすいが、エッジの効いた文章で、読んでいて心地よさすら感じます。

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