【感想・ネタバレ】高丘親王航海記のレビュー

あらすじ

澁澤龍彦没後30年。遺作となった伝説の傑作幻想小説が、いま新たな装いで!

平城天皇の皇子に生まれ、嵯峨天皇即位すると皇太子に立てられるも、父上皇と天皇との諍い(薬子の変)により廃された高丘親王。出家し弘法大師の直弟子となった親王は、東大寺大仏の再建に尽力するなど重要な働きを果たすが、晩年に至り朝廷に入唐求法の願いを出し、唐へ渡った。

親王の真の願いは、幼き日に父帝の寵姫藤原薬子に教えられ、憧れていた天竺を訪れることだった。
貞観七(865)年正月、高丘親王は唐の広州から海路、天竺へ向かった。鳥の下半身をした女、犬頭人の国など、怪奇と幻想の世界を遍歴した親王はやがて旅に病み、その心に去来したものとは……。

無類の面白さと、静かなる気品に満ちた傑作幻想小説。著者の死後に読売文学賞が与えられた。
高橋克彦さんの傑作解説も再収録!

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感情タグBEST3

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おもしろい!
好きだわ〜゚+.゚(´▽`人)゚+.゚

澁澤龍彦の「小説」は、犬狼都市の短編を読みました。長編は初めて。
高岳親王が天竺を目指す航海記。
道中出会う人々や親王の夢が入り混じって、神話みたいなお話。
おもしろかった!

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2024年05月13日

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この小説で卒論を書きます。小説の最後があまりにあっさりしていて親王らしく、読むたびにうっかり泣きそうになる。薬子、鳥、卵や石などの丸いオブジェ、鏡、アンチポデス。動物も植物もたくさん出てくる。混沌とした夢と現実、めくるめく不思議の旅。澁澤龍彦を知ることになった特別な本であると同時に、最高にファンタジーな小説。

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2023年07月04日

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ネタバレ

過去と現在と未来、現実と夢が混ざり合う不思議な読み口。
不思議なお話として楽しく読んだけど、深いところに潜る教養のある人はどこまでも行けそうな。

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2023年05月01日

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大学生の時に読んでこんな奇想天外で面白い小説があるのかと驚いた。字も大きく読みやすい新版が出て嬉しい。これだけの内容を一冊にまとめて、まさに著者の集大成。遺作と知り、なお感慨深い。敢えて難字にルビもふることなく、読者を選ぶ姿勢もいい。是非、読破して、読書の頂点に挑戦してほしい。

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2023年04月12日

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ネタバレ

・アナクロニズムの幻想、幾重にも靄がかった夢の入れ子をこんなにも透明な文章で表現できるのかと感動
・薬子の存在感、『阿・吽』の絵で脳内再生。真珠を投げるシーンの美しさ
・空海とは不思議な存在だな。その著作を読むと一度話してみたくなり高野山奥の院でなんか出会えた気になれる身近なアイドルみたいな思想家で、私的にはコーヒー片手にとことん議論してみたい思想家ベスト3に入る存在だが、古今誰にとってもそうなのだろうな。弟子でも澁澤でも。
・触覚的な読中読後感、親王の触覚を追体験してるような掌の感覚から親王を触覚で感じさせるラストへの展開が素晴らしく思わず声が出た。
・「モダンな親王にふさわしく、プラスチックのように薄くて軽い骨だった」という文が秀逸すぎる

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2022年12月03日

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めーーーちゃくちゃ面白かった。
安展と円覚の真珠ディベートいいなあと思ってたらしっかり次に繋がっていってますます惹かれたし、わたしも皇子と友だちになったらミーコって呼びたすぎる。

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2022年09月30日

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BOOKOFF オンラインで澁澤龍彦をまとめて買った中の一冊。
学生時代に読んだ時には全然面白さがわからなかったが、今回再読して堪能した。
思うに以前読んだ時には私の教養や興味が充分でなかったのだ。

言ってしまえばタイトル通り、高丘親王の冒険譚なのだが、行く先々で出会うものやことがことごとく幻想的かつエキゾチックで、全くのところ「幻惑される」と言うしかない。
壮大な夢を見ているみたいな不思議な感触の本であり、澁澤龍彦の集大成なのかなと思った。

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2022年09月23日

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南方熊楠風味の
ガリバー旅行記的な読後感。
あり得ない世界なのに、
脳内に映像化されるのは筆力か。
読み返すたびに発見がありそう。

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2022年02月27日

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 天竺を目指す旅の中で親王の体験する夢とも現実とも知れない、まさに夢現の世界が展開する。自分が見る夢といえば何かに追われたり、ひどく焦ったり、ブレーキをいくら踏んでも車が停まらないような寝覚めの悪い夢ばかりで、毎晩のように幻想的な夢を見る親王が羨ましい。男はいくつになっても薬子のような女性に憧憬を抱くものだと思う。私も薬子のような存在に出会っていればバクが喜んでる食べるような夢を見られたのだろうか。
 本作は澁澤龍彦の遺作であり、主人公の親王には、当時癌を患い、闘病しながら書いた作者の姿が多分に反映されている。果たして作者は本人なりの天竺にたどり着くことができたのだろうか。

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2021年12月12日

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読み終わって数年経ちますが、この不思議な世界は、澁澤龍彦の頭の中をのぞいているかのような、軽いめまいをおぼえるほどです。高岳親王航海記を読んだ後に、ウンベルトエーコのバウドリーノを読むのもオススメ。

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2021年10月09日

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澁澤龍彦の遺作。
貞観時代、高丘親王(67歳)は天竺へ船出する。
船は南洋をぐるぐる流され、夢か幻か現実か時間もあやふやに、怪奇幻想の世界へ。
病に倒れかけた親王は彼らしい方法で天竺へ向かう。

なんとなく鳥人間と航海のイメージでクラーク・アシュトン・スミスの「エウウォラン王の航海」を思い浮かべたが、まぁ、詩的、幻想的という意味でしか共通点はないかな。ちなみに鳥が人間のように支配する島の話です。

澁澤龍彦と言うとフランス文学の訳者と言うイメージで、小説を読んでいなかったのだけど、これは良かった。仏僧が天竺へ向かう話なのにむしろ、幼少期に憧れた女の跡を追っている親王でした。さすが。

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2018年04月19日

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ねっとりした南海諸島の濃い空気と対照的に、自由で軽やかな精神が描かれていて独特の浮遊感がある。なんとも言えず心地いい。

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2018年01月02日

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読売文学賞を受賞した澁澤龍彦の遺作。

平城帝を父に持ち、空海の十大弟子のひとりである高丘親王を主人公にした伝奇幻想冒険小説。老齢で入唐し、貞観七(865)年正月、唐の広州から海路天竺へ向い、消息を絶ったという史実をベースに、恐ろしい想像力で占城、真臘、魔海を経て天竺へ向かう顛末が描かれます。

の下半身をした女、良い夢を食すると芳香を放つ糞をたれる獏、塔ほど高い蟻塚、万病を治す薬になるという蜜人、陰茎に鈴を付けさせられる犬頭人の国など、描かれるのは「ガリバー旅行記」すら凌駕する幻想の世界。しかも、その過半数が夢の世界という論理を超えた不思議な小説。

高丘親王を始め、登場人物が魅力的。秋丸と春丸の関係、儒艮(ジュゴン)の転生のエピソードの意味は?真珠と虎の話も不可解といえば不可解で死について考えさせられます。昨日、読み終えましたが、既に再読したくなってしまうという稀有な作品です。

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2023年11月03日

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『安徳天皇漂海記』を読んで、元ネタとなるこちらにも興味がわいた。本当のことを言うと前から気になってはいたものの、幻想小説という点で読むのを躊躇していた。
が、良い機会だと思って読んでみたら、これが面白い。初澁澤龍彦なので、固めの文章を書くかと思ったらそんなことはなく、柔らかな文体でするすると小説の世界に溶け込めた。
ほとんど夢の中で話が進んでいく。一番好きなのは獏園かな。奇妙なものへの興味とエロスが入り混じっていて不思議な気持ちになる。
本書が長く愛される理由がよくわかる。これは面白い。

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2023年02月14日

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澁澤龍彦の遺作。

高丘(高岳)親王は実在の人物で、平城帝の第三皇子。
平城帝が譲位した後の嵯峨帝の皇太子であったが、「薬子の変」により廃太子され、出家した人物である。
薬子は平城帝の愛妾である。元々は薬子の娘が平城帝(当時は東宮)に召されて宮中に上がることになったが、まだ幼い娘の後見のような形で母の薬子が同行する。ところが東宮は母の方に夢中になって寵愛してしまう。もちろん、薬子には夫がいるのに、である。父・桓武帝は醜聞に怒り、薬子は追放。だが、桓武帝の死に伴って、平城帝は再び(今度は尚侍として)薬子を呼び戻す。
後、嵯峨帝に譲位して上皇となるも、都を平城京に戻して、政権を再び掌握しようとする。その陰には寵愛されていた薬子とその兄の動きもあり、そのため「薬子の変」と名付けられてはいる。が、おそらく薬子一派だけではなく、多くの人のさまざまな思惑が絡んでのことだろう。「薬子の変」と名付けて、上皇の女狂いのせいで片付けてしまうのが落としどころとしてはちょうどよかったのだと思われる。
いずれにしろ、上皇方は敗北。薬子は尚侍の職を解かれて、後、自殺。兄は左遷されて、後、射殺。上皇は出家。皇太子であった高丘親王も廃太子となった。

・・・というような前段は本書では軽く触れられるのみ。
物語では高丘親王はもう老人である。
出家し、空海の弟子として修業したのも遠い昔のこと。
老人になってから唐に渡った親王は、さらに天竺を目指す。通説では、唐では仏教が衰退しており、優れた師が見つからなかったため、仏法の真理を求める親王は渡天を決意する、となっているが、澁澤はこの説をよしとしない。唐での滞在期間が短すぎるのである。おそらく、親王にとって、最初から唐は目的地ではなく、経由地に過ぎなかった。天竺へのあこがれから、まずは唐に行き、天竺への手づるを探し求めたのだろう、という。
その背景には、母のようでもあり、それでいて妖艶でもあった、薬子の想い出があったのではないか、というのがこの幻想譚の始まりである。

そう、これは幻想譚というべきものだ。
親王は老境に至ってもどこか少年のようで、従者らは彼を「みこ」と呼ぶ。
彼らは、海路、天竺を目指す。
その途上で、さまざま異形のもの・不思議な出来事に遭遇する。
言葉を話す儒艮(ジュゴン)。
人の夢を食う獏。
上半身が人、下半身が鳥の女たち。
死期の近い人は水面に姿が映らぬ湖。
のどに詰まった真珠。
生気を吸い取り、人をミイラに変えてしまう花。
迦陵頻伽の鳥。

親王の命は長くはないことが旅の途上でわかる。
病に倒れ、それでも天竺を目指す親王が最後に取った手段とは。
無残なようで、実はこれほど幸福なことはないのかもしれない。

仏教も絡ませながら、どこか妖艶な香りも漂う。
母なるものへの思慕。年上の女へのあこがれ。
それらすべてが浄化され、鳥の舞い踊る中、この世ならぬ世界へと向かうのだ。

これが絶筆となった澁澤もまた、脳裏で彼の「天竺」にたどり着いたのだろうか。

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2021年10月18日

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澁澤龍彦は、中学の図書室で出会ってからの
長いおつきあい。

澁澤の作品の入門には、刺激的?かもしれないけどぜひ神秘・不思議・怪奇好きな人は、読んでもらいたいな。


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2021年09月11日

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高丘親王が繰り広げる夢とも現とも定かでは無い旅行記を読んでいると、自分がトリップをして、彼らと共に大空を大海を巡る感覚になる。
現実と夢の世界を態とボカして書かれているので、自分の置かれている世界の朧げな姿を見せられて、それに蠱惑されている感覚。

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2020年12月02日

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なんか解説に澁澤龍彦が人生のどんな時にこれを書いたのかとかずらずら書いてあったけど、そんなんなくても普通に物語がおもしろすぎる。突拍子ではあるが、まあそんなこともあるのだろう、と言いたくなるようなテンションがいい。

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2021年04月02日

Posted by ブクログ

高丘親王が唐の広州から天竺へ向かった航海記の体を取りながら、そのほとんどは親王の夢であり天竺への夢を吹き込んだ藤原薬子の夢が二重に語られる。鳥の下半身をした女、犬の頭を持った人の国など不可思議な国を遍歴するのだがそれも夢に過ぎない。親王は天竺の手前で落命する。仏の道を求める旅でありながらも幼少期からの憧れの女性薬子の面影を追いかける旅でもある。話の筋書きを楽しむような表面的な小説でないことは読んでいてわかるが、わかったふりをするつもりはない。何が言いたいのかわかりにくいのだ。

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2021年01月25日

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