あらすじ
ガラスの金魚鉢に見つめられ、妄想を駆り立ててゆく男の心理を追う「撲滅の賦」、狼の子を宿す女の幻想を描いた「犬狼都市」のほか、両性具有の王と彫刻師が織りなす古代ギリシャ奇譚「陽物神譚」、彷徨する幽霊船上でのドラマ「マドンナの真珠」、著者唯一の推理小説ともいわれる「人形塚」など9編を収録。読む者を迷宮世界に引き込む魅惑の初期幻想小説集。
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Posted by ブクログ
収録された九編が九編ともあまりに幻想的であり、雨の日に静かに読むに適していた
ただし、解説は言いたいことは理解できるものの、本書の最後に持ってくるには少し不足な感じが否めなかった
Posted by ブクログ
澁澤氏の作品で何が一番好きか?と問われれば私なら「犬狼都市」と答える。
狼の子を宿す(という妄想を抱く)女の話なのだが、その女と狼の関係性が好きで何度も何度も読み返している。
内容自体はありきたりと言えばありきたりなのだが、女の狼に対する献身や想いが澁澤氏がよく描く浮世離れした女性像そのもので気に入っている。
この「犬狼都市」のほかにも澁澤氏らしい短編がいくつも載っているのだが、「人形塚」という作品は毛色が少し違っていて推理小説のような雰囲気がある。
澁澤氏の作品を読むきっかけとしてぴったりな本だと私は思う。
Posted by ブクログ
デビュウ作みたいなので、「皿へ苺とミルクを入れスプーンで果物の方を潰す」描写がある。これが「時代だなぁ」なものらしい。ふん。
『マドンナの真珠』赤道の描写がいい感じ。
Posted by ブクログ
やっぱり「犬狼都市」は良い。何年たってもそれほど感想が変わらない。しかし澁澤が小説で目指した世界っていうのは、他にすぐれた書き手が存在してしまっているので、小説としてイマイチを出ないな、と、やっぱり思ってしまうのでした。
Posted by ブクログ
初期作品を集めたもの。
文章が綺麗だなぁと思いながら読み方進めていったが、気に入ったのは"犬狼都市"位だったのが惜しい気がする。
インパクトが薄かったか…。
不思議な世界観と、尋常の様で尋常ではない登場人物。そのなかで、下品にならないエロティシズムが見事にバランスを保っているのは流石だった。