澁澤龍彦のレビュー一覧
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”幸福とは、たんに苦痛の欠如です。 ”
欲望を満たすことこそ人生の目標である、という考えを元に、欲望の中でも消極的な傾向にある「幸福」"ではなく"、積極的な欲望である「快楽」に焦点を当てて筆者の考えを綴った本。
前半は、社会における「快楽」の立ち位置やその性質について書かれており「快楽主義」についての説明がなされている。
中盤からは「快楽」の中でも、最も強いとされている性行為についての考察や「快楽主義」であったとされる歴史上の偉人についての話が続く。
例として頻繁に上がるのが文学者や中世の時代背景だったりするのでその辺に興味が無いとあまり楽しめないかもしれない。
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Posted by ブクログ
かなり昔に購入して積んでいた澁澤龍彦の芸術エッセイ。
ジェームズ・アンソールが冒頭に出てくるのに心惹かれて買ったんだろう。たぶん。
最初の『世紀末画廊』は興味深く読めたんだけど、そのあとの幻想芸術、特にシュルレアリスムのあたりは、難解で読むのに苦労した。エッセイなのに……。
面白かったし、さすがとは思うものの、読み手の私に芸術的素養が欠けているのもあり、なかなか難しかった。
ただ、とにかく、サドの信奉者の面目躍如といった感じのセレクトではあり、知らない画家も多くて検索するたび出てくる絵にちょっとぎょっとしたりした。すごい。
子どもの頃、親が美術館や博物館に休みの日に連れて行ってくれた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ毒をモチーフに文化史を語るエッセイ。独自の美意識がこれでもかと眼前に示され、本当に興味深かった。
出てくる毒殺魔について、より知りたいと思ってネットで調べると、Wikipediaなどにほとんど同じことが書いてあり、出典に「毒薬の手帖」とあることがたくさんあって、さすが澁澤龍彦、と思うのと同時に、ネット上とはいえ百科事典の出典がそれなりの書物ではなく本人も堂々名乗っている「エッセイ」でよいのか?という気がした。まあ、これは、本書には全く関係ないことだけれど。
端々の文章のフレーズ、組み立て方に『虚無への供物』を思わせるものがあり、中井英夫も澁澤龍彦も幻想文学の人であるから、文体、文のつながりに -
Posted by ブクログ
面白かったです。澁澤さんの知識量ほんとどうなってるの。。
美食について書かれている第一章と、それ以降の芸術についてかかれている章、どちらも興味深いところがたくさん。
16世紀になるまでフランスではフォークが使われてなかったというのが驚きでした。
メディチ家の美食や毒物について語りながら、最終的にアメフラシの話で終わったのは笑いました。しかしウミウサギて…アメフラシのどのへんがウサギなのか。。インドのにも毛は生えてないと思うけど。
「ばさら」も興味津々です。江戸時代の統治術によって今の地味なあれこれになった、というのは面白いです。「かぶき」もいいけど「ばさら」もいいな。ばさらは精神の自在さ奔放さ -
Posted by ブクログ
青土社、佐藤晴夫訳を、20ページほどつまみ読み。
驚くべき変態っぷり。食べるための、便の固さや香りの調整など。
フランス革命前後の著とのこと。キリスト教の道徳の押し付けに辟易し、絶望し、どんなことをしたってかまわないのだ、神などいないのだと、人間の自由さや可能性をあますところなく表現したかったんだろうか?人が美しいというものを否定し、人が汚い、おぞましいとするものを賛美したかったのだろうか?
こんなの、日本にもあったのだろうか?
元はと言えば、日中戦争において、日本兵士がなぜ現地女性に猟奇的な強姦をしたのか、あるいは、東大生たちの裸の女子学生を馬乗りにして遊んだ挙句の輪姦、のような犯罪が -
Posted by ブクログ
ヨーロッパを中心として、様々な秘密結社を紹介しまくる本。学術的な感じは一切なく、読者に地図を示す前書きも無いからどこに連れていかれるのか分からないし、2012年に刷られてるのに文字が小さく掠れてるし、「土人」など今じゃ見かけない言葉もガンガン出てくるし。「一説によると」「と言われる」「という」「らしい」「に違いない」など、Wikipediaに書いたら[要出典][要検証]だらけになりそうな怪しすぎる記述。書きっぷりも書かれている内容もメチャクチャ怪しい。奇書と言ってもいいかも。
自分で自分のちんちんを切り落とすとか、それすら生ぬるいあれこれが一定の集団の中で行われていたのが俄かには信じ難い。 -
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目次
編者序言
三つの髑髏
髑髏
夢のコレクション
豪華な白
林檎
秘密結社の輪廓
犯罪的結社 その他
横浜で見つけた鏡
ランプの廻転
地震と病気 谷崎文学の本質
『亂菊物語』と室津のこと
江戸川乱歩『パノラマ島奇談』解説
『夢野久作全集』第一巻
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』解説
『銀河鉄道の夜』宮澤賢治著
石川淳と坂口安吾 あるいは道化の宿命について
三島由紀夫とデカダンス 個人的な思い出を中心に
『変身のロマン』編集後記
潜在意識の虎 『動物の謝肉祭』序
毒草園から近代化学へ
デカダンス再生の“毒” サドの現代性
優雅な屍体について
恐怖の詩 ラヴクラフト傑作集『暗黒の秘儀』