澁澤龍彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
”幸福とは、たんに苦痛の欠如です。 ”
欲望を満たすことこそ人生の目標である、という考えを元に、欲望の中でも消極的な傾向にある「幸福」"ではなく"、積極的な欲望である「快楽」に焦点を当てて筆者の考えを綴った本。
前半は、社会における「快楽」の立ち位置やその性質について書かれており「快楽主義」についての説明がなされている。
中盤からは「快楽」の中でも、最も強いとされている性行為についての考察や「快楽主義」であったとされる歴史上の偉人についての話が続く。
例として頻繁に上がるのが文学者や中世の時代背景だったりするのでその辺に興味が無いとあまり楽しめないかもしれない。
それでも、この本を読むことで澁澤龍彦という人の頭の中、博愛主義や現代社会の枠組みなどを払いのけて「快楽」を追い求める姿勢が垣間見えたのは良かった。 -
Posted by ブクログ
かなり昔に購入して積んでいた澁澤龍彦の芸術エッセイ。
ジェームズ・アンソールが冒頭に出てくるのに心惹かれて買ったんだろう。たぶん。
最初の『世紀末画廊』は興味深く読めたんだけど、そのあとの幻想芸術、特にシュルレアリスムのあたりは、難解で読むのに苦労した。エッセイなのに……。
面白かったし、さすがとは思うものの、読み手の私に芸術的素養が欠けているのもあり、なかなか難しかった。
ただ、とにかく、サドの信奉者の面目躍如といった感じのセレクトではあり、知らない画家も多くて検索するたび出てくる絵にちょっとぎょっとしたりした。すごい。
子どもの頃、親が美術館や博物館に休みの日に連れて行ってくれた。「ふーん、ピカソ」「ふーん、浮世絵」「ふーん、ゴッホ」といった感じで、連れて行ってくれるからには一通り見るけれど、そこまでの感動はそんなに得られていなかった。
多分、小学校6年生の時、アンソールの『仮面の中の自画像』を見たときに、初めて芸術作品に感動した。所蔵のメナード美術館は、比較的実家から近く、その時が初めての訪問ではなかったと思う。親がシャガールが好きで、メナード美術館はわりかし頻繁にシャガール展を開催していたような記憶があるので、それで常設展示の『仮面の中の自画像』と、その解説を見て感動したのだ。
小学6年生、思春期のただなかで、親への反発もあり、「誰も自分の本当の所をわかってくれない」と思っていた頃。自分の周囲の無理解者を骸骨や不気味な仮面をかぶった存在として、その存在に取り囲まれる自画像、というのに共感したのだ。
アンソールの場合は、もちろん20人展に拒否されたりといった経緯があっての作品で、ローティーンの小娘の自意識とは全然違うけれど、でもそうした視点が私には絵画に興味を持つきっかけになったのだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ毒をモチーフに文化史を語るエッセイ。独自の美意識がこれでもかと眼前に示され、本当に興味深かった。
出てくる毒殺魔について、より知りたいと思ってネットで調べると、Wikipediaなどにほとんど同じことが書いてあり、出典に「毒薬の手帖」とあることがたくさんあって、さすが澁澤龍彦、と思うのと同時に、ネット上とはいえ百科事典の出典がそれなりの書物ではなく本人も堂々名乗っている「エッセイ」でよいのか?という気がした。まあ、これは、本書には全く関係ないことだけれど。
端々の文章のフレーズ、組み立て方に『虚無への供物』を思わせるものがあり、中井英夫も澁澤龍彦も幻想文学の人であるから、文体、文のつながりにそういう特徴があるのかしらと思ったりした。どうかしら。
序文にあるように、毒殺は女の手段というのはよく聞く言葉だけど、実際どうなのかわからんし、男尊女卑的というか、固定観念的な決めつけなのでは、と思ってた。
でも、このエッセイを読み進めるにつれ、まあ、偏執狂的、殺人のために殺人を行うような人はともかく、そうでない限りは妖術師や黒魔術や黒ミサに頼って夫を殺そうとした中世や近世ヨーロッパの貴婦人たちは、それ以外に夫・男性から逃れるすべがなかった人もいたのではと思ったりした。
離婚を認めないカトリックで別れたくても別れられず、または別れたらたちまち生活が立ちゆかないなど。あと、それこそルイ14世のフランス宮廷のような、夫が出世のために妻を公娼として差し出すようなことが当然の習わしになってしまったら、もしかしたらそういう非常手段に訴えることも、あるのかも。
殺すのはどうかと思うけど、まあ、そういう人たちにとって、解剖もろくに行われないような当時であれば、毒殺は他の方法と違って自然死と思わせ、自然と未亡人なり、恋人に死に別れた人になれるという点で、女性にとっては便利な殺人方法だったんだろうな。
澁澤龍彦はそんなこと考えてないし、恐るべき女殺人者、みたいな書き方してるけど、女が毒殺を選ぶ歴史的背景みたいなものはすごくありそうだよなー。実際男を殺そうと思ったら、刃物やらの凶器を使うより、そっちが確実だものね。 -
Posted by ブクログ
面白かったです。澁澤さんの知識量ほんとどうなってるの。。
美食について書かれている第一章と、それ以降の芸術についてかかれている章、どちらも興味深いところがたくさん。
16世紀になるまでフランスではフォークが使われてなかったというのが驚きでした。
メディチ家の美食や毒物について語りながら、最終的にアメフラシの話で終わったのは笑いました。しかしウミウサギて…アメフラシのどのへんがウサギなのか。。インドのにも毛は生えてないと思うけど。
「ばさら」も興味津々です。江戸時代の統治術によって今の地味なあれこれになった、というのは面白いです。「かぶき」もいいけど「ばさら」もいいな。ばさらは精神の自在さ奔放さ…これは自分に無いところなので取り入れたいです。 -
Posted by ブクログ
青土社、佐藤晴夫訳を、20ページほどつまみ読み。
驚くべき変態っぷり。食べるための、便の固さや香りの調整など。
フランス革命前後の著とのこと。キリスト教の道徳の押し付けに辟易し、絶望し、どんなことをしたってかまわないのだ、神などいないのだと、人間の自由さや可能性をあますところなく表現したかったんだろうか?人が美しいというものを否定し、人が汚い、おぞましいとするものを賛美したかったのだろうか?
こんなの、日本にもあったのだろうか?
元はと言えば、日中戦争において、日本兵士がなぜ現地女性に猟奇的な強姦をしたのか、あるいは、東大生たちの裸の女子学生を馬乗りにして遊んだ挙句の輪姦、のような犯罪がなぜ起こるか、その原因を性的嗜好にさかのぼって知りたかったのであった。
人間における自由と束縛をめぐる心理複合の所産
背景として
・心理的な補償
・カタルシスの効果
・発達課程におけるインプリンティング、学習
・文化的・社会的な自己の存在主張(現存在の意味充足)
実存的なプロセス。
サディズム+共感性の欠如(パーソナリティ障害やサイコパス)などの条件を揃えた人物がおり、そこから同調圧力によって波及したのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ヨーロッパを中心として、様々な秘密結社を紹介しまくる本。学術的な感じは一切なく、読者に地図を示す前書きも無いからどこに連れていかれるのか分からないし、2012年に刷られてるのに文字が小さく掠れてるし、「土人」など今じゃ見かけない言葉もガンガン出てくるし。「一説によると」「と言われる」「という」「らしい」「に違いない」など、Wikipediaに書いたら[要出典][要検証]だらけになりそうな怪しすぎる記述。書きっぷりも書かれている内容もメチャクチャ怪しい。奇書と言ってもいいかも。
自分で自分のちんちんを切り落とすとか、それすら生ぬるいあれこれが一定の集団の中で行われていたのが俄かには信じ難い。
フリーメーソンについて勉強したいとか、そういう需要に応える本ではないけれど、知識を蓄えるのとは違った、秘密めいた面白さがあった。 -
Posted by ブクログ
目次
編者序言
三つの髑髏
髑髏
夢のコレクション
豪華な白
林檎
秘密結社の輪廓
犯罪的結社 その他
横浜で見つけた鏡
ランプの廻転
地震と病気 谷崎文学の本質
『亂菊物語』と室津のこと
江戸川乱歩『パノラマ島奇談』解説
『夢野久作全集』第一巻
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』解説
『銀河鉄道の夜』宮澤賢治著
石川淳と坂口安吾 あるいは道化の宿命について
三島由紀夫とデカダンス 個人的な思い出を中心に
『変身のロマン』編集後記
潜在意識の虎 『動物の謝肉祭』序
毒草園から近代化学へ
デカダンス再生の“毒” サドの現代性
優雅な屍体について
恐怖の詩 ラヴクラフト傑作集『暗黒の秘儀』
メルヴィル頌
避雷針屋
鏡花の魅力 対談 三島由紀夫×澁澤龍彦
編者解説
@
角川文庫は文スト表紙で揃えて本屋に並べたいんだろうな、そこでフットワークの軽い東氏に頼んだんだろうな、なんて軽薄な企画、きっとうっすいんだろうな、と正直印象はよくなかった。
というより澁澤の検索候補がアニメキャラに浸食されるのが鬱陶しいなあと思っていた。
が、実際に読んでみると、さすがは東氏。納得のアンソロジー。
というより澁澤自身が、アンソロジストであると同時に、アンソロジーに適した作家性を備えていたんだな、と感想を新たにした。
とはいえ澁澤初読者に合っているとは言えない、中級者向けのセレクト。
だがそんな事情などどこ吹く風でキャラ萌え(関係性萌え)した女子たちがシブサワを×の前後にどのキャラとの組み合わせて置いて妄想を繰り広げるのか、それを観察するという愉しみを、ちょっと取っておこう。