澁澤龍彦のレビュー一覧
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短編集。
フィレンツェの変わり者の絵描き、ペルシアを征服するティムールと詩人の会話、鬼の使わした美女に惑わされる中納言、火山に魅せられて命を落としたローマの火山学者プリニウス……等々、歴史上の人物について遺されたエピソードをもとに、想像の翼を広げてつづられた一冊。
興味深く、幻惑されるような面白いエピソードも多いのだけれど、残念ながら、私には『興味深い』の域を出なかったかなあ。のめりこむようには読めませんでした。
理由ははっきりしていて、相性というか、私の読書姿勢がよろしくないんです。
前に『高丘親王航海記』のレビューでも、似たようなことを書いた気がしますが、「これは私(作者)が書 -
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[ 内容 ]
透徹した独特の審美眼によって、シュールレアリスムの作品をはじめとする幻想絵画について詩情あふれるエッセイを発表してきた著者が、愛好するヨーロッパの36の名画をとりあげながら、描かれた女性像をめぐり、そのイメージにこめられた女性の美やエロス、また魔的なるものなどについて、博識に裏打ちされた鋭利な印象批評をくりひろげる、魅力あふれる芸術エッセイ集。
[ 目次 ]
ピエロ・ディ・コシモ
ペトルス・クリストゥス
ヴィットーレ・カルパッチオ
カルロ・クリヴェルリ
パルミジャニーノ
コスメ・トゥーラ
アルブレヒト・デューラー
ルーカス・クラナッハ
ヤコポ・カルッチ・ポントルモ
ジョヴァンニ -
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[ 内容 ]
60年代の後半、全共闘運動はなやかなりしころ、世情は騒然とし、著者が親交をあたためていた作家三島由紀夫は、一見その流れに歩調を合わせるかのように死の予行演習をくり返し、自決へと至った。
そして70年代が幕を開け、政治の季節は終った。
時代に対して超然としながら、なおかつ時代の空気を鋭敏に察知していた著者はこの時期何を考えていたのだろうか?
本書はその思索の跡を示すエッセイ集。
[ 目次 ]
バビロンの架空園―失われし庭を求めて
ユートピアと千年王国の逆説
ヨーロッパのデカダンス
もう一つの世紀末
万博を嫌悪する あるいは「遠人愛」のすすめ
時間の死滅について
ミューゼアム・オブ -
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[ 内容 ]
妹ジュスティーヌとともにパンテモンの修道院で育ったジュリエットは、悪徳の快楽をおぼえ、悪の道へと染まってゆく。
パリで同好のさまざまな人物と交わり、イタリアへと逃げおちた彼女は、背徳の行為をくり返し、パリへと帰る…。
悪の化身ジュリエットの生涯に託してくり広げられる悪徳と性の幻想はここに極限をきわめ、暗黒の思想家サドの最も危険な書物として知られる傑作幻想綺譚。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的 -
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[ 内容 ]
身も心も美徳に捧げ、美徳のために生きようとしたがために、悲惨な出来事に次次と遭遇し、不幸な結末をむかえる美少女ジュスティーヌ。
悪徳に生きた姉ジュリエットの物語と対をなすこのジュスティーヌの物語には、三つの異本が存在するが、本書はその最後の稿にあたり、決定版ともいえるものである。
より客観的な手法で、人間の根源的残酷さを描き尽し、思想の深まりを示すサド後期の傑作。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個 -
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[ 内容 ]
魔術、カバラ、占星術、錬金術、悪魔信仰、黒ミサ、自然魔法といったヨーロッパの神秘思想の系譜を日本にはじめて紹介しながら、人間の理性をこえた精神のベクトルを解明。
オカルト・ブームの先駆をなした書。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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[ 内容 ]
狂気と偽物による幻想の城ノイシュヴァンシュタインを造らせたルドヴィヒ二世。
神秘思想を体現した二十世紀の魔術師グルジエフ。
数百人ともいわれる幼児虐殺を犯した享楽と残虐のジル・ド・レエ侯。
ルイ十六世の処刑を主張した熱狂的革命家サン・ジュスト…。
彼らを魅了した魂と幻影とは何だったのか。
そして孤独と破滅とは何だったのか。
時代に背を向けた異端児達を描くエッセイ。
[ 目次 ]
バヴァリアの狂王―十九世紀ドイツ
二十世紀の魔術師―二十世紀ロシア
生きていたシャルリュス男爵―十九世紀フランス
バベルの塔の隠遁者―十八世紀イギリス
幼児殺戮者―十五世紀フランス
恐怖の大天使―十八世 -
- カート
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試し読み
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2009/
2009/
この本の内容は、美術論の範囲をはるかに越えて、いわば文明論の性格を帯びているのであり、しかも、その文明論は歴史主義的な諸時代の文明の型の考察、すなわち文明史的な考察を一応の素材とはしながら、著者の眼はさらに根源的なものに向けられるために、実証主義風の相対性を払拭して、絶対的な幻想の様相を帯びるのである。―森本和夫
中世神学が壮麗な体系を完成するにつれて、ちょっと、そのうらが夜の神学ともいうべき、悪魔学も同じ歩みを進めていた。ルネッサンスは、昼の世界を合理主義の体系で築いたが、人間の夜の世界ではどうなったのかという反省が近ごろフランスで、一種の悪魔学研究ブームをおこし