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デューラー、クラナッハ、シモーネ・マルティーニ、ゴヤ、ダリ、アングルまで、30葉余りの女性(天使含む)の肖像と、それについての詩的エッセイ。これ、ほんとは文庫じゃなくてカラー口絵の単行本で欲しいなあ。とはいえ、この本の主眼は、やはり絵画鑑賞ではなく、澁澤龍彦の文章を味わうためのものだ。
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透徹した独特の審美眼によって、シュールレアリスムの作品をはじめとする幻想絵画について詩情あふれるエッセイを発表してきた著者が、愛好するヨーロッパの36の名画をとりあげながら、描かれた女性像をめぐり、そのイメージにこめられた女性の美やエロス、また魔的なものなどについて、博識に裏打ちされた鋭利な印象批評をくりひろげる、魅力あふれる芸術エッセイ集。
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西洋の画家、そして主に女性の肖像画を澁澤龍彦の解説によって味わうことができるという、なんともワクワクな一冊。
色んな画家の作品が載ってるので、「正統派美人画もいいけど、やっぱちょっぴり不気味な絵とかの方が、見てて飽きないなー」とか、そういう自分の芸術に対する志向を再確認するのにも役立ちます。
もちろん美しいものって素晴らしいけれども、情動を喚起させるのは決して「美」の専売特許ではないと思うのです。
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まず、自分の持っているのは第14刷1995年版で、表紙絵はピエロ・ディ・コシモの『シモネッタ・ヴェスプッチの肖像』である。登録されている表紙絵は別のものに代わっているが、その表紙絵は本書に収録されていない絵だと思われる(『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』の中のパトモス島のヨハネ)。あるいは、現在は増補されたか、もしくは収録された絵の一部分を拡大したものなのであろうか?
あとがきによれば、本書は澁澤龍彦が3年の間『婦人公論』の巻頭口絵のために書いたエッセイをまとめたものとのことである。澁澤がこれと選んだ絵画を、一画家につき一枚の割合で書いている。あとがきの澁澤の言の通り、澁澤が好むものをセレクトした結果、西欧の女性像が多く収録されている。(笑)
取り扱う画家の時代は中世やルネサンス期から近代にいたり、エッセイの内容も絵画の背景の解説や、絵画の部分部分についての見方、画家の紹介、文学的や心理学的それに美術的見地での評論と多岐にわたっていて、澁澤の造詣の深さにはただただ感じ入るばかりである。ただ、中には自分にはそういう風には見えないといった、澁澤の評論には納得できない部分もあったにはあったのだが・・・。(笑)
澁澤が好むものを収録しただけあって女性裸体画が多いのは頷けるとして(笑)、単に美しさや快さだけに留まらず、醜悪と思えるような絵も収録しているところは澁澤の知的内面の奥深さが窺われ、面目躍如たるものがある。ちなみに単純な自分としてはやはり可憐な女性裸体像が好みなので(笑)、ハンス・バルドゥンクの『三美神』、グイド・レーニの『スザンナと老人たち』、グスタフ・クリムトの『女友達』あたりが好きだった。
本書は残念なことにカラー絵は表紙絵のピエロ・ディ・コシモの『シモネッタ・ヴェスプッチの肖像』、巻頭絵のペトルス・クリストゥスの『若い女の肖像』、ヴィットーレ・カルパッチオの『二人の娼婦』、カルロ・クルヴェルリの『マグダラのマリア』、ルーカス・クラナッハの『ユディット』のみであり、あとは白黒絵なので、評論にインパクトが欠ける部分もあった。文庫化にあたり、こういったところは配慮してほしいものである。
澁澤龍彦の知的センスと36作品もの西欧美術画とで二重に楽しめる一書といえる。
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時代を感じるエッセイ。
と言っても観方の古さ云々ではなく(とは言いつつ昭和40年代ぽい気はしますが)、写真の鮮明度等、出版技術のこと。粒度の荒い白黒写真のため、著者の想いの共有が困難。
絵画への造詣がない当方はある意味途方に暮れるといったところかな?
しかし知らない画家、見たことも無い絵はそれこそ無限にありますな。
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ブクブクで手に入れた一冊。
表紙の“絵画”が何とも印象的です。
目に見える“絵”の部分だけではなく、その背景まで踏まえると、
絵画鑑賞にも深みが増しそうで、西欧絵画はやはりキリスト教ですかね。
一応、キリスト教は最近ちょこちょこと触りはじめたのですが、、
“原罪”の観念はやはり、よくわからないです、、閑話休題。
なんせによ“絵画”は当時の文化の発露とも思いますので、
どうせなら楽しむための“ウンチク”も入れておきたいですね。
それにしても、エロのために当時のキリスト教のモラルに寄り添うとは、
いつの時代も男は○○だなぁ、、なんてことも、大いに共感デシタ。
また、次回のブクブクで循環させようと思っています。
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澁澤好きの為の絵画解説書。間違っても絵画好きの為の、ではない。
文章はわかりやすく読みやすいが、この本から絵画の世界に入ろうとすると、澁澤独特の解釈に馴染んでしまい、まともな鑑賞ができなくなるかもしれない。
これを読んで、私には絵画に対する興味があまりないことが解った。
解説読むより眺めてるほうが楽しいよ、やっぱり。
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[ 内容 ]
透徹した独特の審美眼によって、シュールレアリスムの作品をはじめとする幻想絵画について詩情あふれるエッセイを発表してきた著者が、愛好するヨーロッパの36の名画をとりあげながら、描かれた女性像をめぐり、そのイメージにこめられた女性の美やエロス、また魔的なるものなどについて、博識に裏打ちされた鋭利な印象批評をくりひろげる、魅力あふれる芸術エッセイ集。
[ 目次 ]
ピエロ・ディ・コシモ
ペトルス・クリストゥス
ヴィットーレ・カルパッチオ
カルロ・クリヴェルリ
パルミジャニーノ
コスメ・トゥーラ
アルブレヒト・デューラー
ルーカス・クラナッハ
ヤコポ・カルッチ・ポントルモ
ジョヴァンニ・ベルリーニ
シモーネ・マルティーニ
ピエトロ・カヴァルリーニ
ハンス・パルドゥンク・グリーン
セバスティアン・ストッスコップフ
サントロ#ボッティチェルリ
グリュネワルト
ヒエロニムス#ボッス
ハンス・メムリンク
ディエゴ・ベラスケス
グイド・レーニ
ルカ・シニョレルリ
ドッソ・ドッシ
ヤコポ・ツッキ
フランシスコ・ゴヤ
グスタフ・クリムト
レオノール・フィニー
マックス・エルンスト
アントワヌ・ヴィールツ
バーン・ジョーンズ
フェリックス・ラビッス
ロメロ・デ・トレス
ジェイムス・アンソール
ハインリヒ・フュスリ
オディロン・ルドン
サルバドール・ダリ
アングル
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
渋澤龍彦は初めて読みました。
批評じゃなくて、「好きだから語るんだ」という感じの
語り口が、読んでてとても心地いいというか
もっと蘊蓄を語ってくれ!という気になります。