澁澤龍彦のレビュー一覧
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今や西欧という言葉も文芸という言葉も死語でしょう。
加えて批評という言葉には昨今、「作品を創ることが出来ない人間の無責任な言動」という、悪い印象がついてしまった。
そんな死語と悪印象の単語を並べた1冊ですが、この本は今こそ読まれるべき1冊となっています。
西欧文芸の批評集成と題されていますが、澁澤さんの趣味通り、語られるのは文学の本流というより、幻想、暗黒、怪奇の文学と悪魔、異端、デカダン、黒いエロスについてです。
でもあらゆる芸術とは結局、「一つのスキャンダルであり裂け目であって、耐えがたい異常なものの現実世界への侵入である@ロジェ・カイヨウ」
ということです。
そこに感じるのは戦慄であ -
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まず気をつけるべきなのは、この本に収録されているソドム百二十日は、初めの導入部分(主人公であるブランジ公爵とその弟である司教、キュルヴァル法院長、公爵の学友であるデュルセの4人の道楽者とその妻達の人物描写と、物語のメインである4ヶ月の放蕩に耽るまでの下準備の様子と、放蕩の加担者や犠牲者の人物描写まで)までであるということである。
主人公の道楽者達はどいつもマジキチであり、悪徳を愛し美徳を憎み、無神論者であり、犯罪を犯してはそれをオカズにハァハァするという始末である。
しかし、公爵の言う悪に対する見識(要約すると、「俺みたいな悪だって自然界、ひいては神様が生んだものなんだから、それに背いて悪いこ -
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世界各地の、歴史に残った悪女たちのエピソードを集めたエッセイ。自分の美貌を保つために、若い乙女を虐殺してその血の風呂につかったというエリザベート・バートリー。民衆の貧困に眼を向けようともせずに享楽の限りをつくしたマリー・アントワネット。その美しさを利用され、政略結婚に利用されたあげく、夫となった相手を次々に死なせることになったルクレツィア・ボルジア。クレオパトラ、メアリ・スチュアート、エリザベス女王……
うん、面白かった!
うわあ、これは怖いかなあ……と思いながら読み始めたんですけども、語り口のおかげか、むしろドキドキしながら読んでました。もちろん怖いエピソードはたくさんあるのですが( -
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[ 内容 ]
サドの代表的著作、ジュリエットの物語『悪徳の栄え』と対をなす妹ジュスティーヌの物語には三つのバージョンが残存している。
本書はその最初の版である「原ジュスティーヌ」とでも称すべき中篇である。
バスティーユ牢獄中にて書かれ、革命のどさくさに粉れて紛失され、100年ののちに陽の目をみた本書はサドの思索のエッセンスが凝縮された異色作である。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三 -
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[ 内容 ]
快楽の法則の信奉者、遊び好きなサン・タンジェ夫人と、彼女に教えを受ける情熱的な若き女性ウージェニー。
そして夫人の弟ミルヴェル騎士や、遊蕩児ドルマンセたちがたがいにかわす“性と革命”に関する対話を通して、サドがみずからの哲学を直截に表明した異色作。
過激で反社会的なサドの思想が鮮明に表現され、読む者を慄然とさせる危険な書物。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・ -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
サラマンドラや一角獣、タロッコカード、宝石など、著者の得意とするテーマを満載する論考八編からなる第一部と、これまで自らタブーとしてきた身辺雑記や回想を「望遠鏡をさかさまにして世界を眺める」遠近法で描いたエッセイ群からなる第二部。
過去と現在という時間を交差させて織り上げた魅惑の作品集。
[ 目次 ]
サラマンドラよ、燃えよ
一角獣について
タロッコの謎
宝石の伝説
『狩猟の書』について
盗みのエロティシズム
態位について
目の散歩
ツェッペリン幻想
私の昆虫記
ハーゲンベックの思い出
カフス・ボタンのこと
「コドモノクニ」のこと
ドラゴン雑感
少年冒険小説と私
玩物抄
アポロと -
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[ 内容 ]
時代・風俗は変われども、女の人生は本質的に変わらない―。
マリー・アントワネットやジャンヌ・ダルクなど史上名高い女性たち、サロメやヴィーナスなど神話・宗教上有名な女性たちのさまざまなエピソードをとりあげながら、古今東西の女の生き方をデッサンふうに描く、渋沢龍彦の魅力あふれる女性論。
ベストセラー『世界悪女物語』を補完するエッセー集。
[ 目次 ]
マリー・アントワネット
ベアトリーチェ・チェンチ
ジョルジュ・サンド
アグリッピーナ
ローラ・モンテス
和泉式部
サッフォー
ジャンヌ・ダルク
エリザベス女王
シャルロット・コルデー
サロメ
エロイーズ
細川ガラシア夫人
ルネ・ペラジ