【感想・ネタバレ】太陽王と月の王のレビュー

澁澤龍彦

夢の世界に生きた十九世紀バヴァリアの狂王の生涯を描いた表題作をはじめとして、サド侯爵、人形、説話、宮廷怪異譚、神話と絵画、植物、昆虫、古本、パイプ、機関車等々、イマジネーションは古今東西縦横無尽に展開していく。著者の文章修業に関する作品や、サドとの架空対談もある。著者の思考の源泉がかいま見える、傑作エッセイ二十五編を収録する。

[ブクログ · ★★★★★]

縦横無尽のエッセ集。最後の、シブサワとサドとの「架空対談」が愉しい。「宗達の犬（狗子図）」が好きだ、という文章も、好きだ。

[ブクログ · ★★★★☆]

ノイシュヴァンシュタイン城を建てたルドヴィッヒ二世が創建したもうひとつの城、ヘレンキムーゼーの城についてのエッセイが表題作。
ワーグナーおたくだったんだね、この王さま。人がにぎやかに集まることもなく、ただ王の妄想を実現するためだけの城だったと。

なんかもっと凝った、読みにくい文章なのかと思っていたらとてもするすると読みやすく、おもしろかった。

[ブクログ · ★★★★☆]

タイトルはエッセイの中のルドヴィヒ二世を論じた一篇より。初出の情報なし。あとがきには昭和55年7月とある。単行本は同タイトルで1980年大和書房刊。

I.
知られざる発明家たち／人形雑感／太陽王と月の王／宇宙論について／植物界のイカロス／ホログラフィ頌／北斎漫画について／お化け屋敷の光源氏／化けもの好きの弁／魚の真似をする人類／パイプ礼賛／説話好きの弁／パリの昆虫館／神話と絵画
II.
嘘の真実／冷房とエレベーター／古本屋の話／パイプの話／機関車と青空／空前絶後のこわい映画／読書目録／望遠鏡をさかさまに／ビブリオテカについて／今月の日本（送達の犬／専業について／流行について／ディジタル反対／すべからく／元号について／ワイセツについて／ムクロジの実／神話の復活のために／鎌倉今昔／虎よ、虎よ／手紙を燃やす）／架空対談 *サド／あとがき

[ブクログ · ★★★★☆]

雑多なエッセイの集成。
矢鱈と「今の子供は云々」「今の若い者は云々」と、オジサン臭い。
ダリに文句を垂れる前に、まず自分を反省すべきではないのか（笑）。
対談形式や旅行記など文に変化が有り、面白く読めた。