あらすじ
南方熊楠、泉鏡花から始まって、谷崎潤一郎、石川淳、稲垣足穂、小栗虫太郎、久生十蘭、埴谷雄高など、一九一〇年代生まれまでの日本の作家二十五人についてのエッセイをすべて収録した〈上巻〉。とくに泉鏡花や江戸川乱歩、石川淳、そして交遊の深かった稲垣足穂を書いた批評に表れた独自の眼は鋭い。批評家としての澁澤を読む文庫オリジナル集成。
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Posted by ブクログ
久生十蘭つながりで、澁澤龍彦が彼について書いたものを読んでみようかな、と。文庫オリジナル。「日本の作家について著者が書いたエッセイをすべて収録した永久保存版!」だそうです(書評を除く)。この上下巻と、同文庫の『澁澤達彦 書評集成』を合わせると、「日本作家についての澁澤評をすべて網羅できることになる」のだそうな。文庫としては高価かな、でも場所も取らないしカヴァーもきれいだし、持っててもいいかな。それに、亡くなってすでに20年余、こういう編纂のを読んでみるのもいいな、なんて。論じられている作家別に「作家の生年順に並べ替え」た、文庫オリジナル編纂。上巻は、南方熊楠から中村光夫まで。25人に関して55篇。ほとんどの作家を、それぞれ少しずつではあるけれど読んでる私って……と、目次を眺めて呆然。そしてまた、こればかりは澁澤本人の影響ではないんだ、なんとなく読んできた結果が、この目次と較べるとそうなってたんだ、とわざわざ実感。けれども、驚くほどのことはないかもしれない。だって、ここで採られている25人、「或る傾向」を有するかもしれないけれど、決して特殊・異端な作家ではないもん。そう思いたいです。それに、さらに大事なのは、「作家論」云々もさることながら、やっぱりこれも「シブサワ」を味わうべき1冊である、ということ。