大富豪の娘が刑事で、毒舌執事がお嬢様を愚弄しながら推理を披露する本格推理連作短編集
リアリティのない方に舵を切ったコメディミステリ
ドラマを観ていたので、大体のないようや雰囲気は知ってた
面白く読めはしたけど、なんとなく物足りない
やはり私はミステリを謎の解明をメインとは捉えていないようだ
一話ずつのボリュームが少ないので、どうしても問題文と解説を読んでいるような気になる
キャラクターは確かに立っていてコミカルで面白いんだけど、それだけ
連作短編集だけど、各話にこれといった繋がりがないし、最後に実はすべての話が繋がっていましたとか、序盤のアレが伏線でしたという、一冊を通した仕掛けがあるかと期待していたんだけどなぁ
本屋大賞一位という事だけど、この年のノミネート作だと、私の場合は好みの作風の作品が他にもあるので
なぜ書店員はこの作品に多くの票が集まったのか謎
解説でも言及されているけど、類似の設定の作品は色々とある
主人ではなく執事が冴えた推理をするのは「黒後家蜘蛛の会」(こっちは給仕係だけど)
お金持ちが刑事をするのは「富豪刑事」
しかも今作は財力に飽かせてトンデモな捜査をするわけでもなく、普通の刑事と同じ
うーん、益々なぜこの作品が本屋大賞一位になったのか謎
影山が推理を披露する時点で、読者も同じ情報を得ているわけで、読者への挑戦状と同じ構成になっているので、本格推理ものとしては正統なのかもしれない
あと、実際にそう断定はできないだろうと思える推理でも、探偵役がそう推理したのであればそうであるという、古式ゆかしいミステリのあり方でもある
でもまぁ、ドラマも結構評判だったし、結果的に本格推理というジャンルを世に広めたという功績はすごいと思う
あと気になっったのが、警察の描写
風祭警部は30代で警部になってスピード出世とされているけど
つまりはノンキャリなわけで
そんなお金持ちならいい大学出てキャリアとして警察になっているような気がする
麗子も同じく……
あと、捜査方法とか情報の取り扱いとかかなり杜撰なんだけど、やはりこれも昔ながらのミステリあるあるだよなぁ