あらすじ
巨大な螺旋階段の下に倒れていた当主の死因は、転落死ではなく墜落死だった!? 天才建築家・十文字和臣の突然の死から半年が過ぎ、未亡人の意向により死の舞台となった異形の別荘に再び事件関係者が集められたとき、新たに連続殺人が勃発する。嵐が警察の到着を阻むなか、館に滞在していた女探偵と若手刑事は敢然と謎に立ち向かう! 瀬戸内の孤島に屹立する、銀色の館で起きた殺人劇をコミカルな筆致で描いた意欲作。『謎解きはディナーのあとで』『もう誘拐なんてしない』『放課後はミステリーとともに』などで注目を集めるユーモア推理の気鋭が放つ、大トリック炸裂の本格ミステリ。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『仕掛島』を読む前に、なんとなくの気持ちで読んだ一冊でしたが、こちらのトリック、今までにないワクワク感があり、なかなか面白かったです。
198×年、すなわち80年代の日本を舞台にした物語なのですが、携帯電話がないくらいで、現代とそれほど違和感を感じない設定で、すぐに内容に入り込むことができました。
ただ、殺人事件という舞台で、別にあえて重くする必要はないんですが、なんとなく軽さというか、読者を選ぶコミカルタッチな感じはありました。
ただ、その気がかりな点を乗り越えるようなトリックや伏線の数々は、あぁ、自分はやはり推理小説が好きなんだなぁと、改めて感じるところであります。
瀬戸内海の島を舞台にしたこの作品を読んで、なんとなく直島を思い浮かべました。あちらも確か有名な建造物があったはず。
前に一度行った隣の小豆島は、本州とも、四国とも違う独特の空気感が流れておりましたー。
この本を読んでいて、再び旅行をしているときの気分になることができました。そういう意味でも素晴らしい一冊。
『仕掛島』も、積読を少しばかり消化してから読み始めようかな。
Posted by ブクログ
時代設定が少々古いこともあって、作品にどういう影響があるのかと思いきや、あるようなないような。
ただ、思ったよりも壮大でかつ氏らしからぬ正統派らしいトリックだった(笑)。今回、ユーモアはどちらかと言えば控えめで、むしろそれが伏線になるようなことはあまりない。全くないわけじゃないし、解決へのヒントになってるところもあるんだけど、ユーモアというより単なるキャラ故のという気がする。
キャラ設定は少しコテコテすぎて、やや胸焼けがするような感じもしたんだけど、トリックの仰々しさ(解説にあるように新本格へのリスペクトかな)が良い意味で裏切られた感じがある。キャラへのうっとうしさを補って余りある作品だと思った次第。
匿名
軽い文体で読みやすいが、トリックはなかなか壮大。
謎解き役2人の掛け合いがあまりに軽すぎてラノベかな?となる部分もあったが、ミステリらしくきちんとトリックの伏線は散りばめられている。
個人的には動機が全く思いつかなかったモノだったため、とても驚いた。でも人を殺す理由なんて案外そんなものなのかもしれない。
Posted by ブクログ
トリックは理解するのに少し時間がかかった。
ずっとふざけてるし謎解きシーンもこんな感じかと思ったけど、ちゃんと凄かった!
伏線回収も気持ちよかったから、さらっと読める本格ミステリーって感じで不思議な感じだった。
Posted by ブクログ
瀬戸内海の孤島に屹立する異能の建築家・十文字和臣が設計した館で起きた本人の変死事件と新たに起きた連続殺人事件を美人女探偵・沙樹と女性にだらしない刑事・相馬が捜査するユーモア仕立ての本格ミステリーで奇妙な館に不可能犯罪、クローズドサークルに個性豊かな登場人物といった魅力的な要素に加え大胆不敵なトリックと館の真の姿に驚かされた。
Posted by ブクログ
瀬戸内の孤島、横島にある建築家の館で1月に事件が起こり、不可思議な事件として未解決状態。
そして、8月のお盆に再び関係者がその地に集まり、夏休み()を満喫するつもりだったのにまた殺人事件が発生。
嵐のような雨のせいで本島の警察が来れない状態でさらにまた事件が起きて…という話。
主人公は、館の主人の遠い親戚として招待された刑事、同じく親戚として招待された女探偵と一緒に事件解決に動いていくんだけど、そこはやはり東川篤哉先生の作品らしく、キャラクターの個性が強い。
館物の話やし、本格ミステリっぽい雰囲気やし、正統派な感じなのなって読む前は思ってたんやけど、キャラクターのユーモラスな会話に楽しみながら読めましたん。
天才建築家が建てた建物だけあって立体的な話が多くて、そこが難しかったけど、そこら辺の理解は捨ててミステリーとして楽しみましたんฅ(*´꒳`*ฅ)ꪆ
Posted by ブクログ
普段あまりミステリーを読まないという人には良い作品だと思う。登場人物もさほど多くなく、トリックも至ってシンプルである。
読みなれていれば「ああ、たぶんこういうことだろうな」という大筋は前半でわかってしまうとも言える。だからといってつまらないということもなく、ディティールの部分でなるほどという箇所もあったので面白かった。
Posted by ブクログ
この作者のミステリは、読みやすくてとても助かる。いつも翻訳小説などで疲れた後に読ませてもらっています。
コメディ色が強いけど、それもこの人ならではの感じがして落ち着く。
トリックや仕掛けはなんとなく初めから透けて見える気がする。(昔、児童小説で同じような仕掛けの話を読んだからかも)
気軽に、それでもちゃんと筋の通ったミステリを読みたい時におすすめです。
Posted by ブクログ
コメディー要素が強いが、ちゃんと本格ミステリー。特徴的な建物が、綾辻行人の十角館の殺人を連想させる。1980年代、瀬戸大橋が完成する前の時代設定で、台風の大きさはミリバール、野球チームは大洋、と今の若者には馴染みのない表現も懐かしい。今年出た『仕掛島』を続けて読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
物語の舞台となった別荘。
この形に意味がないわけはないよなぁ。絶対に、トリックとして使われるよなぁ、と思いながら読み進めていました。
トリックの詳細は予想していた通りのものでしたが、犯人の断定はできず。理由がまさかでしたので。
まあ、予想はつきやすいトリックだとは思うのだけど、そもそもこの別荘の外観が何を意味しているのか。そこに気づかないと、看破したとは言えないのではないでしょうか。気づかなかったです。
仕事で嫌というほど目にするものなのだけど。もう、毎日目にしている存在なのだけど。
あれを構造物として建てようとは思わない。十文字和臣氏に打倒です。十文字というネーミングもミスリードなんでしょうね。
Posted by ブクログ
東川先生らしいコミカルミステリ
でもがっつり本格な大胆ミステリでした
メイントリックは予想しやすいかなと思います
そのネタを使ってどうやって物語を成立させるのかな、なんて事を考えながら読んでいました
正直「いや偶然の要素に頼りすぎでしょ(笑」と思わなくもなかったのですが、なんだかんだ許せてしまう空気感の作品だなぁと
20年前の作品のため時代を感じる描写もあったりしますが、その時代も生きてきたおじさんの自分はそれはそれと捉えて懐かしく楽しく読む事が出来ました
若い人にはちょっとキツかったりするかも……?
Posted by ブクログ
完全に内容を忘れてからの再読。少しユーモアがくどく感じるようになっていたが、伏線が秀逸すぎてやはりすごいが勝った。ミステリは暗い話が多いが本作の中心となるのは殺人事件ではあるものの、絶妙なユーモアによる軽快さがあってどんな時でも楽しんで読める本格ミステリだと思う。仕掛島も読もうか検討中。
Posted by ブクログ
仕掛島から戻ってきた勢の一員
メイントリックである館の仕掛けは「いくらなんでもこれは」というバレバレの趣向だが、犯人当ては面白かった
文章もややクセがあるもののドタバタコメディミステリーとして好み
仕掛島では、こちらの主人公と探偵がいい感じになっていた気がするが記憶が確かではない
星4つまでは行かないかなあ
3.7
Posted by ブクログ
瀬戸内の横島にある六角形の館で、不思議な死亡事故が起こる。未解決のまま半年後に再び……
粗忽者な若い刑事と行動的でちょっぴりチャーミングな探偵が繰りひろげる、ちょっと楽しい脱力系ミステリードラマ。
なぜ舞台を1980年代の瀬戸内海に浮かぶ小さな島としたのか、そのことは物語に関わるとても重要な点となるので、大切にとっておいて。
Posted by ブクログ
仕掛島から読んだため、今回の作品はイマイチだったが、まあ楽しめた。
刑事と女探偵のやり取りが少々滑稽に思えた。
本格ミステリとなるなら、キャラクターも硬派でいて欲しかった。
仕掛けも予想外でもなんでもなく、そんなことだろうなと思った程度だったが、気軽に読めたのでまあよかったかなと。
Posted by ブクログ
仕掛島のほうを先に読んでしまったので、衝撃はそちらに譲るが、エンタメ度もミステリ度も劣らない。
バカミスのようなノリで展開されるものの、しっかりと本格で着地する。見事すぎるミステリ。まさかこの二人がね…。と、続編を知っているだけに、にやにやしながら読んだ。面白い。
ミステリ入門として、これまで周囲には「十角館の殺人」を薦めてきたが、これからは本書となるかもしれない。
Posted by ブクログ
変わった建物と過去の未解決の事件。コミカルな会話はちょっとつまらないなと感じる場面も多々あった。壮大なトリックではあるが疑問を感じる。動機もイマイチで若手刑事の相馬はポンコツだなと思った。
Posted by ブクログ
5角形の舘で起きた殺人事件。半年後に集められた関係者が更に事件にまきこまれながらなぞを解いていく。刑事と探偵の掛け合いがコミカルwwwまさかの5角形の舘の秘密に感心。
Posted by ブクログ
大掛かりな物理トリックが楽しいミステリ。
198x年、未だ瀬戸大橋完成前の時代設定が映える。
どたばたユーモアは効き過ぎでちょっと読み疲れ。
Posted by ブクログ
何かしら館にトリックがあるとは思ってたけど、ボルトとナットだったのは驚いた。要素いくつかあったけど分からなかったなぁ。
謎解きはディナーのあとでもそうだけど、東川さんの作品はユーモアもあって気軽に読めるのが良い。登場人物のキャラが立ってて良いなぁ。
Posted by ブクログ
★で――でしゃばりたいわ(p.105)
■五つのメモ
・1980年代のできごと。瀬戸大橋は着工はされているがその姿はいまだ海上には現れていない。舞台は備讃瀬戸の「横島」。将来瀬戸大橋の橋脚が立つ島となることが確定している。
・横島には(ある種の)天才建築家十文字和臣が設計し自ら変死した別荘があり、そこに変死事件のあったとき滞在していた者たちが再度集められた。その中に岡山県警捜査一課の若手刑事相馬隆行と女探偵小早川沙樹もいた。二人とも康子夫人の親戚(的なもの)で関係者ではある。
・館は正六角形で中央に螺旋階段があり、螺旋階段の周囲に謎の余白もあるので、いかにも部屋を間違えたり階段部分が回転したり上下したりうっかりニンゲンが落っこちたりしそう。
・当然ながら殺人事件が起こり、当然ながら台風で警察は来られない。閉鎖空間の中で若手刑事とおんな探偵は捜査を始める。まあ、正直、犯人が誰かということ以外はほとんどの人が読みはじめてすぐに解いてしまえるとは思います。
・果たして相馬隆行刑事はおんな探偵小早川沙樹を押し倒すことができるのか!?
■てきとーなメモ
【一行目】十文字和臣の名は岡山では知らない人がいないほど有名であり、岡山以外では知ってる人がいないほど無名である。
【青柳新之助/あおやぎ・しんのすけ】別荘の常駐管理人。
【エンピツ回し】《八十年代におけるもっとも洗練された思索的なポーズのひとつ》p.269
【オーシャンドリーム号】十文字家のクルーザー。
【神山/かみやま】警部。岡山県警捜査一課の大黒柱。
【栗山智治/くりやま・ともはる】フリーライター。雑誌『建築現代』の取材で来ている。
【小早川沙樹/こばやかわ・さき】女探偵。十文字康子の姪。数多くいる十文字家の親戚の中ではかなり近い。美人ではあるようだ。脚線美のモチヌシでもあるようだ。烏賊川市シリーズの朱美さんに近い性格かと。《あたし社会派は苦手なの》p.246
【小早川隆生/こばやかわ・たかお】この巻では登場しないが女探偵と若手刑事の間に生まれる予定の子。ということで若手刑事は無事おんな探偵を押し倒すことに成功したということですね。数十年後に十文字別荘がある島の近くの島で起きた事件を解決する探偵となっている。この時点で十文字邸はほぼ廃墟となって白く輝いていた。二つの事件の間にはなんの関係もない。
【沙樹】→小早川沙樹
【三郎】→十文字三郎
【下津井電鉄】岡山の瀬戸内寄りの出身なので下津井電鉄にはとても馴染みがあります。この本の事件の数年後には廃線になったようです。原風景のひとつではありました。
【十文字和臣/じゅうもんじ・かずおみ】(ある種の)天才建築家。十文字工務店を一代で地元の優良企業に育て上げた立志伝中の人物。経営者としても建築家としても一流。六角形の別荘で死んでいた。
【十文字組】十文字工務店の子会社。和臣直属で彼が作りたい「芸術的な」建築を赤字覚悟で作る会社。赤字分は親会社が広告宣伝費として補填するというプロ野球に似たシステム。和臣の死と共に解体されたがユニークな集団だったようだ。もしかしたら残党が邸にいるかもしれない?
【十文字三郎】和臣と康子の三男。二十七歳。
【十文字信一郎/じゅうもんじ・しんいちろう】和臣と康子の長男。三十六歳。
【十文字正夫/じゅうもんじ・まさお】和臣と康子の次男。三十四歳。優秀な技術者。康子の連れ子なので和臣と血はつながっていない。
【十文字康子/じゅうもんじ・やすこ】和臣の二人目の妻。現在の社長。器としてもなかなかの大物と言えそう。
【信一郎】→十文字信一郎
【瀬戸大橋】完成したら横島は橋脚のある島となる。降りてくる道が作られる予定ではあるが。ぼくが岡山にいた頃はまだ「夢の大橋」とか「夢の架け橋」とか呼ばれており実体はありませんでした。当時は基本的に開発は「善」でした。青柳の考えでは本来「橋」というものは「島」に対して架けられるものであって「島」に奉仕するはずのものだが瀬戸大橋は「島」を足蹴にし「島」に奉仕させ跨いでいく想像外の代物。
【相馬隆行/そうま・たかゆき】岡山県警捜査一課の若手刑事。二十六歳。神山の部下。十文字康子とよくわからないくらい遠い親戚で、プライベートな立場で集まりに参加することになった。だが康子夫人を「おばさん」呼ばわりできる唯一の存在でもある。《あるはずの物が見当たらないのは妖精が隠しているからだ、といいますよ》p.14。
【隆行】→相馬隆行
【テキーラ】世界一陽気な飲み物。
【動機】動機を無視するのは三流だと沙樹は言ったが、たぶん別の機会には動機なんてどうでもいいと言いそうな気がする。
【奈々江】→野々村奈々江
【野々村淑江/ののむら・としえ】県会議員。十文字和臣変死時に邸に滞在していた。
【野々村奈々江/ののむら・ななえ】淑江の娘。高校を卒業したばかり。美人。意外に辛口。「つまり、昼間の紗樹さんはズバリ三流だったわけですね」p.200
【閉鎖空間】隆行は考える。「判らない。いったいなぜ、あんなふうになる? 全員で肩を寄せ合っているほうが、絶対に安全なのは判りきってるというのに。みんなはなぜわざわざ危険なほうを選びたがるんだ? 解せない」p.236
【別荘】(ある種の)天才十文字和臣が横島に建てた六角形四階建ての建物。外観はほとんどラブホテル。メタルカーテンウォールらしく外壁はステンレス製で銀色に輝き屋上には展望室ドームがある(ドームは廊下によって四つに分かれており廊下には屋根がない)。内装は和風旅館のようなしつらえ。中央部分が螺旋階段になっており十文字和臣はそこで墜落死していたが螺旋階段は墜落できるような構造ではなかった。ただいかにも回転したり間違えたりしそうな感じ。螺旋階段の周囲に余計な余白もあるし。屋上の構造もヘンだし展望室としては眺望が良くなさすぎる。建物は数十年後ほぼ廃墟となっている。
【部屋割】一月の事件のときに滞在していた者はそのままの部屋となっている。この手の部屋を間違えやすいタイプの建物では上下が重要やったりするので部屋番号優先でメモ。一号室は、一階が正面玄関、二階が十文字正夫、三階が空室、四階も空室。二号室は、一階が青柳新之助(管理人室)、二階は空室、三階も空室(後に三郎)、四階は小早川沙樹。三号室は、一階が厨房と洗濯室、二階が吉岡俊夫、三階が相馬隆行、四階が野々村奈々江。四号室は、一階が食堂、二階が十文字康子、三階が鷲尾賢蔵、四階が野々村淑江。五号室は、一階が居間、二階が十文字信一郎、三階が栗山智治、四階が図書室。六号室は、一階が応接室、二階が十文字三郎、三階が空室、四階も空室。屋上は六角形の内側に小さく円形に展望室が二つと階段の昇降口と十文字和臣の部屋が十字の通路で四つに区切られており十字の中央点に日時計があり仕掛け感満載。
【正夫】→十文字正夫
【康子】→十文字康子
【横島/よこしま】十文字家の別荘がある備讃瀬戸中の島。いちおう道路があり、車もいる。《なにもない島は、なにもないがゆえに静かで平穏である。》p.21
【吉岡俊夫/よしおか・としお】十文字家の主治医。おしゃれな眼鏡と知的で端正な顔。三十二歳で少し白髪があるのがむしろ魅力的。十文字和臣変死時に邸に滞在していた。
【鷲尾賢蔵/わしお・けんぞう】十文字和臣の右腕と呼ばれた。現在は副社長。実質的には十文字康子に社長の座を奪われた形。
Posted by ブクログ
東川篤哉の長篇ミステリ作品『館島(英題:The Island of the Silver Tower)』を読みました。
東川篤哉の作品は、今年6月に読んだ『謎解きはディナーのあとで ベスト版』以来ですね。
-----story-------------
天才建築家・十文字和臣の突然の死から半年が過ぎ、未亡人の意向により死の舞台となった異形の別荘に再び事件関係者が集められたとき、新たに連続殺人が勃発する。
嵐が警察の到着を阻むなか、館に滞在していた女探偵と若手刑事は敢然と謎に立ち向かう!
瀬戸内の孤島に屹立する、銀色の館で起きた殺人劇をコミカルな筆致で描いた意欲作。
驚愕のトリックが炸裂する本格ミステリ!
解説=宇田川拓也
-----------------------
2005年(平成17年)に刊行された、ノンシリーズ物の作品です。
■プロローグ
■第一章 館への長い道
■第二章 墜落事件の話
■第三章 奈々江の決断
■第四章 展望室の死体
■第五章 展望室の二人
■第六章 アリバイを聞きながら
■第七章 再び墜落の夜
■第八章 十文字和臣の醜聞
■第九章 真犯人
■第十章 真相
■エピローグ
■解説 "正攻法"の島に立つ"大胆"なる館 宇田川拓也
巨大な螺旋階段の下に倒れていた当主の死因は、転落死ではなく墜落死だった!? 天才建築家・十文字和臣の突然の死から半年が過ぎ、未亡人の意向により死の舞台となった異形の別荘に再び事件関係者が集められたとき、新たに連続殺人が勃発する、、、
嵐が警察の到着を阻むなか、館に滞在していた女探偵・小早川沙樹と若手刑事・相馬隆行は敢然と謎に立ち向かう! 瀬戸内・岡山の孤島・横島に屹立する、銀色の館で起きた殺人劇をコミカルな筆致で描いた意欲作。
『謎解きはディナーのあとで』、『もう誘拐なんてしない』、『放課後はミステリーとともに』などで注目を集めるユーモア推理の気鋭が放つ、大トリック炸裂の本格ミステリ。
嵐で陸と断絶した孤島が舞台となるクローズドサークル物に密室殺人が絡み、本格ミステリ好きにとっては堪らない魅力的な舞台設定… しかも、事件の現場となり関係者が滞在するのは、六角形の館、真ん中に螺旋階段、最上階に屋根のない十字廊下とドーム状の展望室 という、これまた何か仕掛けがありそうな建物、、、
そこで起きた建築家の謎の死(墜落場所がわからない墜落死)、その半年後に残された未亡人が当時の宿泊者を招待し事件の真相を解明したいと美人探偵に依頼するが、そこでさらなる殺人事件が起こる… イイですねー これだけで愉しめる舞台設定ですね。
全般的に女探偵・小早川沙樹と若手刑事・相馬隆行のコミカルなやりとりに彩られており、シリアスになり過ぎないところも、東川篤哉作品らしくて良かったですね… 死に至った理由や動機等はしっかりしており伏線回収含め、納得の展開ですが、トリックが壮大過ぎるところは、好みの分かれるところかなー 個人的には嫌じゃないんですけどね。
綾辻行人の館シリーズ『十角館の殺人』のオマージュ的作品らしいです… であれば、タイトルは『六角館の殺人』で良かったんじゃないかな。
Posted by ブクログ
キャラクター設定やセリフがチャラけていて、ふざけた感じではありますが、内容は意外とちゃんとしていました。
惨劇が起こったわりには緊迫感の無い軽い感じで話が進みます。軽い感じなので読みやすいです。瀬戸内海への思い入れを感じました。
Posted by ブクログ
初めて東川篤哉さん読みました。
バカミス?というらしいですが、面白かったです。コミカルな会話も自然で連続殺人起きているのに、全然ドロドロ暗ーい雰囲気が無く、楽しく最後まで読めました。
館のトリックにビックリしましたー!予想が当たっていた部分もあったけど、館の全体像がわかった瞬間,それー!!っビックリして声上げてしまった。最高に面白い館ミステリーでした。
Posted by ブクログ
絶海の孤島ものだし、ロジックもしっかりしているし、綾辻氏の「館もの」に通じるような面白さもある。
しかし、これは作者の持ち味かも知れないがコメディ仕立てになっている。会話やキャラがユーモラスと言うより、ギャグをあちこちに入れてあるのだが、これが全く面白くなく物語の足を引っ張っている。ここらを省いた方がずっと面白くなった気がするだけに残念。
Posted by ブクログ
瀬戸大橋の工事が進むさなかの198X年、瀬戸内海の孤島にその銀色の館はあった。 半年前創造主が謎の転落死してしまったその館に招待された女探偵と刑事、そして嵐となった島でまたも不可解な事件が・・・。 「館」に焦点を当てたユーモアミステリ。
大胆なトリックながら伏線はちゃんとしています。 やっぱ女探偵っていい。