森博嗣のレビュー一覧

  • 探偵伯爵と僕 His name is Earl

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    さわやかに始まる。

    サクサクと読み進めていくと、だんだんゾクっと怖くなる。
    さわやかなまま終わるわけなかったよね、だって森さんだもの。


    あ~ネタばれになってしまいそうで詳しくレビューできません。

    とにかく、最後になるほどね、と納得。
    あの年頃特有の視点での観察眼だとか、大人びた物言い、これってこの結末だったら腑に落ちるわ。みたいな。
    そこまで表現してしまう森さんがやっぱりすごいな、と。

    若干、森さんの「今はもうない」の系統です。

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    2014年08月13日
  • 実験的経験 Experimental experience

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    「周辺というのは、近くという意味じゃありませんか?」
    「地球の周辺にある衛星といえば?」
    「月です」
    「三十八万キロも離れているのに、周辺じゃないですか。だったら、地球上のどこでもロンドンの周辺になりませんか。嘘ではないでしょう?」

    「あの辛い体験を彼女はすっかり忘れることができたって言うだろ」
    「それ、忘れてないでしょう? 忘れたなら、辛いなんてわからないじゃん」
    「あ、変だな。そうだよなぁ。忘れることができたなんて言うのは、つまり忘れてないからだよな」

    「僕、思うんですけど、小説って、読んで何かを得たり、読んで心に残すものなんでしょうか? それって、教科書とか聖書みたいですね。」

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    2014年07月29日
  • 悪戯王子と猫の物語

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    森博嗣氏とささきすばる氏の作品。
    夫婦である両氏の作品で読んでみたいと考えていてようやく読めた。
    詩的な文章に独特の世界観をあらわす絵がすごく印象的。
    不思議な感じがおもしろく、そして一度読んだら消えてしまうという設定から丁寧に読んでしまう雰囲気があった。
    文字が溶けてしまうというのが、読むことで自分に溶け込んでいく。
    一度溶け込んでしまうと意識しようにも自分という主観でしかとらえられなくなるような、自分の一部になってしまって顕在化できないような、そんな意味で消えてしまうということなのかなとなんとなく感じた。

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    2014年07月28日
  • 実験的経験 Experimental experience

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    これはね、マジで面白かった!蟠り?というか、小説芸術創作の意図と受取側の期待とのギャップや矛盾を森博嗣流?につっこんでる。また森博嗣の創作態度をわかりやすく?感じられると思うw 俺は終始ニヤニヤしてたが、固定概念強い人は下らない本だって思うと思うw

    まぁ実際下らないけどそれだけじゃないって。
    本を読まない、勿論森博嗣全く知らない人に作中のタラちゃんのくだりを話したら「なんですかこれ、面白いですね!」って反応きた。
    それホントにどーでもいいくだりなんですけどね。気になる人は後悔覚悟で読んでください。

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    2014年07月28日
  • つぼやきのテリーヌ The cream of the notes 2

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    日常生活の中から、どうでも良いことを抽出して、じっくり考えるという遊びをするようになった。
    リバースエンジニアリングみたいな感じで、僕にとっては趣味みたいなものかもしれない。

    この本を読んでいると、読んでいる間に別のステレオタイプが構築されていく。
    世間のステレオタイプ、僕のステレオタイプと比べて、「あ、いいな」と思うとそれが新しい僕の常識みたいなものの原型になる。

    この行為によって拘りが増えていくのか、はたまた減っているのかはわからないけれども、少しずつ柵から解放されていくような気がする。
    そんな本だった。

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    2014年07月24日
  • 大学の話をしましょうか 最高学府のデバイスとポテンシャル

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    ネタバレ

    大学をテーマに作家で工学博士でもある森博嗣さんへのインタビューを取りまとめた一冊。中は文字も大きく内容もそこまでない。しかし森さんの独特の考えが示された良本であると思う。

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    2014年07月15日
  • 創るセンス 工作の思考

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    工作とそこから得られる人生の教訓。
    夏休みまえに読むのがタイミング的によい。継続するのがいちばんなのだけれど。

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    2014年07月11日
  • レタス・フライ Lettuce Fry

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    短編集なのでさくっと読めるんですが、ひとつひとつがもやもやともやもやを呼んで読み終わると終わった気がしなくてまた開いてしまいます。何度読んでも私の頭では想像が完璧に出来ない話もありました。なかなか全てを理解するのは毎度のことながら難しいです。

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    2014年07月05日
  • 探偵伯爵と僕 His name is Earl

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    森さんのシリーズ外の小説です。
    タイトルと最初の数ページから受けた印象は、「少年と不思議なおじさんとの出会い、ちょっと不思議な事件、ひと夏の冒険と心温まる思い出」みたいなものだったんですが、読み進めてみると、心温まる話ではなかったです。
    子ども目線から見た誘拐事件で、文章からライトな印象を受けてしまうけど、実は全然ライトじゃなかったです。

    新太くんはかなりマセガキな感じでしたが、たぶん私も子どもの頃大人に対してこう思ってたことあったなーっていうことも結構ありました。
    文章は新太くんの日記ということになってるので、あれ?そういえばあれって結局なんだったんだろう?っていうところもありました。

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    2014年06月29日
  • 「思考」を育てる100の講義

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    思考を育てるかどうかは知らないけれど、考え方に幅を持った方がいいと思うようになったのは森博嗣氏のWEB日記やエッセイを読むようになってからではある。
    本編にもあるが、同氏が思想家というよりは人間って誰だって思想家だろう。

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    2014年06月06日
  • 墜ちていく僕たち

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    連作短編集。題材としてはよくある話だが、かなりひねりが効いていて面白い。但し、文章が散文的で自分としては読みにくいと感じた。

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    2014年05月30日
  • 小説家という職業

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    どのように森博嗣の作品ができたのかがわかる。ビジネス、職人。業界についても触れている。
    読後、もういちどシリーズを読み返したくなった。


    (すばるさんは小説マニア)
    蔵書、電子書籍

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    2016年02月23日
  • 虚空の逆マトリクス INVERSE OF VOID MATRIX

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    森さんの本を読むと将来は画面と向かい合うだけの生活で全てが進む日が本当に来るような気になります。画面の中にいる人間そのものに会う必要のない未来。そうなったら味気ないと思う反面そう思う人もその内いなくなっちゃうのかなとか考えたりします。メアリィが毎日同じ場所にいるとか、話好きにあたったとか、シンちゃんのやってしまったこととか、印象に残っていたけれど最後の犀川せんせと、萌絵ちゃんに全部もってかれちゃいました。もー可愛いよこの二人。いくつのやりとりなのそれ。

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    2014年05月21日
  • τになるまで待って PLEASE STAY UNTIL τ

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    『そういった、何故そうしたのか、という理由に立ち入ると、最初から数々の可能性が否定されてしまうことになるんじゃないかな。そうじゃなくて、物理的にどんな方法が現実にありうるのか、をまず問うべきだよ。理由というのは人間の気持ちの問題であって、そんな理由まで考慮していたら、結局は理論に曖昧性を持ち込むだけで、目標が霞んじゃうと思う。』

    ハウダニットの部分だけなので少し物足りないかも。やっぱ、ワイダニットもないとダメだなぁ〜。

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    2014年05月18日
  • 「思考」を育てる100の講義

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    ネタバレ

    この本とよく似たタイトルで、著者の「常識にとらわれない100の講義」という本があり読みました。タイトル・構成・コンセプトは、全く前回と同じだとバレバレですが、どうしても手に取り読んでしまいます。モノの見方の視点が、一般解とは違っていて面白い。面白いという感覚を持つのは、「私自身もそう考えたりすることがある」が、そこまで堂々と意見を表に出してくれてると嬉しいという感覚かもしれない。だから面白いというより共感なのかもしれない。著者の考え方の中心は「合理性と抽象性」だと思います。一見すると矛盾する2つの考え方ですが、これが両立しているところが不思議な思考の世界を創っているとも思えます。
    29番目の講

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    2014年05月18日
  • 工学部・水柿助教授の逡巡 The Hesitation of Dr.Mizukaki

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    「札幌かぁ…あそこはもう日本じゃないでしょう?」
    「そうでもないと思うよ」
    「だって、梅雨もないって言わない?」
    「ゴキブリもいないって」
    「あとほら、豚骨ラーメンもないらしいよ。早く独立すればいいのにね。沖縄みたいにさ」
    「沖縄も日本だよ」

    「あほら、一粒でレモン三十個分とかってキャンディあるでしょう?」
    「あるかな」
    「私、スーパでレモンを見るたびに、これってキャンディの三十分の一か、栄養ないなあって思うもの」

    『「面倒だよね。僕が口でプロットを話すから、君が書いたらどうかな」水柿君はこのあと、「君なら、毎日、暇でしょう?」という言葉を呑み込むのである。このようにして毎日呑み込んだ言葉

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    2014年05月12日
  • 魔的

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    森博嗣で初めて読んだんが詩集て。

    銀色夏生の詩集ぐらいしか日本人のものはまともに読んだことないです。

    詩集出すような作風だと思ってなかったから、むしろ興味本意の冷やかし読書。

    だけど後半の作品の盛り上がり方すごい。詩集や短編はどう考えても作品の順番が評価に大きく繋がるけど、これは成功してる。畳み掛けて、ちゃんと落ちる。強いて言うなら助走がながい、かなあ。

    でもぜひ小説も読みたいと思いました。


    「胸のうえに手をのせていると悪い夢をみるよ」

    「海の向こうにはなにがある?」「夜と粉と髭と泥」

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    2014年05月11日
  • 銀河不動産の超越 Transcendence of Ginga Estate Agency

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    ネタバレ

    通して読むのは三度目くらいかな?
    主人公の性質が他人とは思えないレベル。
    森博嗣特有の、現実的なんだか非現実的なんだか微妙な世界観はとても好きです。

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    2014年05月06日
  • レタス・フライ Lettuce Fry

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    森博嗣作品をコンプリートしていないと、この本の価値はわからんのだなあ。ここまでのシリーズ、短編を全部読んでいた僕でさえ、森さんの時空のトラップを忘れていた。

    刀乃津診療所の怪 は、本当に懐かしかった。Vシリーズと四季シリーズを読み終えて、以前の作品を再読したい、いやしなくてはと思いながらも先へ進んでいたけれど、こんなところで2人に出会えるとは!れんくんとしこさん!

    ライ麦畑で増幅して では保呂草さん。うーん、たまらん!


    率直な感想が浮かんだ。そう、人ってこんな複層構造で人生を送っているんだよね。

    普通の小説なら、そこに出てくる閉じられた人間関係で完結していて、たいした空間の広

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    2014年05月05日
  • θは遊んでくれたよ ANOTHER PLAYMATE θ

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    気づいたら私の書架は文字通り「森だくさん」になっている。

    見えているものに惑わされる…とは、見えてもいないものを見えているように錯覚させられてしまうことだろうか。ならば責任は惑わされる人間の方にある。今回の作品には論理矛盾など起こりそうもないくらい明快な事実だけが並んでいながら、事件に利害関係を持つ一人の人間のわずかな工作で、ほとんどの人間が見えているものの本質を信じようとしなくなり、自分たちが見てもいないものを事実だと信じ込んだ。

    理性的な言動とか、理知的な判断などというものは、それを常時可能にする脳細胞が存在していて、その持ち主にしかできないことなのだと知った。

    萌絵はおそらく未成熟

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    2014年04月29日