森博嗣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「いや、相変わらず、全然料理していないね…」
「してますよ、ときどき…、まあ、主にトーストことかが多いですけど」
「通常、自殺というのは、本人にとって、最も簡単な手法が選択される」
「どうして、簡単な手法が選ばれるわけ?」
「難しい手続きこそが、生きていくこと、生き続けることの象徴だからだろう」
「うん、やっぱり、宗教なんですよ、これは」
「わからないものは、全部、宗教?」
「命を粗末にしている、と私たちは思いますよね。だけど、彼らにしてみれば、ああいうのが、一番命を粗末にしてない、大切にした結果かもしれないわけですし」
「なんでもできただろう。いつでも、どこでも、真賀田四季に不可能はない」
「希望がありますか?」
「希望? 希望って、何?」
「うーん、楽観的観測」
「データから目を逸らすことかな?」
「まだ得られていないデータに対する期待です」
『まったく、悲しいのだけは、どうしようもない。苛立たしいのも、恐ろしいのも、寂しいのも、なんとかできる。きっと解決ができる。けれども、悲しみだけは、解決がない。悲しいというのは、解決がない、という意味なのだ。』
「わかった。なんか、元気がないね」
「そんなことありません」
「そう?」
「ちょっと、月を見て、悲しくなってしまったの」
「今日は、月は出てないだろう」
「そのようですね。さあ…それじゃあ、行きますからね、覚悟しておいて下さいよ」
「ああ、じゃあね、出しておくよ」
「え、何をです?」
「月を」
『世の中の結びつきとは複雑なものだ。どんどん複雑になっていく。最初は、まるで蜘蛛の巣のように、その構造が成立する最適の形で構築されるのに、未来への不安からなのか、どんどん補強され、それに従って醜く糸が張り巡らされる。そのうち、自分の糸で身動きが取れなくなるのではないか。』
『苦しい夢を見ているときは、早く覚めてほしいと思う。
それは、死を願う気持ちとまったく同類だ。』
『未来の光で過去に影ができる。それだから、過去もいつも変化しているのだ。』
『どんな理由で死んだのか、どんな理由で殺されなくてはいけなかったのか、知りたいです。だって…』
『理由を知って、後悔をしたいの? そんなことだったら、こうしておけば良かった、こうしておけば死なずにすんだのにって、悔しがりたいの?』
『何だろう?
何故、理由を求めるのだ?
理由を知りたい?
知ってどうする?
どんな理由なら満足できる?
否、満足など絶対にない。
どんな理由も、結局は拒否するだろう。
それなのに…
何故?
何故だろう?』
『死ぬことって、それほど特別なことかしら? そうじゃないわ。本当に、身近なことなんですよ。涙を流すことって、特別なこと? ドラマや映画を見たって、すぐに涙が出ます。本当に、日常的なことじゃない? 別れは毎日ある。生命は刻一刻どんどん入れ替わっている。人間よりも、もっともっと短い時間しか生きられないものが沢山あります。今鳴いている虫は、もう明日は死んでいるのよ。それが虚しい? でも、普通のことでしょう? とても平和で、穏やかなことなんです』
『つまり、どうせ一度死ぬのならば、自分で今と決めて死にたい、と考えるのね。そう、たとえばね、立っている場所がもうすぐ崩れ落ちるというとき、崩れるぎりぎりまで待つ人と、自分からジャンプして落ちていく人がいるじゃない? それだけの違いでしょ? どちらも生きたのです。一回生きて、一回死んだのです。同じじゃありませんか?』 -
Posted by ブクログ
「僕は工作が大好きだ。」
という出だしがこの本のすべてを語っている。
工作する=ものを作る体験の大切さ、おもしろさを教えてくれる。
今はなんでも簡単にボタンひとつ、クリックするだけでできてしまう時代。
自分で考えたり、工夫したり、工作するチャンスが奪われている。
森先生は、それを声高に嘆くのでもなくただただ自分が工作する楽しさを淡々と伝える。
予期せぬ問題は必ず起こる、図面に表れないトラブル、設計は目安にすぎない、楽しさは自分で作るもの・・・
小見出しを読むだけでもわくわく、こくこくする。
机上で空論を語るのではなく、手を動かして発見して創造していく人。こういう人をわたしは一番信頼できると思う。 -
Posted by ブクログ
たぶん厨二病を発症したのは森博嗣のせいだと思う。責任をとってほしい。
中学生のとき、VシリーズとかS&Mシリーズとか読んで、大学と名古屋にすごく憧れてました。
森ミステリーはキャラ萌え要素が強くて、ある時期を境にして、どっぷり嵌ってたのが嘘のように離れていった気がします。
ただ森博嗣熱が冷めて、キャラ萌え的な小説を倦厭するようになってからも不思議と短編集は読んでいられました。
今読むと、当時面白がって読んでいたものよりも、地味で粛々としたものの方が面白いと思えてしまう。
絶筆宣言をしてから、今までのコンスタントな新刊の出版がなくなってしまって寂しいですが、ちゃんと仕事をこなしてるんだろうと思います。 -
Posted by ブクログ
理系ミステリ作家、森博嗣が、講義の合間に使うような面白い雑学を教えてくれる本。60項目に分かれているので、隙間にちょっとずつ読めるのもいいところだと思う。ミステリ小説の元ネタっぽいのもちょくちょく出てくるのもファンとしては嬉しかったりもするし。
内容としては、60項目の中で、4項目が特に面白かった。
・デジカメの一眼レフ
一眼レフとそうでないカメラの違いを知れてよかった。一眼レフは直接撮る画像が見れて、そうでないのは見れないということ。
・明るければ良いのか?
「南に窓があるのはいいとは限らなくて、日本建築が南に縁側を用意するも、直射日光が入らないようにしていた。」という事実と、北側絡みえる景色は光が当たってきれいだってことが新鮮だった。
・尾翼が前にある
技術的に解決できるなら、鳥とは似ていなくていいイメージのない、先尾翼の方が効率がよく飛べるってこと。
・最適化の誘惑
最適化の考察が面白い。昔の建築と比べて現代の建築は、構造の挙動を予測できるようになり、最適化し、スリムになった。しかし、スリムになった分、予想外に事態に弱くなったことで、冗長化の概念が生まれたこととか。