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Posted by ブクログ
『嘘で固めることは、真実で固めるよりも、ずっと才能が要求される。一番簡単なのは、嘘と真実をよく掻き混ぜて硬化させる手法である。』
「よくわかんないけど、まあ、でも、将来性はないみたい」
「将来性なんて、たいていのものにはないよ」
「研究の?」
「いや、研究以外でも」
「踊るロボット目当てで並んでいるみたいだけれど、どうして? ー だって、どう見たって人間が踊った方が凄いでしょう? 人間よりも劣っているロボットじゃあ、話になんないわよね」
「超観覧車、乗りたぁい」
「超は副詞だから、観覧車超乗りたい、と言わないと駄目だよ。超観覧車っていう、もの凄い観覧車があるのかって誤解されるよ」
「そのつもりで言ったんだけど、私」
「超失礼しました」
「いやいや一般論。ようするに、仕事をしていたい人がいる、というか、仕事があれば立場が確保されるし、そこにお金も人も集まるってことだよね。長い歴史の中でそういう循環ができてしまったわけだ」
「珍しいよね、君がそういうこと言うの? もしかして、将来、参議院とかに出るつもり?」
「投票なら行っても良いけど」
『広い敷地内で二人だけでは少し寂しい。もう少しほ乳類密度を増やしたい、と彼らは考えた、はあと。』
「ドンか、それは威厳があるね。ドナルドの略になるのかな」
「ゴードンっていう機関車がいるじゃない、青の」
「機関車?」
「あの、ゴードンのドン」
『念のため書いておくが、世の中のすべての小説はフィクションであって、その約六十パーセントは冗談で書かれいるし、残りの四十パーセントは単なる嘘にすぎない。』
「ああ、可愛い ー イラクへさ、子犬を沢山送ったら、平和になるんじゃない?」
「可愛いよぉう ー 人間の子供なんか、目じゃないね」
「いや、人間の子も、自分が産んだら、これくらい可愛いんじゃないかな」
「こんなに可愛いわけないでしょ。鼻とか黒くないし、耳も気持ち悪いし」
「まあ、そりゃ犬じゃないからね」
「おしっこは、ケージの中でしてくれたら、どんなに嬉しいかしら。ケージの中でしてくれたら、天にも昇る気持ちになれると思うの」
「そんなシェークスピアみたいな台詞、通じないと思うよ」
「今ではもう、私の人生における悩みはあなただけ。おしっこはケージの中でするのが清々しいと思うわ。そうでしょう? そうすれば、薔薇色の世界が私たちの前に開けてくるのよ。ほら、想像してごらんなさい。素晴らしいわ。すべてのものが私たちを祝福してくれるでしょう。幸せがどんなに素敵なものか、考えたことがあって? ほんの少し、とっても小さなことなのよ。おしっこさえ、あそこの中でしてくれたら、あなたは神様に祝福されて、すべての力を手に入れることになるでしょう」
「そうかぁ、満たされていれば、悪いことはしないってわけね ー 子犬を飼えば、誰も悪いことはしないようになるんじゃないかなぁ」
『「この花はどう?」と片方がきけば、
「うん、いいんじゃない」と答える。
つまり、それは君の自由だよ、という意味であって、私は強くは否定しない、ただ、私は私の好みのものを買いますから、ということなのである。お互いの趣味をすり寄せて調整するようなことはけっしてない。そうすることが、お互いの感性や自由を尊重することだと考えている。』
「本当に鼻が高いわ。水柿さんのところは、犬まで上品だって」
「え、そんなこと言われたの?」
「言われてないけどぉ、そういう目で見られているかもでしょう?」
「もの凄い希望的な観測じゃないかな、それ」
『あるゆるコマーシャルが、水柿君にとっては逆効果になる。「こんなに宣伝しているところをみると、よほど品物が売れなくて余っているのだろう」という発想だ。』
『何が言いたいのか、というと、あの「燃えないゴミ」という命名が間違っていたのだ。もっと正確な日本語を使っていただきたい。ここに改めて、水柿君の意見を書いておくが、あれは「燃やしてはいけないゴミ」が正しい。有害物質が出るからだ、となんとなく想像できる。もう少し情報を多くし、気持ちを込める場合には、「燃やそうと思えば燃えないこともないが、だからといって安易に燃やしてしまうと各方面でそこそこの不都合が起きるゴミ」と呼ぶのが正しいだろう。』
『人間はいつでも、自分にとって一番価値のあるものを選ぶ。価値が見えないときは、価値がありそうなもの、あるいは、いずれ価値が出そうなものを選ぶ。無駄なように見えても、けっして無駄は選択されない。その人が信じる最善の道を必ず選んでいるのだ。怠けた方が良いと思うから怠ける。罪を犯してでも欲しいものが手に入る、そちらの方が良い、と思うから罪を犯す。人を裏切ってでも、自分の思いどおりにしたい、と思うから人を裏切る。人を愛した方が、自分に価値がある、と考えれば人を愛するだろう。全部同じだ。誰もが自分の欲望のままに生きている。ただ、価値を見出す道理が、それぞれで違っているにすぎない。』
『なんと自由になったのだろう、とときどき感じる。子供のときは数々の束縛があった。自分の思うとおりにはいかないことばかりだったではないか。集団生活を強いられたし、ノルマを課せられた。そして、大人になっても仕事がある。他人との関係を保つために多くのエネルギィを費やした。勤勉に働いて、その対価をもらう。稼いだお金だけが、すなわち自分の自由である。それによってのみ、自分の時間を得ることができたのだ。』
Posted by ブクログ
「工学部・水柿助教授の解脱」森博嗣
エッセイ風私小説。藁半紙色。
他のレビューで書いたかもしれませんが、自分、森博嗣の小説が体質的にあわないようで…
これだけ売れてる作家さんの作品で、「あ、無理」ってくらい読めないのは珍しい。
一応10年間のうちくらいで、「すべてがFになる」「四季 春」「スカイ・クロラ」を読んだんですが、全部苦手でした。。
そんな自分が唯一、そして他と対照的に大ファンな森博嗣作品が「水柿助教授」のシリーズで。
とうとう終わってしまいました。
この理系風味というか、論理的雑談というか、大好き、はぁと。(作中表現より)
他作品でこれと似たような雰囲気のものがあれば是非、読んでみたいですね。
☆4.5のくりあげ、(5)
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