橘玲のレビュー一覧
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投資全般を考えるにあたり、読む価値のある本です。
私の場合は特に、不動産投資をしているので、不動産投資の前提は納得するものでした。
【不動産投資の前提】
①株式は市場で取引されるが、不動産は相対取引
②株式市場では時価が瞬時に公開されるが、不動産取引では売り手の希望価格しか分からない
③株式投資では特定の投資家だけを優遇できないが、不動産投資では顧客を差別する事が当たり前である
④株式市場ではすべての情報が公開されるが、不動産取引では最低限の情報だけしか教えて貰えない
⑤株式取引の手数料は低いが、不動産仲介手数料はかなり高い
不動産投資のノウハウとは、いかにしてインサイダーになる事であ -
Posted by ブクログ
中公新書の「戦後民主主義」を読んで、民主主義の来た道、行く道を考えるには、「戦後民主主義」の気分を作ってきた朝日新聞研究だろ、と思い開いた本です。書名から完全に感情的朝日ディスリ本パターンかな、と思い積読本にしていたのですが、内容は全然違う目鱗な本でした。初・橘玲です。ミチコ・カクタニの「真実の終わり」でショックを受けたポスト・モダンが反知性主義を生んだ、ということが端的に論理的にピシッピシッと語られています。そして、「保守」がなぜ「リベラル」に勝つのか、の説明に用いられる「道徳の味覚」というロジックも衝撃。しかし、グローバルでは結果的に「リベラル」が「保守」を凌駕するという再転現象も納得。ビ
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序説「これからのリバタリアニズム」について
本稿はウォルター・ブロックの『不道徳な経済学』の訳者である橘 玲によって書かれた序説である。橘 玲は小説からビジネス書まで幅広く手掛ける作家。
本稿では、他の政治哲学との比較からリバタリアニズムを独自の視点でわかりやすく説明している。また、アメリカ社会において、なぜ敗者であるプアホワイトと勝者であるリバタリアンが手を組むのか。政治思想の構図を交えて説明する。さらにリバタリアンから進化したサイバーリバタリアンにも説明は及ぶ。リバタリアンはテクノロジーの力を手に入れ、より過激なサイバーリバタリアンへと進化した。彼らは、選ばれしものだけの究極に自由な世 -
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主に進化心理学や行動心理学などの面から資本主義の現在を生き抜くための残酷な真実を紐解く。
努力をすることが能力向上になるのかはたまた無駄なのか?
遺伝子が能力に大きく関わることがわかる。現在は言語・数学的論理能力が優れた遺伝子を持ったものが評価される時代であるため、その遺伝子を持たざる者はその努力をしても無駄である。無駄なことに努力するのであれば、やってもむだ、と割り切り受け入れて他のことへ力を注いだ方がよいと。
また、幸せとは資本主義社会に合わせてお金を稼ぐことよりも、無償であっても評価を得られることの方が喜びや幸福を感じるように進化してきている。
優秀な遺伝子持ちとは競わず、小さなステ -
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相変わらず橘玲の著作はおもしろい。進化論的考察はいつものことでだいぶ慣れてきたが、毎回なるほどなあ、と思う。
大学の研究者が意味のある実験統計データを取るために行なっている工夫というのは大したものだと感心する。
P200
ここからわかるのは、女は男より競争に消極的なのではなく、「勝率を冷静に計算している」らしいことだ。成功の見込みが高いと思えば、女は男より冒険的になる。「女性は戦略的に競争に参加するかどうかを考え、きわめて慎重に行動している」のだ。
P246
男は「単純」で女は「複雑」だ。
これは、性愛において、男は「競争する性」、女は
「選択する性」として進化してきたことから説明できる。 -
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リバタリアンの視点から、人々が眉をひそめる行動が、実は大切である、と説く本。
全体として、ケーススタディが続くのだが、各ケースを読むことでリバタリアンの主張がわかるようになっている。
・売春婦
・ポン引き
・女性差別主義者
・麻薬密売人
・シャブ中
・恐喝者
・ツイッタラー
・学問の自由を否定する者
・満員の映画館で「火事だ!」と叫ぶ奴
・ダフ屋
・悪徳警察官
・ニセ札づくり
・どケチ
・親の遺産で暮らす馬鹿息子
・ヤミ金融
・慈善団体に寄付しない冷血漢
・土地にしがみつく頑固ジジイ
・飢饉で大儲けする悪徳商人
・中国人
・ホリエモン
・ポイ捨て
・環境を保護しない人たち
・最低賃金法を遵 -
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ネタバレ現状認識は全く同感。
リベラル化していること、その結果が能力のみによる選抜となること、それに対して従来のマジョリティ、既得権益層の反発が各国で起きていること、彼らの主張が非論理的であること、リベラル派のダブルスタンダードが弱点であること、いちいちごもっとも。
しかし、著者の結論であるさらにリベラル化、グローバル化をすすめるべきというのには疑問。これまでの歴史の失敗例である理性万能主義を感じる。
本の中にもあるが、人間はそれほど理性的か?現在のリベラルの考えは19世紀にはあったが、遅々として進まなかった。
国家や地域の中間団体、家族が残る限り、すべてが個人として平等に扱われることはないだろう。