あらすじ
やっぱり本当だった。
いったん「下級国民」に落ちてしまえば、「下級国民」として老い、死んでいくしかない。幸福な人生を手に入れられるのは「上級国民」だけだ──。これが現代日本社会を生きる多くのひとたちの本音だというのです。(まえがきより)
バブル崩壊後の平成の労働市場が生み落とした多くの「下級国民」たち。彼らを待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占するのは少数の「上級国民」たちだ。
「上級/下級」の分断は、日本ばかりではない。アメリカのトランプ大統領選出、イギリスのブレグジット(EU離脱)、フランスの黄色ベスト(ジレジョーヌ)デモなど、欧米社会を揺るがす出来事はどれも「下級国民」による「上級国民」への抗議行動だ。
「知識社会化・リベラル化・グローバル化」という巨大な潮流のなかで、世界が総体としてはゆたかになり、ひとびとが全体としては幸福になるのとひきかえに、先進国のマジョリティは「上級国民/下級国民」へと分断されていく──。
ベストセラー『言ってはいけない』シリーズも話題の人気作家・橘玲氏が、世界レベルで現実に進行する分断の正体をあぶり出す。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本書は2019年4月13日に東京大学・伊藤国際学術研究センター伊藤謝恩ホールで行われた日本生物地理学会の市民シンポジウムでの筆者の講演「リベラル化する世界の分断」をもとに加筆修正したもの(あとがきより)とのことですが、トランプ現象を始めとした混迷化する現代社会の病巣を的確に分析した読み応えのある内容です。人類は一体どこに向かっているのか、向かうべきなのかを考えている人は必読です。
Posted by ブクログ
愛の不条理とは男の乱交と女の選り好みの性戦略が対立すること。
人間は、徹底的に社会的な動物
大卒と非大卒の幸福度は、何となく分かっていた。
知識社会による、経済格差は、知能格差によるもの
世界の分断の理由が分かった
とても、参考になった!!
Posted by ブクログ
上級国民/下級国民と言うと抵抗を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、これは2019年に池袋で発生したひき逃げ事件をめぐり、ネットに飛び交った言葉だそうです。
本書は社会学系の本で、日本やアメリカに限らず全世界的に等しく起こっている、持つ者と持たざる者の分断について解説しています。
著者曰く、その引き金となったのは「リベラル化、知識社会化、グローバル化」の3つでした。
最後まで読み進めると、なぜ(数々の問題行動や問題発言があってもなお)トランプ氏が人気なのか、反日・嫌韓・反中を謳う人はいったい誰なのか、といったことが感覚的に理解できるようになります。
Posted by ブクログ
「正規」と「非正規」をはじめとした、格差、分断社会の本質を理解する手助けとなる本。
日本のサラリーマンとして働くひとの多くが実感することをはじめ、多くの情報が淡々と書かれている。
特に、『主要先進国で一番仕事が嫌いで会社を憎んでいるが、最も長時間労働しており、それにもかかわらず一番労働生産性が低い』という事実は、実際に耳にすることが多くある。
また、たまたま新卒で入った会社の業績という「運・不運」で人生が左右される『日本人(サラリーマン)の人生』という言葉にぐさりと刺さるものがある。
Posted by ブクログ
シンギュラリティを目の当たりにできるだろう世界に生まれたのは幸運かも。
自由、多様性の尊重はそのまま格差社会を受け入れることとほぼ同値なのでは。
スポーツはルールがあるから成立している。リベラルの行き着く先は、大多数の人にはディストピアかもなー。
Posted by ブクログ
昨今、急速に社会の分断が進んでいる、その背景について、歴史やファクトをもとに様々な側面からわかりやすくひもといており、これまで違和感を覚えていた社会状況の原因に対する答えの多くをつかめるきっかけとなった。
著者が何度も言う「知識社会化・リベラル化・グローバル化」した社会。そのような社会で、これからどのように生きるべきか、一人一人が向き合い、自分なりの生き方を構築していく必要性をあらためて感じた。
Posted by ブクログ
正直めっちゃおもろい。と言うのが1番の感想。
政治的な左翼右翼の話、知能の話、現代の社会問題の話など読みやすくまとめられており、我々は本書で述べられていることを知っておかなければいけないと思う。
知識社会の行く末
後期近代にさしかかった現在、リベラルと保守の対立は、前期近代とはまるで違ってきている。先進国における格差社会化は、知識社会に適応できた人とできなかった人の格差だ。こうした認識のもとに描かれる未来像は、いささか受け入れがたい内容にも感じられるが、直視すべき現実であると思う。
Posted by ブクログ
2019年の池袋で発生した高齢ドライバーの起こした自動車暴走事件を引き合いに、上級国民/下級国民という分断が起きた理由を解き明かす。テクノロジーと人間の適応力という図表は興味深い。21世紀はテクノロジーが私達の適応力を少し超えているために、知識社会化・リベラル化・グローバル化が進んだことで格差社会が生み出されたという説明に納得。ベーシックインカムの危険性は目から鱗だった。ただし、AIなどによって進化したテクノロジーを誰も理解できない未来はやってきてほしくない。
Posted by ブクログ
・男と女が社会的に幸福になるには、異なるKPIがあるのを理解できた一冊。
・現代は格差社会が構築され、それは知能の差である。特に男は持てるとモテるがイコール。
・男性と女性では、女性の方が幸福度が高いというのは歴史や文化に関わらず世界共通。
・男性、女性に両方とも、年齢に限らず学歴が低い人は幸福度も低い。
・若い女性はエロス資本を持っているため幸福度が高い。壮年でも女性の方が男性よりも幸福度が高い。女性の方が繋がりを作るのがうまいから?男性は年を取れば孤立していく。
・男の性的戦略は、純愛の欺瞞。女性はこれに振り回されないために、噂話で対抗した。また物理的にも女性一人で男性には勝てないので、共感能力を発達させ、グループとして男性の暴力を抑えこもうとした。
・女性がモテる要素は若さ。男性は金と権力、要は共同体内での地位。
・近親婚を避けるために、女性は他の集団のオスに興味を持ち、集団内の女性が入れ替わる。冒険的になる。だから女性は新しい集団での関係性構築がうまく、また緩いつながりとなる。一方男性はいつまでも一つの集団のそのヒエラルキーに属する。女性はいくつになっても友達を作れるが、男性は作れない。
・米国では時給14$で働く人が、10億円のボーナスを受け取るCEOには価値があり、自分には価値がないことを受け入れている。リベラル社会は全てが自己責任。知能格差。
Posted by ブクログ
タイトルと中身がそれほど合致していないような。思索に富んでいて、なるほどと思うところも多いが、断じ過ぎに感じるところも多い。エロス資本の考え方については納得。
Posted by ブクログ
徹頭徹尾「それを言っちゃぁおしめぇよ」という身も蓋もない話が続くが、ストレートな物言いだけに非常にわかりやすい。現代は一部の知識階級しか利益を生まなくなっているから、富が急速に知識階級のリバタニアに集中し、その他大勢はネトウヨを代表とするドメスティックスに分断される。一方で日本はまだその移行期であり、知識も能力もない大卒の中高年(特に団塊の世代)が特権を手放さず、そのギャップが「上級国民」という言葉に凝縮され、それ以外の人々の絶望感とルサンチマンを増大させている。また男性は社会的成功の他にも「モテ/非モテ」の価値観軸があり、20%のモテ枠からはみ出した普通の男たちが幸福感の喪失に寄与している。ざっと要約するとこう言った所か。
ただこれを読んでも、従来の「上流」や「セレブ」と「上級国民」は何が違って、どうしてその感情が生み出されたのかはよくわからなかった。上流階級は格差の固定(生まれ)にフォーカスがあるが、上級国民は将棋の「成る」みたいに一度地位なり特権を得た人がいつまでもそれを維持できるところに違和感がある、ということかな。
Posted by ブクログ
モテ/非モテをサルを使って説明した部分が
すごく腹落ちした。
内向きで階級を気にして浮気をする男性を
生物学的に説明している部分がおもしろい。
そんな男たちは、その性質がゆえに
壮年になると孤独になるという悲しさも持ち合わせている。
性の資本主義にもとても納得して悲しくなりました
Posted by ブクログ
橘玲さんのブログや他の著書も拝読しているので、初めてではないお話も多々ありましたが、「マジョリティの分断」や「モテ/非モテ」の考察は、「なんでこうなっちゃってるの?」という事に切り込んでいて、やはり面白いです。
Posted by ブクログ
上級国民という言葉が世に出てから久しい。
3部構成で、第一部はバブル崩壊後の平成の労働市場がどのように下級国民を生み出したのか。
第二部は「上級国民/下級国民」が「モテ/非モテ」につながることを論じる。
第三部は日本だけでなく先進国を中心に世界中で、「上級国民/下級国民」の分断が進んでいる背景を論じる。
良くも悪くも、団塊の世代が全てあの世に行ってからが、日本の後期近代の始まりとなるか。
第三部からが非常に興味深い。
明確な数字を元に表を見せられると、究極のリベラル化した世界もあながち夢物語ではなくなるのだろうか。
人工知能が人間の知能を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)は2045年とされている。
令和のうちに、ユートピアかはたまたディストピアが見れるのか。
Posted by ブクログ
平成の30年間で日本は「安くて魅力のない国」へと変化し、経済・労働・教育・恋愛までが格差と階級意識に覆われていく様子が語られています。IT投資の失敗や生産性の低さ、教育が格差を拡大する装置であること、そして「モテ」が男の階級意識を強くするという視点など、刺激的な論点が多い一冊です。
ややキャッチーさ優先の印象もあるため、読者には冷静な読み解きが求められますが、「今の日本」の空気を知るには一読の価値があります。
Posted by ブクログ
タイトルから想像する。上級国民と下級国民ではなかった。もう少し深層心理的なものに踏み込んでいる。そのため期待していたものと違ったので難しく感じた。そんなに深くまで考察しているのだなと思ったが、求めているものと違った。モテるモテないが上級国民と分けている。そんなところも関係しているのだろう。
Posted by ブクログ
知識社会の到来により、上級国民と下級国民の分断が世界中で起こった。エピローグの「経済格差はなくなっても、性愛格差はなくならない」「知識が不要になるくらいAIが発達したら、知識社会は終わる」という箇所が、印象に残った。
Posted by ブクログ
「言ってはいけない」よりはまともかな。
ただ、タイトルとはかなり違う内容。
中流階級が減り、分断されているのはどの先進国も同じ。
後半部分の提言については、比較的共感できる。
Posted by ブクログ
日本が直面している停滞や世界で起きている紛争の裏側にある考え方や二分化構造についてわずかながら理解することができたのかな…
この本で定義されている上流に属するにはもはや出生時から決まってるのかしらと思ったし、そこを目指してもがくよりも置かれた場所で咲きなさい思想の方が楽だったりするのかなとも思った。
ただ、人智を凌駕するAIやシステムに人間が支配される時代が来たら格差もなくなるようなことも書かれており、それはそれで恐ろしい。
Posted by ブクログ
上級国民、下級国民って言葉は
あの交通事故から聞くようになった気がします
それも書いてありました
上級国民だから逮捕されなかった、ってことでは
ないようですが
本書ではいろいろなデータをもとに上級や下級
モテ、非モテなどが語られています
そして知識社会か
なんとなくですが、この分断はもうしょうがない
のかもしれない
Posted by ブクログ
上級国民と下級国民
経済や知識的に国民の格差は拡大する一方。
しかしながら、過去の時代から階級や生まれた家柄などで格差はあった。
リベラル派により、階級などがなくなった先進国では逆転勝利を得ることも可能にはなったが
その反面、全てが自己責任として語られるようになってしまった。
今現在でも生まれた環境や家の経済状況により、全てが自己責任として処理されるには厳しい現状があるのは確かである。
私たちはこの現代社会の現状を理解した上でどのように生きていくことを選ぶのか、考えるきっかけとしていきたい。
Posted by ブクログ
橘さんの本は、男女の問題に重点を置くことが多い。
本の中で語られている貧困の連鎖は、若い時は分からなかったが今ならよく分かる。
両親ともにエリートではなく、地域全体が中流であれば、子供もその価値観に染まるのは当然のこと。
貧困の連鎖を断ち切るには、物心つくまえに環境を変えることだと思う。
アメリカの白人で問題になっている格差問題、ホワイトカラー白人とブルーカラー白人の分断が、まもなく日本でも起きると、この本は予想する。
社会全体が豊かになったとしても隣の人が自分より、より豊かになっていれば心穏やかでいられないのが人情というもの。
Posted by ブクログ
おもしろい。
とくにタブーとされているような内容を言語化されて思考が非常にスッキリする。
つまり盛んに生活保護を叩いたり、中韓をバッシングしたりする層とトランプ支持者は構造的に同じであるということ。
プアホワイトがマジョリティでありながら、アンダークラスに所属しており、マジョリティとして受けれる利益を享受しきっていない、むしろ他のマイノリティが受けるようなフォローも受けられてないと、不満をため、自身の唯一のアイデンティティである白人であることにしがみつき、他を非難すると。
確かにこの構造はあり、リベラル化によりこの流れはさらに加速する。つまり中間層が消滅する。
このリベラル化によりグローバルには貧困の数も大きく減り、世界的な安定に寄与しているのだが、一方その犠牲者としてマイノリティアンダークラスをどうケアするのか、これが次(今)の課題になる。
Posted by ブクログ
【1冊フォトリーディング】【マインドマップ】
上級国民・下級国民/橘玲
ひとはひと、自分は自分 ではダメなのかな?
なぜ、下級国民は、上級国民を非難するのだろう? 比較するのだろう?
今の地位、職業、立場、所得は、過去の自分が作ってきたものではないのか?
自分以外の、誰かのせい、環境のせい、日本政府のせいにしている時点で下級国民を脱することはできないのでは?
生まれながらにして、上級国民/下流国民って決まっているわけではないでしょ。
個人の努力が何の役にも立たないって冷酷な自然現象って捉えれいる人は、それを言い訳に下流国民で居続けるのだろう。
Posted by ブクログ
まぁデータなど資料の提示も多く、説得的で面白かったが、一読すればもういっかなって感じ。データに基づいて格差が広がっている事実を示しているだけで、あまり得るものはなかった。