山本幸久のレビュー一覧

  • 社員食堂に三つ星を

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    この本のタイトル「三つ星」が一体何なのか? それがこの物語のメッセージだ。

    そこにあるのは、信頼できる、リスペクトできる仲間達と力を合わせ、工夫して食べることへの喜びを共感し合えること。
    高級であることよりも新鮮であること。
    収穫する喜びを共感し合えること。
    昔から地元の人達に受け継がれてきた食材や料理の意味合いを深く理解すること。
    そんなメッセージが物語の味として仕込まれている。

    「ええか、悲しいときには美味しいものを食べるのが一番なんやで、そうすると悲しいより美味しいが勝って元気になるんやで!」
    一番気に入った台詞だ。
    その気持ちが作者が伝える「三つ星」なんだな、、って感じる。

    元気

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    2024年10月01日
  • 花屋さんが言うことには

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    案外、自分の人生を決めるのは勇気と勢いが8割型大事なのかもしれない。毎日を大切に生きればうまく物事が進むかもしれないと言う今1番縋りたい幻想を大事にしても良いと思わせてくれた。花言葉と絡めて、人生を好転させていく話の流れが好みだった。これほどまでにうまくはいかないかもしれないけれど、直接近づけていないからといってなあなあに生きるわけではなく自分にできることをするだけで、いつか自分の向きたい方向に近づくきっかけに思いがけず出会えるかもしれない。

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    2024年09月22日
  • おでんオデッセイ

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    屋台のおでん屋さんを舞台に、
    店主と常連さんたちの日常を描く
    ドタバタ劇。

    ある場所、食べ物を軸に進むストーリーは、
    わたしの大好物と言っても過言ではありません。

    地元へのUターンも有りだと感じる
    今ならではの作品。

    おでん片手に読むと、
    もっと楽しいかもしれません!

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    2024年09月07日
  • 神様には負けられない(新潮文庫)

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    義肢装具士という馴染のない職業が主人公。
    押し付けがましくないのに、バリヤフリーについてシミジミ考えさせられました。

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    2024年08月07日
  • 神様には負けられない(新潮文庫)

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    思いやりとか親切心とかって、結局のところ自分自身の傲慢なのか?
    さえ子と醐宮が出会った場面、さえ子が前の仕事を辞めた理由、さえ子と義足ユーザーたちとの関わり…読み進めていくうちに、そんなことを考えさせられた。

    相手の気持ちを100%理解することは難しい。
    それは、マジョリティかマイノリティか(適切な言い方でなかったらごめんなさい)に関係なく、どちらにも言えることで、であるならばどうすれば良いのか。
    どう向き合うのか、どう受け入れるのか。
    自分の“あたりまえ”や“常識”は、他人のそれとは違うのだということを、日頃感じていることをこの本を読みながらふと思いだす。

    バリアフリーとユニバーサルデザ

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    2024年06月19日
  • 店長がいっぱい

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    ネタバレ

    ほっこりしていて楽しかったです。
    チェーン店での色々な店舗での店長の短編集。
    一気読みできます。

    中盤らへんから話が繋がってくるのもこれまた楽しみの一つ。

    社長の成長する姿も笑いあり涙ありです。

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    2024年06月07日
  • あの夜を覚えてる

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    オールナイトニッポン55周年記念公演を小説化した一冊
    放送100回目を迎えた藤尾涼太のオールナイトニッポン、しかし直前にスキャンダルが発覚し…というあらすじ

    僕はラジオが好きだ
    ただ、なぜ好きなのかと言われると言葉に詰まってしまう
    この本を読んでちょっと分かった気がする
    リスナーとパーソナリティとが繋がり、一つの生放送を、忘れられないあの夜を作り上げていく感覚が好き
    聴き返すと初めて聴いたときの感情しっかり思い出せる密着さが好き
    いつも一人で聴いているのにイベントに行くと沢山の仲間がどこからか現れるのが好き
    あとは当たり前だけどラジオ描写が脳内再生余裕すぎる…!

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    2024年05月20日
  • 美晴さんランナウェイ

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    自由奔放な美晴さん。その破天荒な奇想天外な自由人の様子を主人公の世宇子してんから描かれている。

    すごい美晴さんというキャラクターが好きになった。確固たる自分があり悩みながらも自分の道を模索している様子がありありと見えたからだ。
    たまご酒をジャックダニエルで作ったのは大分笑った。
    逃げる。大人だから、年齢だから、色んな観念からの逃げなのか。果たしてそれは逃げなのか。
    それはともかく色んなことから逃げ続けている私には美晴さんはかっこよく見えた。

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    2024年04月06日
  • 神様には負けられない(新潮文庫)

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    義肢装具士を目指す主人公さえ子。高校を卒業してから7年勤めた内装会社を辞めて、貯めてたお金を専門学校の学費に使い、何年も付き合った彼氏にフラれて、まさに前を向くしかない崖っぷちの彼女。
    渋谷にある専門学校で出会った2人の仲間と共に、四苦八苦しながら学びと経験を深めていく。

    義肢装具士というお仕事、全くと言っていいほど知りませんでした。
    お恥ずかしながら。
    そこには、今まで知り得なかった深くて時に悲しくて、でも明るくて元気が出る素敵な社会がありました。
    自分の人生に芯がある人は強くて美しい。
    それは、義肢装具士を目指すさえ子とその仲間も、彼らに関わる先生や先輩、それから義肢を使っている方々も。

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    2024年03月14日
  • 神様には負けられない(新潮文庫)

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    背中を押し、前向きにさせてくれるお仕事小説。

    社会人7年務めた後、専門学校に通う行動力もすごいけど、そうさせた過去の出来事もリアルだった。

    専門用語も多いけれどそれがまた興味深い。

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    2024年03月04日
  • 花屋さんが言うことには

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    いわゆるブラック企業から、偶然の出会いでお花屋さんへ転職し、新しい環境での人との出会いや学び、胸キュンあり(ほっこり)なストーリーです。

    I泰山木、II向日葵、Ⅲ菊、Ⅳクリスマスローズ、Ⅴミモザ、Ⅵ桜、Ⅶスズラン、Ⅷカーネーションの8章から成っており、各章のタイトルの「花言葉」で繋がっていきます。同じ花でも、色や本数でも意味が異なっていたりと、愛でるだけではない花の楽しみ方に興味を持ちました。

    森教授の存在が好きです。

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    2024年02月25日
  • おでんオデッセイ

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    久しぶりの山本節。アヒルバスにオバケディズまで。やっぱり山本さん。軽妙洒脱な、この路線で行ってほしい。ふろふき大根とちくわぶで、一杯飲りたくなった。

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    2024年01月29日
  • 芸者でGO!

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    ネタバレ

    久々山本幸久、別作品の登場人物がコソっと出てくるのが楽しみな山本作品だが、今回は冒頭いきなりド直球にアヒルバスのデコちゃん登場。

    話は八王子の置屋「夢民」に所属する芸者5人の物語。5人それぞれが主人公の短編5編を収録。読みやすい楽しい話が基本なんだが、それだけでなく若干引っかかるような悲しいような挿話もチラホラと入ってくる。

    特に未以さんは非常に気になる、というかこれ続編読まないと寝ざめ悪いパターンやわ。アヒルバスの中にちょっと出てくるとかでもいいので、彼女のその後、できれば幸せな姿を読みたいと思う。

    その他兎笛さん木遣り練習のシーンや、茂蘭さんのカラオケシーン、謎の美女寿奈富さんの過去

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    2024年01月25日
  • ある日、アヒルバス

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    ネタバレ

    Tさんのおすすめ。

    なぜ、男性ストリップに照明をあてているのか。
    なぜ、チップに必要なお札を用意しているのか。
    なぜ、マネキンでチップをパンツにはさむ練習をさせるのか。
    銀座三越のライオンを退治するのか、
    築地本願寺を忍び足で歩くのか。

    それは主人公のバスガイド高松秀子、通称デコが、
    バスツアーのお客様に楽しんでほしいから。

    敬愛する先輩が辞めてしまい意気消沈する中、
    新人研修を担当させられたデコが、自分自身も成長していく。
    こう書いてしまうと全然面白くないが、
    ベテランガイドの鋼鉄母さんとその息子、
    友人ではなく同期アキ、
    個性あふれる新人たちと、登場人物がぶっとんでいて面白い。

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    2024年01月24日
  • おでんオデッセイ

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    有野静香はそこそこ名の通った商社で働いていた。だが体を壊して故郷へUターンし、実家の練り物工場を手伝っていた。そんな時、一念発起して町おこしプロジェクトに応募し、実家の練り物を使ったおでん屋台を開く事になり…

    おでん屋「かいっちゃん」に通ってくる人を中心として、ほんわかした気持ちになれました。
    嫌いで別れた訳ではない元彼とも上手くいきそうで、続編希望です。

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    2024年01月22日
  • エール!(3)

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    ネタバレ

    お仕事小説のアンソロジー。
    美術品輸送展示スタッフ、災害救急センター通信員、ベビーシッター、農業、イベント会社契約社員、新幹線清掃スタッフの6つの職業を6人の作家が描く。
    はじめましての作家さんが4人、ていうか原田マハさんと伊坂幸太郎さんしか知らない。農業の吉永南央さんの切り口はおもしろく、救急情報センターの日明恩さんのはこれからキュンキュンしてゆきそうかなと。
    伊坂さんはいつもとちょっと違い、作者知らずに読んだら伊坂さんと思わなかったかな、仙台出てこないし。

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    2024年01月21日
  • おでんオデッセイ

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    東京の商社で働いていた静香は、身体を壊し退職後に実家の「有野練物」の手伝いをしていたが、町おこしプロジェクトに応募し、おでんの屋台を開く。

    実家の工場で作った練物でのおでんは、出汁も染みて絶品。
    少しずつ常連客も増えて親しくなり、高校時代の元カレのDJポリスの六平太とも良い関係に…。

    登場人物のキャラも際立つうえにちょっとした問題も切り抜けて、良い方向に進んでいくので気持ちよく楽しめる。
    心に沁みてくる温かい物語である。

    そして、なんと言ってもおでんが美味しそうである。
    たまねぎ天に紅しょうが天、餃子巻にウインナー巻、肉いなり、小型ばくだん…とインターンを終えて寄った早咲ちゃんが頼んだも

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    2024年01月20日
  • 神様には負けられない(新潮文庫)

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    ニニが出ている。芸者でゴー、こうして友情出演みたいに出てくるのが嬉しいし山本幸久さん好きだよね。義肢装具士の存在も含めて考えたことないので、勉強になりました。3人もよかった 会社はこれから本当に出来ると思う。専門学校は大学みたいに学生生活を楽しむ場所じゃないので友情を育てる難しいかと思いますが、この3人は巡ってきたのですね。無意識のうちに出た言葉が相手を傷つける場面があるけど、あれを言われると何も言えない声も掛けれないと自分も思う。難しいね良かれと思って伝えても相手には同情だけの哀れみと受け取られるって 五十嵐貴久さんと同じでこのふんわり読んでいて和んでしまうのはどういう理屈なんだろうと考える

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    2024年01月01日
  • おでんオデッセイ

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    東京の大手商社で体調を崩し、実家の練り物屋さんの手伝いをしていた主人公の静香。ある日、一念発起して町おこしプロジェクトに応募し、実家の練り物を主食材にしたおでんの屋台を始める。美味しさに誘われて集まる多彩な常連客との騒動を描いた作品。
    今回は『笑う招き猫』のアカコとヒトミがかなりの頻度で顔を出し、『ある日、アヒルバス』はバスのみ登場します。このあたりは山本幸久ファンなら判るはず。
    途中でズッコケかけたけど最後は見事に立て直し、何もかもが良い方向に向かう怒涛のエンディングも心地良く。マンネリちゃあマンネリなのですが、ここは「安定」と呼びたい山本幸久節でした。
    寒い日にはもってこいの一冊です。

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    2023年12月26日
  • 神様には負けられない(新潮文庫)

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    覚悟を決めて何かに立ち向かう人の美しさが描かれていて私はとても好きでした。

    と言っても、義肢装具士を目指す主人公のさえ子は途中で何度も「私は向いてないかも」と弱気になります。

    そんな時に周りが羨ましく見えたり、自分の弱いところばかりが目についたりとすごくリアルな描写がありました。

    でも周りには何気なく元気をくれる友人がいて、頑張っている人がいて、自分を頼ってくれる人がいる。

    それを知りもっと逞しくなっていく、そんなお話なのですが読んでいてとても清々しい気持ちになりました。

    読み進めるうちに登場人物に嬉しいことがあると自分も嬉しくなり、反対もまた然りですっかり没入していたように思います

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    2023年11月27日