山本幸久のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
内装関係の会社を退職して医療福祉専門学校に入り直し、義肢装具士(ぎしそうぐし)を目指す26才の女性(さえ子)の物語。
専門学校には年の離れた仲間がおり、またこのキャラクターがとてもいい。大変なんだけど前向きな姿勢を感じられる。山本幸久さんの小説はそんな主人公が多く、大好きだ。
小説の中の一節に『義肢装具士は神様と同じことを試みているようだ。(義足などの装具を作ることは)人間の身体を作っているのだから。だから、神様には負けられない。』という部分がある。めちゃくちゃ深いなあ。
主人公のさえ子も壁にぶつかる度に心の中で『神様にはまけるものか。』と呟き続ける…これが小説のタイトルの意味するところだ。
実はこの小説の文庫版には最後に書き下ろしの短編がついており、義肢装具士になってからのさえ子が描かれ、義足をつけることになった若い警察官の心の支えになっている。
読み終えてから、タイトルの意味を改めてふまえてみると、再び泣けた。
ちょうど世の中ではパラリンピックが始まろうとしている。ハンディキャップを背負ってもオリンピック出場という素晴らしい偉業を果たした選手たちの裏側には、さえ子のような義肢装具士さんたちの隠された苦労がきっとあるのでしょうね。
また小説内に友々家というチェーン店の丼の店、凹組というデザイン会社が登場するが、これは山本幸久さんの『店長がいっぱい』の舞台になるお店、『カイシャデイズ』の舞台の会社名なのである。こういう山本幸久ファンに向けての仕掛けもニクいなあ。 -
Posted by ブクログ
もともとお仕事系の小説が好きなのもあり、とっても面白かったです。
お仕事系と言っても、企業同士のシェア争いや、派閥や出世のような野心的な話題はなく、ましてや「倍返しだー!」みたいな熱さも もちろんありません。
一見どこにでもありそうな内装会社の、高柳さんを中心とした営業と設計と施工のチーム。
ガツガツ感はないものの皆んな仕事が大好きで、自分の仕事に誇りを持ちつつ それぞれに信頼・尊重しあう関係。 お店の立ち上げやリニューアルに伴う内装工事をとおして、社内・社外の人と関わりながらより良いものを作るために取り組んでいく。
仕事の種類や取り扱いの大小ではなく、目の前の仕事一つひとつを楽しみながら取り組んでいくことの大切さが感じられる本書でした。 -
Posted by ブクログ
これ、おもしろい。
義肢装具士というあまり普通は馴染みがない話題。こういうの本当はちゃんと考えなきゃなんだよね。
それはそれとして重い題材の割に文章は程々にやわらかく、読みやすい。でもきちんと伝えるべきは伝えてくる。何故それを目指すのか。どうやったらきちんと作ることができるのか。またどうして義肢装具が必要になったのか。
さえ子さんがなかなか豪快な性格で、最初鬱屈してたりもしたのに遠慮ないとすげー口が悪いね。メイン三人がしっかりと人物として立っていて、なかなか面白いバランス。これから彼らが世間に揉まれながらも、ずっと良き同期として成長していくのが楽しみだよ。