あらすじ
元ムード歌謡の歌手で、今は函館のスナックのママ野原ゆかりは、本州をめざし津軽海峡をフェリーで渡っていた。ある事情で抱えた借金返済のため、昔のつてを頼ってコンサートツアーと称したドサ回りの旅に出たのである。船内で偶然知り合った同じ名前の森川縁は、12歳なのになぜかゆかりの唄に興味を持ちついて来てしまう。彼女が母親と喧嘩して家出してきたことを知ったゆかりは、親に連絡させ最終目的の東京まで連れて行くことになる。しかし、彼女のコンサートは、行く先々でトラブルに遭いことごとく中止になってしまう。落ち込むゆかりを支える縁。2人のユカリは55歳の歳の差を超えて強いきずなで結ばれていく。そしてついに最後の会場、東京に到着する。ゆかりは、ここだけは絶対に唄い上げるつもりだった。そこにはゆかりの悲しい過去が刻まれていたのだ。
笑って笑って、そして……ラスト一行に思わず! エディット・ピアフの『愛の讃歌』に乗って描かれる人生の切なさ、すばらしさ。山本作品で一番泣ける作品です!
感情タグBEST3
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話すスピードに流れに自分に合っていると思う、純粋に好きなのね自分。出ると直ぐに読み始めるので、アヒルバスとは違う文体だったなあって言うのが感想ですね。どこが違うと言われると困るけど、シリアスな雰囲気がずーっと続くし、背中の帯と全然違う感覚的に、2人旅なんだけども、枠に当てはまらない、それが友達なんだけども、いい関係。はちゃめちゃな縁ではないちゃんとした女の子だから、色んな出会いと色んな過去と混ざり合い作られた話は本当に面白い、旅の目的が要と思いきや単なるきっかけで、2人の出会い最高だった
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67歳のゆかりと12歳の縁。深まっていく二人の関係が良かった。北海道の何処かにいけば、スナック「野ばら」があって「無愛想ブルース」を聞かせてもらえそう。
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第19回 酒飲み書店員大賞 受賞作。
帯には「酒飲み書店員大賞史上最強の号泣本!!」
山本幸久さんの本は「誰がために鐘を鳴らす」を読んだことがある。
とてもいい印象。
この本も最初こそ あれっ??って思ったけれど、読み進めていくとどんどん良くなってきて、最後はさすが!!という感じ。
書き下ろしの「唄うことすらままならず」もすごくよかった。
ちょっと英語の勉強はお休みして、もう少し小説を読む時間を楽しみたいと思います。。
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安定の面白さ
最後のコンサートに収斂していく伏線回収はどきどきする
おばあちゃんのゆかりと中学生の縁どっちもいいなあ
ご都合主義といえばそうだけど全くの悪人が出てこないのも好き
レコード会社社長とかは悪いかも
こんなドサ周りがある人生も悪くないな
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函館のスナックママ、元歌手の『ゆかり』がドサ周りの旅に出る。津軽海峡をフェリーで渡る時に12歳の家出少女、縁(ゆかり)と出会い、『ゆかり同士』の2人旅が始まる。様々なトラブルに巻き込まれながら、いろいろな場所で人の人情に触れ、ある奇跡が重なりホロリと来る( ; ; )これ絶対、ドラマか映画になるなあ。ゆかり役は石野真子、縁(ゆかり)役は新鋭の子役女優がいい。←勝手に決めてる。
ウォークマンの絵が描かれた文庫本の表紙にめちゃくちゃ惹かれた…懐かしい。実は僕は就職して入った会社が大型スーパー。それも最初は電器売場でウォークマンとかラジカセの担当でした!当時ソニーのウォークマンは新機種が出るたびに飛ぶように売れたなあ。(サンヨーとかアイワとか今はもう無くなったなあ)中高生が売場に何回か見に来て、お小遣いを貯めて買いに来たり、可愛い女の子にはカセットテープをおまけしたり、万引き少年に説教したり…悪戦苦闘した新入社員の日々もなんだか懐かしく思い出された。
郷愁、そしてほのぼの感の残る小説。
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一瞬だけ売れた往年の歌手と、中学生の女の子とのロードムービー的作品。ドサ回りを試みるも行く先々で拠無い理由で中止中止また中止。とても面白いです。
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これぞまさしくリア充。そうだ、六十七歳だってリア充はできる。
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67歳の元ムード歌謡歌手ゆかりはドサ回りの旅の途中、12歳の家出少女縁(ゆかり)に出会う。公演は行く先々でトラブルに見舞われるが、それを乗り越えてふたりは強い絆で結ばれていく。
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少し天然なおばちゃんって感じのゆかりにも実は辛い過去があって、それが場面場面で少しづつ回想されていて、今回のドサ回りで縁に出会ったことでその過去にも向き合うことが出来ていたのが深い。友情に年齢は関係ないと思った。
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67歳の元ムード歌謡歌手と、何故か彼女の歌に涙する12歳の家出少女。55歳の年の差を超え2人は強い絆で結ばれていく。笑って笑って、ラスト1行に涙する人生讃歌。極上のロードムービー小説。
人生の日陰者が、人生最後のスポットライトを求めて全国ドサ回りの旅へ。トラブル続きは山本幸久ワールドのお約束だが、いつの間にか一緒に旅している気分になる。「運命に逆らわなきゃ」って言葉が、とても心地好い。最後の最後まで可能性を信じる気持ちを大切にしたい。
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才能に恵まれたけど花開かず、一人娘を授かったけど二度失い、人生のあれやこれやを飲み込んで耐え忍んで生きてきたゆかりが67歳にして初めて運命に逆らう。相棒に12歳の家出少女を引き連れての復活ライブツアー…。
シャンソンの調べと昭和のムード歌謡の香りがしっかりと絆をつないでいく、同窓会みたいな懐かしい、けれどちょっと遠いところの空気に包まれます。
ゆかりを支える人の輪が3世代に脈々と続くのがステキです。真っ直ぐに育った娘とその養い親が惚れ惚れするほど魅力的です。そして相棒縁の母子もチャーミング。嬉しい文庫書き下ろしの短編でもほのぼのします。
ゆかりさん、アヒルバスの出身なんですね♪